したい夜はきみとじゃない

雪村こはる

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新しい風

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 真白が綾菜に返信できないまま3日が経った。綾菜から丸2日経った時に追加でメッセージが来た。

「次に会える日っていつかなぁ?」

 返信していないにもかかわらず、綾菜はなんてことのないように次の約束を取りつけようとしてくれた。
 おそらく内心不安なはずだ。散々毎日のようにやり取りをしていて、会っていた時もあんなに会話が弾んだのに帰宅してから一向に返信がないのだから。

 もしかしたら忙しいのかもしれない。仕事が立て込んでるのかもしれない。返信の内容を考えているのかもしれない。
 そんなふうに色々考えているだろうに、真白はそれでも返信できずにいた。

 とうとう1週間が経つと、綾菜の方から真白の職場にやってきた。

「……いらっしゃいませ」

 真白は笑顔を作ったが、綾菜は泣きそうな顔をしていた。

「私……何かしちゃったのかなって……。もしかして客の立場で調子に乗りすぎたんじゃないかって……ごめんなさい。私……」

 綾菜が声を震わせて謝罪をするものだから、真白は慌てて綾菜のもとへ駆け寄った。

「ち、違うの! 謝らなきゃいけないのは私の方で……ごめんなさい」

 こんなふうに綾菜を傷付けてしまわないようにどう距離を保つか考えたかったのに、結局彼女を傷付けてしまったと真白は自己嫌悪した。

「もう私と会うのは嫌なのかなって……今日来たら迷惑かもって思ったけど……このままさよならするのは絶対に嫌で……」

 綾菜は涙を滲ませながら言った。泣かすつもりなどなかったのに、と真白まで泣きたい気分になった。
 亜純の時にはちゃんと向き合えなかった。自分の本当の気持ちも、何も言えなかった。

 でも綾菜は嫌われたのかもしれないと思いながらもこうして自分と向き合おうとしてくれている。その気持ちが純粋に嬉しくて、同時に申し訳なくて真白自身も怖がらずに正直に自分の気持ちを伝えなければならないと思った。

「迷惑じゃないよ……。ごめんね。色々考えることがたくさんあって。もしかしたら、綾ちゃんを幻滅させることになるかもしれない。私のこと、嫌いになるかもしれない。それでも私の話、聞いてくれる?」

 真白は今まで誰にも言えずにいた過去を含めて綾菜に話そうと思った。もしもそれで嫌われたらそれはそれで仕方がない。
 けれど、もしも綾菜がそれでも友達でいてくれるというのなら、亜純とは築けなかった関係を築いていきたいと思った。
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