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第一章
翔子とショートケーキ
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そんなある日、
――カラン、カラン。
オープンとほぼ同時に米田さんが店へとやって来た。
「あっ、米田さん。こんにちは」
「こんにちは、翔子ちゃん」
「米田さん、こんにちは。今日もシュークリームですか?」
押し付けがましくない程度にショウが米田さんに尋ねると
「そうねぇ。今日は翔子ちゃんのオススメが出来てれば翔子ちゃんのオススメを頂こうと思ってたんだけど……」
「翔子ちゃんのオススメですか?まだ一週間くらいしか経ってないですけど……」
と、チラッと翔子を見るショウ。
「そうよね。まだ早かったわよね。ごめんなさいね、翔子ちゃん。別にプレッシャーをかけている訳じゃないのよ。只、自分が好きなこのお店の商品について翔子ちゃんと語りたくて……」
「わかります。好きなものについて誰かと話すのって凄く楽しいですよね。オススメ、ありますよ」
焦った様に翔子に謝る米田さんの言葉を途中まで聞き、翔子はニッコリと笑って言った。
「まだ、お店の商品全ては食べれていませんが、それでも私の中で一番オススメしたいケーキはありますよ」
「「えっ?」」
ビックリするショウと米田さんをよそに
「でも、現段階での一番のオススメですので今後また変わっていく可能性はありますが……。今の私の一番のオススメでも良いですか?」
「えぇ、もちろん」
「今の私の一番のオススメは【苺のショートケーキ】です」
「ショートケーキ?」
首を傾げるショウとは違い、米田さんは
「何故ショートケーキなのかしら?」
ニコニコとしながら翔子に理由を聞いた。
「はい。私が初めてこのお店に来た日、この街に来たばかりでワクワクや不安……色々な気持ちを抱えて街を散策していた時に偶然、このお店に出会いました。
そして、ショウさんが出してくれたケーキが【苺のショートケーキ】だったんです。トップの苺がコーティングされていない素朴なショートケーキでしたが、ショウさんやカケルさんと色々とお話をしながら食べたショートケーキは私の不安な気持ちを拭い去ってくれて、私のこのお店での【初めての記憶】に結びつくケーキになりました」
「……翔子ちゃん」
感銘を受けたようにつぶやくショウ。
「なので、米田さんにおすすめするケーキも苺のショートケーキになりますが、いかがなさいますか?」
「そう。翔子ちゃんがおすすめしてくれるなら、今日は苺のショートケーキにしようかしら」
そう笑顔で返す米田さん。
「それと、米田さんお時間はありますか?」
「ええ、あるけど……」
「では、こちらで召し上がっていかれてはどうでしょうか?」
「「えっ?」」
驚くショウと米田さん。
「まぁ、嬉しい。またここで食べられるの?」
「えっ?翔子ちゃん?」
急な翔子の提案にあたふたするショウ。
「ショウさん、勝手にご提案してしまってすみません。けれど、この一週間働かせて頂いて気が付いたのですが、今のお時間から米田さんにケーキをご提供してもお客様のピークまで時間があるので大丈夫だと思います。
それに、ショウさんがいつも淹れてくれるダージリンティーもありますし、私がご用意するので、もしお客様がいらっしゃった場合にはショウさんにご対応いただければ問題ありません」
そう自信たっぷりに話す翔子の姿、それから時計を見て確かにお客様が続々と来るには時間がある事を確認したショウは少し考えてから
「……じゃあ、翔子ちゃんにお願いしちゃおうかな」
とほわっと笑いながら言った。
「はいっ!」
元気よく応えた翔子は早速準備をしながら
「それでは米田さん、こちらのお席へどうぞ」
そう米田さんをテーブルへ案内した。ショウは密かに
(翔子ちゃん、毎日丁寧にテーブルや椅子も掃除をしていてくれたのはいつでもイートインが出来るようにだったんだ……)
と感動していた。
――カラン、カラン。
オープンとほぼ同時に米田さんが店へとやって来た。
「あっ、米田さん。こんにちは」
「こんにちは、翔子ちゃん」
「米田さん、こんにちは。今日もシュークリームですか?」
押し付けがましくない程度にショウが米田さんに尋ねると
「そうねぇ。今日は翔子ちゃんのオススメが出来てれば翔子ちゃんのオススメを頂こうと思ってたんだけど……」
「翔子ちゃんのオススメですか?まだ一週間くらいしか経ってないですけど……」
と、チラッと翔子を見るショウ。
「そうよね。まだ早かったわよね。ごめんなさいね、翔子ちゃん。別にプレッシャーをかけている訳じゃないのよ。只、自分が好きなこのお店の商品について翔子ちゃんと語りたくて……」
「わかります。好きなものについて誰かと話すのって凄く楽しいですよね。オススメ、ありますよ」
焦った様に翔子に謝る米田さんの言葉を途中まで聞き、翔子はニッコリと笑って言った。
「まだ、お店の商品全ては食べれていませんが、それでも私の中で一番オススメしたいケーキはありますよ」
「「えっ?」」
ビックリするショウと米田さんをよそに
「でも、現段階での一番のオススメですので今後また変わっていく可能性はありますが……。今の私の一番のオススメでも良いですか?」
「えぇ、もちろん」
「今の私の一番のオススメは【苺のショートケーキ】です」
「ショートケーキ?」
首を傾げるショウとは違い、米田さんは
「何故ショートケーキなのかしら?」
ニコニコとしながら翔子に理由を聞いた。
「はい。私が初めてこのお店に来た日、この街に来たばかりでワクワクや不安……色々な気持ちを抱えて街を散策していた時に偶然、このお店に出会いました。
そして、ショウさんが出してくれたケーキが【苺のショートケーキ】だったんです。トップの苺がコーティングされていない素朴なショートケーキでしたが、ショウさんやカケルさんと色々とお話をしながら食べたショートケーキは私の不安な気持ちを拭い去ってくれて、私のこのお店での【初めての記憶】に結びつくケーキになりました」
「……翔子ちゃん」
感銘を受けたようにつぶやくショウ。
「なので、米田さんにおすすめするケーキも苺のショートケーキになりますが、いかがなさいますか?」
「そう。翔子ちゃんがおすすめしてくれるなら、今日は苺のショートケーキにしようかしら」
そう笑顔で返す米田さん。
「それと、米田さんお時間はありますか?」
「ええ、あるけど……」
「では、こちらで召し上がっていかれてはどうでしょうか?」
「「えっ?」」
驚くショウと米田さん。
「まぁ、嬉しい。またここで食べられるの?」
「えっ?翔子ちゃん?」
急な翔子の提案にあたふたするショウ。
「ショウさん、勝手にご提案してしまってすみません。けれど、この一週間働かせて頂いて気が付いたのですが、今のお時間から米田さんにケーキをご提供してもお客様のピークまで時間があるので大丈夫だと思います。
それに、ショウさんがいつも淹れてくれるダージリンティーもありますし、私がご用意するので、もしお客様がいらっしゃった場合にはショウさんにご対応いただければ問題ありません」
そう自信たっぷりに話す翔子の姿、それから時計を見て確かにお客様が続々と来るには時間がある事を確認したショウは少し考えてから
「……じゃあ、翔子ちゃんにお願いしちゃおうかな」
とほわっと笑いながら言った。
「はいっ!」
元気よく応えた翔子は早速準備をしながら
「それでは米田さん、こちらのお席へどうぞ」
そう米田さんをテーブルへ案内した。ショウは密かに
(翔子ちゃん、毎日丁寧にテーブルや椅子も掃除をしていてくれたのはいつでもイートインが出来るようにだったんだ……)
と感動していた。
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