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9月
118.クジャクソウ
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ついに来た5日金曜日。何だか昨日の手紙のせいで落ち着かないまま、昼休みになった私。お昼ごはんも屋上だから行くのは同じなんだけど、何だか気がのらない。香苗は気にいらないならそういえばいいよって言うし、早紀ちゃんも同じように正直に答えたら言いと思うって。そう言われてもその場でその人の事を好きになるなんて、ありえる?あ、一目惚れって言う言葉があるのか。半分渋々で屋上に上がると、既に先に人の気配がする。
青空の下にいた男の子は見たことのない子で、私は戸惑いを隠せなくて早紀ちゃんの影に引っ込んでしまった。
「宮井さん、7組の鈴木貴寛と言います!」
7組って一番遠い組じゃん、何処で私の事見たの?私よりは背が高いけど、真っ黒の短い髪の毛は運動部の子っぽい。見たことない子に名前呼ばれるのって、何か落ち着かない気がする。
「俺、1年の時から君の事見てて!もしよかったらお付き合いして欲しくて!」
見た目には爽やかそうな男の子ではある。真っ赤になって一生懸命私の事を見ている彼は、真面目な好青年なのかもしれない。仲良くなったら違うのかもしれないけど、頭の中に浮かぶのは何でか雪ちゃんの顔ばかりだ。一生懸命話してる彼の言葉も半分くらいしか頭に入ってこない私の中は、雪ちゃんの顔ばかりで私の方がおどろいてしまう。こんな時にこんな風に自覚しなくても言いと思うのに、私は他の人に告白されながら自分の中が凄く雪ちゃんで一杯だったのに気がつかされてしまった。キスされても嫌なはずないのは、雪ちゃんだったからだ。もし、相手が智美君だったとしても、私きっと雪ちゃんじゃなきゃキスは出来なかったと思う。抱き締められたり、壁ドンされてキスされて嫌じゃなかったのは雪ちゃんが相手だったからだ。
「ごめんなさい、私、好きな人いるんです。」
か細い声で答えるのが精一杯の私に、彼は悲しそうに目を丸くしたけど礼儀正しく頭を下げて横をすり抜けていった。彼にせめて手紙に名前は書いた方がいいよと教えてあげたかったけど、余計なお世話かもしれない。
はーっと溜め息をついて脱力した私に、香苗は良くできましたと頭を撫でる。早紀ちゃんも安心したみたいに息をついて、貯水槽に歩いていくと上に声をかけた。香苗が驚いたように目を丸くしていると、上からニヤニヤ笑っている智美君が顔を見せて梯子を伝って降りてくる。
「笑い事じゃないよ、智美君。」
「いやぁ、青春してるなぁって。」
男の子より先に上にあがっててニヤニヤしてたのが目に見えて、私が不貞腐れるのによしよしと頭を撫でる智美君。目を丸くした香苗が、足が悪いのって嘘なのと詰め寄ったのは言うまでもない。そうだよね、初めてみたら絶対そう言いたくなるよねって、私も早紀ちゃんも同じような視線で2人を眺める。
自覚したからって言うわけじゃないけど、こうしてみると智美君って雪ちゃんに似てるんだと思う。栗色の髪の毛とか茶色の目とか、中学から高校に入るまでの雪ちゃんの写真があったらもっと似てる時があったかも。あんまり覚えていないけど中学の辺りの雪ちゃんはいつも愉快なお兄ちゃんって感じだった気がする。智美君を好きになったような気がしたのは、雪ちゃんに似てたからなのかなぁなんて、私は溜め息混じりに考えた。
私の溜め息に気がついた早紀ちゃんが、心配そうにして顔を覗きこむ。何かドッと疲れちゃったのは、変に気を使ったせいなんだろう。
「大丈夫?麻希ちゃん。」
「うん、大丈夫だよ。」
お弁当を広げながら自覚したけど、これからどうしたら良いのかなぁなんて密かに考えてしまう。好きって雪ちゃんに言ったら、雪ちゃんはどう答えてくれるのかな。雪ちゃんは私の事をどう考えているのか、本当に考えたことがなかった。でも、こうしてみるとあえて考えないようにしてたのかもしれない。
「元気ないね、麻希。」
「んー、智美君、女の子から好きって言われたらどうする?」
私の唐突な質問に智美君が、少し考え込むのが分かる。
「あんまり、考えたことないな、僕は。」
呟くような智美君の声は何時もの彼とは違っていて、私は思わず彼の顔を覗きこむ。小学校とか中学校とかで沢山女の子から告白されてそうって思ったんだけど、こんなに今綺麗な顔ってことは、小さい頃は女の子より可愛かったのかも。それじゃ告白しにくいか、自分より可愛い顔の男の子じゃなぁって私が思わず口に出したもんだから、香苗が吹き出して大笑いし始める。
「何?おかしな事言った?」
「麻希子ってさぁ本当に思った事が口に出るか顔に出るんだもん!」
爆笑されて私が不貞腐れたのに、智美君が苦笑いするのが見えた。だって、そう思ったんだから仕方ないじゃんっていってみたけど、智美君の苦笑は本当は違う意味だったのかなって心の奥が呟いてる。お家の事とか色々事情があるかもしれないし、詮索されたくないことかもしれない。それはさておいて、私は雪ちゃんが好きって自覚したけど何をどうしたらいいのかなぁ。
青空の下にいた男の子は見たことのない子で、私は戸惑いを隠せなくて早紀ちゃんの影に引っ込んでしまった。
「宮井さん、7組の鈴木貴寛と言います!」
7組って一番遠い組じゃん、何処で私の事見たの?私よりは背が高いけど、真っ黒の短い髪の毛は運動部の子っぽい。見たことない子に名前呼ばれるのって、何か落ち着かない気がする。
「俺、1年の時から君の事見てて!もしよかったらお付き合いして欲しくて!」
見た目には爽やかそうな男の子ではある。真っ赤になって一生懸命私の事を見ている彼は、真面目な好青年なのかもしれない。仲良くなったら違うのかもしれないけど、頭の中に浮かぶのは何でか雪ちゃんの顔ばかりだ。一生懸命話してる彼の言葉も半分くらいしか頭に入ってこない私の中は、雪ちゃんの顔ばかりで私の方がおどろいてしまう。こんな時にこんな風に自覚しなくても言いと思うのに、私は他の人に告白されながら自分の中が凄く雪ちゃんで一杯だったのに気がつかされてしまった。キスされても嫌なはずないのは、雪ちゃんだったからだ。もし、相手が智美君だったとしても、私きっと雪ちゃんじゃなきゃキスは出来なかったと思う。抱き締められたり、壁ドンされてキスされて嫌じゃなかったのは雪ちゃんが相手だったからだ。
「ごめんなさい、私、好きな人いるんです。」
か細い声で答えるのが精一杯の私に、彼は悲しそうに目を丸くしたけど礼儀正しく頭を下げて横をすり抜けていった。彼にせめて手紙に名前は書いた方がいいよと教えてあげたかったけど、余計なお世話かもしれない。
はーっと溜め息をついて脱力した私に、香苗は良くできましたと頭を撫でる。早紀ちゃんも安心したみたいに息をついて、貯水槽に歩いていくと上に声をかけた。香苗が驚いたように目を丸くしていると、上からニヤニヤ笑っている智美君が顔を見せて梯子を伝って降りてくる。
「笑い事じゃないよ、智美君。」
「いやぁ、青春してるなぁって。」
男の子より先に上にあがっててニヤニヤしてたのが目に見えて、私が不貞腐れるのによしよしと頭を撫でる智美君。目を丸くした香苗が、足が悪いのって嘘なのと詰め寄ったのは言うまでもない。そうだよね、初めてみたら絶対そう言いたくなるよねって、私も早紀ちゃんも同じような視線で2人を眺める。
自覚したからって言うわけじゃないけど、こうしてみると智美君って雪ちゃんに似てるんだと思う。栗色の髪の毛とか茶色の目とか、中学から高校に入るまでの雪ちゃんの写真があったらもっと似てる時があったかも。あんまり覚えていないけど中学の辺りの雪ちゃんはいつも愉快なお兄ちゃんって感じだった気がする。智美君を好きになったような気がしたのは、雪ちゃんに似てたからなのかなぁなんて、私は溜め息混じりに考えた。
私の溜め息に気がついた早紀ちゃんが、心配そうにして顔を覗きこむ。何かドッと疲れちゃったのは、変に気を使ったせいなんだろう。
「大丈夫?麻希ちゃん。」
「うん、大丈夫だよ。」
お弁当を広げながら自覚したけど、これからどうしたら良いのかなぁなんて密かに考えてしまう。好きって雪ちゃんに言ったら、雪ちゃんはどう答えてくれるのかな。雪ちゃんは私の事をどう考えているのか、本当に考えたことがなかった。でも、こうしてみるとあえて考えないようにしてたのかもしれない。
「元気ないね、麻希。」
「んー、智美君、女の子から好きって言われたらどうする?」
私の唐突な質問に智美君が、少し考え込むのが分かる。
「あんまり、考えたことないな、僕は。」
呟くような智美君の声は何時もの彼とは違っていて、私は思わず彼の顔を覗きこむ。小学校とか中学校とかで沢山女の子から告白されてそうって思ったんだけど、こんなに今綺麗な顔ってことは、小さい頃は女の子より可愛かったのかも。それじゃ告白しにくいか、自分より可愛い顔の男の子じゃなぁって私が思わず口に出したもんだから、香苗が吹き出して大笑いし始める。
「何?おかしな事言った?」
「麻希子ってさぁ本当に思った事が口に出るか顔に出るんだもん!」
爆笑されて私が不貞腐れたのに、智美君が苦笑いするのが見えた。だって、そう思ったんだから仕方ないじゃんっていってみたけど、智美君の苦笑は本当は違う意味だったのかなって心の奥が呟いてる。お家の事とか色々事情があるかもしれないし、詮索されたくないことかもしれない。それはさておいて、私は雪ちゃんが好きって自覚したけど何をどうしたらいいのかなぁ。
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