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しおりを挟む「懐柔に成功しました」
後日、コスモさんにアースィムと協力関係になったことを報告した。コスモさんは良くやったと言ってくれた。その他に聞いた話の報告をしていた。
「簡単だったな。やっぱりツヅリのチャームがいい方向に使われてるのかぁ?こんなにペラペラしゃべらないだろ普通」
コスモさんはうちのリビングでお茶を飲みながらアンドロイドについての資料をまとめていた。
「アースィム君はツヅリ大好き変態ストーカーやから簡単やったわ。ホンマに腹立つ……」
モモトセは不貞腐れた顔をしながら家事をする私の背中にべったりくっついて離れなかった。
「ツヅリは大丈夫か?色々聞いてキツくないか?」
コスモさんは労るように声をかけてきた。大丈夫と言われると微妙だが、昨日の夜はモモトセが何も言わず何もせずただずっとそばにいてくれた。それで少し落ち着いているのかもしれない。
「親は親、ツヅリはツヅリやから。そんなん関係ないし」
「まぁそれでも事が進んで巻き込まれる可能性がある以上、話をさせてもらうぞ」
アンドロイドの件に関しては前回のアンドロイド戦争の時ほどの数は生産されていなかった。昔のアンドロイドは生活に馴染んでいて一般家庭に浸透していたからそもそも数は違うが。
なので、アンドロイドの命令信号をこちらで操れる何かを作って動きを止めた方が良いのではということになった。資源に限りがあるのだ。これを全て破棄してしまうとまた不便な生活になる。
次にはアースィムから聞いた話をコスモさんにした。驚いた顔をしていたがハッカイさんの大まかな考えがわかったのとアースィムの事を概ね理解できたので警戒心は以前より減ったようだ。
「じゃあ、私ロストテクノロジーについて研究してるのでアンドロイドの命令信号の機械のこと調べてみます」
「俺も協力するわ。2人で相談したら多分結構いい機械できると思うし」
「そうか、それは頼もしいな。モモトセのその機械弄りマジで仕事にできるレベルだもんなぁ。その容姿は宝の持ち腐れだな」
「これを職業に出来たらええんやけど、まだまだ修行中ってとこやね」
コスモさんは盗めるところまでの作成中のアンドロイドの情報を私たちに提供してくれた。
「早めに動いた方がいいけど、カタリは半年後って言ってたな。それに間に合うようにすればいいか」
コスモさんは今後の予定を立てていた。その時アースィムが訪ねてきた。
「それに関しては半年後は遅いと思う。向こうの準備が整ってこっちがやられるよ」
不法侵入された。鍵をかけていたはずなのに。
「もしかして、アースィム君は合鍵勝手に作ったん…?」
「うん」
「もしかして、隠しカメラと盗聴器も?」
「うん」
「犯罪者!!出て行け!!!」
昨日からこの2人は少し距離が近くなった気がする。お互い嫌いそうだが、相性は悪くなさそうに思ってしまう。
「ツヅリもなんでそんなのんびりしてんねん!こいつはヤバいって」
アースィムは吹っ切れたのかモモトセに遠慮なしに悪口を言っていた。しかしダメなことはダメである。
「アースィム、お願い。鍵返して、そしてカメラとか盗聴器全部外してきて」
「いや」
「じゃあもう2度とキスしない」
「……返すし外すからキスして」
アースィムは子どもがわがままを言う時のような態度をとっていた。アースィムの手を取り指先にキスをした。
「あれいいの?」
一部始終を見ていたコスモさんはモモトセに聞いていた。モモトセは不満そうだったが諦めているようだ。
「やって、俺がどうこう言えることじゃないし…。でも度を超えたら流石に怒る」
「モモトセさんに許可もらう筋合い無いですし、勝手にやりたいようにやる」
「わかった。モモトセちょっと来て」
モモトセを私の方に呼ぶと私はモモトセの口ギリギリのところにキスをした。
「アースィムにキスする毎にモモトセにもすることにする」
「きゃー!ツヅリ最高!!!」
何故かコスモさんが喜んでいた。モモトセとアースィムは顔を真っ赤にして恥ずかしそうにしているだけだった。
「なんだっけ、コスモ君?だっけ。僕は昨日からツヅリの味方だから協力するよ。ちょっと2人で相談しない?ハッカイさんには絶対言わないから」
そう言って2人はPCを見ながら相談をし始めた。アースィムがこんなに頼りがいがあるなんて良かった。2人の様子を見ているとモモトセに手を引っ張られて2階に連れて行かれた。
「どうしたの?」
寝室に入ったかと思うと急に唇をなぞる様に指で触れてきた。モモトセの目が熱に濡れ、指の動きもキスしたいと物語っていた。
「ツヅリからしてくれたんって初めてやんな?昨日アースィム君にしててめちゃくちゃ嫉妬した」
そういうとちゅっと軽く触れるキスを何度かしてきた。そのままモモトセは手を私の腰にまわし自分の腰とピッタリと合わせてきた。合わせるだけのキスに物足りなさを感じているとモモトセは私の首筋から胸元へキスを少しずつおろしてきた。
「なぁボタン外してもええ?」
首元まで詰まった襟のあるシャツを着ていたから邪魔だったのだろうか。私はコクンと頷き胸元を晒すことを許した。
モモトセは上から順に真ん中辺りまでボタンを外した。すると胸元にキスをしてきた。ちゅっちゅっとキスマークをたくさんつけられると何だが変な気分になってきていた。
「あっ…」
気持ちが良くて声が少し漏れてしまったが、恥ずかしくて必死に口を噤んだ。私は思わずモモトセの顔を手で包み自分からキスをした。
「ん…⁈!」
…どうやって口の中に入れば良いのか。それを考えてモモトセの唇をペロッと舐めるとぬるりとモモトセの舌が入ってきた。口蓋を優しく舌で舐め回されて時折舌を軽く吸われて気持ち良さに思考が溶かされていった。
「もっと…もっと…」
気持ちが良くて思わず口から出た言葉だった。するとモモトセは完全に欲に支配された顔で私のことを見てきた。
「気持ちええの?」
そういうとまた口の中を舌で弄んできた。モモトセは私の胸に手を置き服の上から触ってきた。
「心臓の音…すごい」
そのまま胸を優しく掴まれた。
「モッモトセッ…」
「大丈夫、ツヅリが気持ちいいことしかせんよ」
開いた胸元にするりと手が入り直に触れてきた。
「手が、気持ちいい。柔らかい……」
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