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想いの矛先
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1週間メッセージもそのままにしたのに、千景は何でもないようにいつもの調子で電話に出た。
「連絡するの遅くなってごめんね……」
「ううん。多分依と話し合ったんだろうなって思ってたから。気持ちの整理がつくまでは話せないこともあるよね」
穏やかなその声に亜純ほっと胸を撫で下ろした。千景に電話をかけるまで何度も深呼吸をした。第一声で何を言われるかとビクビクしていた。けれど、千景はいつもの千景だった。
「……今ね、実家に帰ってきてる」
「そっか……。離れることも大切かもね」
千景は何でとは聞かなかった。離婚を視野に入れていることも話したから、その方向で話を進めているとすぐに理解したようだった。
「ねぇ、千景。私ね、依とはもう無理だと思う」
「話し合った結果ってことだよね? それが答えなら亜純のしたいようにしたらいいと思うよ」
「うん。あのね……千景に聞きたいことがあって」
亜純は意を決して、というよりはポツリと呟くように依と真白の関係について尋ねた。千景は黙って亜純の話を聞いたあとも暫く黙っていた。
その沈黙が何をさすのか亜純が考えたところで「え? ごめん。ちょっと、あんまり理解できなかった」と言った。
話を聞いていなかったんじゃないかと思えるほど自然に聞き返された。ただそれだけで千景は2人の関係を知らなかったのだと思えた。
「千景も知らなかった……?」
「知らなかったもなにも……それ、本当なの?」
「依から聞いたんだもん。真白が依のことを好きだって」
「真白が? ……いや、それはないと思う。あ、でも……ああ、ううん」
千景は何か思い出したように言葉を止めたり、そんなことはないかもと言葉を続けようとした。
真白が自分に亜純と付き合う気はないのかと尋ねたのは、依のことが好きだったからなのかと一瞬考えたからだ。
しかし、本気で依に怒る様は千景にも亜純のことだけを考えているように見えた。
千景にも真白が依のことを好きだったようには思えなかった。
「連絡するの遅くなってごめんね……」
「ううん。多分依と話し合ったんだろうなって思ってたから。気持ちの整理がつくまでは話せないこともあるよね」
穏やかなその声に亜純ほっと胸を撫で下ろした。千景に電話をかけるまで何度も深呼吸をした。第一声で何を言われるかとビクビクしていた。けれど、千景はいつもの千景だった。
「……今ね、実家に帰ってきてる」
「そっか……。離れることも大切かもね」
千景は何でとは聞かなかった。離婚を視野に入れていることも話したから、その方向で話を進めているとすぐに理解したようだった。
「ねぇ、千景。私ね、依とはもう無理だと思う」
「話し合った結果ってことだよね? それが答えなら亜純のしたいようにしたらいいと思うよ」
「うん。あのね……千景に聞きたいことがあって」
亜純は意を決して、というよりはポツリと呟くように依と真白の関係について尋ねた。千景は黙って亜純の話を聞いたあとも暫く黙っていた。
その沈黙が何をさすのか亜純が考えたところで「え? ごめん。ちょっと、あんまり理解できなかった」と言った。
話を聞いていなかったんじゃないかと思えるほど自然に聞き返された。ただそれだけで千景は2人の関係を知らなかったのだと思えた。
「千景も知らなかった……?」
「知らなかったもなにも……それ、本当なの?」
「依から聞いたんだもん。真白が依のことを好きだって」
「真白が? ……いや、それはないと思う。あ、でも……ああ、ううん」
千景は何か思い出したように言葉を止めたり、そんなことはないかもと言葉を続けようとした。
真白が自分に亜純と付き合う気はないのかと尋ねたのは、依のことが好きだったからなのかと一瞬考えたからだ。
しかし、本気で依に怒る様は千景にも亜純のことだけを考えているように見えた。
千景にも真白が依のことを好きだったようには思えなかった。
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