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第一章
翔子と怒涛の午前中
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入れ替わり立ち替わり来るお客さんに対応していたショウと翔子だが、正午少し前にショーケースの中が空になったので、CLOSEのプレートを出し店を閉め、一旦休憩する事にした。
「フー、翔子ちゃんお疲れ様」
「ショウさん、お疲れさまです」
若干ぐったりした感じの翔子がショウへと返事を返した。
「ここのお店はいつもこんな風に混むんですか?」
「うん。まぁ、今日みたいな平日はこんなもんだね。土日とか学校が長期休暇の時はこれに学生さんや親子連れさんが増えるから、今日以上かな?」
「今日以上?」
翔子はびっくりした様に大きな声を出し、
「今日のお客さんの入り方にもビックリしましたが、今日以上となればやはりショウさんお一人では大変でしょうね。カケルさんのお力も必要な訳です。……それに比べて私は今日、お役に立てているのでしょうか……」
いくらバイト初日とはいえ、翔子は自分がショウの力になれているのかが不安になった。
「何言ってるの、翔子ちゃん!翔子ちゃんがやってくれている事だって、充分助かるよ。今日だって空になったトレイに気づいて下げてくれたでしょ?」
「あっ、はい。ケーキは予め作っておいた分だけと聞いていたので、空になったトレイは不要だと思ったので下げましたが……」
「あのひと手間がとってもありがたいんだ」
「?」
「お店によってはトレイがそのまま出ていると、そこへまた同じ種類のケーキが追加されるみたいなんだ。でも、ウチは絶対にケーキの追加は出来ない。ケーキを作ってるのも出しているのも、僕一人だからね。
常連さんは何となくわかってくれてはいるものの、他のお店にも行ってる人や初めてウチに来た人は空のトレイがあると、また追加でケーキが出てくるかもしれないと思って待ってる人もいるんだ。
だから、空のトレイが目について下げたくても目の前にいるお客さんを捌くので精一杯で、トレイを下げる手間さえ惜しくてなかなか下げれなかったんだ。カケルも気づいた時は下げてくれるんだけど、翔子ちゃんにそれを伝えてなかったのに下げてくれて助かったよ」
「そうだったんですね。私はただ、不要だと思っていましたが結果としてお役に立てたのなら良かったです」
「そういう風に細かい所に気が付いてくれるから、翔子ちゃんが来てくれて本当に良かったよ。これで、一旦休憩だからお昼を食べて午後また店を開けるけど、翔子ちゃんはどうする?今日は急に呼び出してそのままバイトになっちゃったから、疲れてない?疲れている様ならば今日は午前中だけで充分だけど……」
「……そうですね。正直、慣れない事をしたので疲れてしまいました。午後はお客様はどれくらいいらっしゃるんですか?」
「午後は比較的、少ないよ。午前中にだいたい売り切れが出て、補充できる分は限られているからお客様も午後は品数が少ないの分かってて、あんまり来ないんだ。だから、午後は僕一人でも充分お店は回せるよ」
「……そうですか」
「今日は本当に初日だし、疲れているだろうから店の事は気にしないで翔子ちゃんがどうしたいかで決めて良いよ?」
「……わかりました。お店をお手伝いしたい気持ちはあります。でも、身体が疲れてしまったのも事実ですので、申し訳ありませんが今日は帰らせていただきます」
「了解」
「でもショウさん!明日も朝からお手伝いに来ても良いですか?」
「もちろん。こちらとしては大歓迎。それに翔子ちゃんはもうここの従業員だから、お手伝いに来るんじゃなくて、働きに来るんだよ。フフッ。明日も宜しくね」
「はいっ。では、今日はこれで失礼させていただきますがシュークリームは……無いっ!売り切れてしまいまいたね……」
残念そうに言う翔子を見てショウは一旦店の奥の冷蔵庫へと戻り、
「はい。翔子ちゃんの分のシュークリーム」
「えっ?」
「いつものペースだときっと売り切れちゃうと思ったから、確保しておいたんだ。せっかく米田さんと話してシュークリームを食べたいって言ってくれたのが嬉しかったから、今日食べてほしくてね」
「うわぁ。ありがとうございます。では、今日はシュークリームを買って帰って勉強したいと思います」
「これは翔子ちゃん用に取っておいたシュークリームだから、代金はいいよ」
「そういう訳にはいきません。お客様と同じ様にお金をお支払いして、同じ様に食べなければ意味がありません。
それに、これからお店のお菓子をどんどん食べていくんですから、今日お支払いしないとこれから遠慮してしまいます……」
「なるほど……。じゃあ、きちんと代金を貰おうかな」
「はいっ。それとショウさん……」
ショウに呼びかけたものの、言いづらそうに言葉を探している翔子。
「うん?」
「お店の忙しさって毎日、今日みないた感じなんですよね?」
「?うん。さっき話した様に平日はだいたいこんな感じだよ?……もしかして、忙しすぎてバイト、嫌になっちゃった?」
「い、いえっ!そうではありません!」
慌てた様に否定する翔子。
「只、今日の様に忙しいと、折角テーブルがあってもお客様はお店でケーキを召上れないのではないかと思いまして……。ショウさん一人の日は、ケーキの販売だけで手がいっぱいだと思ったので……。もしかしてお客様はほぼ持帰りの方ばかりですか?」
「……うん。実はそうなんだ」
そう答えたショウはとても寂しそうな表情で話し始めた。
「ばあちゃんが店をやっていた頃は店を始めたばっかりっていうのもあって、来てくれるお客さんも少なかったから店の中でケーキを食べながら紅茶を飲んで、ばあちゃんと話をしていく人もいたみたい。でも、だんだんと常連さんがつくようになって、店の評判が良くなってくるとばあちゃんもイートインまで手が回らなくなったみたいなんだ」
「そうだったんですか」
「僕が本当に小さかった頃はまだ、このテーブルで美味しそうにケーキを食べて、楽しそうにお喋りをしているお客さんもいたんだ。うっすらとだけど記憶に残ってる。けど、僕が物心ついた頃にはもう店が結構繁盛してて、店で食べていくお客さんはあんまりいなかったかな。それまで店で食べていたお客さん達もばあちゃんに気を使って持帰りにしてくれてたんじゃないかな?
僕はこのテーブルで美味しそうにケーキを食べてくれるお客さんの笑顔も大好きだったから、店で食べていけるお客さんが増える様に自然とばあちゃんの手伝いを始めて、気づいたら店を継ぎたいって思うようになってたんだ」
「あの……、もしかして私にここのテーブルでティータイムを勧めてくれるのって……」
「うん。お客さんにはケーキと紅茶を出す余裕がなくて出来ていなかったから、せめて翔子ちゃんにはって思ってたんだけど、迷惑だったかな?」
ショウは苦笑いをしながら不安そうに聞いた。
「迷惑だなんて、とんでもない!とっても嬉しかったです。それに初めてお店に入った時、テーブルセット込みで素敵なお店だと思ったんです」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。まあ、店で食べるお客さんを捌けない程どんどんお客さんが来てくれるのはありがたい事だけどね。いつかは手際よくできる様になって、また、お店でケーキを美味しそうに食べてくれるお客さんの顔を見るのを目標にがんばるよ」
そう言っていつもの様にほわっと笑ったショウだったが、その笑顔はどこか少し寂しそうに見えた。
「フー、翔子ちゃんお疲れ様」
「ショウさん、お疲れさまです」
若干ぐったりした感じの翔子がショウへと返事を返した。
「ここのお店はいつもこんな風に混むんですか?」
「うん。まぁ、今日みたいな平日はこんなもんだね。土日とか学校が長期休暇の時はこれに学生さんや親子連れさんが増えるから、今日以上かな?」
「今日以上?」
翔子はびっくりした様に大きな声を出し、
「今日のお客さんの入り方にもビックリしましたが、今日以上となればやはりショウさんお一人では大変でしょうね。カケルさんのお力も必要な訳です。……それに比べて私は今日、お役に立てているのでしょうか……」
いくらバイト初日とはいえ、翔子は自分がショウの力になれているのかが不安になった。
「何言ってるの、翔子ちゃん!翔子ちゃんがやってくれている事だって、充分助かるよ。今日だって空になったトレイに気づいて下げてくれたでしょ?」
「あっ、はい。ケーキは予め作っておいた分だけと聞いていたので、空になったトレイは不要だと思ったので下げましたが……」
「あのひと手間がとってもありがたいんだ」
「?」
「お店によってはトレイがそのまま出ていると、そこへまた同じ種類のケーキが追加されるみたいなんだ。でも、ウチは絶対にケーキの追加は出来ない。ケーキを作ってるのも出しているのも、僕一人だからね。
常連さんは何となくわかってくれてはいるものの、他のお店にも行ってる人や初めてウチに来た人は空のトレイがあると、また追加でケーキが出てくるかもしれないと思って待ってる人もいるんだ。
だから、空のトレイが目について下げたくても目の前にいるお客さんを捌くので精一杯で、トレイを下げる手間さえ惜しくてなかなか下げれなかったんだ。カケルも気づいた時は下げてくれるんだけど、翔子ちゃんにそれを伝えてなかったのに下げてくれて助かったよ」
「そうだったんですね。私はただ、不要だと思っていましたが結果としてお役に立てたのなら良かったです」
「そういう風に細かい所に気が付いてくれるから、翔子ちゃんが来てくれて本当に良かったよ。これで、一旦休憩だからお昼を食べて午後また店を開けるけど、翔子ちゃんはどうする?今日は急に呼び出してそのままバイトになっちゃったから、疲れてない?疲れている様ならば今日は午前中だけで充分だけど……」
「……そうですね。正直、慣れない事をしたので疲れてしまいました。午後はお客様はどれくらいいらっしゃるんですか?」
「午後は比較的、少ないよ。午前中にだいたい売り切れが出て、補充できる分は限られているからお客様も午後は品数が少ないの分かってて、あんまり来ないんだ。だから、午後は僕一人でも充分お店は回せるよ」
「……そうですか」
「今日は本当に初日だし、疲れているだろうから店の事は気にしないで翔子ちゃんがどうしたいかで決めて良いよ?」
「……わかりました。お店をお手伝いしたい気持ちはあります。でも、身体が疲れてしまったのも事実ですので、申し訳ありませんが今日は帰らせていただきます」
「了解」
「でもショウさん!明日も朝からお手伝いに来ても良いですか?」
「もちろん。こちらとしては大歓迎。それに翔子ちゃんはもうここの従業員だから、お手伝いに来るんじゃなくて、働きに来るんだよ。フフッ。明日も宜しくね」
「はいっ。では、今日はこれで失礼させていただきますがシュークリームは……無いっ!売り切れてしまいまいたね……」
残念そうに言う翔子を見てショウは一旦店の奥の冷蔵庫へと戻り、
「はい。翔子ちゃんの分のシュークリーム」
「えっ?」
「いつものペースだときっと売り切れちゃうと思ったから、確保しておいたんだ。せっかく米田さんと話してシュークリームを食べたいって言ってくれたのが嬉しかったから、今日食べてほしくてね」
「うわぁ。ありがとうございます。では、今日はシュークリームを買って帰って勉強したいと思います」
「これは翔子ちゃん用に取っておいたシュークリームだから、代金はいいよ」
「そういう訳にはいきません。お客様と同じ様にお金をお支払いして、同じ様に食べなければ意味がありません。
それに、これからお店のお菓子をどんどん食べていくんですから、今日お支払いしないとこれから遠慮してしまいます……」
「なるほど……。じゃあ、きちんと代金を貰おうかな」
「はいっ。それとショウさん……」
ショウに呼びかけたものの、言いづらそうに言葉を探している翔子。
「うん?」
「お店の忙しさって毎日、今日みないた感じなんですよね?」
「?うん。さっき話した様に平日はだいたいこんな感じだよ?……もしかして、忙しすぎてバイト、嫌になっちゃった?」
「い、いえっ!そうではありません!」
慌てた様に否定する翔子。
「只、今日の様に忙しいと、折角テーブルがあってもお客様はお店でケーキを召上れないのではないかと思いまして……。ショウさん一人の日は、ケーキの販売だけで手がいっぱいだと思ったので……。もしかしてお客様はほぼ持帰りの方ばかりですか?」
「……うん。実はそうなんだ」
そう答えたショウはとても寂しそうな表情で話し始めた。
「ばあちゃんが店をやっていた頃は店を始めたばっかりっていうのもあって、来てくれるお客さんも少なかったから店の中でケーキを食べながら紅茶を飲んで、ばあちゃんと話をしていく人もいたみたい。でも、だんだんと常連さんがつくようになって、店の評判が良くなってくるとばあちゃんもイートインまで手が回らなくなったみたいなんだ」
「そうだったんですか」
「僕が本当に小さかった頃はまだ、このテーブルで美味しそうにケーキを食べて、楽しそうにお喋りをしているお客さんもいたんだ。うっすらとだけど記憶に残ってる。けど、僕が物心ついた頃にはもう店が結構繁盛してて、店で食べていくお客さんはあんまりいなかったかな。それまで店で食べていたお客さん達もばあちゃんに気を使って持帰りにしてくれてたんじゃないかな?
僕はこのテーブルで美味しそうにケーキを食べてくれるお客さんの笑顔も大好きだったから、店で食べていけるお客さんが増える様に自然とばあちゃんの手伝いを始めて、気づいたら店を継ぎたいって思うようになってたんだ」
「あの……、もしかして私にここのテーブルでティータイムを勧めてくれるのって……」
「うん。お客さんにはケーキと紅茶を出す余裕がなくて出来ていなかったから、せめて翔子ちゃんにはって思ってたんだけど、迷惑だったかな?」
ショウは苦笑いをしながら不安そうに聞いた。
「迷惑だなんて、とんでもない!とっても嬉しかったです。それに初めてお店に入った時、テーブルセット込みで素敵なお店だと思ったんです」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。まあ、店で食べるお客さんを捌けない程どんどんお客さんが来てくれるのはありがたい事だけどね。いつかは手際よくできる様になって、また、お店でケーキを美味しそうに食べてくれるお客さんの顔を見るのを目標にがんばるよ」
そう言っていつもの様にほわっと笑ったショウだったが、その笑顔はどこか少し寂しそうに見えた。
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