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12月

217.キク赤

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12月13日 月曜日
昨日の手紙の件は私と鳥飼さん達との秘密になった。誰かに話したとしても、竜胆さんが木崎蒼子さんだと証明できるものが何もないのは事実。身元不明なら歯で照合とかって良くあるけど、竜胆さんの体は殆ど見つかっていない。それに木崎さんの歯医者とかの記録だって20年も前だと残ってないだろうって鳥飼さんが言っていた。勿論親戚とか自宅があれば違うんだろうけど、彼女にはどちらも存在しない。ある意味高潔なほど私欲の伺えるもののない人ではあったみたい。まああの性格は高尚だとは言いがたいけど。
事件から一週間。第一体育館は全壊に近いけど、一応うちの学校には第二体育館と、卓球とかバドミントンとか風に左右される部活用の第三体育館もあるから何とかそこで賄う事になりそう。土志田先生の生徒指導室はほぼ半壊で、センセが一番腹をたててるのが折角まとめた書類が全滅だったこと。パンフレットも殆どダメになっていてご立腹この上ない。ちなみに生徒指導室は一旦視聴覚室準備室に仮住まいになることになった。
孝君は何事もなかったみたいに学校に来たけど、智美君と仁君はお休みのまま。孝君に聞いたら一緒の日に退院したって言うけど、智美君はLINEで連絡したけど誰にも返答がない。早紀ちゃんがお弁当の話をしても反応がないって言うし、私かお菓子何食べたいって問いかけても返答はないままだった。孝君君が言うにはあの時二人とも生徒指導室の中で、足の悪い智美君は孝君を先に外に出して生徒指導室に残ったっていう。孝君はおぶってっていう事も考えたけど、智美君はこんな異常はおかしいから誰か大人を読んできて欲しいって。大人はここではセンセを指してたらしいけど、智美君はただの火事ではないと気がついていたって孝君は言葉少なに話してくれた。つまり智美君は爆弾を持ち込んだ迄は分からないものの、まともな火事ではないと気がついて身軽な孝君を先に逃がしたと言うことらしい。孝君は校舎からでた所で見知らぬ大人の人に助けられて、智美君がまだ中に残っているのを伝えて気を失ってしまったんだって。次に気がついた時には病院のベットの上で、同じ病棟に智美君もいたから安心したって話してた。孝君達は暗がりの中にいたから、竜胆さんの姿は全く見てないっていう。それ以上の事は孝君も話したくないのか、覚えていないのか口をつぐんでしまった。だから、だれもそれ以上彼に何かを聞き出せる雰囲気でもないし、智美君だって何か理由があって返事が出来ないのかも。仁君だってここ暫く体調を崩してたから、何でお休みなのかセンセが風邪と言えばそうなのかもしれない。少なくとも入院中の智美君は、孝君が言うには普段と変わらず毒舌満載だったっていうから少しは安心だ。って言うか誰に向かって毒舌だったのかは、少し心配。まさか看護師さんとかお医者さんに向かって毒舌じゃないよね?うう、智美君なら有り得そうなのがちょっと怖い。何人か病院に入院中の孝君達を見舞いに行こうとして、警察にシャットアウトされてたのは知ってるけど。まるで高貴な人とか重要人物扱いで、気持ち悪かったと孝君は溜め息混じりに話してる。

そっか、現場にいたからそうなんだろうなぁ

そんな事を考えていた私に、香苗が妙な噂話を聞いたって突然言い出したのはそんな時だった。源川先輩があの騒ぎの時、綺麗な人と抱き合ってたって話。

「別に源川先輩って何時でも彼女いるじゃん?何で妙なの?」
「男の人だったんだって、その綺麗な人。」

え?と思わず私はポカーンとしてしまう。男の人?綺麗な?鳥飼さんみたいな?顔にそう出てたみたいで香苗がその名前言うと真見塚が鬼の形相で飛んでくるよというから、香苗も同じ人を考えはしたみたい。しかも、結構二人が一緒に買い物したり出掛けたりしてるのは、人目についてたみたいな話。最近は街中で手を繋いで歩いてるのも見られてるらしい。
そう言えば私、文化祭の時に源川先輩と黒髪の男の人が階段から降りてきたのに鉢合わせてる。確かにあの男の人は色の白い女の人みたいに綺麗な顔立ちをしてて、鳥飼さんにくらべたら華奢な人だった気がした。先輩より年上だろうけど、体つきは先輩の方がしっかりしてるかも。それに、そうだ、あの時先輩ってこんな風に甘えるような声で話すんだなぁって思ったんだった。

「まあ、噂を流してるのが保住先輩らしいから、どこまでホントなんだかわかんないけど。」
「保住先輩って女版源川先輩って前言われてなかったっけ?」
「今も言われてるよ、とっかえひっかえだもん。」

失礼な呼び方だけど、ちょっと前までの源川先輩はプレイボーイとして有名だった。彼女が1週間もしないで変わる何てよくある話で、来るものは拒まず去るものは追わずという人。それが突然誰にもなびかなくなって、1番最初にフラれたのが保住先輩だっていうのは表には出さないけど皆知ってる話だ。源川先輩は今本命の恋人と真剣なお付き合いをしてるって噂だし、あなたを愛していますって直向きにその人を大事にしてるって話。その相手が男の人…女の人で飽きるくらいお付き合いしたから、運命の相手が男の人だったのかなぁって私か呟くもんだから香苗があんた大物だよと呆れたように私を眺めていた。

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