15 / 44
14.
しおりを挟む「アイドルって素晴らしい…」
私はモモトセに会えない間インターネットを駆使してモモトセのアイドル時代の映像やらMVやらを調べては感激していた。
明日アテニャンさんが帰るといっていたので、明日中にはモモトセも帰ってくると思うが、この3日間のうちに私はできる事をする事にした。
1つは仕事のこと。就職活動は休んでいるが、どの職種に進むかは決めてしまった方がいいと考えていた。そのきっかけはアテニャンさんと話をして刺激をもらったからだ。アテニャンさんは本当にファッションのことが好きで何着か服もプレゼントしてくれた。メイクなども私ができる範囲のことで最大限教えてくれた。その時のアテニャンさんは生き生きとしていた。私もそのように生きたいと思った。
自分が興味があるのは考古学だ。でもそこに進むには大学に入って発掘調査をしなければならない。とりあえずは大学に行かなければならない。特待生であれば学費は免除であり、発掘作業も参加できる。なので、そこに向けて勉強する事にした。
2つめはモモトセのことをもっと知りたいと思った。私は本当に勉強不足だったなと感じた。モモトセのあの執着っぷりや自信のなさはどこからくるのだろうかと思っていた。過去のことを簡単に話してくれてたが、“アイドルのモモトセ“と“ただのモモトセ“は違うのだと痛感している。…モモトセ本人が言ってたように“お人形“なのだ。
しかし、そこに違和感をずっと感じていた。
モモトセは自信はなさそうだが歌が上手い。別に人が当てているのは低音でセクシーな感じだが、モモトセ本人の歌声はハリがあり透き通る声だ。高めかやや中間ぐらいの声で聞きやすい声である。
それにダンスだって上手い。そもそも神経で繋がって他人が体を動かしていたとしても、それについていける運動能力がないと難しいことなのでは無いか。神経伝達の書物も読んでみて考えてみたが、結局体を壊してしまったのだ。それ以上は考えるのはやめた。
問題は別にある気がする。モモトセはモモトセ自身でアイドルを十分にやれる素質、才能があるのになぜそれを他人に任せてまで表舞台に立たないといけなかったのか。
モモトセのアイドル映像を見ての休憩は一旦置いておき、“クゼ家“について調べる事にした。
「ふむふむ、クゼ家は1000年以上続く芸能一家であり、その活躍の幅は多岐に渡ると」
歌手、俳優、オペラ、画家、楽器演奏者など多くの芸術家を輩出している名門の家である。大きな家であったが、500年前のアンドロイドとの大戦争で多くの人が命を落とした時にクゼ家の者も命を落としてしまっていた。
そのあたりの概要はひとまずこの辺りでいいとしてモモトセに関することが載っていないか探してみた。
そういえば、モモトセのご両親はお見合いのことどう思っているのだろうか。自分は孤児なので疑問にすら思わなかったが、モモトセは未成年なので親の同意がないとお見合いも結婚も出来ない。 と、いうことは既に亡くなっているか居るけど関わりがないかになる。
検索してみると父の名前だけ出てきた。
「ハッカイ・クゼさん…」
彼は有名な作曲家だそうだ。モモトセのグループにも曲を提供している。あのハイセンスオシャレ曲はこの方から生まれていたのか…感動。
お父さんとモトトセは顔が全く似ていなかった。色味は全体的に色素は薄いが、目の形もモモトセは溢れるくらい大きいが、お父さんは切長だった。ただ男性らしいスタイルはどことなく似ている気がした。
この顔見覚えがある。そんな気がしたが、他人の空似だろうと深く考えなかった。
モモトセのお父さんはどうやら8人兄弟だそうだ。その兄妹たちも華々しく歌手や画家などの有名人勢揃いであった。6人目まで存命であったが7人目だけ亡くなっていた。その人がふと気になり、より詳しく調べてみる事にした。
「ナナミ・クゼさん…」
どうやらこの方はアイドルだったそうだ。ソロで活動していたらしく伝説のアイドルとして語り継がれていた。
「えっ……モモトセにそっくり」
検索を進めるとナナミさんの過去の画像などが出てきたが、外見がモモトセそっくりであったのだ。
「なにこれ…。こんなに似ているのに話題にすらなってないのも違和感がある」
ここまで似ていたらモモトセの父はハッカイさんではなくナナミさんなのでは?!くらい話題になってもいいだろう。実際ナナミさんは伝説のアイドルなのだ。
それに亡くなっているという事実だけ記載はあるが、何故亡くなったなどは一切触れられてなかった。意図的に揉み消されている。ナナミさんの歌や映像なども一切ない。あるのは簡単なプロフィールと写真のみ。
何かある…。しかしこの手の調べ物は1人では難しい。だが、相手も選ばないと下手すると私は命を落としかねない。慎重に動く事にしよう…。
そんな事を考えているともう日付が変わる時間になっていたので明日に備えて寝る事にした。
明日はモモトセが帰ってくる。夜はアースィムとご飯だ。何か作って待っとこう。そして明後日以降に私のこの気持ちをモモトセに話してみよう。そう思って眠りに入った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
肉食御曹司の独占愛で極甘懐妊しそうです
沖田弥子
恋愛
過去のトラウマから恋愛と結婚を避けて生きている、二十六歳のさやか。そんなある日、飲み会の帰り際、イケメン上司で会社の御曹司でもある久我凌河に二人きりの二次会に誘われる。ホテルの最上階にある豪華なバーで呑むことになったさやか。お酒の勢いもあって、さやかが強く抱いている『とある願望』を彼に話したところ、なんと彼と一夜を過ごすことになり、しかも恋人になってしまった!? 彼は自分を女除けとして使っているだけだ、と考えるさやかだったが、少しずつ彼に恋心を覚えるようになっていき……。肉食でイケメンな彼にとろとろに蕩かされる、極甘濃密ラブ・ロマンス!
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!
独占欲全開の肉食ドクターに溺愛されて極甘懐妊しました
せいとも
恋愛
旧題:ドクターと救急救命士は天敵⁈~最悪の出会いは最高の出逢い~
救急救命士として働く雫石月は、勤務明けに乗っていたバスで事故に遭う。
どうやら、バスの運転手が体調不良になったようだ。
乗客にAEDを探してきてもらうように頼み、救助活動をしているとボサボサ頭のマスク姿の男がAEDを持ってバスに乗り込んできた。
受け取ろうとすると邪魔だと言われる。
そして、月のことを『チビ団子』と呼んだのだ。
医療従事者と思われるボサボサマスク男は運転手の処置をして、月が文句を言う間もなく、救急車に同乗して去ってしまった。
最悪の出会いをし、二度と会いたくない相手の正体は⁇
作品はフィクションです。
本来の仕事内容とは異なる描写があると思います。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる