冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

文字の大きさ
59 / 2,315

目元は絶対領域 (水月+カンナ・ハル・シュカ・リュウ)

しおりを挟む
メカクレの目を無理矢理見ようとする、これはメガネキャラのメガネを外す行為に匹敵する大罪だ。しかしそれはオタク界の話。

「──ってわけで、こいつらはカンナの顔を見ようとしただけなんだ」

まぁ大したことじゃない。人によっては座り込んで泣いているカンナの方を責めかねない内容だ。

「痛っ!?」

さて、そろそろカンナを立たせて仲直りさせて──というところでリュウが三人のうちの一人のスネを蹴りつけた。

「こ、こらリュウ! 蹴るな!」

「離せや! まだ二人蹴ってへん!」

「ダメだってば! シュカ、頼む」

リュウを羽交い締めにする役をシュカに引き継ぎ、俺はカンナに手を差し出した。

「カンナ、立てるか?」

「み、くん……? ぅん……」

「あーぁ、後ろボサボサだな。櫛なんか持ってないぞ」

カンナの前髪は不動だ。おそらく何かで固めてある、それを両腕で守った結果横や後ろの髪がボサボサになったのだろう。

「……GO!」

「っしゃあ! 死ねっ!」

俺がカンナにかかりきりになった隙にシュカがリュウを解放し、残り二人もスネに蹴りをくらった。

「甘い! いいですか、ローキックはもっと……」

「ローキック教室始めるな! 大丈夫かお前ら、リュウがごめんな。リュウ! やめろって言っただろ」

「るっさいわ! 自分しぐがどんだけ顔見られんの嫌なんか知らんのか!」

「お前、ちょっと前は見ようとしてたくせに……いや、うん……カンナが前髪触られるの嫌がるのは知ってるよ。でも蹴るのはよくない」

リュウにはカンナを送るよう頼んだことが二回ほどあった、その時に仲良くなったのだろうか? 暴力的なのはいただけないが、カンナのために怒る姿は微笑ましいな。

「しぐ、大丈夫やったか?」

「……てん、くん? ぅん……ぁ、り…………と」

「自分、駅で待っとき。俺と水月で毎朝迎え行ったるわ。なぁ水月、ええやろ?」

「あ、うん……俺はもちろん」

「…………ぁ、り……がとっ……」

唇を震わせながらもカンナは微笑んだ。愛らしい子だ、きっと綺麗な目をしているだろうに何がそんなに嫌なんだろう。

「リュウ、カンナと仲良くなってたんだな」

「……は!? べ、別にそんなんとちゃうわ!」

「カンナ、見た目と口調はちょっと怖いけど、リュウは優しい奴だろ?」

「優しないわ! って見た目も口調も別に怖ないやろ!」

スネを抱えてうずくまった三人の男子生徒を置いて四人仲良く学校へ。余裕を持って到着するはずだったが、始業時間が近い。

「リュウ、トイレは次の休み時間な」

「へ? ぁっ、あぁ……せやな。もぉ……そんなん授業前に言われたら気になってまうやん」

顔を赤くしたリュウは自分の席についた後ももじもじしている様子で、遠目に見ていてもとても愛らしかった。

「ハル、おはよう」

「おっはよー、みっつん。今日は遅いね」

ハルは机に鏡を置き、メイク道具が詰まった鞄を広げ、目元にペンを走らせていた。

「あぁ、ちょっとカンナが絡まれててさ……何やってるんだ?」

「アイライナー引いてんの。ほら、目おっきく見えるっしょ」

分かんない。

「……本当だ、元々可愛いのにますます可愛くなったな。あのさ、カンナが髪ボサボサになっちゃったんだ、櫛持ってないか? 持ってたら貸してくれ」

「えー? 持ってるし別にいいんだけどさぁ……そういうの、普通本人が言わない?」

ハルは鞄から取り出した薄い櫛をウェットティッシュで拭きながら俺をじとっとした目で見上げた。

「いや、そう言わずに……ぅ、分かったよ。カンナー、カンナ、おいで」

カンナは後ろ髪はボサボサのままでも構わないようなので、櫛を借りようとしたのは俺の独断だ。しかしハルとカンナの仲は微妙だし、この機会に歩み寄ってもらおう。

「…………?」

「ハルが櫛持ってるんだ、貸してもらっておいで」

「…………」

頷いた。第一関門突破だ。カンナはハルの机の横に立ち──しばらくすると首を傾げ、俺の方を向いた。

「い、いや……カンナ、貸してもらう時は何か言わなきゃ。俺が話つけたわけじゃないから……」

「…………!」

先に言え、みたいな反応をしたカンナはハルの肩をつついた。

「何? しぐしぐ」

「かす……くん」

「カス!? なんで俺急に罵られたの!?」

「ち、違うんだハル! カンナは霞染かすみぞめくんって言ったんだ、声が小さいからカスしか聞こえなかっただけだ!」

「あぁ……もう紛らわしいから下の名前で呼んで。初春はつはるっての、ハルでいいよ」

おっ、これは仲良しフラグでは?

「……は、くん」

「うん、何?」

「ぼく…………み、ぼ……さ……」

「……聞き取れないんだけど」

俺が翻訳してしまっては仲直りイベントを潰すことになる。俺に出来るのは二人とも頑張れと応援することだけだ。

「うん……うん? うん……あぁ、髪ボサボサになったって言ってんのね、で?」

「なん……か…………して」

「何とかしてって……アンタね。ほら、櫛貸したげる、これでいいんでしょ」

「あ、り……とっ」

礼を言われたハルはほんのりと顔を赤らめて「別に……」と呟き、カンナは機嫌良さそうに髪を整える。とても微笑ましい光景だ。

「よかったな、カンナ」

「…………! み、くん……あり、が……とっ」

カンナはにっこりと笑って大きく頷き、俺にも礼を言ってくれた。
しおりを挟む
感想 535

あなたにおすすめの小説

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。 続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』 かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、 転生した高校時代を経て、無事に大学生になった―― 恋人である藤崎颯斗と共に。 だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。 「付き合ってるけど、誰にも言っていない」 その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。 モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、 そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。 甘えたくても甘えられない―― そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。 過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。 今度こそ、言葉にする。 「好きだよ」って、ちゃんと。

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

一人の騎士に群がる飢えた(性的)エルフ達

ミクリ21
BL
エルフ達が一人の騎士に群がってえちえちする話。

イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです! 元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。 持ち主は、顔面国宝の一年生。 なんで俺の写真? なんでロック画? 問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。 頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ! ☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。

水泳部合宿

RIKUTO
BL
とある田舎の高校にかよう目立たない男子高校生は、快活な水泳部員に半ば強引に合宿に参加する。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

寝てる間に××されてる!?

しづ未
BL
どこでも寝てしまう男子高校生が寝てる間に色々な被害に遭う話です。

処理中です...