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二度目の6月

389.テンナンショウ

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6月1日 木曜日
修学旅行も終わって一番に雪ちゃんの顔を見に行ってお土産を渡したんだけど、雪ちゃんの方は全部糸が取れて金曜日の検査が良ければ週末には退院できるみたい。腎臓の移植とかだとあげる方の人は早いと五日もすると退院できるんだって、そういわれれば去年の夏のママの手術も案外早かったもんね。傷に大きい?って聞いたら、雪ちゃんてばその場で上のパジャマを捲るから凄い驚いちゃった。あんまり私が驚いたものだから、病室の他の患者さんが駄目だよお兄ちゃん・彼女に突然って大笑いしてたけど。

そんなわけであっという間の修学旅行が終わって、なんだか皆の気力が萎えてる只今。教頭先生はそのまま沖縄で後半グループの修学旅行と聞いていいなあ・倍も沖縄なんだ~って皆がいうけど、センセは馬鹿言うな自分の旅行なら兎も角一つも気が抜けないんだぞと言う。確かに壮大な美しい海とか空とか自由に楽しめる四泊五日なら楽しいだろうけど、自分の子供より若い子供達約百五十人ずつ注意し続けるってしんどそう。しんどそうとは思うけど、まだ旅行ボケが抜けな~い。
なんだか気が抜けたような感じのまま、授業もボーッと受けてるけど、気がついたらもう来週には中間なんだよ。去年もこの時期確か追い込みしてたような気がしなくもないんだけど、今回も何でか智美君の特訓が始まってる。

「智美君、難易度高い~!」
「は?なに?聞こえない。」

うう、スパルタだ。旅行ボケ対策って言われたけど、数学の問題の公式が出てこないよぉ!仁君に助けを求めようとしたのをサックリ智美君にブロックされて、しかも時間制限つけられた!!鬼!
そうそう、実は五十嵐君は凄く数学が得意で英語が鬼門なんだと話してるのが聞こえた。修学旅行でなんだか凄く近藤君とか木村君と仲良くなったらしいのは、何でだろう?それに前より智美君に対しても態度が緩和してるみたいで。

「ほら、考え事してると残り時間減るぞ。」
「うええ!鬼~っ。時間短いーっ!」
「鬼じゃない、自分で特訓って言ったろ?まず数学越えとかないと、生物と物理までいかないぞ。」

そんなことを嘆いている私の様子に、五十嵐君が近藤君に何か問いかけている風だ。香苗の方は相変わらず苦手な古文で同じく、智美君の反対側にいて頭を抱えている。

「古文は英語。単語。」

あ、香苗が地味に呪文を蹴り返してる。このスパルタに始めてみるらしい松尾ちゃんと鈴木君初め、今年から同じクラスになった子達は覗いてエエって顔した。だって、この問題作ってるの智美君なんだよ?しかも、手を変え品を変えの問題で、しかもジリジリとレベルアップするし。特訓の話はしてたんだけど、まさか旅行直後に持ってくると思わないでしょ?いや、もう確かに一週間しかないんだけど。これって何時作るのかなぁって思う、正直。

「はい、タイムオーバー。」
「嘘~、あと少しだったのに。」
「公式が違う。それだと回りくどい。」

えええ?!本当?違う公式ってどれと問いかけると、本当に別の公式でシャラシャラと問題を解かれてしまって脱力。考え方は合ってたのに、取っ掛かりが間違ってるなんて。

「凄い教え方だな、香坂って。塾なみじゃん。」

呆れているのは今年同じクラスになった子達。でも、これ去年の後半は当然の姿で、既に早紀ちゃんは最近苦手な英語を克服しつつある。しつつあるから何でかヒアリングになってるのはここだけの話だけど、ヒアリングに関しては実は仁君の方が耳はいいらしい。なんか、このままだと仁くんって名前も同じ漢字だからなのか、ポスト源川先輩になりそう。

「ほら、ボーッとしない。次。」
「ふえ~っ、早い~っ。」

あっという間に次の問題にいかれて、うえーんってなってるけど、以前に比べたらずっと解けるようにはなってるんだよ!ホントに。ちなみに今回近藤君が香苗と一緒に漢文古文で問題を貰ってるんだよね、地味に皆も苦手教科の克服を狙っているみたい。むー、この間接戦だったからなぁ。

「あー!!もー!古文は英語!」
「香苗、呪文より文法。」
「腹立つーっ!智美の頭殴ったら馬鹿になんないかなぁ!」
「はい、それ間違い。前段をちゃんと把握。」
「あーっ!!古文嫌いーっ!」

香苗が訳のわからない八つ当たりしてるけど、智美君を殴ったら馬鹿になるどころか更に難しい問題が出てくるようになると思うよ。お陰で一気に旅行ボケが吹っ飛んだからよかったけど、思わず智美君は勉強しなくていいの?って聞いたら、問題作ってるから逆に復習になってるって。うー、頭の基本的なとこが違うんだよ!とっくにこれは復習な範疇なんだもん、智美君と仁君と若瀬君って。よく見たら若瀬君ってばもう大学の入試問題ノンビリといてるけど、それってスッゴク難しいとこのだよね?!それってノンビリと暇潰しする範疇の問題集と違うよね!

「はい、余計なこと考えない。」
「鬼~っ!」
「鬼に頼んだのは麻希子と香苗。ほら、進む!」

くーっ!もう少し優しくゆっくりやろうよーっ!わかってるよ!時間があるからテストなんだって!でも、まだ一週間あるから!!
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