聖少女暴君

うお座の運命に忠実な男

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第四章 対抗試合! 茶道部に勝て

4-14 お姉さまの実力はいかに

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【村雨初音 視点】
 ストーリーテラーの鳴海さんが格差で気絶してしまったのでわたくし村雨むらさめ初音が代理を務めます。

 お姉さまこと姫川さんのエキシビションマッチが行われることになりました。


「姫川さん、誰と闘りたいですか」
 九条さんがおおとり女子茶道部の誰と対戦するかを促す。

 姫川さんは鳳女子メンバーの九条さん、七瀬さん、そして二ノ宮れんちゃんを交互に見渡すと恋ちゃんに視点を定める。

「ふふ。あたしは恋ちゃんと闘りたい」

「ほう」九条さんは自分が選ばれなかったことにプライドをくすぐられたよう。彼女は扇を閉じた。

「その理由を参考までにお聞かせ願いますか」

詩乃しのの仇を取りたい。九条さんとは対戦したことあるけど、恋ちゃんとガチで闘ったことなかったから」

 お姉さまは二回戦で恋ちゃんにパーフェクト負けしてしまった折笠詩乃さんの仇をとるつもりだ。

「ヒメ。あんたってコは」
 折笠さんが自らの形の良い鼻を触る。

「あたしたちに言葉は要らない。詩乃」
 深い絆と友情が紡ぎだした言葉にわたくしは感動を覚えた。このふたりには誰にも入り込めない親愛がある。

「いいよ。お姫さま。ボクが負けたらお嫁さんになってあげる」
 二ノ宮恋ちゃんは余裕しゃくしゃくである。

「いいのかしら。言葉というものは取り消せない。自分が放った言葉が自分の人生をつくるのよ。あたしの人生はあたしがルール! シナリオを描くのはあたし! 恋ちゃん、覚悟はいい? 恋ちゃんの言葉はあたしの闘争本能に火をつけた」

「そんなにボクと結婚したいのかよ。いいもんね。このゲームで九条さん以外に負けたことないし」

 わたくしはお姉さまを信じている。誰と結婚しようと一番に愛しているのはわたくしだと。だからお姉さまの選択に口をはさんだりしない。

 舌戦が最高潮を迎えるとともにふたりが対戦席につく。
 恋ちゃんは前回と同じアストリアを選んだ。

 姫川さんもアストリアを選ぶ。同キャラ対決だ。
 お姉さまのアストリアは色調が赤っぽい2Pカラーである。

 対戦開始。
 開幕とともに姫川さんの赤アストリアはすたすたと恋ちゃんの青アストリアに近づいていく。

 恋ちゃんは突進必殺技『ラッシング・エッジ』で牽制した。
 すると姫川さんも同じ技をだす。

 一部の技が完璧なタイミングで重なると『相殺』が起こる。
 ふたりが猛烈にボタンを連打した。連打数が多いほうが相手をはじくのだ。連続技のチャンスである。

 連打で勝ったのは姫川さんだった。

 はじかれた1Pアストリアにジャンプキックから立ちパンチ→キャンセル必殺技『ソード・テンペスト』の基本的コンボが極まる。体力は三分の一減った。

 ここからの姫川さんの攻めは凄かった。
 ガードを固めようとした恋ちゃんにつぎつぎと通常技を繰りだす。

 それらをしゃがみガードした1Pアストリアに2Pアストリアの攻撃がヒットする。

「村雨さん、覚えておいて。いまのは中段技。しゃがみガードでは防げない属性を持っている技のこと。上級者同士は中段技でガード方向を揺さぶるの」
 折笠さんが技の解説をしてくれた。

 ひとつのヒットから確実にコンボを極める姫川さん。もう1Pアストリアは虫の息。

「くっ」
 流れを立て直そうとした恋ちゃんが小ジャンプからコンボを極めようとしたそのとき。

 2Pアストリアのしゃがみ姿勢からの突き上げがカウンターヒット!

 カウンターヒットした相手はシステム的に空中で無防備になる。それからさきは姫川さんによる一方的な蹂躙だった。華麗な連続技によって恋ちゃんのアストリアはKOした。

「ふにゃー!」
 恋ちゃんはネコのような悲鳴をあげた。
 第一ラウンドはお姉さまの勝利だった。

次回へつづく
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