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第三十三章 神々の全面戦争
引きこもり
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みんなが仕事を始めて数日、僕は特に何をするでもなく家に居た。
鬼達と魔獣達が素直に働きに出たのは意外だった、しかも滅多に帰ってこなくなるなんて。メルとセネカは日が暮れる頃には帰ってくる、フェルは家事を担当すると家に居るし、兄は畑に構いがちとはいえやはり家に居る。ヴェーンは人形作りや土地の管理で忙しい。
僕だけが何もしていない。
「おーさま、みてみてー」
いや、何もしていないのがもう一人。
「おかーさんにもらったくまさんとはちがうけどねー、これもくまさんなの」
グロルはヴェーンに作ってもらったらしいテディベアを僕に見せびらかしてくる。
「可愛いね。ねぇグロルちゃん、僕が言ったこと覚えてる?」
「うん! くまさんだっこして、おーさまとはなしたいーっていうの」
ベアの頭部には通信蝿が埋められている。
「覚えてるね。忘れないでね、大事なことだから」
「だいじょーぶだよー、おーさましつこい!」
「ごめんごめん……」
このところ体調が安定したらしく、グロルは邸内を走り回ることが多い。フェルやヴェーンに「遊んで」とねだっては仕事の邪魔をするのだとか。
何もしていない僕にグロルの世話が押し付けられるのは当然というか必然というか、まぁ納得出来る。
「グロルちゃん、そろそろお昼寝しない?」
「や! まだねむくない!」
しかし、納得出来る出来ないに関係なく、僕は子供の世話が苦手だ。
「クマさん眠いってさ」
「ねむくないー! くまさんもねむくないの!」
大きな甲高い声に頭痛を誘発されて、何度も同じ絵本を読まされて、舌っ足らずな話を真面目に聞かなければならなくて──苦痛だ、退屈の方がマシだ。
「僕そろそろ眠いんだけどな」
「ぅ……わかった」
グロルは肩を落とし、ベアを抱き締めて部屋を出て行こうとする。
「待って待って待ってどこ行くの」
「どろどろのとこ……」
「ダメだよ、みんな忙しいの。ほら、一緒に寝よ」
「……おーさまは、いそがしい、しないの?」
子供特有の純粋さは時に容易く人の心を引き裂く。
「忙しい、出来ないんだよ……」
神性に教わったやり方で力を使ったら倒れただとか、雑草まで育っただとかで僕は畑に入れてもらえなくなった。
水を汲んだバケツを蹴っ飛ばしたり窓を拭いていてバランスを崩して窓を割ったり拭き掃除中に髪を踏んで階段から落ちたり──手間が増えるなんて言われて僕は家事をさせてもらえなくなった。何故掃除だけでなく炊事まで禁止されたのかは意味が分からない。生まれ直した世界ではかなり上手く作れていたし、料理の腕は確実に上がっているというのに……だがそれは誰にも言えない、だから根拠は出せず反論すら出来ない。
「……ん? グロルちゃん、ちょっと待ってて」
ベルトに括りつけておいた犬のぬいぐるみが震えている。布に包んでは目が光っても分からないからと、通信蝿は連絡があると震えるようになった。中の様子を考えると気持ち悪くなるので考えてはいけない。
「誰? 何?」
紐を解いてベルトから外し、顔に近付ける。この工程はかなり面倒だが手に持って歩くのも嫌だし、紐を伸ばすのはもっと嫌なので仕方ない。
「あぁ、茨木。何? え、今日は帰ってくるの? 夕飯? ぁー……分かった、お寿司だっけ、用意するよ。うん、それじゃ……」
「おーさまー?」
「ごめんね、お待たせ」
そういえば好物を作るなんて約束をしていたか、数日前の僕も面倒な真似をしてくれた。労りは大切だが、面倒臭さは良心を初めとして全てを凌駕する。
「……釣りでも行こうか」
寿司……確か、酢飯に生魚を乗せたものだったか。ろくな説明を受けていないし見たことがないから分からない。とりあえず魚を用意しよう。
「つりー?」
「川に糸とか棒とか爆弾とか入れて魚を捕まえるの」
「ぐろるもいくー!」
「残してったらフェルに嫌味言われる、連れてくよ」
何もしないでいるという罪悪感、何かしなくてはという焦燥感、それらを薄めるため、退屈を癒すため、夕飯の材料調達という名目を掲げて川にやって来た。
元々郊外にあるヴェーン邸からは簡単に国境である山の綺麗な川に辿り着ける。
『魚か……この季節、この場所なら……そうだな、よく肥えたものが釣れるはずだ』
「旬ってこと?」
『あぁ、小魚だがな』
「ふぅん……ところでさ、なんで僕は働け働け言われるのにアルは何も言われないで部屋で寝てられるの?」
『…………知らん』
部屋で眠っていたアルを叩き起こし、川までの足として働いてもらった。グロルはその穏やかな道程で眠ってしまった、遊びたくて無理に起きていただけで眠気はあったのだろう。
『釣り道具はあるのか?』
「うん、前に酒呑に爆弾作ってもらったから」
アルに見えない位置で影に手をつき、玉網を引きずり出す。
『……待て、川に投げ込む気か』
「魚浮いてくるんだってさ」
『…………あのな、ヘル。それはかなり悪質な方法だ』
「え? でも酒呑が……」
『何を言ったか知らんが、やめておけ』
この国には新鮮な魚を売っている店が無い。だから茨木と違って家に帰る頻度の高い酒呑に釣りについて相談したのだ。
「昔やってたやつ教えてやるって、爆弾も……」
『あの野生児め……いいか、ヘル。そのやり方は魚を獲る為だけにしては衝撃が強過ぎるんだ、色々と影響が出る。詳しく話しても分からんと思うが科学の国では禁止されている』
「えー……じゃあこの網使う」
爆弾を影の中に入れ、大きな網を引きずり出す。これも酒呑にもらった物だ。重りを底に沈めて端を岩や木に結び、流れに沿って泳ぐ魚を全て捕まえる。そう、まさに一網打尽。
『……何故そう規模が大きいんだ、貴方は釣りをすると言ったな? それは漁だ』
「ダメ?」
『いや、駄目と言う訳でも無いが……もう少し健康的に、子供らしくと言うか……楽しんでやらないか? 日はまだ高い、焼きも煮もしないのなら日没まで粘っても構わないんだ』
何故か反対されて僕は仕方なく網を影に収納して交代に釣り竿を引っ張り出した。これはこっそりと出かけて個人的に買った物だ。
「針に餌を仕掛けて、川に投げる」
『ああ、いいな、健康的だ』
「食いつくのを待って……待って、待って…………来ないんだけど」
『焦るな。釣りを楽しめ。種類によって変わるが手首を軽く動かして餌の小魚のように見せかけてもいいと聞くぞ』
待ち時間を楽しむような性格はしていない。楽しんでいる様子のアルを隣に、欠伸を出す。
『ヘル! 引いているぞ! 焦るなよ、駆け引きが重要だ。あまり引くと逃げられる』
「あぁ、それなら平気。ここのボタン押すと……」
引っ張られる感覚が消え、糸を巻き取ると全く動かなくなった魚が手に入る。
「電気が流れて簡単に釣れる。ちゃんと針が刺さってれば引っ張れば取れる、餌咥えてるだけなら網を使う」
『…………貴方はもう少し釣りを楽しむという事をだな』
「うわ、焦げてる。ダメだ、これ使えないよ、生魚じゃなくなっちゃう」
『……新鮮な魚が欲しいなら家に帰るまで生かしておくべきだ、今殺しては帰る頃には臭くなるぞ。何の為に水を入れた瓶を持ってきたと思っている』
アルは鞄の紐を咥え、その中の瓶を僕に見せる。
「綺麗な魚釣れた時用かなって」
分かりやすい落胆のため息をつき、鞄を置いてその場に腰を下ろす。
『……貴方に健康的な趣味を期待した私が馬鹿だった』
「な、なんだよそれ……っていうかどうすればいいかな、どうやって生け捕りにすればいいの?」
『その釣竿を機能を使わず使えばいいだろう』
「それ今やろうとしたんだけど岩に引っ掛けて糸切っちゃったんだよ、替えは無いし……」
無理に引っ張るのは良くないと学習した。今度引っ掛けた時は川に入って手で外そうか。
『何故替えが無いんだ』
「……替えってそんな顔するほど必要なものなの?」
どうやら替えを持っておくのは常識らしい。アルは何も言わなかったが、表情で分かった。しかし、分かったところで現在はどうしようもない。玉網で頑張るしかない。
「この網で頑張ってすくう」
『…………頑張れよ』
僕から視線を外し、前足を枕に寝始めた。アルもグロルも眠っている、奇妙な疎外感を覚えながら瓶の蓋を開け、玉網を川に浸す。
「…………魔物使いの名の元に──」
空が茜色に染まる頃、アルは大きな欠伸をして目を覚ました。
「おはよ、アル。それ零さないで持って帰れる?」
『ん……?』
瓶の中にたっぷりと詰まった魚を見せるとアルは寝ぼけ眼を見開いた。
『……どうやったんだ』
「釣りの才能開花しちゃったかな?」
『…………あぁ、そうだな。ほら、乗れ。あぁ待て、瓶の蓋を忘れるな』
「魚死なない?」
『さぁな、死んだとしても直ぐなら美味い』
座っていた岩の上に並べてあった瓶の蓋を鞄の隙間に挿し込み、アルの背に跨ってグロルを支える。
横目に見た川面は夕陽をキラキラと反射して、昼間とは違った寂しげな美しさを感じさせた。
鬼達と魔獣達が素直に働きに出たのは意外だった、しかも滅多に帰ってこなくなるなんて。メルとセネカは日が暮れる頃には帰ってくる、フェルは家事を担当すると家に居るし、兄は畑に構いがちとはいえやはり家に居る。ヴェーンは人形作りや土地の管理で忙しい。
僕だけが何もしていない。
「おーさま、みてみてー」
いや、何もしていないのがもう一人。
「おかーさんにもらったくまさんとはちがうけどねー、これもくまさんなの」
グロルはヴェーンに作ってもらったらしいテディベアを僕に見せびらかしてくる。
「可愛いね。ねぇグロルちゃん、僕が言ったこと覚えてる?」
「うん! くまさんだっこして、おーさまとはなしたいーっていうの」
ベアの頭部には通信蝿が埋められている。
「覚えてるね。忘れないでね、大事なことだから」
「だいじょーぶだよー、おーさましつこい!」
「ごめんごめん……」
このところ体調が安定したらしく、グロルは邸内を走り回ることが多い。フェルやヴェーンに「遊んで」とねだっては仕事の邪魔をするのだとか。
何もしていない僕にグロルの世話が押し付けられるのは当然というか必然というか、まぁ納得出来る。
「グロルちゃん、そろそろお昼寝しない?」
「や! まだねむくない!」
しかし、納得出来る出来ないに関係なく、僕は子供の世話が苦手だ。
「クマさん眠いってさ」
「ねむくないー! くまさんもねむくないの!」
大きな甲高い声に頭痛を誘発されて、何度も同じ絵本を読まされて、舌っ足らずな話を真面目に聞かなければならなくて──苦痛だ、退屈の方がマシだ。
「僕そろそろ眠いんだけどな」
「ぅ……わかった」
グロルは肩を落とし、ベアを抱き締めて部屋を出て行こうとする。
「待って待って待ってどこ行くの」
「どろどろのとこ……」
「ダメだよ、みんな忙しいの。ほら、一緒に寝よ」
「……おーさまは、いそがしい、しないの?」
子供特有の純粋さは時に容易く人の心を引き裂く。
「忙しい、出来ないんだよ……」
神性に教わったやり方で力を使ったら倒れただとか、雑草まで育っただとかで僕は畑に入れてもらえなくなった。
水を汲んだバケツを蹴っ飛ばしたり窓を拭いていてバランスを崩して窓を割ったり拭き掃除中に髪を踏んで階段から落ちたり──手間が増えるなんて言われて僕は家事をさせてもらえなくなった。何故掃除だけでなく炊事まで禁止されたのかは意味が分からない。生まれ直した世界ではかなり上手く作れていたし、料理の腕は確実に上がっているというのに……だがそれは誰にも言えない、だから根拠は出せず反論すら出来ない。
「……ん? グロルちゃん、ちょっと待ってて」
ベルトに括りつけておいた犬のぬいぐるみが震えている。布に包んでは目が光っても分からないからと、通信蝿は連絡があると震えるようになった。中の様子を考えると気持ち悪くなるので考えてはいけない。
「誰? 何?」
紐を解いてベルトから外し、顔に近付ける。この工程はかなり面倒だが手に持って歩くのも嫌だし、紐を伸ばすのはもっと嫌なので仕方ない。
「あぁ、茨木。何? え、今日は帰ってくるの? 夕飯? ぁー……分かった、お寿司だっけ、用意するよ。うん、それじゃ……」
「おーさまー?」
「ごめんね、お待たせ」
そういえば好物を作るなんて約束をしていたか、数日前の僕も面倒な真似をしてくれた。労りは大切だが、面倒臭さは良心を初めとして全てを凌駕する。
「……釣りでも行こうか」
寿司……確か、酢飯に生魚を乗せたものだったか。ろくな説明を受けていないし見たことがないから分からない。とりあえず魚を用意しよう。
「つりー?」
「川に糸とか棒とか爆弾とか入れて魚を捕まえるの」
「ぐろるもいくー!」
「残してったらフェルに嫌味言われる、連れてくよ」
何もしないでいるという罪悪感、何かしなくてはという焦燥感、それらを薄めるため、退屈を癒すため、夕飯の材料調達という名目を掲げて川にやって来た。
元々郊外にあるヴェーン邸からは簡単に国境である山の綺麗な川に辿り着ける。
『魚か……この季節、この場所なら……そうだな、よく肥えたものが釣れるはずだ』
「旬ってこと?」
『あぁ、小魚だがな』
「ふぅん……ところでさ、なんで僕は働け働け言われるのにアルは何も言われないで部屋で寝てられるの?」
『…………知らん』
部屋で眠っていたアルを叩き起こし、川までの足として働いてもらった。グロルはその穏やかな道程で眠ってしまった、遊びたくて無理に起きていただけで眠気はあったのだろう。
『釣り道具はあるのか?』
「うん、前に酒呑に爆弾作ってもらったから」
アルに見えない位置で影に手をつき、玉網を引きずり出す。
『……待て、川に投げ込む気か』
「魚浮いてくるんだってさ」
『…………あのな、ヘル。それはかなり悪質な方法だ』
「え? でも酒呑が……」
『何を言ったか知らんが、やめておけ』
この国には新鮮な魚を売っている店が無い。だから茨木と違って家に帰る頻度の高い酒呑に釣りについて相談したのだ。
「昔やってたやつ教えてやるって、爆弾も……」
『あの野生児め……いいか、ヘル。そのやり方は魚を獲る為だけにしては衝撃が強過ぎるんだ、色々と影響が出る。詳しく話しても分からんと思うが科学の国では禁止されている』
「えー……じゃあこの網使う」
爆弾を影の中に入れ、大きな網を引きずり出す。これも酒呑にもらった物だ。重りを底に沈めて端を岩や木に結び、流れに沿って泳ぐ魚を全て捕まえる。そう、まさに一網打尽。
『……何故そう規模が大きいんだ、貴方は釣りをすると言ったな? それは漁だ』
「ダメ?」
『いや、駄目と言う訳でも無いが……もう少し健康的に、子供らしくと言うか……楽しんでやらないか? 日はまだ高い、焼きも煮もしないのなら日没まで粘っても構わないんだ』
何故か反対されて僕は仕方なく網を影に収納して交代に釣り竿を引っ張り出した。これはこっそりと出かけて個人的に買った物だ。
「針に餌を仕掛けて、川に投げる」
『ああ、いいな、健康的だ』
「食いつくのを待って……待って、待って…………来ないんだけど」
『焦るな。釣りを楽しめ。種類によって変わるが手首を軽く動かして餌の小魚のように見せかけてもいいと聞くぞ』
待ち時間を楽しむような性格はしていない。楽しんでいる様子のアルを隣に、欠伸を出す。
『ヘル! 引いているぞ! 焦るなよ、駆け引きが重要だ。あまり引くと逃げられる』
「あぁ、それなら平気。ここのボタン押すと……」
引っ張られる感覚が消え、糸を巻き取ると全く動かなくなった魚が手に入る。
「電気が流れて簡単に釣れる。ちゃんと針が刺さってれば引っ張れば取れる、餌咥えてるだけなら網を使う」
『…………貴方はもう少し釣りを楽しむという事をだな』
「うわ、焦げてる。ダメだ、これ使えないよ、生魚じゃなくなっちゃう」
『……新鮮な魚が欲しいなら家に帰るまで生かしておくべきだ、今殺しては帰る頃には臭くなるぞ。何の為に水を入れた瓶を持ってきたと思っている』
アルは鞄の紐を咥え、その中の瓶を僕に見せる。
「綺麗な魚釣れた時用かなって」
分かりやすい落胆のため息をつき、鞄を置いてその場に腰を下ろす。
『……貴方に健康的な趣味を期待した私が馬鹿だった』
「な、なんだよそれ……っていうかどうすればいいかな、どうやって生け捕りにすればいいの?」
『その釣竿を機能を使わず使えばいいだろう』
「それ今やろうとしたんだけど岩に引っ掛けて糸切っちゃったんだよ、替えは無いし……」
無理に引っ張るのは良くないと学習した。今度引っ掛けた時は川に入って手で外そうか。
『何故替えが無いんだ』
「……替えってそんな顔するほど必要なものなの?」
どうやら替えを持っておくのは常識らしい。アルは何も言わなかったが、表情で分かった。しかし、分かったところで現在はどうしようもない。玉網で頑張るしかない。
「この網で頑張ってすくう」
『…………頑張れよ』
僕から視線を外し、前足を枕に寝始めた。アルもグロルも眠っている、奇妙な疎外感を覚えながら瓶の蓋を開け、玉網を川に浸す。
「…………魔物使いの名の元に──」
空が茜色に染まる頃、アルは大きな欠伸をして目を覚ました。
「おはよ、アル。それ零さないで持って帰れる?」
『ん……?』
瓶の中にたっぷりと詰まった魚を見せるとアルは寝ぼけ眼を見開いた。
『……どうやったんだ』
「釣りの才能開花しちゃったかな?」
『…………あぁ、そうだな。ほら、乗れ。あぁ待て、瓶の蓋を忘れるな』
「魚死なない?」
『さぁな、死んだとしても直ぐなら美味い』
座っていた岩の上に並べてあった瓶の蓋を鞄の隙間に挿し込み、アルの背に跨ってグロルを支える。
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