サブスクを止めるー闘病短歌

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二十三、~5/4

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 日付は。数日戻って4月20日、息子がまた車をカーシェアリングで予約して、ムーミンバレーに連れて行ってくれた。ムーミンは息子が子どもの頃に、ビデオを探して、家族で楽しんだ。少し前に彼女とデートで訪れて、私や妻も喜ぶだろうと思ったらしい。妻がミィ推しで、家にはミィグッズが結構ある。ムーミンバレーも楽しい場所だったが、息子に連れていってもらえることが、何より嬉しい。
 妻が誕生日で還暦を迎えた。私の還暦は、祝う間もなく暗転して、古希への道は見えないが、彼女の還暦はそうあってはならない。自分の健康よりも切実に彼女の健康を祈る。第一、こちらの闘病中に彼女に倒れられたら、手の打ちようがない。
 五月の緑を、本当に今まで何を見ていたんだろう、と思うほどに、新鮮に感じながら眺める。生命を少しづつ分けてもらって、余命に足したい気分。


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 スナフキン 愛して属さず 貫いて
 今も一人の 旅路にあるか

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 肩車 乗っていたよね 
 助手席で 息子に運転
 委ねる 嬉しさ

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 還暦を迎えて 尚も若き妻
 横に並べる 時間は僅か

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 還暦に マッキントッシュの 赤い傘
 雨も陽ざしも 君を損なうな

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 深呼吸 緑と水と 土の香に
 頭を垂れて 生命を乞う

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 自転車の ペダルの重さ 感じつつ
 進め老いぼれ ラ・マンチャの道
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