天性の天才と天性の努力家

瑳来

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 人間はみんな努力を偉いものだと思っている。

 上手くいかなくてもそれまでの過程を見てくれてた人はほとんどの人が慰めで頑張ったと褒めてくれる。
 そうして、一時(いっとき)の悔しさから自分は頑張ったんだと言う感情に変わり達成感を味わうことが出来る。
 それからも、努力家というやつは努力は必ず報われると信じて再び努力というものをし始める。

 ーー果たしてそれは、本当に偉いものだろうか。

 まず第一の疑問は結果無くして達成感というものを味わうことが出来るのだろうか?

 過程を知らない相手からすると結果が全て。過程なんてものは知らないのだからそいつは所詮その程度としか思われないだろう。

 褒めてるのも心からではなく、どうせ、上辺だけ。かける言葉がないから取り敢えず褒めとこうという感じだろうな。
 逆に努力もしないで才能だけで勝ち上がれた奴はなんの苦労もしないで頂点に立てる。尚且つたいして頑張ってもないのに頑張ったと褒められる。上辺だけのやつもいるだろうが、大概のやつは豪快に褒めてくれるから褒められてるこっちも気分がいい。

 これは敗者には味わえない優越感だろうな。

 そして、第二の疑問は努力は必ず報われるという言葉だ。

 それは本当に報われるのだろうか?

 報われない努力は努力じゃない? それなら、今まで寝る間を惜しんでやってきた事はなんだったんだ? 俺の周りにも、毎日一、二時間くらいしか寝ないでバカみたいに練習してる奴も何人かいる。
 これは立派な努力というものではないだろうか?
 努力は必ず報われるという言葉が正しければ俺はそんな奴らにとっくに潰されているだろう。

 だけど、俺は頂点に君臨している。

 努力もしないで俺は三年間ずーっと頂点に立っている。

 申し遅れた。
 俺の名前はアラン・ルイス。歳は16。
 生まれながらにして、術、学力、運動能力、容姿、家庭、何もかもに恵まれた言わば勝ち組の中の勝ち組の男だ。
 術なんて一回見たら覚えられるし、勉強も一度聞いたら忘れない。女なんて嫌でも寄ってくる。欲しいものも何もかも全て簡単に手に入れられる。
 だから俺は、努力なんてものはしたことない。しなくてもなんでも完璧に出来る人間だ。




「うわぁ、すげぇなぁ」
「ほんとだよ。また術士だとアランが満点のトップだよ」
「こりゃ、次にやる能力(アビリティ)試験(テスト)もS1はアランさんかなぁ?」
「そうだろ~」

 入口の扉に貼られてある筆記試験の結果を見て口々に俺の事を言っている人がいた。
 まだ順位は見てないがこれならまた俺が1位なのだろう。
 俺はその結果に見向きもしないで颯爽と教室の方へと向かった。





 ここはこの国を守る戦士を育て、選出する学園。ウォーリア学園。
 学園は五年制で卒業した時にSランクかAランクだった生徒は国を守る戦士に正式になれ、中でもS1ランクだったら自分が率いる隊を作ることが出来る。
 ごく稀にBランクやその他のランクからも、なり得ることもあるが。主はSランクとAランクだ。

 ちなみに、先程から言っているSランクやらS1ランクというのは、年に一度行われるその年の集大成で学年関係なし、各役職のトーナメント戦、能力(アビリティ)試験(テスト)の結果で決まる。
 役職は剣士、術士、騎士、弓士、槍士、銃士というものがあり、俺は術士だ。
 そして、その各トーナメントで勝ち上がり、各役職事に上からS1、S2、S3、S、A、B、C、Dと決まる。
 上の三つは上位三名を一名ずつで、Sランク、Aランクは結果や能力に応じて入れるため、人数は問わない。Aランクはある程度の結果のみで入ることは可能だが、Sランクになると結果よりも能力の強さで、よほど優れてないと入れない。
 Bランクは平均レベルで、Cランクはテストでいう赤点レベル。Dランクは論外。留年レベルだ。
 俺はこれを三年もS1ランクを取り続けている。
 今年も周りの奴らはくだらない努力をしているらしいが、俺が特に気になるような奴はいないため、大丈夫そうだな。



 術士の四年部の教室についた俺は一番後ろの窓際の席に腰をかけ、窓を開けて頬杖をついた。
 外では冷たい風と共に黒猫が走り去ったのが見える。

 今年も概ね順調な年だったな。
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