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街に行っていろんな所を見て回っていると、見覚えのある3人組がいた。
あれは……ウィル様とリアム様とルイ様?
護衛も付けないで無防備に出ていいものなのか疑問に残るが、とりあえずここで会っちゃまずいな。
「アンズくん、向こう側に行こ?」
「はい……!」
僕達は回れ右をして引き返そうとすると、急に強い風が吹いたかと思ったら何かに後ろから強く抱きしめられた。
「ドロシー様、お久しぶりですね」
「ウィ……ウィル様!? 随分と足がお速いこと……」
僕達と王子達の距離は100メートルは会ったはず……それを風のスピードで来るとか……チーターもびっくりだよ。
「ところで、何してるんですか?」
僕が聞くと、ウィル様が離れ僕の前に来た。
「気分転換に3人で街の様子を見に来たんです! 最近、勉強やら稽古やらで忙しくて」
「そうなんですか。頑張ってるなんて偉いですね! お疲れ様です!」
ウィル様は照れたようにはにかみ、首の後ろをさすった。
可愛いなぁ! 僕の推しは! エンジェルだよ! マイ・スイート・エンジェル!
そこで、リアム様とルイ様も合流し、軽く挨拶を交わすと今度はウィル様が聞いてきた。
「ドロシー様達はどうして街に?」
「僕達は……」
「俺達はデートしに来ました」
僕が言うよりも早くアンズくんが言い、腕を絡めてきた。
その瞬間、空気が凍りつくかのように冷たくなった。それはまるで、真冬の北海道のように。
待って、これじゃ僕が浮気してるみたいになるじゃん!?
ウィル様と付き合ってるとかはないのかもしれないけど、婚約者だから他の人とそういうのは浮気に分類されるだろう。
浮気ダメ! 絶対に! てか、僕がそういうのヤダ!
「今……なんつった……?」
なぜか、ルイ様が震える声でアンズくんに尋ねる。
「だから、デートしに来たんですよ」
「い、いや! デートじゃなくて、遊びだよ! アンズくんもダメだよ! からかっちゃ!」
僕がビシッと注意すると、アンズくんは眉を下げ上目遣いで「ごめんなさい」と言ってきた。
よし。素直に謝れるのはいい事だ!
「ウィル様、アンズくんにはまだウィル様が婚約者って事を伝えてなくて……すみません。彼の冗談なので、許してあげてください」
僕がウィル様に謝るとウィル様はまだ上の空の表情で「大丈夫ですよ」と空っぽの笑顔を向けてきた。
うぅ……その笑顔は辛い……推しに、というか、婚約者にそんな笑顔をさせてしまう自分が憎い……
「ウィル様、少し耳を貸してください」
気がついたら僕は咄嗟にそんなことを言っていた。
いつものクサイセリフが全く思い浮かばない代わりにひとつだけどうしても伝えたい言葉が脳内に浮かんでいた。
「その……僕の、い、一番好きな人は……ウィル様ですから」
うわぁ……恥ずっ……
いつもなら、もっとサラって言えるけど声が震え上手く言えない。
それでも、ウィル様には伝わったらしくものすごい強さで抱きしめられた。
痛い痛い! 肋折れる! 背骨も折れる! ウィル様の前世はゴリラですか!?
「ドロシー様、大好きです!」
「あり……がとう……ございます」
強く抱きしめられて全身がめちゃくちゃ痛いのに、気持ちがホワホワする。
大好きって言葉はいつ聞いても嬉しい。でも、ウィル様から言われた大好きはどこか特別で嬉しいけど、心がキュッてなって苦しい。
それから、すぐにルイ様に間に割って入られ僕達は強制的に離された。
そして、言うことの聞かない犬のようにウィル様はルイ様の手によって引きずられて3人はどこかへいった。
僕とアンズくんのお出かけも再開しそうになった所でアンズくんが「あっ!」と声を上げた。
「どうしたの?」
「俺……あの人達に自分の口から謝るの忘れてました……行ってきます!」
「え、あ……うん!」
アンズくんは王子達を追いかけるように走っていき僕はその後ろ姿を見守る。
やっぱり、健気なところが主人公っぽいよね。いい子だなぁ。リアム様とのやつも今のところは心配なさそうでよかったよかった。
あれは……ウィル様とリアム様とルイ様?
護衛も付けないで無防備に出ていいものなのか疑問に残るが、とりあえずここで会っちゃまずいな。
「アンズくん、向こう側に行こ?」
「はい……!」
僕達は回れ右をして引き返そうとすると、急に強い風が吹いたかと思ったら何かに後ろから強く抱きしめられた。
「ドロシー様、お久しぶりですね」
「ウィ……ウィル様!? 随分と足がお速いこと……」
僕達と王子達の距離は100メートルは会ったはず……それを風のスピードで来るとか……チーターもびっくりだよ。
「ところで、何してるんですか?」
僕が聞くと、ウィル様が離れ僕の前に来た。
「気分転換に3人で街の様子を見に来たんです! 最近、勉強やら稽古やらで忙しくて」
「そうなんですか。頑張ってるなんて偉いですね! お疲れ様です!」
ウィル様は照れたようにはにかみ、首の後ろをさすった。
可愛いなぁ! 僕の推しは! エンジェルだよ! マイ・スイート・エンジェル!
そこで、リアム様とルイ様も合流し、軽く挨拶を交わすと今度はウィル様が聞いてきた。
「ドロシー様達はどうして街に?」
「僕達は……」
「俺達はデートしに来ました」
僕が言うよりも早くアンズくんが言い、腕を絡めてきた。
その瞬間、空気が凍りつくかのように冷たくなった。それはまるで、真冬の北海道のように。
待って、これじゃ僕が浮気してるみたいになるじゃん!?
ウィル様と付き合ってるとかはないのかもしれないけど、婚約者だから他の人とそういうのは浮気に分類されるだろう。
浮気ダメ! 絶対に! てか、僕がそういうのヤダ!
「今……なんつった……?」
なぜか、ルイ様が震える声でアンズくんに尋ねる。
「だから、デートしに来たんですよ」
「い、いや! デートじゃなくて、遊びだよ! アンズくんもダメだよ! からかっちゃ!」
僕がビシッと注意すると、アンズくんは眉を下げ上目遣いで「ごめんなさい」と言ってきた。
よし。素直に謝れるのはいい事だ!
「ウィル様、アンズくんにはまだウィル様が婚約者って事を伝えてなくて……すみません。彼の冗談なので、許してあげてください」
僕がウィル様に謝るとウィル様はまだ上の空の表情で「大丈夫ですよ」と空っぽの笑顔を向けてきた。
うぅ……その笑顔は辛い……推しに、というか、婚約者にそんな笑顔をさせてしまう自分が憎い……
「ウィル様、少し耳を貸してください」
気がついたら僕は咄嗟にそんなことを言っていた。
いつものクサイセリフが全く思い浮かばない代わりにひとつだけどうしても伝えたい言葉が脳内に浮かんでいた。
「その……僕の、い、一番好きな人は……ウィル様ですから」
うわぁ……恥ずっ……
いつもなら、もっとサラって言えるけど声が震え上手く言えない。
それでも、ウィル様には伝わったらしくものすごい強さで抱きしめられた。
痛い痛い! 肋折れる! 背骨も折れる! ウィル様の前世はゴリラですか!?
「ドロシー様、大好きです!」
「あり……がとう……ございます」
強く抱きしめられて全身がめちゃくちゃ痛いのに、気持ちがホワホワする。
大好きって言葉はいつ聞いても嬉しい。でも、ウィル様から言われた大好きはどこか特別で嬉しいけど、心がキュッてなって苦しい。
それから、すぐにルイ様に間に割って入られ僕達は強制的に離された。
そして、言うことの聞かない犬のようにウィル様はルイ様の手によって引きずられて3人はどこかへいった。
僕とアンズくんのお出かけも再開しそうになった所でアンズくんが「あっ!」と声を上げた。
「どうしたの?」
「俺……あの人達に自分の口から謝るの忘れてました……行ってきます!」
「え、あ……うん!」
アンズくんは王子達を追いかけるように走っていき僕はその後ろ姿を見守る。
やっぱり、健気なところが主人公っぽいよね。いい子だなぁ。リアム様とのやつも今のところは心配なさそうでよかったよかった。
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