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第五章 激闘!漆黒対影!
減らすものを減らすだけです。
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「ーー…ええーではこれより、我大魔将軍と〔大地の守り人〕の皆様との談合会を始めたいと思います。」
城の会議室にあたる部屋で無駄に長いテーブルに並んだ席の窓側にいた我が言うと反対側でちゃんと座ってくれているイランダ含む〔大地の守り人〕の表情が引き締まる。
あれから旗を作り上げそれを城にあった棒に結び付けてイランダに掲げさせ我も空中で盾に張ったものを見せつけてやった。
するとスキルで見ていた点が少しして動き出して〔大地の守り人〕一行はわざわざイランダと同じく正面から姿を見せてくれた。
サリサムの提案通り旗を見せつけたこととイランダが旗を振ってくれたことがきっと決め手になってくれたのだろう。
先頭にいたセプトと呼ばれる隊長のフードを外した顔を見た時に我はようやく思い出した。
確かここから南方の森林を侵略した時に戦ったエルフの戦士で狙撃の名手でもある。木々のほんの小さな隙間を通して放たれる魔法矢に幾百の歩兵が貫かれたことか。
他に犬型の獣人女性メビ、女性エルフのクーナ、爬虫類型の獣人男性ラッダ等の自己紹介を受けたので我も挨拶した。
向こうも我のことをちゃんと覚えてくれていたのか挨拶から会議室までの移動はスムーズに済みお互いの要件を聞く為今に至る。
「ではまずそちらからの要望をお聞かせください。」
「はい、我々の目的はサリサム戦士長とアズベルト第三王子の譲渡です。承諾いただけるのであれば自分個人の協力を提供します。」
セプトの提案に後半に出てきたことを他の隊員が聞いていないとざわめくがセプトの顔を決して冗談のつもりではなく真剣そのものであった。
おそらくこの場は交換条件を掲示するものだと思っているようだが、我は別に求めてない。
「なるほど、では我からは今いる捕虜の内戦士ではない者達を故郷へ安全に帰せる為の協力と〔大地の守り人〕の本拠地への案内を求める。」
なのでここは前半を向こうが乗ってくれるものを、後半は個人的な望みを掲示してみた。
今度はセプトを含めた全員が我に視線を向けてくる。まあ捕虜を渡す換わりに自分達の本拠地を教えろなんて普通なら図々しい話だろうからな。
「それはつまり我々の本拠地を支配するつもりでしょうか?」
セプトの隣に立つクーナと呼ばれていたエルフ女性が少し怒気のこもった言葉で聞いてきたので我はすぐ否定する。
我はこの際〔大地の守り人〕という組織と協定を結びたいと思ったからだ。
彼らの活動は我がこの先成すであろう諸行に類似するものが多いのでいっそのこと向こうの情報を元に施設破壊部門に関してはこちらに任せて欲しいというのが本音である。
「先に言っておくが、我はもう支配というものに興味も関心もない。求めるのは真実と共存、そして粛清である。」
我の方針を伝えて相手方の反応を見てみたが、セプトとクーナとイランダ以外は表情がひきつっていた。
特にクーナに関しては眉間に皺を作って怒りを伝えてきていた。
こっそり調べたが彼女は失明しているらしく先ほどからの対応からして先の侵攻の被災者かもしれない。だとしたら責任の一端だろうとも後でお詫びをする必要があるだろう。
だが今はお互いの協定を結ぶのが大事だ。
「勘違いしている者がいるようだが粛清の対象は人間だけだ。奴らの今の言動は非常に目に余るのでな。」
「では具体的には人間をどれくらい粛清するかお聞かせ願えますか?」
隊長のセプトを差し置いてクーナがまた問いかけてきた。
こういうのって態度が悪いとして普通良くないものだが。
現に周りは不敬なのではと不安そうな顔を浮かべている。
仕方ない、ここは大胆に言ってみるとしよう。
「そうだな、我の見解だが今この世界の割合はエルフ、ドワーフ、獣人がそれぞれ一で人間が七だと仮定している。」
ここでフェアリー族を出さなかったのは今のところトワダ森林で見た一体だけなので滅多にお目にかかれないだろうと考えて省いた。
さらに我がスキルによって眠っていた間の半世紀で人間だけは増え続けてしまったと考えると先ほどの割合になると判断した。
「そして人間のしてきたことはあまりにもあの聖女の望むものとはかけ離れてしまった。だからこの際その割合をお前達が三、人間は一にした方がよいと思っている。」
我の言ったことにまた向こうが大きく驚く。
まあいっそのことサリサムに言ったみたいに一割どころか一厘にしてもいいとまで考えているが。
「ふふふ、何をそんなに驚くことがある?お前達の目の前にいるのは幾多の都市を侵攻した魔族だぞ。侵略するのではなく減らすだけのことなら造作もない。」
少し威厳を出す意味で続けて言ってみれば息を飲む者が見えた。
ここまで言ってみたがセプトの方は冷静に話を聞き考えていたようで口を開く。
「大魔将軍様の考えはわかりました。こちらとしてもあなたと敵対するどころか友好的になれるのであればありがたいと思います。ですが我々も組織の一員。まずは上に連絡することをお許しください。」
セプトの意見にそれは当然だろうと我は了承する。
互いに条件を呑んだということでここから頼みごとをするとしよう。
「うむ、よかろう。ではここからは我からの依頼を申す。」
「い、依頼…?」
「その方らにもここにいる者達の世話を頼みたい。期間は四日。報酬はそうだな、君達と帰還希望者全員を転移させることとそちらの女性の目を治療してあげよう。」
依頼と報酬を話してあげればセプトも含めて彼らは驚く。クーナに関しては瞼を開けて凝視するほどだった。
というか最初の協定の時点で転移魔法を使う予定であったが向こうはそこまで考えてなかったようだ。
「わ、私達を全員転移魔法で飛ばすことが出来るんですか!?」
話を聞いて隊員の獣人女性のメビが前のめりになって尋ねてきたので余裕を見せてそうだと返してあげた。
とりあえず彼らに友好の証の意味も込めて【次元転移】の簡単な紹介をしてあげた。
「我ほどになれば十人くらいは何の苦労もなく飛ばせる。君達にとって被害なく帰れるのは一番嬉しいことであろう?」
「は、はい。ですがそれだけでなく彼女の治療もしていただけるのですか?」
さすがにそれは過分な報酬だとでも言いたげなセプトの意見に当然だと返してやる。
言うなればこちらは店の繁忙期に他の支店から応援として店員を借りるようなものだ。
ならば昼食代換わりに大鍋でカレーやシチュー、豚汁とご飯等の食事や車を停められる駐車スペースを提供することの上位互換だと考えれば我には店長としての義務だとも思えた。
「信じ難いと言うならば君達の了承と同時にすぐ彼女を治療しても構わない。こちらには龍魔法の使い手がいるからな。」
ずっと隣の席で待機してくれたゾドラを指して紹介してあげると彼女は軽く会釈してくれた。
彼女の龍魔法の中には攻撃、防御、さらに回復の部類が存在するので命令してあげればやってくれると信じている。
多分内心は下等生物とか思っているだろうけれどもこの場は大人しくしてなさいと言い聞かせているのでそのままを維持してもらいたい。
ゾドラに視線が向けられた時にメビは尻尾をピンと立たせてすぐ顔を逸らしてみせた。
多分報告にあったゾドラがうっかり殺気を飛ばしてしまった矛先が彼女なのかもしれない。
「お断りします。この眼はもう治すことは出来ないのです。今更そんなこと言われても信用できません。」
クーナの拒否に隣でメキメキっという音が聞こえた。
顔は頑張って維持してくれているがゾドラの額と首に青筋が生まれているのが確認できた。
ドラゴン族はプライドが高いことで有名だから龍魔法を信用ないものだと言われて腹が立ったのだろう。
「君はその目を治したくないのか?」
「出来るなら治したいです。ですが中級治療魔法でもレッドポイズンコブラの毒を全て浄化出来なかったのです。それでも生きてるだけ良かったと言えるかもしれませんが。」
なるほどレッドポイズンコブラか。
あれはこの世界で言うところの上級モンスターに値する大蛇だ。
歯から出す液体と口から出すガス型の二つの毒を使って獲物を弱らせ捕食するあれは確か四天王の一体が主力部隊として使っていたからクーナはそれの侵攻を受けて戦った結果なのであろうと思えた。
確かにあの毒を完全に浄化するには光の上級魔法【ピュリホワイト】か聖女の使う聖魔法だけだ。
しかしそれはこの世界での治療法に限る話だ。
「なるほど、魔法でダメならこれでも使うがよい。」
そう言って倉庫に手を入れて取り出したるは薄紫色の液体が入った小瓶。
向こうは黒い空間に手を入れて小瓶を出してきたことに驚いてからセプトが小瓶について聞いてくれたので答えてあげるる。
「これは〈メデューサの神涙〉と我々は呼ぶ。これを目に付ければあらゆる目の症状を治すことが出来る。失明も含めてな。」
我の解説にクーナは口を少し開いてそんな薬が存在するのかと動揺を見せる。相手にとって聞いたことがないのは当たり前だ。
これは魔界にしかない貴重な薬なのだから。
〈メデューサの神涙〉はその名の通りメデューサの魔力がこもった涙を指し神涙はその中でも最上位を意味する。
前世で遊んだゲームのセリフに反することを言わせてもらうとしたら魔族だって涙を落とす者がいるのだ。
我のような鎧男に涙を流して別れを嫌がった彼女のように。
「試すか試さないかは君が選びなさい。それともやはり我が配下の治療を選ぶか?」
「……何故そこまでして私の目を治そうとするのです?あなたが気にすることでもないでしょう?」
その質問はクーナの中で敵意から疑心に変わったものだと察した。
故にここは情に響かせる言葉で語るべきだと判断する。
「逆に聞こう。君は我をなんだと考える?」
「え?あなたは、魔族でしょう…?」
「そうだ。だが君達と同じところがある。魔族にも心と感情があるというところだ。」
そりゃあ無差別に蹂躙する者もいるが、我以外にだって慈悲を考慮する魔族はいたのだ。
特に植物系魔族はその代表格で侵略した街の一部によくヒト族の植物園を作って生かしたりしていたものだ。
そして我はダークアーマー族の中では奇異の存在として種族の中で一番慈悲深い奴と呼ばれてこともあった。
まあ転生した身だからという理由が一番だろうけれども。
「我は自分の手の中で救える者がいるのならば助ける。それが今の世に合わせるならば君達も含めてというわけだ。だから一回でいい、一滴でもいい。我を信じてこれを使ってみよ。」
最後にそう伝えスススッと小瓶を押してクーナの前に寄せてあげた。
こちらの真摯な物言いが少しでも届いてくれたのか先にイランダが口を開く。
「クーナ、こんなに言ってくれてるんだ。一回くらい試してみな。」
「魔族の言うことを信じろと?」
「いいや、あたしは大魔将軍個人を信じてみろって言いたいんだよ。ここまで気にかけてくれた彼に。」
イランダの言葉にクーナは小瓶に顔を向ける。おそらくスキルで小瓶から感じる魔力を感じ取っているのかもしれない。
感じた魔力にクーナはハッとした顔をしてから小瓶に手を伸ばした。
そして言い出しっぺのイランダに点滴をお願いしてみせる。受けたイランダはもちろんと椅子から立ち上がって小瓶を受け取り顔を上に向けたクーナの目にゆっくり小瓶を傾けて滴を落とした。
反対の目にも同様に点滴してから皆が様子を見守る中でクーナはうっと声を漏らすと両手で顔を覆う。それからすぐに両手の隙間からパアッと光が漏れでて消える。
光を見て我は治療が出来たと察した。
***
ーー…何故あの瞬間を信じてしまったのだろう。
里を襲い、戦った両親を死なせ、私から光を奪った奴らの言葉を。
姿を見せてから早々に話し合いの場に案内されセプト隊長と対話する大魔将軍には今日初めて会った。
数々の逸話がある大魔将軍に私は絶対に偉ぶってこちらを見下す輩だと決めつけていた。
それ故に監視の時からの不自然な行動が部隊に混乱を招いた時もこちらの存在に気づいておきながら遊びのつもりなのだと判断していた。
それでも見えない目で視た大魔将軍とその配下の魔力には長く見続けられないほどのものであった。
だからこの談合も弄ばれる形で難航するものだろうと予想していた。
絶対強者としてこちらの言い分より自分達の言い分を無理矢理にでも通してくるだろうと。
しかし話し合いが始まるとセプト隊長の要望を大魔将軍は拒否せず受け入れる形を取った。
更には私の半世紀前から失った光を取り戻してみせると言ってきたことに私の心が揺らいだ。
聖女様に会えずに起きたあの最悪の宣言によって私はあと少しだった治療の目処が断たれて生きてきた。
目が見えなくとも魔力を感じて生活できるよう努力し次に戦える為に修行してスキルを身につけてきた。
それが半世紀近くも続けば心の中にはもう目の治療は諦めるしかないという想いがあったかもしれない。
でも心の片隅には残っていたかもしれない。いつか聖女様に会ってこの目に今一度光をと。
だから大魔将軍とイランダの言葉に一回だけ、そう一回だけと賭けてしまったのだろう。
見えない目にひんやりとした感触が広がってすぐだった。
はっきりと目に魔力が巡る感覚が襲いかかるように感じ次にまるで詰まりが消え去った解放感を得た途端に私は眩しいと思った。
私はそう思ったことに驚いた。
半世紀近くも忘れていた感覚が急にやってきたことに私は恐る恐る顔に当てていた手を離し反射的に閉じていた瞼を開いてみた。
直後、私の視界がぼやけた。丁寧な作りのテーブルの表面が見えてからすぐにぼやけてしまった。
何故あの瞬間、信じてしまったのだろう。
信じないでいれば私はきっと後からこうなったはずだ。
よりによって皆の、魔族の前で大粒の涙を流してしまうなんて……。
「大丈夫かクーナよ?久しぶりの光はとても眩しいかもしれないが?」
掛けられた大魔将軍の言葉に私は顔を上げシルエットだけだった相手を見た。
話にだけ聞いていた漆黒の鎧姿には威厳を感じられたが圧力はなかった。
彼を見てから私は仲間達を見てみる。泣き顔で見てくるこちらに皆が心配した顔を向けてくれていた。
「もしかしてクーナ、もう見えるのかい?」
点滴してくれたイランダが尋ねてきたので私は小さく頷いてから返す。
「…ええ、あなたって整った顔をしていたのねイランダ。」
「っ!…そういうあんたも、翡翠色の綺麗な瞳だったんだね。」
私の返事に部隊の皆が驚く中でイランダが言ったことに確信へと変わればメビを一番に自分がわかるかという問い合わせにあったのだった。
***
部隊の皆から喜びの声をもらっているクーナを見て我は満足げに頷く。そこへゾドラが我の籠手を指先でツンツンと小突いてきた。
振り向くと不満そうな顔になってこちらを見ていた。
「失明くらい私でもちゃんと治せましたのに。貴重品を使うことはなかったと思います。」
「ふ、まあそう言うなゾドラ。信頼を得るには時にからめ手も必要だということだ。」
そう言って宥めてあげていればセプトから呼びかけられる。声に彼を見れば既に席から立ち頭を下げていた。
「我々を招き入れるだけでなく、治療までしていただけたこと。本当に感謝します。微力なれど四日間の依頼は謹んでやらせていただきます。」
セプトからの了承と信頼を得た言葉に我は心の中でガッツポーズした。
これで〔大地の守り人〕との固い縁を得られたことにだ。
なのでここは静かに右手を彼に向けて伸ばす。
「うむ、ならばよろしく頼むぞ。共にこの世界に抗う者として。」
言ったことと差し出された手にセプトは顔を上げると口端を少し上げる程度の微笑みで返事をし握手を交わしてくれた。
無事に談合が終わると全員で城から出てどのような判断になるか集まって待ち続けていたヒト達に報告した。
〔大地の守り人〕が加入することを聞いて大人側が大いに喜んでみせた。
さすが今の世界で戦ってきた組織なのか一人一人のサバイバル能力はしっかりしており炊事などが男女対等に出来ていた。
なので予定を少し早めて昼食後から夕方にかけて健康診断を始めることにした。
予め指示していた医者や看護婦を加えセプト達が各種族に分かれて診断していった。
怪我は目で見てわかるものの性病や持病は我に診断してもらうより同族の方が身を任せやすいだろう。もし治療が困難な者が出たらそこは我がなんとかするとしよう。こちらには〈メデューサの神涙〉以外にも治療アイテムはしっかり保管してある。
短い時間ではあったが人海戦術効果で全体の三分の一程度は診察できた。
結果は診察したヒト全員小さな怪我以外は問題なかった。特に子どもの方が躾と称して細かい傷跡がありそれを獣人女性メビが治癒魔法で治してあげていた。
「ほお、神官だったのか?」
「ふわっ!?だ、大魔将軍様!?」
つい声を掛けるとメビは驚いてみせてから話してくれた。
メビ自身は神官ではなく治癒魔法は師から学んだものでその師も〔大地の守り人〕に属していて治癒魔法を教えているのだとか。
今のご時世では彼女らにとってきっと貴重だろう治癒魔法をしっかりと教え広めている者がいることを知れて我はその者に会いたくなったがこれ以上を治療の邪魔だろうから話してくれたことに礼を言って我はその場を後にした。
この調子で明日も朝と昼の食後に残りも健康診断することにしよう。
もう一つ気になったのがある。診察中に見ていたがセプトとイランダの二人は人気があるようだ。
二人に対してのエルフとドワーフの反応が他の隊員とは明らかに違ってみえた。
セプトに関しては彼の狙撃の腕前と半世紀前の戦いを経験した者だから理解出来るがイランダというドワーフ女性のことは半世紀前の記憶にはない。
そこでサリサムにそれとなく尋ねてみた。
「イランダですか?彼女は三十年前に起きた〈ドワーフ大撤収〉の功労者です。」
サリサムが話してくれた〈ドワーフ大撤収〉は人間に虐げられ逃げてきたドワーフの難民を地下の大帝国に逃がしきる為に行われた大規模なドワーフ王の政策である。その際に大量のドワーフを失うことを恐れた人間側が約二万の軍勢を差し向けたのだ。
それに対して数千のドワーフ難民を国に逃がす為に立ち上がったのがイランダを含めたドワーフの戦士約五千。
彼女らは難民を国内に入れるまでの間の撤退戦を務めた。
数の大差に不利だと思われたがイランダの土地勘と奇抜な作戦によって敵側におよそ半数の被害を与え無事に難民全てを帝国に逃がしきることに成功した。
故にイランダはドワーフの間では英雄視されているのだとか。
「ほお、それはなかなかの実力者だな。」
「大魔将軍様にそう言っていただけるのは今なら名誉なことですね。」
サリサムの言葉が皮肉ではないことはすぐに理解した。
それはサリサムやセプトに次ぐステータスを持っていることからもである。となればいずれは彼女とも内々に話してみたいものだ。
イランダの話はここまでにして他の隊員達にも挨拶することにした。特定のヒトにだけ話すのではなくそのチーム全体と話すことは夏休みと冬休みに来てくれる学生バイト達に安心感を与えるのと同意義だと思っている。
おかげで隊員達も我への恐れは少しでも和らいだことだろう。
このまま残りの四日間を使って〔大地の守り人〕と仲良くなりたいものだ。
そう思って過ごしみてから六日目のことであった。
いよいよ次の日がお別れなのでこの際にとお昼に我自ら焼き肉パーティーを皆に振る舞っていた時であった。
街の我が塞いだ方の門がある外壁で突如爆発が起きた。
城の会議室にあたる部屋で無駄に長いテーブルに並んだ席の窓側にいた我が言うと反対側でちゃんと座ってくれているイランダ含む〔大地の守り人〕の表情が引き締まる。
あれから旗を作り上げそれを城にあった棒に結び付けてイランダに掲げさせ我も空中で盾に張ったものを見せつけてやった。
するとスキルで見ていた点が少しして動き出して〔大地の守り人〕一行はわざわざイランダと同じく正面から姿を見せてくれた。
サリサムの提案通り旗を見せつけたこととイランダが旗を振ってくれたことがきっと決め手になってくれたのだろう。
先頭にいたセプトと呼ばれる隊長のフードを外した顔を見た時に我はようやく思い出した。
確かここから南方の森林を侵略した時に戦ったエルフの戦士で狙撃の名手でもある。木々のほんの小さな隙間を通して放たれる魔法矢に幾百の歩兵が貫かれたことか。
他に犬型の獣人女性メビ、女性エルフのクーナ、爬虫類型の獣人男性ラッダ等の自己紹介を受けたので我も挨拶した。
向こうも我のことをちゃんと覚えてくれていたのか挨拶から会議室までの移動はスムーズに済みお互いの要件を聞く為今に至る。
「ではまずそちらからの要望をお聞かせください。」
「はい、我々の目的はサリサム戦士長とアズベルト第三王子の譲渡です。承諾いただけるのであれば自分個人の協力を提供します。」
セプトの提案に後半に出てきたことを他の隊員が聞いていないとざわめくがセプトの顔を決して冗談のつもりではなく真剣そのものであった。
おそらくこの場は交換条件を掲示するものだと思っているようだが、我は別に求めてない。
「なるほど、では我からは今いる捕虜の内戦士ではない者達を故郷へ安全に帰せる為の協力と〔大地の守り人〕の本拠地への案内を求める。」
なのでここは前半を向こうが乗ってくれるものを、後半は個人的な望みを掲示してみた。
今度はセプトを含めた全員が我に視線を向けてくる。まあ捕虜を渡す換わりに自分達の本拠地を教えろなんて普通なら図々しい話だろうからな。
「それはつまり我々の本拠地を支配するつもりでしょうか?」
セプトの隣に立つクーナと呼ばれていたエルフ女性が少し怒気のこもった言葉で聞いてきたので我はすぐ否定する。
我はこの際〔大地の守り人〕という組織と協定を結びたいと思ったからだ。
彼らの活動は我がこの先成すであろう諸行に類似するものが多いのでいっそのこと向こうの情報を元に施設破壊部門に関してはこちらに任せて欲しいというのが本音である。
「先に言っておくが、我はもう支配というものに興味も関心もない。求めるのは真実と共存、そして粛清である。」
我の方針を伝えて相手方の反応を見てみたが、セプトとクーナとイランダ以外は表情がひきつっていた。
特にクーナに関しては眉間に皺を作って怒りを伝えてきていた。
こっそり調べたが彼女は失明しているらしく先ほどからの対応からして先の侵攻の被災者かもしれない。だとしたら責任の一端だろうとも後でお詫びをする必要があるだろう。
だが今はお互いの協定を結ぶのが大事だ。
「勘違いしている者がいるようだが粛清の対象は人間だけだ。奴らの今の言動は非常に目に余るのでな。」
「では具体的には人間をどれくらい粛清するかお聞かせ願えますか?」
隊長のセプトを差し置いてクーナがまた問いかけてきた。
こういうのって態度が悪いとして普通良くないものだが。
現に周りは不敬なのではと不安そうな顔を浮かべている。
仕方ない、ここは大胆に言ってみるとしよう。
「そうだな、我の見解だが今この世界の割合はエルフ、ドワーフ、獣人がそれぞれ一で人間が七だと仮定している。」
ここでフェアリー族を出さなかったのは今のところトワダ森林で見た一体だけなので滅多にお目にかかれないだろうと考えて省いた。
さらに我がスキルによって眠っていた間の半世紀で人間だけは増え続けてしまったと考えると先ほどの割合になると判断した。
「そして人間のしてきたことはあまりにもあの聖女の望むものとはかけ離れてしまった。だからこの際その割合をお前達が三、人間は一にした方がよいと思っている。」
我の言ったことにまた向こうが大きく驚く。
まあいっそのことサリサムに言ったみたいに一割どころか一厘にしてもいいとまで考えているが。
「ふふふ、何をそんなに驚くことがある?お前達の目の前にいるのは幾多の都市を侵攻した魔族だぞ。侵略するのではなく減らすだけのことなら造作もない。」
少し威厳を出す意味で続けて言ってみれば息を飲む者が見えた。
ここまで言ってみたがセプトの方は冷静に話を聞き考えていたようで口を開く。
「大魔将軍様の考えはわかりました。こちらとしてもあなたと敵対するどころか友好的になれるのであればありがたいと思います。ですが我々も組織の一員。まずは上に連絡することをお許しください。」
セプトの意見にそれは当然だろうと我は了承する。
互いに条件を呑んだということでここから頼みごとをするとしよう。
「うむ、よかろう。ではここからは我からの依頼を申す。」
「い、依頼…?」
「その方らにもここにいる者達の世話を頼みたい。期間は四日。報酬はそうだな、君達と帰還希望者全員を転移させることとそちらの女性の目を治療してあげよう。」
依頼と報酬を話してあげればセプトも含めて彼らは驚く。クーナに関しては瞼を開けて凝視するほどだった。
というか最初の協定の時点で転移魔法を使う予定であったが向こうはそこまで考えてなかったようだ。
「わ、私達を全員転移魔法で飛ばすことが出来るんですか!?」
話を聞いて隊員の獣人女性のメビが前のめりになって尋ねてきたので余裕を見せてそうだと返してあげた。
とりあえず彼らに友好の証の意味も込めて【次元転移】の簡単な紹介をしてあげた。
「我ほどになれば十人くらいは何の苦労もなく飛ばせる。君達にとって被害なく帰れるのは一番嬉しいことであろう?」
「は、はい。ですがそれだけでなく彼女の治療もしていただけるのですか?」
さすがにそれは過分な報酬だとでも言いたげなセプトの意見に当然だと返してやる。
言うなればこちらは店の繁忙期に他の支店から応援として店員を借りるようなものだ。
ならば昼食代換わりに大鍋でカレーやシチュー、豚汁とご飯等の食事や車を停められる駐車スペースを提供することの上位互換だと考えれば我には店長としての義務だとも思えた。
「信じ難いと言うならば君達の了承と同時にすぐ彼女を治療しても構わない。こちらには龍魔法の使い手がいるからな。」
ずっと隣の席で待機してくれたゾドラを指して紹介してあげると彼女は軽く会釈してくれた。
彼女の龍魔法の中には攻撃、防御、さらに回復の部類が存在するので命令してあげればやってくれると信じている。
多分内心は下等生物とか思っているだろうけれどもこの場は大人しくしてなさいと言い聞かせているのでそのままを維持してもらいたい。
ゾドラに視線が向けられた時にメビは尻尾をピンと立たせてすぐ顔を逸らしてみせた。
多分報告にあったゾドラがうっかり殺気を飛ばしてしまった矛先が彼女なのかもしれない。
「お断りします。この眼はもう治すことは出来ないのです。今更そんなこと言われても信用できません。」
クーナの拒否に隣でメキメキっという音が聞こえた。
顔は頑張って維持してくれているがゾドラの額と首に青筋が生まれているのが確認できた。
ドラゴン族はプライドが高いことで有名だから龍魔法を信用ないものだと言われて腹が立ったのだろう。
「君はその目を治したくないのか?」
「出来るなら治したいです。ですが中級治療魔法でもレッドポイズンコブラの毒を全て浄化出来なかったのです。それでも生きてるだけ良かったと言えるかもしれませんが。」
なるほどレッドポイズンコブラか。
あれはこの世界で言うところの上級モンスターに値する大蛇だ。
歯から出す液体と口から出すガス型の二つの毒を使って獲物を弱らせ捕食するあれは確か四天王の一体が主力部隊として使っていたからクーナはそれの侵攻を受けて戦った結果なのであろうと思えた。
確かにあの毒を完全に浄化するには光の上級魔法【ピュリホワイト】か聖女の使う聖魔法だけだ。
しかしそれはこの世界での治療法に限る話だ。
「なるほど、魔法でダメならこれでも使うがよい。」
そう言って倉庫に手を入れて取り出したるは薄紫色の液体が入った小瓶。
向こうは黒い空間に手を入れて小瓶を出してきたことに驚いてからセプトが小瓶について聞いてくれたので答えてあげるる。
「これは〈メデューサの神涙〉と我々は呼ぶ。これを目に付ければあらゆる目の症状を治すことが出来る。失明も含めてな。」
我の解説にクーナは口を少し開いてそんな薬が存在するのかと動揺を見せる。相手にとって聞いたことがないのは当たり前だ。
これは魔界にしかない貴重な薬なのだから。
〈メデューサの神涙〉はその名の通りメデューサの魔力がこもった涙を指し神涙はその中でも最上位を意味する。
前世で遊んだゲームのセリフに反することを言わせてもらうとしたら魔族だって涙を落とす者がいるのだ。
我のような鎧男に涙を流して別れを嫌がった彼女のように。
「試すか試さないかは君が選びなさい。それともやはり我が配下の治療を選ぶか?」
「……何故そこまでして私の目を治そうとするのです?あなたが気にすることでもないでしょう?」
その質問はクーナの中で敵意から疑心に変わったものだと察した。
故にここは情に響かせる言葉で語るべきだと判断する。
「逆に聞こう。君は我をなんだと考える?」
「え?あなたは、魔族でしょう…?」
「そうだ。だが君達と同じところがある。魔族にも心と感情があるというところだ。」
そりゃあ無差別に蹂躙する者もいるが、我以外にだって慈悲を考慮する魔族はいたのだ。
特に植物系魔族はその代表格で侵略した街の一部によくヒト族の植物園を作って生かしたりしていたものだ。
そして我はダークアーマー族の中では奇異の存在として種族の中で一番慈悲深い奴と呼ばれてこともあった。
まあ転生した身だからという理由が一番だろうけれども。
「我は自分の手の中で救える者がいるのならば助ける。それが今の世に合わせるならば君達も含めてというわけだ。だから一回でいい、一滴でもいい。我を信じてこれを使ってみよ。」
最後にそう伝えスススッと小瓶を押してクーナの前に寄せてあげた。
こちらの真摯な物言いが少しでも届いてくれたのか先にイランダが口を開く。
「クーナ、こんなに言ってくれてるんだ。一回くらい試してみな。」
「魔族の言うことを信じろと?」
「いいや、あたしは大魔将軍個人を信じてみろって言いたいんだよ。ここまで気にかけてくれた彼に。」
イランダの言葉にクーナは小瓶に顔を向ける。おそらくスキルで小瓶から感じる魔力を感じ取っているのかもしれない。
感じた魔力にクーナはハッとした顔をしてから小瓶に手を伸ばした。
そして言い出しっぺのイランダに点滴をお願いしてみせる。受けたイランダはもちろんと椅子から立ち上がって小瓶を受け取り顔を上に向けたクーナの目にゆっくり小瓶を傾けて滴を落とした。
反対の目にも同様に点滴してから皆が様子を見守る中でクーナはうっと声を漏らすと両手で顔を覆う。それからすぐに両手の隙間からパアッと光が漏れでて消える。
光を見て我は治療が出来たと察した。
***
ーー…何故あの瞬間を信じてしまったのだろう。
里を襲い、戦った両親を死なせ、私から光を奪った奴らの言葉を。
姿を見せてから早々に話し合いの場に案内されセプト隊長と対話する大魔将軍には今日初めて会った。
数々の逸話がある大魔将軍に私は絶対に偉ぶってこちらを見下す輩だと決めつけていた。
それ故に監視の時からの不自然な行動が部隊に混乱を招いた時もこちらの存在に気づいておきながら遊びのつもりなのだと判断していた。
それでも見えない目で視た大魔将軍とその配下の魔力には長く見続けられないほどのものであった。
だからこの談合も弄ばれる形で難航するものだろうと予想していた。
絶対強者としてこちらの言い分より自分達の言い分を無理矢理にでも通してくるだろうと。
しかし話し合いが始まるとセプト隊長の要望を大魔将軍は拒否せず受け入れる形を取った。
更には私の半世紀前から失った光を取り戻してみせると言ってきたことに私の心が揺らいだ。
聖女様に会えずに起きたあの最悪の宣言によって私はあと少しだった治療の目処が断たれて生きてきた。
目が見えなくとも魔力を感じて生活できるよう努力し次に戦える為に修行してスキルを身につけてきた。
それが半世紀近くも続けば心の中にはもう目の治療は諦めるしかないという想いがあったかもしれない。
でも心の片隅には残っていたかもしれない。いつか聖女様に会ってこの目に今一度光をと。
だから大魔将軍とイランダの言葉に一回だけ、そう一回だけと賭けてしまったのだろう。
見えない目にひんやりとした感触が広がってすぐだった。
はっきりと目に魔力が巡る感覚が襲いかかるように感じ次にまるで詰まりが消え去った解放感を得た途端に私は眩しいと思った。
私はそう思ったことに驚いた。
半世紀近くも忘れていた感覚が急にやってきたことに私は恐る恐る顔に当てていた手を離し反射的に閉じていた瞼を開いてみた。
直後、私の視界がぼやけた。丁寧な作りのテーブルの表面が見えてからすぐにぼやけてしまった。
何故あの瞬間、信じてしまったのだろう。
信じないでいれば私はきっと後からこうなったはずだ。
よりによって皆の、魔族の前で大粒の涙を流してしまうなんて……。
「大丈夫かクーナよ?久しぶりの光はとても眩しいかもしれないが?」
掛けられた大魔将軍の言葉に私は顔を上げシルエットだけだった相手を見た。
話にだけ聞いていた漆黒の鎧姿には威厳を感じられたが圧力はなかった。
彼を見てから私は仲間達を見てみる。泣き顔で見てくるこちらに皆が心配した顔を向けてくれていた。
「もしかしてクーナ、もう見えるのかい?」
点滴してくれたイランダが尋ねてきたので私は小さく頷いてから返す。
「…ええ、あなたって整った顔をしていたのねイランダ。」
「っ!…そういうあんたも、翡翠色の綺麗な瞳だったんだね。」
私の返事に部隊の皆が驚く中でイランダが言ったことに確信へと変わればメビを一番に自分がわかるかという問い合わせにあったのだった。
***
部隊の皆から喜びの声をもらっているクーナを見て我は満足げに頷く。そこへゾドラが我の籠手を指先でツンツンと小突いてきた。
振り向くと不満そうな顔になってこちらを見ていた。
「失明くらい私でもちゃんと治せましたのに。貴重品を使うことはなかったと思います。」
「ふ、まあそう言うなゾドラ。信頼を得るには時にからめ手も必要だということだ。」
そう言って宥めてあげていればセプトから呼びかけられる。声に彼を見れば既に席から立ち頭を下げていた。
「我々を招き入れるだけでなく、治療までしていただけたこと。本当に感謝します。微力なれど四日間の依頼は謹んでやらせていただきます。」
セプトからの了承と信頼を得た言葉に我は心の中でガッツポーズした。
これで〔大地の守り人〕との固い縁を得られたことにだ。
なのでここは静かに右手を彼に向けて伸ばす。
「うむ、ならばよろしく頼むぞ。共にこの世界に抗う者として。」
言ったことと差し出された手にセプトは顔を上げると口端を少し上げる程度の微笑みで返事をし握手を交わしてくれた。
無事に談合が終わると全員で城から出てどのような判断になるか集まって待ち続けていたヒト達に報告した。
〔大地の守り人〕が加入することを聞いて大人側が大いに喜んでみせた。
さすが今の世界で戦ってきた組織なのか一人一人のサバイバル能力はしっかりしており炊事などが男女対等に出来ていた。
なので予定を少し早めて昼食後から夕方にかけて健康診断を始めることにした。
予め指示していた医者や看護婦を加えセプト達が各種族に分かれて診断していった。
怪我は目で見てわかるものの性病や持病は我に診断してもらうより同族の方が身を任せやすいだろう。もし治療が困難な者が出たらそこは我がなんとかするとしよう。こちらには〈メデューサの神涙〉以外にも治療アイテムはしっかり保管してある。
短い時間ではあったが人海戦術効果で全体の三分の一程度は診察できた。
結果は診察したヒト全員小さな怪我以外は問題なかった。特に子どもの方が躾と称して細かい傷跡がありそれを獣人女性メビが治癒魔法で治してあげていた。
「ほお、神官だったのか?」
「ふわっ!?だ、大魔将軍様!?」
つい声を掛けるとメビは驚いてみせてから話してくれた。
メビ自身は神官ではなく治癒魔法は師から学んだものでその師も〔大地の守り人〕に属していて治癒魔法を教えているのだとか。
今のご時世では彼女らにとってきっと貴重だろう治癒魔法をしっかりと教え広めている者がいることを知れて我はその者に会いたくなったがこれ以上を治療の邪魔だろうから話してくれたことに礼を言って我はその場を後にした。
この調子で明日も朝と昼の食後に残りも健康診断することにしよう。
もう一つ気になったのがある。診察中に見ていたがセプトとイランダの二人は人気があるようだ。
二人に対してのエルフとドワーフの反応が他の隊員とは明らかに違ってみえた。
セプトに関しては彼の狙撃の腕前と半世紀前の戦いを経験した者だから理解出来るがイランダというドワーフ女性のことは半世紀前の記憶にはない。
そこでサリサムにそれとなく尋ねてみた。
「イランダですか?彼女は三十年前に起きた〈ドワーフ大撤収〉の功労者です。」
サリサムが話してくれた〈ドワーフ大撤収〉は人間に虐げられ逃げてきたドワーフの難民を地下の大帝国に逃がしきる為に行われた大規模なドワーフ王の政策である。その際に大量のドワーフを失うことを恐れた人間側が約二万の軍勢を差し向けたのだ。
それに対して数千のドワーフ難民を国に逃がす為に立ち上がったのがイランダを含めたドワーフの戦士約五千。
彼女らは難民を国内に入れるまでの間の撤退戦を務めた。
数の大差に不利だと思われたがイランダの土地勘と奇抜な作戦によって敵側におよそ半数の被害を与え無事に難民全てを帝国に逃がしきることに成功した。
故にイランダはドワーフの間では英雄視されているのだとか。
「ほお、それはなかなかの実力者だな。」
「大魔将軍様にそう言っていただけるのは今なら名誉なことですね。」
サリサムの言葉が皮肉ではないことはすぐに理解した。
それはサリサムやセプトに次ぐステータスを持っていることからもである。となればいずれは彼女とも内々に話してみたいものだ。
イランダの話はここまでにして他の隊員達にも挨拶することにした。特定のヒトにだけ話すのではなくそのチーム全体と話すことは夏休みと冬休みに来てくれる学生バイト達に安心感を与えるのと同意義だと思っている。
おかげで隊員達も我への恐れは少しでも和らいだことだろう。
このまま残りの四日間を使って〔大地の守り人〕と仲良くなりたいものだ。
そう思って過ごしみてから六日目のことであった。
いよいよ次の日がお別れなのでこの際にとお昼に我自ら焼き肉パーティーを皆に振る舞っていた時であった。
街の我が塞いだ方の門がある外壁で突如爆発が起きた。
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