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2月
285.モクレン
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2月19日 日曜日
人間って好きなものは持続性があるけど、テスト勉強とか嫌なものには持続性を期待できないものだよね。とはいえ来年度の崇高な目標のためにも、テスト勉強は必要なのです。ええ、それは重々分かってるけど!ご飯を作りにいくのは最近の楽しみなんだもん!料理って続けると腕が上がると思うんだよね。と言い訳して雪ちゃんのお家に向かう私。崩れるものもないから超ダッシュなのは、別にこの間の暮明が怖かったのとは関係ないよ、たぶん。
雪ちゃんのお家まで殆ど道は明るいんだけど、公園を越したところからほんのちょっと細い路地があるんだよね。そこだけ何でか人気はないし、夜になるとちょっと暮明が多い。まあ、ほんの1~2分で通り抜けられちゃう程度なんだけど。丁度両側の道がブロック塀で立ち木もあって、薄暗いし距離が短いから蛍光灯がないってだけなんだ。でも、住宅地でアパートとかマンションが立ち並ぶとこういう小道って、どうしてもできちゃうよね。早紀ちゃんはお家の裏のお寺さんの横にアパートのブロック塀と墓地の塀に挟まれた小道があって暗くてやなのって言うし、香苗は香苗で駅の線路の下を通る地下通路が怖いって。誰しも1ヶ所くらいそういうとこはあるんだよね。三浦のお化け屋敷なんかも、近くを通る子達には恐怖スポットな訳だしね。
陽射しの中颯爽とご飯を作りに行ったけど作りおきが終わって一段落したから、今日は勉強するから帰るねって言ったら雪ちゃんが家まで送るって。昼間だから大丈夫だよって言ったんだけど、一緒に居たいだけだよって耳打ちされて思わず真っ赤になってしまう。雪ちゃんてば最近本当にこういうこと平気で言うし、隠さなくなってきたのはなんでっ!真っ赤になってる私の手をとって雪ちゃんが靴を履きながらリビングに向かって声をあげる。
「衛、ちょっと麻希子、送ってくるからね。」
「分かったー、僕後で遊びにいくからね!」
分かったよって言ったけど、今、雪ちゃんってば衛の前で私のこと麻希ちゃんじゃなく麻希子って呼んだ?!ええ?!って顔したけど雪ちゃんってば何か問題?って顔してるんですけど。う、うーん?いいのかな?いいのか、私も衛って呼んでるし、あれ?いいのかな?道に出てからも首を捻っている私に、雪ちゃんが可笑しそうに言う。
「そんなに考え込まなくていいよ?衛が呼び方が最近ぎこちないから変だって。」
「え?」
「俺が麻希子って呼ぶ方に慣れてきちゃったの、もう衛にはバレてるだけだよ。」
あれ、何でだろ、何か凄い恥ずかしいんだけど。衛にそんなにばれるくらい麻希子って呼んでるんだっけ?そうなのかもしれない、私が智雪って呼び慣れてないだけで。それにしても衛ってばメキメキ大人になり過ぎて、なんだか物わかり良すぎない?あっという間に成長してて、なんだか驚く以上に寂しくなってしまうのはどうしてなのかな。そんなことを考えてしまって慌てて、手を繋いでいる雪ちゃんとの話題を私は変えてしまう。
「そうだ、雪ちゃんのお友達って鳥飼さんとセンセ以外にもいるの?」
「ん?何で?」
あんまり知らないから気になってって言うと、気になるのって笑いながら雪ちゃんがそうだなぁって呟く。お仕事の同僚で歳が1個違いの菊池さんって人は、前お仕事の最中にLINEした時一緒にいて結構仲がいいって教えてくれる。菊池さんは奥さんがいて、今2人目の赤ちゃんがお腹にいるんだって。後は年上で妙な人と何でか気があって友達なのかなって言うけど、友達に妙なって表現?思わず笑うと麻希子は友達は?って聞かれる。そう言われるとあんまり友達の話を雪ちゃんにしてないかもしれない。
「うんと、早紀ちゃんと香苗でしょ、後は久保ちゃんとか夏帆ちゃんとか。智美君とか孝君、仁君とか。」
歩きながら答えるとふぅんって意味ありげに笑う雪ちゃんに、あれってなって顔をあげた。男の子の名前言ったから今、ちょっとブラック雪ちゃんになったよね?
「ただの友達だよ?クラスメイトだからね?」
「分かってる。でも、羨ましい。」
凄く自然な形で雪ちゃんがそういうから、何がって問いかけると一緒に過ごせる時間が長いって呟く。それは確かに同級生だからそうだろうけど、私も竜胆さんとか一緒にお仕事できるの羨ましかったよって笑うと雪ちゃんは苦笑いした。公園を通りすぎる時にふっと竜胆さんとならんで話したことを思い出して、思わず私の歩調が緩むのに雪ちゃんが気がつく。
「麻希子?」
冬の空気の中で公園は少し寒々しく見えてあの時の寂しげな竜胆さんが佇んでいるような気がする。早く桜が咲いて春の気配がしたら、自然への愛って訳じゃないけど記憶の中の竜胆さんも少し暖かい感じにならないだろうか。
「どうかした?」
「あ、ううん、ちょっと考え事しちゃった。」
首を振って歩きだした私は雪ちゃんに笑いかけると、チョコ同だった?って問いかける。凄く美味しかったって雪ちゃんから微笑まれると、私も嬉しくなってしまう。衛も大興奮だったみたいで大事に飾るっていってくれたらしいけど、その言葉はものの数分しかもたなかったみたい。思わず笑ってしまうけど、チョコだから飾るより食べてもらった方がいいかなぁ。
「美味しかったから、また作って欲しいな。」
「うん、いいよ!また作ってあげるね。」
そう言うと雪ちゃんは嬉しそうに微笑んでくれた。
人間って好きなものは持続性があるけど、テスト勉強とか嫌なものには持続性を期待できないものだよね。とはいえ来年度の崇高な目標のためにも、テスト勉強は必要なのです。ええ、それは重々分かってるけど!ご飯を作りにいくのは最近の楽しみなんだもん!料理って続けると腕が上がると思うんだよね。と言い訳して雪ちゃんのお家に向かう私。崩れるものもないから超ダッシュなのは、別にこの間の暮明が怖かったのとは関係ないよ、たぶん。
雪ちゃんのお家まで殆ど道は明るいんだけど、公園を越したところからほんのちょっと細い路地があるんだよね。そこだけ何でか人気はないし、夜になるとちょっと暮明が多い。まあ、ほんの1~2分で通り抜けられちゃう程度なんだけど。丁度両側の道がブロック塀で立ち木もあって、薄暗いし距離が短いから蛍光灯がないってだけなんだ。でも、住宅地でアパートとかマンションが立ち並ぶとこういう小道って、どうしてもできちゃうよね。早紀ちゃんはお家の裏のお寺さんの横にアパートのブロック塀と墓地の塀に挟まれた小道があって暗くてやなのって言うし、香苗は香苗で駅の線路の下を通る地下通路が怖いって。誰しも1ヶ所くらいそういうとこはあるんだよね。三浦のお化け屋敷なんかも、近くを通る子達には恐怖スポットな訳だしね。
陽射しの中颯爽とご飯を作りに行ったけど作りおきが終わって一段落したから、今日は勉強するから帰るねって言ったら雪ちゃんが家まで送るって。昼間だから大丈夫だよって言ったんだけど、一緒に居たいだけだよって耳打ちされて思わず真っ赤になってしまう。雪ちゃんてば最近本当にこういうこと平気で言うし、隠さなくなってきたのはなんでっ!真っ赤になってる私の手をとって雪ちゃんが靴を履きながらリビングに向かって声をあげる。
「衛、ちょっと麻希子、送ってくるからね。」
「分かったー、僕後で遊びにいくからね!」
分かったよって言ったけど、今、雪ちゃんってば衛の前で私のこと麻希ちゃんじゃなく麻希子って呼んだ?!ええ?!って顔したけど雪ちゃんってば何か問題?って顔してるんですけど。う、うーん?いいのかな?いいのか、私も衛って呼んでるし、あれ?いいのかな?道に出てからも首を捻っている私に、雪ちゃんが可笑しそうに言う。
「そんなに考え込まなくていいよ?衛が呼び方が最近ぎこちないから変だって。」
「え?」
「俺が麻希子って呼ぶ方に慣れてきちゃったの、もう衛にはバレてるだけだよ。」
あれ、何でだろ、何か凄い恥ずかしいんだけど。衛にそんなにばれるくらい麻希子って呼んでるんだっけ?そうなのかもしれない、私が智雪って呼び慣れてないだけで。それにしても衛ってばメキメキ大人になり過ぎて、なんだか物わかり良すぎない?あっという間に成長してて、なんだか驚く以上に寂しくなってしまうのはどうしてなのかな。そんなことを考えてしまって慌てて、手を繋いでいる雪ちゃんとの話題を私は変えてしまう。
「そうだ、雪ちゃんのお友達って鳥飼さんとセンセ以外にもいるの?」
「ん?何で?」
あんまり知らないから気になってって言うと、気になるのって笑いながら雪ちゃんがそうだなぁって呟く。お仕事の同僚で歳が1個違いの菊池さんって人は、前お仕事の最中にLINEした時一緒にいて結構仲がいいって教えてくれる。菊池さんは奥さんがいて、今2人目の赤ちゃんがお腹にいるんだって。後は年上で妙な人と何でか気があって友達なのかなって言うけど、友達に妙なって表現?思わず笑うと麻希子は友達は?って聞かれる。そう言われるとあんまり友達の話を雪ちゃんにしてないかもしれない。
「うんと、早紀ちゃんと香苗でしょ、後は久保ちゃんとか夏帆ちゃんとか。智美君とか孝君、仁君とか。」
歩きながら答えるとふぅんって意味ありげに笑う雪ちゃんに、あれってなって顔をあげた。男の子の名前言ったから今、ちょっとブラック雪ちゃんになったよね?
「ただの友達だよ?クラスメイトだからね?」
「分かってる。でも、羨ましい。」
凄く自然な形で雪ちゃんがそういうから、何がって問いかけると一緒に過ごせる時間が長いって呟く。それは確かに同級生だからそうだろうけど、私も竜胆さんとか一緒にお仕事できるの羨ましかったよって笑うと雪ちゃんは苦笑いした。公園を通りすぎる時にふっと竜胆さんとならんで話したことを思い出して、思わず私の歩調が緩むのに雪ちゃんが気がつく。
「麻希子?」
冬の空気の中で公園は少し寒々しく見えてあの時の寂しげな竜胆さんが佇んでいるような気がする。早く桜が咲いて春の気配がしたら、自然への愛って訳じゃないけど記憶の中の竜胆さんも少し暖かい感じにならないだろうか。
「どうかした?」
「あ、ううん、ちょっと考え事しちゃった。」
首を振って歩きだした私は雪ちゃんに笑いかけると、チョコ同だった?って問いかける。凄く美味しかったって雪ちゃんから微笑まれると、私も嬉しくなってしまう。衛も大興奮だったみたいで大事に飾るっていってくれたらしいけど、その言葉はものの数分しかもたなかったみたい。思わず笑ってしまうけど、チョコだから飾るより食べてもらった方がいいかなぁ。
「美味しかったから、また作って欲しいな。」
「うん、いいよ!また作ってあげるね。」
そう言うと雪ちゃんは嬉しそうに微笑んでくれた。
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