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Magic love
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しおりを挟む次の日、機会を見てリオン王子に会いにいった。例のブローチを返すためだ。
騎士団の練習場の方へ向かうのは少し足がすくんだが、そちらの方に行かなければきっと会えないと入り口あたりでウロウロしていた。
練習を終えた騎士たちがこちらの方へ向かってきた。時間帯的に夕食を取るために食堂に向かう頃だろう。
私は木の影に隠れてリオン様が来るのを待っていた。
「何をしている」
私が騎士の団体に気を取られていたら後ろからリオン様に声をかけられた。
「すみませんっ。リオン様を探していました。あの、これ…」
おずおずとブローチを渡すとリオン様は驚いた顔をして私の手から素早くブローチを取った。
「これをどこで…。いや、ありがとう」
「いいえ、良かったです」
兄弟揃ってよく似ているなぁと思ってみると腕に切り傷がたくさんあった。
「練習でついた傷ですか?よければ治させてください。内緒ですよ」
私は一応光の魔法使いだったので白魔法も他の人よりは使えた。切り傷程度なら簡単に回復できた。
リオン王子の手を取り魔法で傷を癒した。傷が塞がる瞬間を見るのが割と好きだった。
傷を治すと私は後ろに突き飛ばされた。リオン様は手で顔を覆っていた。
「もう、いい!近寄るなっ…」
そのまま食堂の方へ走り去ってしまった。勝手に触ってしまったので怒ってしまったのだろうか。
余計なことをした。私はそこに倒れてしまっていたので立とうとするとそこにシャルル様が通りかかった。
「お手を」
優雅な振る舞いで私を起こしてくれた。シャルル様は少し神妙な顔をしていた。
「誰かに何かされたのか?」
「いえ。大丈夫です。ちょっと転んだだけです。お気遣いありがとうございます」
シャルル様は私の手を取りじっと見つめていた。どうやら尻もちをついた時に少し傷になっていたらしい。
「自分で治します」
そう言って白魔法で傷を塞いだ。シャルル様はそれを見て驚いてた。
「素晴らしい。シェリアは優秀なんだな。美しい女性の手に傷がついてしまってどうしようかと思っていた」
シャルル様は女性に対して優しく接してくれるが決していやらしさはなく、むしろ好感が持てた。
次はリオン様には近づきすぎないようにしないといけないな…。
⭐︎
今日は珍しく、水の魔法使いウォルターさんと風の魔法使いウィンディさんと共に遠くの方へ視察にいく任務だった。
そこにはシャルル様はと騎士団も同行していた。シャルル様の視察も兼ねているのだそうだ。
馬に乗っての遠出だった。ウォルターさんとウィンディさんは馬に乗れないので乗れる人と一緒に乗っていた。
私はウォルターさんと、シャルル様はウィンディさんと乗っていた。
これから向かうところは日照りか無くずっと雨天続きでのところらしい。
そこは米の作物が有名なところで洞窟を抜けて行くところだった。
洞窟の前に着くとあまりにも暗くて進めなさそうだった。
「ここは任せてください」
私は明かりをつけるのでは無く、蝶の通信魔法をいくつも作りひらひらと前を飛ぶように魔法をかけた。
「これで進めると思います」
私は先頭を切って行くと横にシャルル様の馬も並んだ。こちらを見てお礼をいうように微笑んでいた。それに私も笑顔で応えた。
「後ろの方にも満べんなく飛ばして起きますね」
指先からいくつも蝶を飛ばしているとウォルターさんが綺麗とうっとりしていた。
「蛍みたいで綺麗ですね。淡い灯りでロマンチックですね」
「ありがとうございます。ウォルターさんの通信魔法はどんな姿ですか?」
「私のは小さな魚です」
出して見せてくれた。かわいい。
「でも私は水の精霊と契約しているのでこの子を使うことが多いです」
パチンと指を鳴らすとパッと少年が出てきた。小学生くらいの男の子だが髪の先が水滴になっていた。それが水の精霊を表しているのだろう。
「この子はウンディーネなんだけど私が未熟だからまだ子供の姿なんです。でもかなり優秀で助かってます」
『当たり前でしょ!ボクは水の精霊の中では高位種だからねっ。…この女の人すごいいい匂いする』
そういうと私の頭にしがみつき耳元や首元をクンクン嗅いでいた。くすぐったいが馬に乗っていたので何とか集中を切らさないようにしていた。
「危なくないか?シェリア。一旦止まろうか」
横にいるシャルル様に心配させてしまったが頭に違和感があるだけなので大丈夫とそのまま進むことにした。
そうして出口に着くとウンディーネ君は私の頭から胸元に移動してピッタリとくっついていた。
「あらあら、珍しい。すっかり懐いてる」
『なんだろ、心がきれいだから居心地がいい。魔力も澄んでて綺麗』
子どもが母親に甘えるようにべったりしていた。それをウォルターさんやウィンディさんたちと微笑ましく見ていた。
「もしかすると、エヴァンズさんも精霊との契約は向いているかもしれませんね」
「そうですか?…それなら嬉しいです」
魔法の幅が増えることは喜ばしいことだ。魔力は自然にあるエネルギーを借りて使っていることなので、その象徴ともいえる精霊と契約できるなんて光栄だった。
「もう少しで街へ着く。しばらく移動が続くが頑張ってくれ」
私たちが後続の人たちが洞窟を出るのを待っていると、すでに全員揃っていたらしい。シャルル様が指揮を取り、もう少し進むことに決まった。
⭐︎
街に無事に着いたが、もう日も落ちていたので明日から調査をすることに決まった。ここで宿を取り魔法使いは3人で一部屋だったのでちょっとした旅行気分を楽しんでいた。
城では1人1人部屋を与えてもらえていたので、なかなか交流する機会もなかったが、色々話し込んでいた。
「ウィンディさんはユグドラシルに婚約者がいるんでしょう?どんな人なの?」
ウォルターさんは好奇心の赴くままに質問していた。ウィンディさんは少し照れながら答えていた。
「少し年上の彼で、彼も風の魔法使いとしてラ・フォア王国に派遣されていたんです。私もこうして卒業して、風の魔法使いに正式になって派遣されるのが夢だったので彼に色々アドバイスをもらっているうちに自然と…」
「じゃあ恋愛婚約なのですね!いいなぁ~羨ましいです」
ウォルターさんはうっとりしていた。
「そういうウォルターさんはユグドラシル王国の王子と結婚が決まってるじゃないですか」
「えっ!そうなんですかっ」
びっくりした。たしかにユグドラシルの王族は名門の家系から結婚相手を選ぶと言われていた。順当に行けば彼女たちが選ばれるのは当然なのだ。
「いいですね…私はまだ相手もいないので憧れます」
誰かの恋愛の話を聞くのがこんなにも楽しいものなんて思いもしなかった。友人たちとの恋話に花を咲かせているようで楽しかった。
今度こそ、ロマンス小説を読んでみたいと思った。
「あら、それならシャルル王子はどうですか?なにやら仲睦まじ気ですけども」
「確かに!エヴァンズさんにすこーしだけ贔屓されてるように見えます」
そうなのだろうか。シャルル様はみんなに対して優しいのだと思う。実際見ていてもそうだ。そういう平等な優しさをとても尊敬できると思っている。
「ええ、私たちは応援してますわ。またお話いたしましょう」
その日は遅くまで恋話に花を咲かせてとても嬉しかった。
シャルル様と…。妄想の域はでないが恋をすることを想像すると楽しい気持ちになった。
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