62 / 591
7月
53.カンガルーアイビー
しおりを挟む
テスト前の緊張感の中でもサラリとした爽やかさで早紀ちゃんは余り変わりがない。羨ましい、私みたいに苦手な教科を死に物狂いて一夜漬けって言う感じでもないのかな。
とか思うけど、もっとかわらないのは、やっぱり視界の先の香坂君だ。相変わらず何か本を読んでいる様子で、気がついたけど休憩にテスト勉強するわけでもないし、何せ教科書すら開く気配もない。
早紀ちゃんの前の席に横ずわりしながら何気なく香坂君の姿を眺める。
昨日のあの騒ぎの後、香苗が何かいいたそうだったにこっちを見るけど私の中に在った友情なんてものは儚く崩れて信頼のしの字もなくなってるのであえてこっちから関わる気はない。ついでに言えば木内梓もあの後何時までもこっちを睨み付けてくるんだけど、意地悪なことをやったのはあんたな訳でこっちは何も悪いことしてない。そう言うわけで、香苗や木内梓と関わらなくても私は何も困らないし、早紀ちゃんも何も言わないのでいい事にしている。
窓辺から差し込む光の中で日に透ける香坂君の茶色の髪は、キラキラと輝いて凄く綺麗だ。お洒落なつもりで下手に茶色に脱色したりすると目に分かるくらい金色になって、先生から呼び出しされることもあるけど香坂君は地毛なんだろうな。私も茶色に近いけどあんな風に綺麗な色じゃない。香坂君みたいな色じゃないなら早紀ちゃんみたいに真っ黒くて艶々だったらよかったななんて心のなかで思う。こうして眺めてみていれば飽きないくらい色々な事に気がつく。
そんなことを考えているのに頭の半分はやっぱりあの苺の花の箱の事も考えている。あの箱の中にあった写真はやっぱり見直しても1枚も雪ちゃんは笑顔で写ってないし、私が写ってないのも多かった。ただ、どの写真も雪ちゃんと信哉さん、土志田先生が一緒にいる。不機嫌そうな顔で写っていても距離感は皆が同じだ。まるで心の中が半分になったみたいでザワザワする。
変わらぬ愛と言った、そう書いてあった鳥飼さんのメッセージがふと心に浮かぶ。言い換えてしまったら雪ちゃんが永遠の愛を誓った衛のママは、もうこの世にはいない。でもあの箱は衛のママに出会うよりもっと前の事なはずだから、あの文字は何を意味したんだろう。誰に向けた言葉だたんだろう。そう思ったら確かめてみたくなって、早紀ちゃんを引きずるようにして職員室に向かっていた。
「写真~?」
「いいから、センセこれ見てよ!」
職員室に乗り込んだ私と早紀ちゃんに目を丸くした土志田先生の手に写真を押し付けると、呆れたように土志田センセが眉を上げる。テスト前にお前達余裕だなーと言いながら私の手から写真を受け取ってマジマジと見下ろした土志田先生は、写真にハタと表情を変えた。そう言えば香苗と木内梓は写真を見たけど先生だと気がつかなかったみたいだったなぁとその姿を見ながら考える。
センセは暫く無言で何時にない真面目な顔で写真を眺めていたけど、やがて思い出し笑いのように何時もと違うほろ苦い笑いを浮かべた。
「懐かしい物を見つけたなぁ。雪がもってたのか?これ。」
「ううん、家のアルバムにあったの。センセこれ何時の写真?」
「高2くらいだな、あの頃は四六時中ずっとつるんでたからなぁ。」
高2くらいって言うと28歳の雪ちゃんが17歳位の頃で11年前で、私は5歳か6歳で………あァ、今気がついたけど年数がわかっても何もならないかも!
「はは、信哉凄い仏頂面だな。ああ、そうだなぁあの辺りは何時もこんな顔してたな、そういえば。雪も似たような顔してたと思ったけどなぁ」
呟くように言った言葉に私はハッと我にかえる。笑顔で写っている雪ちゃんに、同じ時期の土志田先生は違う印象の雪ちゃんを覚えてるんだ。あの私が持ってる苺の花の箱の写真の方の雪ちゃんを、やっぱり土志田先生も知ってる。
「センセ、雪ちゃんってその頃何かあったの?」
「何かってお前の方が良く知ってるだろうが?」
「子供過ぎて覚えてないんだもん。教えてよ!」
突然勢い込んで詰め寄った私に、土志田先生は呆れたように笑う。そうしながら土志田先生は少し目を細めて、早紀ちゃんを見やりながら言葉を選んだように口を開いた。
「別に特別何かが起きたわけじゃない。お前が聞けば雪なら素直に話すと思うぞ?」
「はぁ?」
う~~~~ッ余計に謎かけになってしまった!その上、土志田先生はこれでお終いと言うように私に写真を渡して話を終えてしまう。もっと詳しく教えてよ~食い下がっても土志田先生はテスト勉強しなさいの一点張りで、次の授業の事もあって渋々私達は廊下に足を出した。
「麻希ちゃん、ごめんね?」
「え?」
「私がいたから、土志田先生は話さなかったんじゃないかな?麻希ちゃんの従兄さんの個人的なお話だから。」
え?そうなの?と私は早紀ちゃんの顔を見返す。気がつかなかったけど、そう言うことなんだろうか?
私は首を捻りながら、じゃ今度は1人で聞きに行けばいいのかなと真面目に考えてしまっていた。
とか思うけど、もっとかわらないのは、やっぱり視界の先の香坂君だ。相変わらず何か本を読んでいる様子で、気がついたけど休憩にテスト勉強するわけでもないし、何せ教科書すら開く気配もない。
早紀ちゃんの前の席に横ずわりしながら何気なく香坂君の姿を眺める。
昨日のあの騒ぎの後、香苗が何かいいたそうだったにこっちを見るけど私の中に在った友情なんてものは儚く崩れて信頼のしの字もなくなってるのであえてこっちから関わる気はない。ついでに言えば木内梓もあの後何時までもこっちを睨み付けてくるんだけど、意地悪なことをやったのはあんたな訳でこっちは何も悪いことしてない。そう言うわけで、香苗や木内梓と関わらなくても私は何も困らないし、早紀ちゃんも何も言わないのでいい事にしている。
窓辺から差し込む光の中で日に透ける香坂君の茶色の髪は、キラキラと輝いて凄く綺麗だ。お洒落なつもりで下手に茶色に脱色したりすると目に分かるくらい金色になって、先生から呼び出しされることもあるけど香坂君は地毛なんだろうな。私も茶色に近いけどあんな風に綺麗な色じゃない。香坂君みたいな色じゃないなら早紀ちゃんみたいに真っ黒くて艶々だったらよかったななんて心のなかで思う。こうして眺めてみていれば飽きないくらい色々な事に気がつく。
そんなことを考えているのに頭の半分はやっぱりあの苺の花の箱の事も考えている。あの箱の中にあった写真はやっぱり見直しても1枚も雪ちゃんは笑顔で写ってないし、私が写ってないのも多かった。ただ、どの写真も雪ちゃんと信哉さん、土志田先生が一緒にいる。不機嫌そうな顔で写っていても距離感は皆が同じだ。まるで心の中が半分になったみたいでザワザワする。
変わらぬ愛と言った、そう書いてあった鳥飼さんのメッセージがふと心に浮かぶ。言い換えてしまったら雪ちゃんが永遠の愛を誓った衛のママは、もうこの世にはいない。でもあの箱は衛のママに出会うよりもっと前の事なはずだから、あの文字は何を意味したんだろう。誰に向けた言葉だたんだろう。そう思ったら確かめてみたくなって、早紀ちゃんを引きずるようにして職員室に向かっていた。
「写真~?」
「いいから、センセこれ見てよ!」
職員室に乗り込んだ私と早紀ちゃんに目を丸くした土志田先生の手に写真を押し付けると、呆れたように土志田センセが眉を上げる。テスト前にお前達余裕だなーと言いながら私の手から写真を受け取ってマジマジと見下ろした土志田先生は、写真にハタと表情を変えた。そう言えば香苗と木内梓は写真を見たけど先生だと気がつかなかったみたいだったなぁとその姿を見ながら考える。
センセは暫く無言で何時にない真面目な顔で写真を眺めていたけど、やがて思い出し笑いのように何時もと違うほろ苦い笑いを浮かべた。
「懐かしい物を見つけたなぁ。雪がもってたのか?これ。」
「ううん、家のアルバムにあったの。センセこれ何時の写真?」
「高2くらいだな、あの頃は四六時中ずっとつるんでたからなぁ。」
高2くらいって言うと28歳の雪ちゃんが17歳位の頃で11年前で、私は5歳か6歳で………あァ、今気がついたけど年数がわかっても何もならないかも!
「はは、信哉凄い仏頂面だな。ああ、そうだなぁあの辺りは何時もこんな顔してたな、そういえば。雪も似たような顔してたと思ったけどなぁ」
呟くように言った言葉に私はハッと我にかえる。笑顔で写っている雪ちゃんに、同じ時期の土志田先生は違う印象の雪ちゃんを覚えてるんだ。あの私が持ってる苺の花の箱の写真の方の雪ちゃんを、やっぱり土志田先生も知ってる。
「センセ、雪ちゃんってその頃何かあったの?」
「何かってお前の方が良く知ってるだろうが?」
「子供過ぎて覚えてないんだもん。教えてよ!」
突然勢い込んで詰め寄った私に、土志田先生は呆れたように笑う。そうしながら土志田先生は少し目を細めて、早紀ちゃんを見やりながら言葉を選んだように口を開いた。
「別に特別何かが起きたわけじゃない。お前が聞けば雪なら素直に話すと思うぞ?」
「はぁ?」
う~~~~ッ余計に謎かけになってしまった!その上、土志田先生はこれでお終いと言うように私に写真を渡して話を終えてしまう。もっと詳しく教えてよ~食い下がっても土志田先生はテスト勉強しなさいの一点張りで、次の授業の事もあって渋々私達は廊下に足を出した。
「麻希ちゃん、ごめんね?」
「え?」
「私がいたから、土志田先生は話さなかったんじゃないかな?麻希ちゃんの従兄さんの個人的なお話だから。」
え?そうなの?と私は早紀ちゃんの顔を見返す。気がつかなかったけど、そう言うことなんだろうか?
私は首を捻りながら、じゃ今度は1人で聞きに行けばいいのかなと真面目に考えてしまっていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる