したい夜はきみとじゃない

雪村こはる

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想いの矛先

02

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 真白は同窓会から帰宅した後、亜純のことが心配になってメッセージを入れておいた。直接会って話した亜純は悲しそうな顔をしていた。
 自分には依と離婚する気はないと言ったが、千景には離婚も考えていると考えを改めたことを不謹慎ながら嬉しくも思った。

 亜純を悲しませる男など、夫である資格はない。依に尋ねたってはぐらかすばかりで、亜純のことは本気で好きの一点張り。
 せっかく私が付き合うお膳立てしてやったのにそれを無下にしやがって。そんなふうにすら思っていた。

 亜純は離婚するにあたってどんな話し合いをするのだろうか。傷付いて泣いてしまうかもしれない。心の支えが欲しいかもしれない。
 亜純のためなら、どんなことでもしてあげよう。そう思っていたのに、亜純へのメッセージは既読になったまま一向に返ってこなかった。

 あれからもう3日も経った。亜純が既読したまま返信を怠るなんて今までなかった。どんな友達よりも自分を優先してくれている自信が真白にはあった。
 最初は依との話し合いが拗れて返信できない状態なのかもしれないと思ったが、それでも「また今度話すね」くらいの返信ならあってもおかしくない。

 真白は更になにかあったのかとメッセージを追加したが、今度は既読にもならなかった。いよいよ亜純になにかあったんじゃないかと依に電話をかけた。
 そこで知ったのだ。真白と依が肉体関係にあったことを亜純に話したと。

 依はこの事実を墓場まで持っていくと思っていた。亜純に嫌われたくない依は、絶対に知られなくなかったはず。それなのになぜ言ったのかと問い詰めれば、一連の流れを聞かされて絶句した。
 亜純が真白と2人で私を騙していたと怒っていたことを知り、血の気が引いた。

 そんなつもりはなかったのだ。亜純に幸せになって欲しかっただけだ。それなのに亜純は怒ってしまった。返信がないのもそのせいだと理由を知った。

 しかし真白には亜純がどうしてそこまで怒るのか理解ができなかった。一般的にこうしたら嫌われる、怒られるというものがなんとなくはわかる。きっと依と寝た行為はその類のもの。
 けれど、それを裏切りだと泣き喚くほどのことなのだろうかと唇を震わせながら考えた。
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