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3話
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「はい。この地図見て。術士が使う部屋はこことこことこことここと……ーー、以上」
一日が終わり、俺は銀髪の男と術士の自習室に行き、学園内の教室やらを教えてやってるところだ。
そして、ちょうど教え終わったところ。
「教えんの雑! あと、『ここと』が無駄に多い! もっと丁寧に教えろよ~!」
「あ? 俺に指図するな。ぶん殴って、ぶっ潰して、ぶっ殺すぞ」
「なんで逆ギレしてんの!?」
ったく、なんでこの俺がこんなちんちくりんにご丁寧に学校案内なんてやらないとならないんだよ。
俺の手を煩わせるな。早く帰って復習してぇのに。
銀髪の男は額に手を当ててため息を吐いた。
それでも地図をじっくり見て覚えようとしている。
ーーでも、無駄だ。
この学園の広さは尋常ではない。地図を見ただけで覚えられっこない。
ま、この俺は術士が使う場所は地図を一目見ただけで覚えられたけどな。
だけど、それも俺だから出来たことだ。
「よし。覚えた」
「は?」
「だーかーら、この学園の構内図全て覚えたからもう地図はいらねぇよ!」
銀髪の男はA4サイズの地図を丸め俺に渡してくる。俺はそれを思わず受け取ってしまったが、こいつが覚えられるわけない。
「あー、その顔信じてねぇだろ? ほんとお前はすぐ顔に出んなぁ!」
「当たり前だ。この学園はこの国の施設の中で一番広い学園だ。簡単に覚えられるわけがない」
「じゃあ、問題出してみ? 答えてやっから」
自信満々そうに銀髪の男は言い放つ。
ふーん。そっちがその気ならその自信ズタボロにしてやろうか。
「じゃあ、俺達の居る場所の真上の教室は?」
「雷術士第1訓練室」
「……正解だ」
即答で答えるその男に呆気にとられたが、偶然という可能性もあるから、まだ信用出来ない。
でも、教室の名前をフルネームで答えるなんて……初めは略称で覚えた方が楽なのによ。
「その雷術士第1訓練室から右に3番目の教室は!」
「氷術士実戦室」
「嘘だろ……?」
「これで認めたか?」
「いや、まだだ! この左隣の棟のここと同じ場所にある教室名は!」
認めたくないが一心に俺はかなり意地悪な質問をしてしまった。
ここの左隣の塔は槍士の場所だ。
一応校内全体図を見せたが、俺が指さしたのは術士の場所しか言っていない。
だから、こいつが答えられるはずがない。
銀髪の男はすぐに口を開いたが、俺の顔を見るなり口を閉じ、苦笑いを浮かべた。
「さすがに、そこまで来るとわかんねぇよ」
銀髪の男はたははっと笑い、自己紹介の時みたいに首の所に手を当ててさすった。
なぜか、こいつが答えられなくて俺の中に安堵感がある。
それと同時にこいつの大人びた表情に急に俺が子供に見えてきて恥ずかしく思えてきた。
「お前は相変わらずプライドだけは高ぇな」
「相変わらずって、俺とお前は初対面だろ?」
俺の言葉に銀髪の男は凍りついたように固まり、徐々に鬼のような形相に変わっていく。
な、なんだ……気悪くさせること言ったか……?
「……まだ、んな事言ってんのかよ……てめぇ……」
ーーキーンコーンカーンコーン。
さっきまでの陽気な声色から急変し、恨みがましい声で唸るように言葉を吐いていたが、チャイム音と重なり、掻き消されてしまう。
そのため、俺の耳にはその言葉は届かなかった。
ただ、俺の事をよく思ってないことは伝わった。
目で人を殺す。まさにこの男の目は刃の如く鋭く、俺に対する恨みが十分すぎるくらい籠っている。
「もういいだろ。帰るからな」
「あ、おい!」
まだ何か言いたそうな銀髪の男を置いて俺はどんどん昇降口の方へと向かっていく。
恨みを買われることは多いが、いちいち相手してたらキリがないしな。こういう事は無視した方が英断だ。
だけど朝の時と言い、今と言い、ひとつ引っかかることがある。
……俺、あいつと会ったことあったっけ?
一日が終わり、俺は銀髪の男と術士の自習室に行き、学園内の教室やらを教えてやってるところだ。
そして、ちょうど教え終わったところ。
「教えんの雑! あと、『ここと』が無駄に多い! もっと丁寧に教えろよ~!」
「あ? 俺に指図するな。ぶん殴って、ぶっ潰して、ぶっ殺すぞ」
「なんで逆ギレしてんの!?」
ったく、なんでこの俺がこんなちんちくりんにご丁寧に学校案内なんてやらないとならないんだよ。
俺の手を煩わせるな。早く帰って復習してぇのに。
銀髪の男は額に手を当ててため息を吐いた。
それでも地図をじっくり見て覚えようとしている。
ーーでも、無駄だ。
この学園の広さは尋常ではない。地図を見ただけで覚えられっこない。
ま、この俺は術士が使う場所は地図を一目見ただけで覚えられたけどな。
だけど、それも俺だから出来たことだ。
「よし。覚えた」
「は?」
「だーかーら、この学園の構内図全て覚えたからもう地図はいらねぇよ!」
銀髪の男はA4サイズの地図を丸め俺に渡してくる。俺はそれを思わず受け取ってしまったが、こいつが覚えられるわけない。
「あー、その顔信じてねぇだろ? ほんとお前はすぐ顔に出んなぁ!」
「当たり前だ。この学園はこの国の施設の中で一番広い学園だ。簡単に覚えられるわけがない」
「じゃあ、問題出してみ? 答えてやっから」
自信満々そうに銀髪の男は言い放つ。
ふーん。そっちがその気ならその自信ズタボロにしてやろうか。
「じゃあ、俺達の居る場所の真上の教室は?」
「雷術士第1訓練室」
「……正解だ」
即答で答えるその男に呆気にとられたが、偶然という可能性もあるから、まだ信用出来ない。
でも、教室の名前をフルネームで答えるなんて……初めは略称で覚えた方が楽なのによ。
「その雷術士第1訓練室から右に3番目の教室は!」
「氷術士実戦室」
「嘘だろ……?」
「これで認めたか?」
「いや、まだだ! この左隣の棟のここと同じ場所にある教室名は!」
認めたくないが一心に俺はかなり意地悪な質問をしてしまった。
ここの左隣の塔は槍士の場所だ。
一応校内全体図を見せたが、俺が指さしたのは術士の場所しか言っていない。
だから、こいつが答えられるはずがない。
銀髪の男はすぐに口を開いたが、俺の顔を見るなり口を閉じ、苦笑いを浮かべた。
「さすがに、そこまで来るとわかんねぇよ」
銀髪の男はたははっと笑い、自己紹介の時みたいに首の所に手を当ててさすった。
なぜか、こいつが答えられなくて俺の中に安堵感がある。
それと同時にこいつの大人びた表情に急に俺が子供に見えてきて恥ずかしく思えてきた。
「お前は相変わらずプライドだけは高ぇな」
「相変わらずって、俺とお前は初対面だろ?」
俺の言葉に銀髪の男は凍りついたように固まり、徐々に鬼のような形相に変わっていく。
な、なんだ……気悪くさせること言ったか……?
「……まだ、んな事言ってんのかよ……てめぇ……」
ーーキーンコーンカーンコーン。
さっきまでの陽気な声色から急変し、恨みがましい声で唸るように言葉を吐いていたが、チャイム音と重なり、掻き消されてしまう。
そのため、俺の耳にはその言葉は届かなかった。
ただ、俺の事をよく思ってないことは伝わった。
目で人を殺す。まさにこの男の目は刃の如く鋭く、俺に対する恨みが十分すぎるくらい籠っている。
「もういいだろ。帰るからな」
「あ、おい!」
まだ何か言いたそうな銀髪の男を置いて俺はどんどん昇降口の方へと向かっていく。
恨みを買われることは多いが、いちいち相手してたらキリがないしな。こういう事は無視した方が英断だ。
だけど朝の時と言い、今と言い、ひとつ引っかかることがある。
……俺、あいつと会ったことあったっけ?
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