魔法使いの国で無能だった少年は、魔物使いとして世界を救う旅に出る

ムーン

文字の大きさ
460 / 909
第二十七章 壊されかけた者共と契りを結べ

迂闊な帝王

しおりを挟む
アルとベルゼブブが争う雰囲気を察知したアザゼルは茨木の背に隠れていた。茨木はそれ以前に喧嘩を予想していたが、ナッツを食べる手を止めなかった。
そして今、アルがベルゼブブの喉に食らいついた姿を見て、アザゼルは小さく感嘆を漏らした。格上にも牙は届くのだと、下克上の勇気を与えられた。

『ふふ……阿呆やなぁ。周りが全然見えてへん』

アザゼルは茨木の呟きに疑問を抱きながらも喧嘩を眺めるのに夢中になっていた。
ベルゼブブがアルの顔を裂き、顎の筋肉を引きちぎる。噛む力はなくなったが、くい込んだ牙はそう簡単には抜けない。

『ほんまに最高司令官なんやろか。いっつもやったら気付いてはんねんやろなぁ、感覚は優れてはるらしいし』

「……さっきから何言ってんだ?」

『ふふ、あんたも阿呆か?  ちゃうんやったら耳澄ませ』

皮と肉を犠牲にベルゼブブはアルを引き剥がすのに成功した。しかし、アルの腹の傷はもう完治して、顎も治りかけていた。
出力は遥かに上回っていようと、賢者の石の持久力には適わない。

「…………まぁ、こんな暴れてて聞こえてないわけないもんな」

アザゼルは言われた通りに耳を澄ませ、茨木の言葉に納得した。
アザゼルが呟いた丁度その時、ベルゼブブの姿が少女から小さな丸い蝿に変わった。魔力にはまだ余裕があったはずなのに、ベルゼブブはそう狼狽えてその場でホバリングしていた。だから簡単に捕まった。

『はい捕獲、ダンピール、入れ物』

「このナッツ瓶でいいだろ」

ベルゼブブはエアの触手に絡め取られ、中身がなくなったナッツ瓶に詰められる。本来なら簡単に破れるであろうガラスも、一般的な虫とそう変わらない今の力では強固な牢だった。

『アルちゃん、無事?  自力で治った?』

『あ、あぁ……』

アルを気遣うエアの背後、ベルゼブブを詰めた瓶を振るヴェーンの背後、廊下の真ん中に呆然と立っていたヘルが突如座り込む。

「お、おい王様!  兄貴、王様診てやれ!」

咳き込んで、口を押さえた手から漏れた赤い液体を見て、エアは慌てて治癒魔法を発動させた。



アルとベルゼブブが争うよりも前、リビングに集まった男達は酒をあおっていた。
向こうが女子会ならこっちは男子会でも──なんて冗談から始まった静かな宴会は平和だった。

「……たっけぇのにバンバン呑みやがって」

『酒は飲まんかったら意味あらへんやろ』

『そーそ。あ、ヘルとフェルはダメだよ』

「分かってるよ」

兄は蒸留酒を炭酸で割って飲んでいる。人間以外では味も感じないし、栄養も手に入らない。アルコールも例に漏れず。だから兄は刺激だけで炭酸を飲んでいる。割らずに炭酸だけ飲めば経済的なのに、何故か酒を半分混ぜる。気分だろうか。

『ところで下等生物、お前本当にアルギュロスと添い遂げる気か?』

「えっ?  ぁ、あぁ……それは」

『当たり前やろ。なぁ?  頭領。俺は分かっとったで、自分があの狼に怪我させられた言うてカチコミ来た時からなぁ』

神降の国で再会した時の話か?  他人の質問に勝手に答えないで欲しい。

『……あれは犬だぞ?  本気なのか?』

『異類婚姻譚なんてどこにでもある……だよね?  鬼』

『おぅ、せやせや。龍神やら水神やら鳥やら貝やら……』

『そういう話は全て人に化けているだろう』

『…………そうやったっけ』

『知らないよ』

僕を放って僕の話を進めないで欲しい。僕はまだ覚悟を決めていないし、『黒』に指輪を渡すつもりでいる。『黒』は前世の約束だから問題無いとしても……アルは、どうしようか。

『形が違う者同士が上手くいくとは思えんな』

『兄弟は現実主義だな』

「いーや違うぜライオン。この虎は妹が心配なただのシスコンだ」

『違う!  そもそも俺達に兄弟関係は無い!』

アルから異物を取り除こうという時も「妹」とか言っていたか。カルコス以外は互いを兄弟だと思っていないような口振りだが、その実思いあっているようで羨ま──微笑ましい。

『俺は魔物使いに聞いているんだ!  おい、どうなんだ!  とっとと答えろ下等生物!』

「ぁ……その、僕は……」

アルの事は大切に思っているけれど「添い遂げる」だとか「子供を」だとかそんな感情ではない。『黒』にだってそんな感情は抱いていない。
だが、これから変化する可能性も否定は出来ない。

「僕、は……」

一分でも、一厘でも、その可能性があるなら──

「ア、アルのこと、本当に、その……」

──保険として置いておかなければ。

『…………分かった、もういい』

クリューソスは言葉に詰まる僕からふいっと顔を逸らした。

『はははっ!  義父様、いいや義兄様のお許しがでたぞ!』

『黙れ毛玉!』

この考え方はきっと最低なものだろう。屑だ。けれど──ここで否定してアルに伝わって、アルが僕の元から去ってしまったら僕は壊れてしまう。
僕にはアルが必要だ。恋愛的な意味でも、家族的な意味でも、何でもない。事実としてアルがいなければ死んでしまう。

『よしよし、ヘル。ならあの子は僕の妹だ!  もう酷いことしないよ』

「……酷いことしてたの?」

『あはは』

「…………ねぇ、にいさまは……文句、無いの?」

『無いよ?  っていうか、ヘルが凡庸な人間選んで遺伝子穢す方が嫌。僕みたいな天才は人間にはもう居ないだろうし、悪魔とでもなきゃ優秀な子は出来ないよね!  でも悪魔は生物じゃないからちょっと心配で…………だから、合成魔獣の最高傑作、つまり遺伝子的には世界最高の生き物を選んだんだから、お兄ちゃんこの上なく満足!』

遺伝子だとか優秀な子だとか、兄は気が早過ぎやしないか。そもそも僕は自分の子なんて見たくないし、アルと子供が作れるとは思えない。産まれたって兄の玩具になるのなら最初から存在しない方がいい。

「僕の血が入る時点で最低なのは確実だよ……」

相手関係無くアルの子供なら見てみたい。仔犬はきっと可愛らしいだろう──と、こうやっていつまでもアルを犬扱いしているから周囲と差が生まれるんだ。そう分かってはいるけれど、自分ではどうしようもない。

「…………ん?」

『どないしたんなダンピール、飲めや』

「ちょっと静かに……なんか聞こえる」

全員が黙り込むも、僕には何も聞こえない。

「…………ねぇ、何が聞こえたの?」

「俺の聴覚共有してみろよ」

聴覚を共有?  確かに、兄に教えられたのは感覚共有だけれど──補助は義眼にあるし、聴覚なんてどう意識すれば良いのか分からない。

『この声、アルちゃんかな?  威嚇してる?』

「ヴェーン!  聴覚を寄越せ!」

「えっ、ぁ、うん、好きにしてくれ」

耳だ、とにかく耳に集中すればいい。ヴェーンの位置を確認して、魔物使いの力を使って、耳に意識を集中させる──何か聞こえる。
アルの唸り声、ベルゼブブの怒鳴り声、水音、硬い物が砕ける音。

「……視覚も寄越せ!  ヴェーンさん、来い!」

「お、おう!」

『僕も行く』

視覚を借り、聴覚を切る。他人の視界で扉に向かって走った僕は扉を開ける事が出来ずにぶつかり、今は兄に抱えられて廊下を進んでいる。
赤い絨毯が敷かれた廊下を走り、ダイニングに辿り着いた。開け放たれた扉の向こうにアルとベルゼブブの姿が見えた。
紅い輝きを放つ液体が床に撒き散らされている。宝石のように輝くそれはアルの腹とベルゼブブの喉から溢れていた。

「…………ベルゼブブ」

ベルゼブブがアルに怪我をさせた。床が染まるような多量の血を流して内臓が出ていってしまうような大怪我をさせた。
ベルゼブブもアルに喉を噛まれている。喧嘩だろう。けれど──どちらが悪かろうと僕はアルを傷付けた彼女を許せなかった。

「…………………… 死 ね 」

ぼそっと呟いた。無いはずの目玉にフォークで弄られるような痛みが走り、視界共有が切れる。

『はい捕獲、ダンピール、入れ物』

「このナッツ瓶でいいだろ」

兄とヴェーンの声。僕には何も見えない。力を使おうと意識すると、無いはずの目玉に激痛が走る。放っておくと頭痛だけで済む。

『アルちゃん、無事?  自力で治った?』

『あ、あぁ……』
 
アルの声だ。戸惑っているようには聞こえるが、痛みを耐えているようにも酷い傷を負っているようにも聞こえない。
安心して足から力が抜けた。

「お、おい王様!  兄貴、王様診てやれ!」

アザゼルだろうか。そう心配しなくても大丈夫、安心しただけだから──そう言おうとして咳き込んだ。口を押さえ、咳が治まるまで待つ。手にべっとりと何か液体が付着しているような……気のせいだろうか。

『……ヘル、ヘル?  大丈夫?』

『治癒魔法は……』

『やった、けど……魔力の方だから、自然回復を待つしかない。一時的魔力不足や出力の瞬間向上による肉体の破損は修復してるよ』

『ふむ、ヘル、平気か?』

大怪我していたのはどこのどいつだ。そう言ってやりたかったが、また咳き込んだ。

『……痛覚麻痺もかけてるけど、あんまり効いてないね。もちろん肉体の破損の方の痛みには効いてるけど、無理に魔力を使った代償の苦痛はそのままだ』

『そんなっ……ヘル、済まない……私の為に』

『…………君がヘルの為に出来る事が一つあるよ、アルちゃん』

『何だ?  何でもするぞ』

『寄り添って、声をかけ続けて安心させることさ』

アルは何も言わず、恐る恐る僕の腕の中に潜り込んだ。翼で僕を包み、蛇で背を擦って、前足を太腿に置いた。

『……こんなものでいいのか?』

『それが一番だよ。ね、ヘル』

苦痛そのものは和らがないが、精神的な苦痛は癒されていく。兄もたまには良い事を言う。
僕は筋肉痛にも似た全身の痛みと、脳をかき混ぜられるような頭痛と、目玉を穿ち弄ばれるような幻痛を味わいながら、アルの声とアルの感触だけを求めた。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!

ゴミスキル【生態鑑定】で追放された俺、実は動物や神獣の心が分かる最強能力だったので、もふもふ達と辺境で幸せなスローライフを送る

黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティの一員だったカイは、魔物の名前しか分からない【生態鑑定】スキルが原因で「役立たず」の烙印を押され、仲間から追放されてしまう。全てを失い、絶望の中でたどり着いた辺境の森。そこで彼は、自身のスキルが動物や魔物の「心」と意思疎通できる、唯一無二の能力であることに気づく。 森ウサギに衣食住を学び、神獣フェンリルやエンシェントドラゴンと友となり、もふもふな仲間たちに囲まれて、カイの穏やかなスローライフが始まった。彼が作る料理は魔物さえも惹きつけ、何気なく作った道具は「聖者の遺物」として王都を揺るがす。 一方、カイを失った勇者パーティは凋落の一途をたどっていた。自分たちの過ちに気づき、カイを連れ戻そうとする彼ら。しかし、カイの居場所は、もはやそこにはなかった。 これは、一人の心優しき青年が、大切な仲間たちと穏やかな日常を守るため、やがて伝説の「森の聖者」となる、心温まるスローライフファンタジー。

屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです(完結)

わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。 対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。 剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。 よろしくお願いします! (7/15追記  一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!  (9/9追記  三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン (11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。 追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。

掘鑿王(くっさくおう)~ボクしか知らない隠しダンジョンでSSRアイテムばかり掘り出し大金持ち~

テツみン
ファンタジー
『掘削士』エリオットは、ダンジョンの鉱脈から鉱石を掘り出すのが仕事。 しかし、非戦闘職の彼は冒険者仲間から不遇な扱いを受けていた。 ある日、ダンジョンに入ると天災級モンスター、イフリートに遭遇。エリオットは仲間が逃げ出すための囮(おとり)にされてしまう。 「生きて帰るんだ――妹が待つ家へ!」 彼は岩の割れ目につるはしを打ち込み、崩落を誘発させ―― 目が覚めると未知の洞窟にいた。 貴重な鉱脈ばかりに興奮するエリオットだったが、特に不思議な形をしたクリスタルが気になり、それを掘り出す。 その中から現れたモノは…… 「えっ? 女の子???」 これは、不遇な扱いを受けていた少年が大陸一の大富豪へと成り上がっていく――そんな物語である。

最強の異世界やりすぎ旅行記

萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。 そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。 「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」 バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!? 最強が無双する異世界ファンタジー開幕!

【薬師向けスキルで世界最強!】追放された闘神の息子は、戦闘能力マイナスのゴミスキル《植物王》を究極進化させて史上最強の英雄に成り上がる!

こはるんるん
ファンタジー
「アッシュ、お前には完全に失望した。もう俺の跡目を継ぐ資格は無い。追放だ!」  主人公アッシュは、世界最強の冒険者ギルド【神喰らう蛇】のギルドマスターの息子として活躍していた。しかし、筋力のステータスが80%も低下する外れスキル【植物王(ドルイドキング)】に覚醒したことから、理不尽にも父親から追放を宣言される。  しかし、アッシュは襲われていたエルフの王女を助けたことから、史上最強の武器【世界樹の剣】を手に入れる。この剣は天界にある世界樹から作られた武器であり、『植物を支配する神スキル』【植物王】を持つアッシュにしか使いこなすことができなかった。 「エルフの王女コレットは、掟により、こ、これよりアッシュ様のつ、つつつ、妻として、お仕えさせていただきます。どうかエルフ王となり、王家にアッシュ様の血を取り入れる栄誉をお与えください!」  さらにエルフの王女から結婚して欲しい、エルフ王になって欲しいと追いかけまわされ、エルフ王国の内乱を治めることになる。さらには神獣フェンリルから忠誠を誓われる。  そんな彼の前には、父親やかつての仲間が敵として立ちはだかる。(だが【神喰らう蛇】はやがてアッシュに敗れて、あえなく没落する)  かくして、後に闘神と呼ばれることになる少年の戦いが幕を開けた……!

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

処理中です...