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12月

218.シネラリア紫

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12月14日 火曜日
今日も智美君は学校に来ていない、仁君も同じく。センセに聞いても体調不良としか教えてもらえない。本当に体調を崩してるのかもしれないから、仁君のお見舞いに行こうか悩んでいる。っていうのも一昨日鳥飼さんのお家にお邪魔した時、仁君の姿を見なかったから。前にお邪魔した時興味津々でリビングにいたのに、一昨日はセンセも鳥飼さんもいたけど顔も見せなかった。だから、実は凄く体調が悪いのかなぁって今更。後ちょっとだけ一緒になって泣いてしまったことも、鳥飼さんとセンセがあんな風に泣いてしまう姿を見てしまったのもあって、ちょっとだけ気まずいところもある。
個人的に皆も連絡のとれる筈の智美君は連絡は未だに反応がなくて、若瀬君も木村君も近藤君までいつも快活な筈が活気がない。それに実はまだ、あれから1週間しか経っていないせいか、何人かチラホラと学校を休む人もいるから二人が特別なにかあったとも言いがたい状態だったりもするんだ。実は今日は香苗も風邪だって休んだし、早紀ちゃんも少し体調が良くなさそうだったりする。

早く元通りになんないかなぁ

そんなことを考えながら2階の昇降口の上の廊下から溜め息混じりに中庭を見下ろしていると、3年の保住先輩が中庭を横切って行くのが見えた。保住先輩らしい茶髪のウェーブのかかった長い髪を翻して、どうやってそこまで短く詰めているのか分からないスカートの裾を翻して行く。下着見えそうな長さだけど、恥ずかしくないのかなぁ。流石にそこまでスカート短くしたいとは私は思わないんだよね。それにしても可愛らしいって感じの顔立ちの保住先輩だけど、好きになって告白した相手のゴシップめいた噂を流してるって正直どいうい感覚なんだろう。相手の人が男の人って本当かどうか知らないけど、どちらにせよ源川先輩は本気の恋をしてるわけで。
それに保住先輩自身は次から次に彼氏を変えるって、その都度本当に相手の事を本気で好きになってるのかな?私にはそういう切り替えは難しそう。だって雪ちゃんに好きだって言われたら直ぐ喜んじゃうと思うし、もし嫌いって言われたら絶対立ち直れない気がする。

「何みてんの?」

え?と、思わす振り返ると背後にいたのは何故か源川先輩。背の高い先輩は、藍色に見える瞳で興味津々な顔で私を見ている。あれ?何でいつの間に源川先輩から、こんな風に親しげに話しかけられるようになってるんだっけ?あの時の避難の時のせい?いや、なんかその前から確かに結構目が合うような気はしてるけど、話しかける切っ掛けってあったっけ?私が驚いて目を丸くしてると、先輩は可笑しそうに吹き出した。

「ふふ、やっぱ目まんまる。小動物みたいだな。」
「はい?!」
「ハムスターっていうより、あれだ、モモンガとか針ネズミとか。」
「はいい?!」

なんかとんでもなく失礼な事を言われてるよね?そんなこと思って私のこと眺めてたってこと?!誰がモモンガや針ネズミですか?!不満顔をした私に先輩は可笑しそうに笑う。

「可愛いだろ?クリクリの目して。どっちかっていうとモモンガかな?」
「う、嬉しくないです。」

モデル張りのイケメンの先輩に嬉しそうにモモンガ呼ばわりって、なんか悲しくない?せめて人間で例えて欲しい。それにしても先輩ってこんな気さくに話しかけてくる人なんだと思わなかった、いっつもクールにカッコいいマンな感じだったのに。しかも案外子供みたいな顔で笑うし。
訳のわからない事を言いながらニッコリ笑う先輩は何故かポンポンと私の頭を撫でたかと思うと、私が見ていた中庭を横から覗きこむ。もう保住先輩はいないから無人の中庭に、先輩は不思議そうに目を細める。

「何か美味しそうなものでもあった?」
「餌探しじゃないですっ!もー、モモンガ呼ばわりしないでください。」

ははと楽しそうに笑う先輩だけど、あの、本気で何でこんなに親しげになってるんだっけ?

「あの、私何かしましたっけ?」
「ん?別に何にも。でも、モモちゃん目立つからなぁ。」
「モモンガはやめてくださいってば。……目立つ?」

私の声に先輩は突然耳元に顔を近づけてひそひそと囁いた。そんな行為を簡単にするから、先輩は昔プレイボーイ何て言われてたんだ。だって、スイッチの入った雪ちゃん張りの低くて耳を擽るような声なんだもん。

「この間、街中でメガネのイケメンとキスしてただろ?」
「うえっ?!」

何時の事?!何時見てたの?!しかも何処で見てたの?!って言うか何時の事って、考えてる時点で私も危険なんじゃ?私が1人アワアワと慌てふためいてるのに、先輩は微笑ましい感じで私を見ている。

「あ、あの、それは。」
「ああ、誰にも言わないよ、モモちゃん困るんだろ?」
「だから、モモンガはやめてくださいってば!」

それにしても人の目って本当に何処にでもあるんだって痛感。夏休みの辺りにも痛感してたのに、自分に関わってくると真剣に痛感。する。外でキスしたのって最近あったっけ?あ、何か記憶にある…でも、外じゃないとこでも沢山してない?あれ?そういう意味じゃないか。

「くく、本当に顔に出るなぁ。そうだ、名前なんだっけ?」
「み、宮井麻希子です。」

面白いがっている源川先輩が宮井ねと繰り返している。また頭をポンポンと撫でて、先輩は私の事を見下ろすと

「じゃ、お互いに気を付けないとな?モモ。」

そう言いながら歩き去っていく。お互いにってことは、先輩も恋人と一緒に歩いてて私の事を見たんだ。全然気がつかなかったって、先輩名前教えたのにモモンガを止める気ない!!モモンガやめてくださいっ!しかもちゃんなしでモモ呼ばわりは嫌です!!
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