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まだ初めてのこととかあったんだ

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ある日の昼下がり、窓のない広い部屋、二人がけのソファに座った査定士の前に立ち、ワンピースの裾をたくし上げる。

「……君の弟の詳細な居場所が分かったよ。予想通り、地下研究所だ」

査定士は俺に触れるどころか露出した股間を見ることもなく俺の顔を見つめている。

「シャルは……弟は、無事だった?」

「死ぬことはなさそうだという意味ならね」

「…………何、されてるんだよ」

査定士は何も言わずに手のひらほどの大きさの目玉を取り出した。オークに犯された時、アルマと出会った時、俺を撮っていたレコードアイとやらだろう。査定士が持った目玉は音声を再生した。

──
────

「この様子を見せれば平和主義の連中も思い知るだろう、魔物がいかに危険な存在か。雑魚なんて言われるインキュバスで……これだ」

「森の開発を進めるには魔物駆除が必須だ。そのためには魔物をコントロールする技術が必要……だが、研究は難航している、と」

「たまに居る、魔物と心を通わせるー、って奴らに協力させる方が楽かもな」

「無理だろ、愛護派って連中は下手すりゃ人間より魔物を庇いやがる」

「……無から産まれる魔物に意思や感情があるなんて、どういう発想なんだろうな。インキュバスみたいになまじ言葉が通じるのが居るせいだ」

「こいつらの言葉なんざ鳴き声だろ、表情も仕草も人間の真似事だ。見ろよあのインキュバスの顔、体、いかにも婦女子が好きそうな優男だ」

「……あぁ、人間を騙そうって習性が丸見えだ、気持ち悪ぃ話だな……」

────
──

会話の内容は腹立たしいものだ。しかし弟がどうなっているのかはよく分からない。そう伝えると査定士は研究員の会話ではなく背景の音に集中しろと言って再び音声を再生した。

「…………唸り声? なんか、戦ってる感じの音が聞こえた」

「あぁ、見つかる可能性があるから忍び込ませたレコードアイで映像は撮れなかったんだけどね、どうやら捕獲した魔物に興奮剤を投与させて罪人を襲わせ、その映像を使って魔物の駆除だとかにかける予算を増やさせようとしてるみたいだね」

弟は人間を襲わさせられているのか。俺なら罪悪感で押し潰されそうになるかもしれないが、弟なら精神面は大丈夫だろう。

「その他のは撮れてないんだけど、再生速度や耐久度実験もあるみたいだね。魔物の四肢を切断したり、内臓を摘出したり、拘束した魔物に新兵器……銃とかかな、そういうのを使ったり」

「え……じゃ、じゃあっ、シャルは……シャルは、売られた後の俺より酷い目に遭ってる……?」

「……見学を二日分予約してきた。まずは売ってもらえないか交渉して、ダメなら盗んでくるよ」

「お、お願いしますっ……シャルを助けて、シャルは確かに何人も殺してるかもしれないけど、それは俺のせいだし、シャルは根はいい子でっ……」

査定士の手の甲が内腿を撫で、ビクッと体が跳ねて訴えを中断させられる。

「分かっているよ。私に任せて。だから今は……私のやる気を出させておくれ」

すりすりと内腿を撫でられるとその先の行為を想像してしまって、全身の感覚が鋭くなっていくような感じがした。

「……恥ずかしがりな君が自分で見せているというのは、何とも言葉にし難い趣があるねぇ」

与えられたTバックの下着はどう考えても男物ではなく、性器を全て包んではくれなかった。尻の割れ目にくい込んだ紐に覚える不快感もさることながら、陰嚢すらまともに包めない三角の小さな布部分への不満はとても大きい。

「そんな可愛い顔をしているのに、立派な男根をパンパンに膨らませて、血管まで浮かせているんだから……それに」

査定士の指が下着から零れ出た陰嚢に触れる。左右からはみ出したそれを両手でゆっくりと摘み、優しく揉んだ。

「中で睾丸が君の興奮に反応しているのが分かるね。弾力が変わった感じがするよ。いいのかな? インキュバスにとって精液は生命に直結する大切なものだというのに……こんなふうに放出する準備をしてしまって」

指に入れられる力が少しでも強くなれば激痛を覚える。握り潰されるなんてことがあれば死を覚悟しなければならない。
男として大切な部分を他人に触られているという恐怖、興奮が俺の足を震えさせる。

「おっと……ふふ、待ちきれないのかな? 尿道球腺液をこんなに垂らして」

職業病なのか知らないが正式名称ばかり使わないで欲しい。一瞬なんのことか分からなかった。

「……粘性も十分、入れたくて仕方ないんだろうね」

左手で陰嚢を包むように持ち上げて揉みながら、右手を陰茎の方へ伸ばす。人差し指で亀頭から垂れていくカウパーを掬い、亀頭全体に塗り広げられる。

「ん、んっ……くぅっ……ん、ふぅっ……んんっ!」

「そういえば君、女を抱いたことは?」

ぶんぶんと顔を横に振る。タラタラと溢れていくカウパーを幹の方にまで塗り広げられながらでは返事にも力が入ってしまう。

「そう……じゃあ、これはどこにも入れたことがないんだね? 男を抱いたことは……」

再び顔を横に振る。

「ないね。誰かの口に入れたことは?」

スライムは除外していいだろう。そういえば口淫はよくしたがされたことはなかったな。

「ないんだね? それじゃあ、私が初めてだ」

カウパーを性器全体に塗り終え、査定士は微笑む。きゅっと握られた陰茎を軽く引っ張られ、俺は脛がソファに触れるところまで歩んだ。すると査定士は背を曲げて俺の腰を軽く掴み、亀頭に口付けた。

「へっ……? ぁ、ひっ……ぅ、あぁっ……!」

何度も短く唇を触れさせられ、陰茎がぷるぷると揺れる。腰を振ってしまいそうになると腰を掴んだ査定士の手の力が強くなった。

「ぁ……あっ、そ、んなっ……とこっ……だめぇ……」

裏筋をチロチロと舌先で刺激され、カリ首を舌先で弾かれ、亀頭を覆うように舌を触れさせられ、立っていられているのが不思議なくらいに足の力が抜けていく。

「ん……しょっぱいね。どうかな? 私の舌技は……お気に召していただけたかな? 自分では上手いと思っているのだけれど」

微笑む査定士は言葉を終えると俺に見せつけるように口を開け、舌を突き出した。

「……どうして、フェラ得意なの?」

「ふふ……ただの趣味だよ。それで? 気に召していただけただろうか」

「は、いっ……それは、当然……」

細く尖る器用な舌を見ていると先程の口淫を思い出し、もっとして欲しいなんて思ってしまって、陰茎にむずむずとした焦れったさが宿る。いつもは快楽を欲しがるのは下腹なのに、今回は違う、普通の男と同じように陰茎に刺激が欲しくなっている。

「……気には召したけど、満足はしていない。そんな顔だね? どうしてかな、何が足りないのかな? 言ってごらん、私にできることならしてあげるよ」

査定士が話しているだけでその口内で舌が動いているのだと妄想してしまって、それを俺の陰茎を咥えてやって欲しいなんて考えて、興奮が加速していく。
ワンピースの裾を握り締める手に力を込め、更にたくし上げて臍まで見えてしまっているのも気にせずに口元を両手で隠し、顔が熱くなるのを感じつつ要求を口にした。
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