160 / 591
9月
131.アザミ
しおりを挟む
何事もなく何時も通りの一日が終わって家に帰ると私宛に手紙が届いていた。手紙って最近は滅多に書くことなんてない。私がそうだからか、普段あまり手紙をもらう機会なんてない気がする。そんなことを考えながら何気なく裏を返して見て目を丸くして驚いた。
木内梓から?
木内梓から手紙なんて正直予想外だった。しかも、夏休みの一件のせいか、木内梓の手紙って何かいいイメージない。なんて、正直最初は考えもしたんだけど、今さら木内梓が手紙で報復ってのもあり得ない気もした。そこまでするのにちゃんと今の住所が書いてあって、差出人もキチンと書かれてる。これで、中身が本当に悪口だったらそれってある意味怖い。ちょっと普通じゃないと思うんだけど、間違ってないよね。ここでもしも夏休みの家出の前と同じタイプの手紙だったら、正直に木内梓は私とは別な人種と考えて今後一切触れないでおくことにしよう。そう考えながらも、自分の部屋じゃなくてリビングで手紙を読むことにしたのは許してほしい。
だって、怖いじゃん、悪口とかだったら。
封筒を緊張して開ける私にママが誰からの手紙って聞くから、素直に木内梓からと答えた。
《拝啓、宮井麻希子様》
リビングのソファーに座って、開いた便箋の書き出しに私は目を丸くした。学校であまり付き合いがなかったから、木内梓の書く字なんて見たことがなかった。この手紙で初めて見たんだけど、木内梓の文字は凄く大人っぽくて綺麗だ。柔らかな色合いの便箋の手紙は、今までの木内梓のイメージとは違ってたおやかで上品に感じる。
ママが心配そうにキッチンカウンター越しに私の事を見てるけど、手紙は思ってたのとは全然違って穏やかな言葉で最初に《あの時はごめんなさい》って。その後に自分の近況を教えてくれる。木内梓の両親はどうやらあの後色々あったみたいで、今は離婚する方向で話し合いを始めたらしい。木内梓は最初どっちについていくかで悩んでいたみたいだけど、今は父親の実家から私立の女子校に通い始めたから父親についていくことになりそうだって。厳格なキリスト教の学校で今迄が嘘みたいに感じるって、制服のスカートの丈を詰めると怒られちゃうらしい。スカートの丈で罰のトイレ掃除は確かに嫌だけど、そうだよなぁ、今までミニスカートみたいにしてたんだもんって思わず苦笑いしてしまう。
木内梓は私が何時も人の事を真っ直ぐに見るのが、本当は羨ましかったって言う。そんなの普通なんじゃって考えたけど、ふっと私は考え込んだ。昨日香苗が言ったみたいに、私には当然って事も他の人からすると違うのかもしれない。木内梓はもしかしたら、人の事が真っ直ぐに見れないで過ごしていたのかな。もし本当にそうだとしたら、少し寂しい気がする。だって、真っ直ぐに人を見れないってことは、相手からも真っ直ぐに見てもらえないってことじゃないだろうか。友達も家族も全部そうだとしたら、凄く寂しいって私は思ってしまう。だって、雪ちゃんとか早紀ちゃんの顔が真っ直ぐに見れないってことでしょ?だから、木内梓は私が羨ましかったみたいだ。自分もそうなりたいから、新しい学校では頑張ってるって。そっか、頑張ってるんだ。
そんな風に素直に感じながら、昨日と同じく今度は木内梓からのごめんなさいを文字で受けとる。
木内梓もどこか変わった気がする。
今の香苗にも凄く感じるけど、木内梓も私の心の中にある前の嫌な感じのイメージとは変わった。私にはこの手紙では本当に彼女が、変わったような気がする。自分の事をちゃんと分かってるっていうか、あのお母さんから独立して木内梓らしくなろうとしてるような。私には表現するのはちょっと難しいけど、けして嫌な感じではないんだ。
「いい手紙だった?」
ママがキッチンカウンタ-の向こうから、私に賑やかな顔で問いかける。きっと答えは分かってて聞いてるんだろうなって、その笑顔には明らかに書いてあるけど。私はもう一度手紙を見下ろしてじっくり読み返してから、ママにそうだと思うって答える。以前とは違った今の木内梓なら、これから改めて友達になれるかなって私は少し感じた。
私も手紙出してみようか。
ちゃんと住所も書いてあるし、これから手紙をやり取りするのは悪くない気がする。もしかしたら、手紙から木内梓とも仲良くなれるかもしれない。今持っているのに何かいい便箋があったかなぁ、なかったら明日買いにいこう。そして、木内梓に手紙を出してみよう。
ママにそう言うと、ママはニッコリ笑ってそれはいいわねと答えてくれる。私にはまだ自分の事しか書くことはないけど、一先ず謝ってくれたから分かったよって伝えてみようと思う。そこから、改めて友達になれるかどうか共通して話せる事があるかどうか試してみるのも、悪いことではない気がする。
ここ暫く気にかかっていた事がハッキリ道筋が見えて、少し気分が軽くなるのを感じながら私は階段を上がって部屋に戻った。
木内梓から?
木内梓から手紙なんて正直予想外だった。しかも、夏休みの一件のせいか、木内梓の手紙って何かいいイメージない。なんて、正直最初は考えもしたんだけど、今さら木内梓が手紙で報復ってのもあり得ない気もした。そこまでするのにちゃんと今の住所が書いてあって、差出人もキチンと書かれてる。これで、中身が本当に悪口だったらそれってある意味怖い。ちょっと普通じゃないと思うんだけど、間違ってないよね。ここでもしも夏休みの家出の前と同じタイプの手紙だったら、正直に木内梓は私とは別な人種と考えて今後一切触れないでおくことにしよう。そう考えながらも、自分の部屋じゃなくてリビングで手紙を読むことにしたのは許してほしい。
だって、怖いじゃん、悪口とかだったら。
封筒を緊張して開ける私にママが誰からの手紙って聞くから、素直に木内梓からと答えた。
《拝啓、宮井麻希子様》
リビングのソファーに座って、開いた便箋の書き出しに私は目を丸くした。学校であまり付き合いがなかったから、木内梓の書く字なんて見たことがなかった。この手紙で初めて見たんだけど、木内梓の文字は凄く大人っぽくて綺麗だ。柔らかな色合いの便箋の手紙は、今までの木内梓のイメージとは違ってたおやかで上品に感じる。
ママが心配そうにキッチンカウンター越しに私の事を見てるけど、手紙は思ってたのとは全然違って穏やかな言葉で最初に《あの時はごめんなさい》って。その後に自分の近況を教えてくれる。木内梓の両親はどうやらあの後色々あったみたいで、今は離婚する方向で話し合いを始めたらしい。木内梓は最初どっちについていくかで悩んでいたみたいだけど、今は父親の実家から私立の女子校に通い始めたから父親についていくことになりそうだって。厳格なキリスト教の学校で今迄が嘘みたいに感じるって、制服のスカートの丈を詰めると怒られちゃうらしい。スカートの丈で罰のトイレ掃除は確かに嫌だけど、そうだよなぁ、今までミニスカートみたいにしてたんだもんって思わず苦笑いしてしまう。
木内梓は私が何時も人の事を真っ直ぐに見るのが、本当は羨ましかったって言う。そんなの普通なんじゃって考えたけど、ふっと私は考え込んだ。昨日香苗が言ったみたいに、私には当然って事も他の人からすると違うのかもしれない。木内梓はもしかしたら、人の事が真っ直ぐに見れないで過ごしていたのかな。もし本当にそうだとしたら、少し寂しい気がする。だって、真っ直ぐに人を見れないってことは、相手からも真っ直ぐに見てもらえないってことじゃないだろうか。友達も家族も全部そうだとしたら、凄く寂しいって私は思ってしまう。だって、雪ちゃんとか早紀ちゃんの顔が真っ直ぐに見れないってことでしょ?だから、木内梓は私が羨ましかったみたいだ。自分もそうなりたいから、新しい学校では頑張ってるって。そっか、頑張ってるんだ。
そんな風に素直に感じながら、昨日と同じく今度は木内梓からのごめんなさいを文字で受けとる。
木内梓もどこか変わった気がする。
今の香苗にも凄く感じるけど、木内梓も私の心の中にある前の嫌な感じのイメージとは変わった。私にはこの手紙では本当に彼女が、変わったような気がする。自分の事をちゃんと分かってるっていうか、あのお母さんから独立して木内梓らしくなろうとしてるような。私には表現するのはちょっと難しいけど、けして嫌な感じではないんだ。
「いい手紙だった?」
ママがキッチンカウンタ-の向こうから、私に賑やかな顔で問いかける。きっと答えは分かってて聞いてるんだろうなって、その笑顔には明らかに書いてあるけど。私はもう一度手紙を見下ろしてじっくり読み返してから、ママにそうだと思うって答える。以前とは違った今の木内梓なら、これから改めて友達になれるかなって私は少し感じた。
私も手紙出してみようか。
ちゃんと住所も書いてあるし、これから手紙をやり取りするのは悪くない気がする。もしかしたら、手紙から木内梓とも仲良くなれるかもしれない。今持っているのに何かいい便箋があったかなぁ、なかったら明日買いにいこう。そして、木内梓に手紙を出してみよう。
ママにそう言うと、ママはニッコリ笑ってそれはいいわねと答えてくれる。私にはまだ自分の事しか書くことはないけど、一先ず謝ってくれたから分かったよって伝えてみようと思う。そこから、改めて友達になれるかどうか共通して話せる事があるかどうか試してみるのも、悪いことではない気がする。
ここ暫く気にかかっていた事がハッキリ道筋が見えて、少し気分が軽くなるのを感じながら私は階段を上がって部屋に戻った。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
密会~合コン相手はドS社長~
日下奈緒
恋愛
デザイナーとして働く冬佳は、社長である綾斗にこっぴどくしばかれる毎日。そんな中、合コンに行った冬佳の前の席に座ったのは、誰でもない綾斗。誰かどうにかして。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる