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7月
60.セルリア
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快晴の水曜日の帰宅途中、道で思わぬ姿を見つけて私は思わず歩み寄った。ポンポンと肩を叩いた私に凄いビックリしてふり返った真見塚君は、まるで見つけられたくなかったって言うように眉を寄せて表情を変える。ほのかな思慕って言うには大分度が過ぎてるような気がするけど、兄弟がいるってこういうことなのかなぁ。私は独りっ子だけど、格好いいお兄さんがいたらあとをついてあるきたくはなるかな。って昔雪ちゃんについてあるいてたんだった。
「もしかして、鳥飼さん探し?真見塚君。」
何処かで後ろ姿でも見かけて追いかけてたのかもしれない、真見塚君は見抜かれたって顔を一瞬した。それなのに彼は必死に知らん顔を決め込んで「そんなことない」と呟いた。真見塚君の顔があんまり解りやすくて私は苦笑する。
「学校でもそれくらいだといいのにね~?真見塚君ってば。」
「何が?」
「いーっつも僕は騒ぎには加わりませんってそ知らぬ顔してるから。」
真見塚君が不貞腐れたように加わる必要性がないからいいんだよとそっけなく言い放つ。そんな子供みたいな彼の横顔を眺め、早紀ちゃんは彼の何処が好きなのかなと思う。整った顔立ちだし、背も結構高めだし、スタイルも結構いい。勉強も出来るし、運動も出来る。彼を一言で言えば優等とか完全無欠かな。でも、学校の顔だけ見てたら私は多分好きにはなれない。そんな風に思うのは日頃彼が余り人を寄せ付けたくないって態度をしてるからの様な気がする。
「学校では何でそんなバリヤー張ってんの?ここから寄らないでって感じの。」
私の何気ない言葉にハッとしたように彼は私の顔を見た。そして少し困ったような、それでいて苦笑に近い何だか痛い笑みを浮かべる。
「君にはわかんないよ。」
その突き放したような言い方に少しムッとして私は口を尖らせる。
「話さないでわかんないなんて言い切る方がわかんないよ。どうせ、鳥飼さん絡みなんでしょ?」
ああァ、私の悪い癖。思った事をそのまま口に出してしまってる。それに早紀ちゃんの事もあって私自身少し苛立ってもいたんだと思う。だって、早紀ちゃんは真見塚君に助けてもらったとしか私には話してくれないから、真見塚君ばっかりズルいときっと心の何処かでちょっと思ってたんだ。
「大体にして、自分が間違った考えだって思うから人に言えないんじゃないの?」
言っちゃった…つい。
その瞬間目の前で凄く真見塚君の表情が、初めて見る傷ついた病気に変わる。彼が一番触れられたくない部分に触れちゃったのが私の目でもよくわかるくらいに凄く鮮やかにさっと…。
「…君に何がわかんの?君が知ってることなんてほんの一部なのに。」
すぅっとその表情がまるで凄く痛い思いをしているみたいに歪んで、真見塚君がそんな顔するなんてって私は息を飲んでいた。
「僕や…兄さんがまわりにどんな風に言われてきたかも知らない癖に何がわかるっての?」
一瞬目の前で今にも彼が泣くんじゃないかと思うほどその表情は歪んで見えた。私の中では早紀ちゃんが教えてくれていた真見塚君と鳥飼さんの関係の話が、次から次と思い出されていく。そして目の前の真見塚君の顔で、私が触っちゃいけなかったとこに容赦なく触っていたのに気がついた。何で彼がまわりに言わないで欲しいって言ったのか、何時も何でこうしてこっそり隠れるみたいにして会いに行っているのか、そんな事の理由が全部そこにあった気がする。
どうしよう。
私、どうしたらいいんだろう。
「孝?なにやってんだ?…麻希ちゃん?」
その時、間がいいのか悪いのかわからないその穏やかな声に、私はどう反応していいのかわからないまま綺麗な顔を不思議そうな表情で彩った鳥飼さんをふり返っていた。
穏やかな声音で水を差してくれたその人の姿に目の前の真見塚君は、一瞬微かに嬉しそうな表情をみせたけど直ぐ私の顔を見て再び俯き視線を下げる。きっと鳥飼さんを探してた彼にしては、絶対本意じゃないんだろうけど彼は踵を返して帰ってしまった。
謝る事もできないままにその背中を見送った私と真見塚君の姿を更に首を傾げながら鳥飼さんは眺めている。
あいつどうしたの?と優しく鳥飼さんに問いかけられても私にも中身は詳しく話せなかった。
「酷い事…言っちゃったんだと思います。触れて欲しくなかった事。」
その言葉で少し納得したのか鳥飼さんが微かに微笑む。
大人で静かな微笑を見上げていたら、鳥飼さんはポンと優しい手つきで頭を撫でてくれた。泣いていて撫でてもらったのとはちょっと違う、小さい時こんなことを経験したような気がして私は不思議な感じを覚える。
「そう思うなら謝ればいい。」
「…聞いてくれるかな…。」
思わず口を突いて出た言葉に鳥飼さんがくすっと声をたてて笑ったのを聞いて、私は思わずその顔を見上げる。
「絶対大丈夫ってもう昔みたいに今は言わないのかい?麻希ちゃんは、雪によく≪絶対≫って言ってたのになぁ?」
何気ないその言葉に私は何か心の中を揺り動かされたような気がして、目を丸くしてその人の表情を見つめていたけどやがて思い直したように微笑みかけた。
「明日、絶対謝ります。」
「うん、そうしてやって。」
私の絶対という言葉に、鳥飼さんが懐かしそうに穏やかに微笑んだ。
「もしかして、鳥飼さん探し?真見塚君。」
何処かで後ろ姿でも見かけて追いかけてたのかもしれない、真見塚君は見抜かれたって顔を一瞬した。それなのに彼は必死に知らん顔を決め込んで「そんなことない」と呟いた。真見塚君の顔があんまり解りやすくて私は苦笑する。
「学校でもそれくらいだといいのにね~?真見塚君ってば。」
「何が?」
「いーっつも僕は騒ぎには加わりませんってそ知らぬ顔してるから。」
真見塚君が不貞腐れたように加わる必要性がないからいいんだよとそっけなく言い放つ。そんな子供みたいな彼の横顔を眺め、早紀ちゃんは彼の何処が好きなのかなと思う。整った顔立ちだし、背も結構高めだし、スタイルも結構いい。勉強も出来るし、運動も出来る。彼を一言で言えば優等とか完全無欠かな。でも、学校の顔だけ見てたら私は多分好きにはなれない。そんな風に思うのは日頃彼が余り人を寄せ付けたくないって態度をしてるからの様な気がする。
「学校では何でそんなバリヤー張ってんの?ここから寄らないでって感じの。」
私の何気ない言葉にハッとしたように彼は私の顔を見た。そして少し困ったような、それでいて苦笑に近い何だか痛い笑みを浮かべる。
「君にはわかんないよ。」
その突き放したような言い方に少しムッとして私は口を尖らせる。
「話さないでわかんないなんて言い切る方がわかんないよ。どうせ、鳥飼さん絡みなんでしょ?」
ああァ、私の悪い癖。思った事をそのまま口に出してしまってる。それに早紀ちゃんの事もあって私自身少し苛立ってもいたんだと思う。だって、早紀ちゃんは真見塚君に助けてもらったとしか私には話してくれないから、真見塚君ばっかりズルいときっと心の何処かでちょっと思ってたんだ。
「大体にして、自分が間違った考えだって思うから人に言えないんじゃないの?」
言っちゃった…つい。
その瞬間目の前で凄く真見塚君の表情が、初めて見る傷ついた病気に変わる。彼が一番触れられたくない部分に触れちゃったのが私の目でもよくわかるくらいに凄く鮮やかにさっと…。
「…君に何がわかんの?君が知ってることなんてほんの一部なのに。」
すぅっとその表情がまるで凄く痛い思いをしているみたいに歪んで、真見塚君がそんな顔するなんてって私は息を飲んでいた。
「僕や…兄さんがまわりにどんな風に言われてきたかも知らない癖に何がわかるっての?」
一瞬目の前で今にも彼が泣くんじゃないかと思うほどその表情は歪んで見えた。私の中では早紀ちゃんが教えてくれていた真見塚君と鳥飼さんの関係の話が、次から次と思い出されていく。そして目の前の真見塚君の顔で、私が触っちゃいけなかったとこに容赦なく触っていたのに気がついた。何で彼がまわりに言わないで欲しいって言ったのか、何時も何でこうしてこっそり隠れるみたいにして会いに行っているのか、そんな事の理由が全部そこにあった気がする。
どうしよう。
私、どうしたらいいんだろう。
「孝?なにやってんだ?…麻希ちゃん?」
その時、間がいいのか悪いのかわからないその穏やかな声に、私はどう反応していいのかわからないまま綺麗な顔を不思議そうな表情で彩った鳥飼さんをふり返っていた。
穏やかな声音で水を差してくれたその人の姿に目の前の真見塚君は、一瞬微かに嬉しそうな表情をみせたけど直ぐ私の顔を見て再び俯き視線を下げる。きっと鳥飼さんを探してた彼にしては、絶対本意じゃないんだろうけど彼は踵を返して帰ってしまった。
謝る事もできないままにその背中を見送った私と真見塚君の姿を更に首を傾げながら鳥飼さんは眺めている。
あいつどうしたの?と優しく鳥飼さんに問いかけられても私にも中身は詳しく話せなかった。
「酷い事…言っちゃったんだと思います。触れて欲しくなかった事。」
その言葉で少し納得したのか鳥飼さんが微かに微笑む。
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「…聞いてくれるかな…。」
思わず口を突いて出た言葉に鳥飼さんがくすっと声をたてて笑ったのを聞いて、私は思わずその顔を見上げる。
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