過労死で異世界転生したのですがサキュバス好きを神様に勘違いされ総受けインキュバスにされてしまいました

ムーン

文字の大きさ
359 / 604

痩身を手に入れる労力はそれなり

しおりを挟む
染み込む余地もなくなったのか、シーツの上には白濁液の水たまりが出来ている。それもかなりの大きさだ、俺の腹を臨月のように膨らませていた魔力を全て精液として放出したのだから当然と言えば当然だが。

「頑張りましたね、兄さん」

ビクビクと痙攣する身体は頭で何を考えても動いてくれない。しかし、シャルが抱き締めてくれているのは感じる。

「ひゃっ、ぅ……ひゃ、うぅ……」

体もろくに動かせないほど絶頂し、シャルの名すら呼べない俺の頬にシャルは唇を触れさせてくれる。

「大丈夫ですか? 動けませんか? 水浴びをしないといけませんね。ですが、人間の家の設備は壊れてしまっているんです」

一度凍結したのだから当然水道などは割れてしまっているだろう。俺の前世の世界と似た造りの水道だったらの話だが。

「……人間は居なくなりました、王都には僕達しか居ません。子供達が遊び回っているせいか他の魔物も怯えて近寄ってこないんです。兄さんがいつ帰ってきてもいいように廃墟で暮らしていましたが……食料の調達が少し難しいんです、兄さんが帰ってきた今こそ住処を移すべきかもしれませんね」

裸の俺を横抱きにしたシャルは廃墟と化した王都について話しながら俺を王城まで運んだ。

「そうそう兄さん、すごいんですよこのお城。巨大な魔樹を壁として使って建築されているんです。子供達が遊んでお城を少し壊してしまったら、壁の中から木が出てきたんですよ」

王城の裏手は無残に崩れており、剥がれた外壁の中には超巨大な木の幹が見えた。俺が産まれた魔樹よりも大きい、これが魔神王が俺に管理しろと言った島で一番大切な木だろう。

「それでですね兄さん。地下の方を少し探ってみたんです。魔樹の根があると思ったんですが、どうやら人間が魔樹をかなり埋めてしまったようで根らしい根が見えるのはもっと深いようなんです。だから地下二階の部屋まで行っても根が見えないんですよ」

「……それ、が……なに」

「ふふ、その地下二階の部屋……沐浴場なんです。木の幹から染み出した樹液が溶けた水で、すごくいいお風呂なんですよ」

暗いと思ったら地下二階に入っていたのか。沐浴場には申し訳程度に松明があるが、本当に暗い。室内でサングラスをかけている気分だ。

「足、浸けますよ」

膝から下が冷たい水に沈む。思わず悲鳴を上げてしまうかと思ったが、くたびれた俺の身体は驚きすらも表現出来なかった。

「べとべとしていないでしょう? 幹に傷が付いている訳ではありませんから、そんなに樹液が濃くはないんです。でもお義兄さんをここに入れたら髪と爪と角の伸びが早くなったんですよ。カタラさんは肌がツルツルになったって喜んでました。おじさんは若返る気がするなんて言っていて……」

「……仲良く、できてるんだな」

「へっ?」

「お前……俺以外と、あんま、関わろーとしてこなかったろ。だから、ちょっと……心配だった。だいじょーぶ、そーだな」

シャルの成長を喜んでいるのに、褒めてやりたいのに、朗らかに話せない。どう頑張っても暗い話し方になってしまう。

「えっと、兄さん……ぼ、僕の一番は兄さんです!」

「…………知ってる。可愛い、な……よしよし」

なんとか手が動くようになったので紫のふわふわとした髪を撫でてやる。そうしているとシャルは俺を腰まで水に浸けた。

「……っ、冷た。あ、でも……なんか、寒くないな。体の芯はポカポカする。気持ちいい冷たさだ」

胸まで浸かると身体がかなり動くようになり、スムーズに話せるようにもなった。素晴らしい効能だ、これでお湯なら温泉のようで懐かしかったのだが。

「隣座れよ、シャル」

「失礼します」

暗闇の中シャルと二人きり、仄かな火の灯りだけで互いの顔を見つめて沐浴を楽しむ。

「手繋いでくれよ」

「は、はいっ……ふふ、兄さんから言ってくれるの嬉しいです」

今更手を繋いだだけで頭羽を揺らすシャルへの愛おしさを押さえきれず、繋いだ手の甲に唇を触れさせた。

「……なぁ、俺が居なかった間のこと話してくれ。出来事とかじゃなくてさ、シャル……お前は誰と仲良くしたんだ? お前が友達みたいなの作ってくれてるとお兄ちゃん嬉しいな」

「友達……友達と言うならやはり、カタラさんでしょうか。僕が兄さん恋しさに暴れてしまったらいつも止めてくれました」

俺恋しさに暴れるって何?

「カタラさんの食事を用意するのはなかなか大変で……お義兄さんはそのままでも食べますが、カタラさんは切って焼いてあげないと食べないんです」

野生動物だとかの話だろうか。

「一度、オークを生け捕りに出来たので、頑張って捌いてみたんです。綺麗に出来たので丁寧に焼いてカタラさんに食べさせたんです。その時はとても喜んでくれました」

「そっ……かぁ」

オークって食えるんだ。いや、まぁ、豚だしな。

「でも、オークの肉だと分かるとカタラさん吐いてしまって……何故か、僕を罵って。どうやらオークは人間が食べるには適さないようでした」

やっぱり食えないんだ。

「……それが一昨日のことで、カタラさんまだ寝込んでいるんです。滋養のあるものを食べさせたいんですが、なかなか」

シャルは酷く落ち込んでいる様子だ。よかれと思って用意した肉で友人が食あたりを起こし、仲違いしてしまったのだから落ち込んでも仕方な──

「ごめんなさい兄さん、仲良くした話を話そうとしたんですが……あまり仲良くできていませんね。僕、兄さんの望みを叶えられていません……」

──シャルが落ち込んでいるのはカタラとの一件であって欲しかったな。どこまでも俺のことばかりか、全く可愛い弟だ。

「……あ! 友達とは少し違いますが、おじさんとは仲良くしています。水浴びをした後、眠る前におじさんの肩や腰を揉みほぐして差し上げているのですが、これがとても喜んでいただけているんです!」

「へぇ! シャルはマッサージ上手いんだな。カタラが元気戻ったらそれで仲直りしたらどうだ? わざとじゃないんだし、すぐ許してくれるよ」

「そう……ですね。そうですよねっ、試してみます」

少し声が明るくなった。分かりやすくて可愛いな、いい意味で弟らしいと言うべきか。

「ネメスィとはどうだ?」

「……あまり話していません。ネメスィさん、兄さんが居なくなってからはカタラさんともあまり話していないみたいなんです。子供達の世話はよくしてくれているんですが……その分、僕達との交流は全く」

カタラとも話していないのは心配だな。先程会った時は変わった様子はなかったが、また後でちゃんと話さなければ。

「アルマとはどんな感じだ?」

「仲良くしていると思います。この間は角を削って差し上げました」

爪切りみたいなものかな……? 食事を用意したりマッサージをしたりと、シャルは何かと献身的だな。

「いい子だなお前は」

「へっ? あ、ありがとうございます……兄さんのなでなで、本当に大好きなんです」

「こんなもんでそんなに喜ぶならいくらでも撫でてやるよ。可愛い可愛い、いい子だな」

頭を撫でて額にキスをして──そうやって穏やかな時間を過ごした。ふと見た指がふやけていたので沐浴場を後にして、また太陽の下に出た。ずっと部屋の中に居て、魔神王城からも空は見えなかったからか青空を見るだけで最高の気分になれる。

「兄さん、服を作りましょうか?」

「あぁ、頼めるか? ありがとうな」

シャルはいつの間にか自身の魔力を実体化させた露出度の高い服を着ていた。同じデザインの服が俺にも与えられる。

「……っと、ちょっと視界高くなったな」

シャルはヒールブーツだが、俺は厚底ブーツだ。ヒールでなんて歩けない。

「相変わらず色んなとこ見えてる……」

腰羽を出すため服の丈は短く、臍が出ている。何故か肩も出ている。尻尾を出すためにジーンズはローライズで、鼠径部が見えてしまう。何故かダメージ加工されているから太腿なども見えてしまう。

「うん……でも何かこの格好が落ち着くな。なぁ、他のみんなはどこに居るんだ?」

「待っていれば来ますよ。僕の子が皆さんに兄さんが帰ってきたことを伝えていますから」

そんな伝言を頼んだようには見えなかったが、ただの憶測か? 不確定要素があるにもかかわらず断言するシャルを不思議に思っていると青空にドラゴンの影が五つ差した。
しおりを挟む
感想 156

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

メインキャラ達の様子がおかしい件について

白鳩 唯斗
BL
 前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。  サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。  どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。  ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。  世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。  どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!  主人公が老若男女問わず好かれる話です。  登場キャラは全員闇を抱えています。  精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。  BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。  恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。

寄るな。触るな。近付くな。

きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。 頭を打って? 病気で生死を彷徨って? いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。 見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。 シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。 しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。 ーーーーーーーーーーー 初めての投稿です。 結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。 ※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。   ※(2025/4/20)第一章終わりました。少しお休みして、プロットが出来上がりましたらまた再開しますね。お付き合い頂き、本当にありがとうございました! えちち話(セルフ二次創作)も反応ありがとうございます。少しお休みするのもあるので、このまま読めるようにしておきますね。   ※♡、ブクマ、エールありがとうございます!すごく嬉しいです! ※表紙作りました!絵は描いた。ロゴをスコシプラス様に作って頂きました。可愛すぎてにこにこです♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

処理中です...