わたしの竜胆

こと葉揺

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故意に堕ちる

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 颯は自分の家の系列のホテルの一部屋を借り、私を連れ込んだ。

 熱に濡れた瞳が私を射抜いた。

「すみれ」

 続きを話して、と言わんばかりに名前を呼ばれた。

「すみれ…」

「名前を呼ばれるのが好き。普段の呼び方もこうしている時の甘えた言い方も」

 私は颯の顔に触れた。

「お願いするように見つめてくる瞳が好き。その瞳の奥に欲望を秘めているのが透けて見えるのが好き。中学の時からずっとその瞳で見つめてきてたよね」

 その手を首から心臓に滑らせた。

「この鼓動が好き。少し速くなるの。いつもそうだった。昔からずっと」

 颯は自分の手を私の心臓の上に置いた。

「…すみれも速い」

「頭ではダメなことはわかってる。だから最初は戸惑ってた。関係が進むのも早くて心が追いついてなかった。けど、私はずっと……」

 次に何をしたいかなんて言わなくてもわかった。ゆっくりと2人の唇は近づき、これまでに無いくらいゆっくりとキスをした。こうすることが自然かのようにキスをした。
 最初は確かめ合うように触れるだけだったのが、少しずつ角度をつけて自然と開いた口から舌を絡ませた。

 ちゅっちゅと唾液が混ざる音が響く。お互いが味わうように口内に舌を混ぜ合わせていた。

 颯の胸に置かれた手が探るように動き始めた。少し逃げ腰になってしまった私を引き寄せるようにしてそのまま押し倒された。

 腰には颯の欲望で大きくなったものを押し付けられていた。

「嘘みたいだ…僕も…ずっとずっと、この気持ちが何なのか、よく分かってなかった」

 颯は私の服をゆっくりと脱がし始めた。とても労るように大切に扱われた。

「イライラして、すみれの身体と繋がると満たされた。でも心だけがからっぽだった。でも、少しずつ少しずつあたたかいものが募っていった」


 胸元キスをされちゅと吸われた。キスマークを付けられた。

「優しくされるのが好きだった。僕だけを求めてくれるのが嬉しかった。どんなに酷いことをしてもそばに居てくれて……今はこんなに好きって言ってくれて…嬉しい。もう死んでもいい」

 颯は涙を流していた。それがすごく私の心を掴んで離さなかった。

「私も…死んでもいい」

「すみれ、好きだ」

 お互い身に纏うものは無くなった。下半身の小さな膨らみに彼の先を擦り付けられていた。

「…ねぇ、今日は入れてもいい?」

 彼の先が下へずれされ、入り口辺りをぐりぐりされた。

「あっ…そんな……」

 私が渋っていると胸の先をちゅっと吸われた。そうされると腰が勝手に動き、彼の先端をのみこんでいっていた。

「あっあっ…だ……めっ」

「ダメなの……?もうゴムの分だけ離れてるのも嫌だ……責任は必ず取る」

 私の入り口を少し出たり入ったりしながら上にある小さなふくらみを指で弾かれるともうダメだった。


「もぅ…お願いっ……私を、」

 いつもなら容赦なく貫くか、揶揄うように焦らすかなのに今日に限ってはゆっくりと侵入してきた。
 ゆっくりと撫でるように入り口の上のあたりを擦られた。

「きもち…あっ…」

「すみれっ…好きっ…好き」

 その言葉を聞くと指先がピリピリと痺れた。そこでぎゅっと中がしまったのか少し彼がピクンとした。


「も、限界かも…すみれの中……気持ち良すぎる」

 スルスルとゆっくり奥まで突き進んできた。そこからゆっくりと揺さぶられた。もうそれで何度か絶頂を迎えていた。


「好き……すき…すみれっ…」

 好きと言われると堪らなくなる。

「私も…はやてが好きっ…ーーー」

 颯は熱の帯びた目をトロンとさせて動きを激しくしてきた。

「ダメだっ…はぁっはぁ……止まらない……すみれ、イク……」

 彼のモノがピクリと痙攣した後中に何かが放たれる感触がした。出している間もピクピク動いており、犯されている感じがして心地よかった。
 少し小さくなった彼のモノが動き始めてまた大きくなった。

「もっと、たくさんしよ?ずっと手加減してたんだ…本当はずっとずっとこうして好きと言いたかった」






 あれから何時間、何回抱かれたのだろう。体は汗と精液まみれだった。


 子宮の上あたりを指でぐっと押されながら奥に突かれるとすぐにイッてしまっていた。


「も、…こわれる……はやてに挿れてもらわないとダメな体になる…」

「ダメになっていいっ…ーーまたイッたの?しょうがないな」

 彼は衰えることなくずっと私の中で私を犯し続けていた。
 私の欲望も枯れることなくこうして繋がっている事に幸せを感じていた。

「こんなに中出ししたから赤ちゃん出来ちゃうかもね…」

 本来はこれは良くないことなのだが、とても魅惑的な言葉だった。
 だって子どもは愛しい人との愛の結晶だ。颯との子どもが欲しい。
 叶わない夢と思いながら、願ってしまうのだ。






✴︎✴︎✴︎


 すっかり夜中になっていた。
 外出届を出していたが宿泊届を出していなかったので夕方あたりに颯が連絡してくれていたらしい。いつのまに…。

 2人ともお風呂に入り、椅子に座って軽食を取っていた。
 食事を終えて、颯はコーヒーを入れてくれた。至れり尽くせりだ。

「少し、嫌な話をしようか」

 凪さんが亡くなった時の事、主に颯の母親のことを話し始めた。
 
 凪さんが亡くなった日、母親以外の家族は病院に足を運び看取りをした。母親はずっと信じていた宗教に祈りを捧げていた。母親はそれで凪さんの癌が治ると思っていたのだそうだ。

 お通夜も葬儀も颯の父親と颯の2人で行ったそうだ。家族葬のため颯の存在を知っている者しか居なかった。
 しかし、そこには母親の姿はなかった。葬儀を終えて実家に一度寄ると母親は何事もなかったかのように「おかえりなさい、凪さん」と言ったのだそうだ。

 父親は頭を抱えてお酒を多飲するようになり、颯の事を凪さん扱いするようになった。

 どうしたって自分は颯としての居場所はないのだと悟った。どう頑張っても姉の凪として生きていかなければならないのだと……。


 颯はずっとずっと誰かに見て欲しかった。それでも凪さんがいた。でも…。


「姉さんにさ、一度話しかけられたことあるでしょ」

「慰め会のお誘いの時の話だね」

「あれ、姉さんに菫を横取りされそうになってたんだ。昔から自分は全て持っているのに、それでも僕の物を欲しがった」

 コーヒーを一口含み颯は少し落ち着きを戻した。

「他のものは譲れた。けど菫はどうしたってできなかった。菫は物じゃないから無理だと言っても聞かなかった。だから親衛隊の子にお願いして慰め会を金曜日にしてもらったんだ。その日は姉さんの通院日だった」

 颯はカバンからハンカチを取り出した。それは私が慰め会の証拠にと渡したものだった。

「これ、嬉しかったなぁ。でもハンカチって別れを意味してるっていう人もいるから、深読みしてしまったけど、でも菫からもらったものだから嬉しかった」

「話が逸れたね。とにかく、これからは母に会う機会が増えると思うけど、不必要に接することはないようにした方がいい。基本的には穏やかだけど、壊れている」

 今は凪さんとの認識をしているので穏やかにしているがもっと子供の時は発狂して暴力や暴言を振るわれたこともあるらしい。

「ごめんね。本当はお兄さんの婚約者をやめるのが良いとはわかっているんだ。でも、どうしても菫から離れがたいんだ」

「私も…」

 恋に落ちるとこうも人は我侭になるのだ。他人がどうなろうがどうでも良かった。


 
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