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友人の恋人

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「あー……。うん、俺も行くよ」

 依の反応を見て、千景は変わってないか……と軽く息を漏らした。依の性格なら「会ってってやって」と笑顔を見せてもよさそうなものだ。
 これが両親や兄弟ならそんなふうに言っただろう。やはり、相手が亜純だからか。

 千景はなんとなく胸が騒ぐのを感じた。

 千景が依と一緒に亜純と真白のもとへ向かうと、2人は顔を上げて一瞬気まずそうな表情を浮かべた。たったそれだけのことで、千景はやっぱり原因は依なのだと察する。

 しばらく3人に会っていなかったから、この数年の間に何があったのか千景には見当もつかない。
 自然と亜純の隣に寄り添う依を見てから、亜純の顔を見れば目を合わせないようにしているふうに見えなくもない。

 交互に2人を見比べて、不意に真白に視線を移せばバッチリと目が合ってしまって千景はドキリと体を跳ね上がらせた。
 何でもお見通しだと言わんばかりのその目が、数年経った今でも苦手だと感じた。

 先月同窓会の連絡をしてきた時には何も言ってはいなかった。本当に要件だけ言って、「亜純に会いたい……」とこぼして電話を切った。
 真白の言葉は本心だろう。それなのにどうして半年も会わずにいたのか。同窓会の連絡もしてやらなかったのか。

 千景には依にも真白にも疑問が多すぎてどれから対処していいのかわからなかった。

「2人とも久しぶり」

 それでも千景は平然を装って亜純と真白に声をかけた。亜純は千景の顔を見た途端にっこりと笑った。
 亜純にとっては、唯一同窓会の話を当然のようにしてくれた相手であり、高校時代から変わらない安定感のある存在だからだ。
 その安心感が自然と表情に現れた。

「千景! 絵本ありがとうね。ちゃんと会ってお礼が言いたいと思ってたから、会えて嬉しい」

 一気に明るくなった亜純の顔を見て、真白はおや? と眉を上げ、依はぐっと眉間に皺を寄せた。
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