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13【ルイ目線】
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オレ様はルイ・ヒューズ。
この国の第2王子だ。
オレ様は今、イラついてる。
周りもオレ様がイラついてる事に気がついてるのか、数人の召使い達はわかりやすくオレ様を避けたり、ご機嫌取りに来てる。
リアムを探してる奴もいるが、生憎リアムは今日は城にはいない。
それでも、オレ様は比較的年中無休で機嫌が悪い感じだからオレ様専属の召使いで新人の奴らは慌てふためいてるが、ベテラン達は通常運転だ。
ただ、城内は俄に騒がしい。
オレ様ひとりが不機嫌ならこんなには騒がしくはならない。
どうやら、機嫌が悪いのはオレ様だけじゃないようで、もっと面倒臭い奴が超絶不機嫌らしい。
「ーーこんにちは。ルイ兄さん」
オレ様が廊下を歩いていると、後ろから十分すぎる殺気を感じさせながら呼び止められた。
後ろを振り返るとバックに猛吹雪を背負ってるようなオーラを放つウィルがいる。
うわっ。きたっ。機嫌がくそ悪い面倒臭い奴。
「よう。随分召使い達に迷惑かけてんじゃねぇか」
「ふふっ。そんな事ないですよ。僕は普通に過ごしてるだけですから」
目が笑ってねぇ……
口角だけ上げて目が笑ってない奴の笑顔ほど怖いものは無い。
ま、こいつが機嫌が悪い理由はなんとなく察しがつく。というより、オレ様も同じだし。たぶん。
「そろそろ、ドロシー様の家に行く時間なので、失礼します」
「ドロシー?」
ドロシーという名前に嫌でも反応してしまう。
こいつらは、婚約者同士だからめちゃくちゃ仲良しだし、よくお互いの家を行き来してるらしいが、正直嫉妬する……
みんな知ってるだろうが、オレ様はドロシーの事が好きだ。オレ様に対してあんな態度を取れるやつそうそういない。
しかも、オレ様相手に可愛いなんてほざきやがって……ったく、お前の方が可愛いっつーの!
え? 弟の婚約者に手を出すなんて最低? 気にしたら負けだ。
「オレ様もついてって……」
「いや、結構です」
「せめて、最後まで言わせろよ」
このオレ様の申し出を最後まで聞かずに即断るとか、何様だよこいつ。
「この王国の第3王子、ウィル・ヒューズで、貴方の弟様ですよ」
「なにお前。心読める能力手に入れたの?」
絶対にありえない事、有り得てはならない事にどこか冷静のオレ様が冷静につっこんだ。
もしこれで心読めるようになったとか言ったら、心ん中だけでドロシーの事考えてても殺されるようになるって事だろ?
「はい。なので、心の中でも考えないでください。ちなみに、これはドロシー様の隣の農家のマルコおじさんから教えて頂きました」
「え? 誰それ? それに、無理だよ。オレ様ドロシーの事考えてねぇと生きていけねぇもん」
「頭大丈夫ですか? 自殺願望ですか?」
この野郎……っ!
恋は盲目という言葉はまさしくこいつのためにあるようなものだと思う。
普段は温厚だけど、ドロシーの事になると怖いこと怖いこと。それに、今日は機嫌が悪いから更に面倒臭い。
「お前、ヤンデレになってんぞ?」
冗談交じりでも、嫌味を含めた言い方をするとウィルは呆れたような軽蔑したような目でオレ様を見た。
なんだよその目!
「僕でヤンデレとか言ってたらドロシー様は手に入りませんよ。兄さんもわかってるから機嫌が悪いんですよね?」
「っ……」
ウィルの言葉で確信した。
予想通りオレ様とこいつの機嫌が悪い理由は同じだったようだ。
『ーードロシーさんは俺のモノになるので』
街に行った時にあの男から言われた言葉。
静かでなんの裏もなさそうな笑顔で言われた言葉。
正直あれは、さっきのウィルの笑顔よりも数倍は恐ろしかった。
何を考えてるか読めなくて、とにかく怖かった。
その表情が、言葉が、いつまでたっても頭から離れずに一抹の不安ばかりが募る。
あいつは、ドロシーの所にいる過保護専属執事よりも厄介だ。
あのくっつき虫を剥がさない限りこっちの未来はないだろう。
オレ様達は、まるで戦場にでも行く面持ちでドロシーの家へと向かった。
ウィルに「ついてこないでって言いましたよね?」と言われたが、気にしない気にしない。
この国の第2王子だ。
オレ様は今、イラついてる。
周りもオレ様がイラついてる事に気がついてるのか、数人の召使い達はわかりやすくオレ様を避けたり、ご機嫌取りに来てる。
リアムを探してる奴もいるが、生憎リアムは今日は城にはいない。
それでも、オレ様は比較的年中無休で機嫌が悪い感じだからオレ様専属の召使いで新人の奴らは慌てふためいてるが、ベテラン達は通常運転だ。
ただ、城内は俄に騒がしい。
オレ様ひとりが不機嫌ならこんなには騒がしくはならない。
どうやら、機嫌が悪いのはオレ様だけじゃないようで、もっと面倒臭い奴が超絶不機嫌らしい。
「ーーこんにちは。ルイ兄さん」
オレ様が廊下を歩いていると、後ろから十分すぎる殺気を感じさせながら呼び止められた。
後ろを振り返るとバックに猛吹雪を背負ってるようなオーラを放つウィルがいる。
うわっ。きたっ。機嫌がくそ悪い面倒臭い奴。
「よう。随分召使い達に迷惑かけてんじゃねぇか」
「ふふっ。そんな事ないですよ。僕は普通に過ごしてるだけですから」
目が笑ってねぇ……
口角だけ上げて目が笑ってない奴の笑顔ほど怖いものは無い。
ま、こいつが機嫌が悪い理由はなんとなく察しがつく。というより、オレ様も同じだし。たぶん。
「そろそろ、ドロシー様の家に行く時間なので、失礼します」
「ドロシー?」
ドロシーという名前に嫌でも反応してしまう。
こいつらは、婚約者同士だからめちゃくちゃ仲良しだし、よくお互いの家を行き来してるらしいが、正直嫉妬する……
みんな知ってるだろうが、オレ様はドロシーの事が好きだ。オレ様に対してあんな態度を取れるやつそうそういない。
しかも、オレ様相手に可愛いなんてほざきやがって……ったく、お前の方が可愛いっつーの!
え? 弟の婚約者に手を出すなんて最低? 気にしたら負けだ。
「オレ様もついてって……」
「いや、結構です」
「せめて、最後まで言わせろよ」
このオレ様の申し出を最後まで聞かずに即断るとか、何様だよこいつ。
「この王国の第3王子、ウィル・ヒューズで、貴方の弟様ですよ」
「なにお前。心読める能力手に入れたの?」
絶対にありえない事、有り得てはならない事にどこか冷静のオレ様が冷静につっこんだ。
もしこれで心読めるようになったとか言ったら、心ん中だけでドロシーの事考えてても殺されるようになるって事だろ?
「はい。なので、心の中でも考えないでください。ちなみに、これはドロシー様の隣の農家のマルコおじさんから教えて頂きました」
「え? 誰それ? それに、無理だよ。オレ様ドロシーの事考えてねぇと生きていけねぇもん」
「頭大丈夫ですか? 自殺願望ですか?」
この野郎……っ!
恋は盲目という言葉はまさしくこいつのためにあるようなものだと思う。
普段は温厚だけど、ドロシーの事になると怖いこと怖いこと。それに、今日は機嫌が悪いから更に面倒臭い。
「お前、ヤンデレになってんぞ?」
冗談交じりでも、嫌味を含めた言い方をするとウィルは呆れたような軽蔑したような目でオレ様を見た。
なんだよその目!
「僕でヤンデレとか言ってたらドロシー様は手に入りませんよ。兄さんもわかってるから機嫌が悪いんですよね?」
「っ……」
ウィルの言葉で確信した。
予想通りオレ様とこいつの機嫌が悪い理由は同じだったようだ。
『ーードロシーさんは俺のモノになるので』
街に行った時にあの男から言われた言葉。
静かでなんの裏もなさそうな笑顔で言われた言葉。
正直あれは、さっきのウィルの笑顔よりも数倍は恐ろしかった。
何を考えてるか読めなくて、とにかく怖かった。
その表情が、言葉が、いつまでたっても頭から離れずに一抹の不安ばかりが募る。
あいつは、ドロシーの所にいる過保護専属執事よりも厄介だ。
あのくっつき虫を剥がさない限りこっちの未来はないだろう。
オレ様達は、まるで戦場にでも行く面持ちでドロシーの家へと向かった。
ウィルに「ついてこないでって言いましたよね?」と言われたが、気にしない気にしない。
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