したい夜はきみとじゃない

雪村こはる

文字の大きさ
62 / 243
友人の恋人

03

しおりを挟む
 千景は違和感を抱いた。依が今まで上機嫌だったのに急に不機嫌そうに目を逸らしたからだ。
 それだけではない。先日亜純と話をした時にも子供の話題になった途端に言葉を濁された気がした。
 亜純は必死に誤魔化しているようだったし、あの時には千景もさほど気にしていなかった。しかし、依の反応を見て2人共どこかおかしいと感じたのだ。

 昔から千景は何かと洞察力に長けている。こういった勘はわりと当たる。

「あ……なんかごめん。もしかして、不妊症とかだったりする……?」

 いつか依が「俺と亜純との子供なら絶対可愛いだろ」と声高らかに言っていたから、千景だってまさか依の方が亜純との子供を望んでいないとは思いもしない。
 2人揃って顔を曇らせるのは、子供ができない理由があるのではないかと思うのが普通だった。

「いや……まあ……」

 千景の言葉にはっとした依は、既に真白にはセックスレスのことが知れてしまっているが千景にはなんとしてでも隠し通そうと顔を背けた。
 同時に本当に俺か亜純のどちらかが不妊症ならいいのに。そんなことまで考えた。

 いっその事、亜純に俺には精子がないって言ってみようか……いや、それでもしじゃあ避妊しなくていいって言われたら?
 妊娠する可能性がある以上、亜純のことは抱けないし……それなら亜純が子供を産めない体ならいいのに。そしたら一生俺が寄り添って亜純のためだけに生きられるのに。

 そんなことを考えていることなど知る由もない千景は、怪訝そうに顔をしかめた。それからチラリと亜純と真白の方を見た。
 今度は亜純の背中をさすっている真白の姿が見える。さっきまで喧嘩をしていた様子だったのに、真白が言いすぎて慌てて亜純を謝っているのか? それとも、違う誰かに怒っているんだろうか……。

 千景はゆっくりと視線を依に戻した。真白は何か知ってるんじゃないか。知っていてその何かに怒っているんじゃないか。その原因が依だとしたら……。と思いながら千景ばゴクリと息を飲んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end** ◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です! https://estar.jp/novels/26513389

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...