冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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告解

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エレベーターで涙が滲んだ目を拭い、レイの家へと戻る。リビングではハルが騒いでいた。

「カミアもう帰っちゃったの!? ってか、アレ、ホントに来てた? 俺の幻覚じゃ……しぐしぐ! しぐしぐぅ! アンタ声似てると思ったら、ふ、双子!? 双子って何!? なんでアンタこんなとこでただの高校生やってんの!? アンタ顔カミアってこと!? その邪魔な髪どかしてよ!」

騒ぎ立てるハルを途中までは微笑ましく見守っていたが、彼がカンナに詰め寄ったので俺は慌てて割り込んだ。

「ダメだハル! 知ってるだろ、カンナは顔見られるの嫌いなんだって」

「せや、前に顔無理矢理見られかけた時なんかえっらい大声上げて泣いとったわ。ハル居らんかったけど後で話したやろ?」

「カミアにそっくりで目立っちゃうから隠してるとかでしょ!? 見せてよ、俺もう頭おかしくなっててカミアが来てた時のことほっとんど覚えてないんだからぁ! て、て、手ぇ握ってもらえたよね!?」

俺の服を掴んで揺さぶったかと思えば、自分の手を見て震え出す。ハルが元に戻るにはかなりの時間を要するようだ。

「はる、くん……ごめ、ね? ぼく……似て、な……から、期待……には、応え、ら、んな……」

「騙されないから! みっつんカミアの目のことアンタとお揃いって言ってたもん!」

結構細かく覚えてるじゃないか。

「みぃくん……今、まで……隠して、くれて、ありがとう。カミアが……ゆーき、出して、自分のことちゃんとみんなに言ったから……ぼくも、言う」

俺の背に隠れてシャツをぎゅうっと掴んでいたカンナは、ゆっくりと俺の影から出た。

「はる、くん……ぼくと、カミアはね、昔……そっくり、で……一緒に、アイドル……して、たの。じゅにあ、あいどる……だから、割とにっち。調べればすぐ分かるけど……カミア知ってて、も、双子だって知ってる人、も、あんまり居ない」

「は……!? アンタもアイドル? しかもそっくりって……」

「…………かげ、きな……ね? ふぁんの……人、がね? ぼく……に、ね? いた、い……こと、して…………ぼく、顔、だめに……なったの」

数人の息を呑む音が部屋に響いた。カンナは前髪の上からそっと自身の顔を押さえる。

「だか、らね? 見せら、な……見たら、やなきぶん、なる、から……だめ。ごめ……ね? はる、くん……カミア、好き、なってくれた……のに、なにも、言わな、くて……顔も、みせら、なくて……ごめ、なさい……」

「…………アンタが謝ることなんか何もないじゃん……俺がごめんだよ、無理矢理見ようとして……マジで最低、ごめん。何も知らなかったなんて言い訳になんない、ごめんねしぐ……泣かないで、ごめん……」

ハルは泣き出してしまったカンナを優しく抱き締め、震える背を優しく撫でた。

「……しぐはしぐだもんね。カミアの兄、じゃなくてカンナ! 大人しくて声ちっちゃくて、みっつんに守られてばっかのトロいヤツ! カミアに似てても似てなくても、関係ないもんね……ごめんね? もう泣かないでよぉ……アンタに泣かれると、なんかすっごい胸きゅうってなんの」

「ごめ、なさ……すぐっ、なき、や……からぁ……」

「ぅー…………みっつぅん」

「あぁ、カンナおいで」

今にも泣き出しそうな顔をしたハルに呼ばれ、俺は顔を両手で覆ったまま俺の方を向いたカンナを強く抱き締め、頭と背を撫でた。

「……ちょっといいですか?」

カンナが泣き止んだ頃、シュカがずいっと寄ってきた。

「蒸し返すようで申し訳ないのですが、顔がダメとはどういう……? 私も一応顔に傷がある身ですので、親近感が湧いてしまって。刃物傷でしたら色々と語り合いたいことがあるのですが」

「……とけ、たの。ごめん、ね、とりくん……とりくんと、おそろ……じゃ、な……の」

「溶け……? い、いえ、お揃いだったらそれはそれで、私は晒しているのにダメとは何事ですかと思ってしまうところですので……まぁこの程度でもアイドルとしてはダメだそうですが」

案外とカミアに言われたことを気にしているのか、シュカは頬の傷を指でなぞっている。

「溶けたって……薬品か何かか?」

「……ゅ……さ…………ぅ、ふっ……ぅ、うぅぅ……」

「すいません先輩、もう……これ以上は」

「あ、あぁ、悪い……ごめんな、時雨」

「俺水持ってくるっす」

カンナをソファに座らせ、俺も隣に座って彼を慰め続ける。レイから受け取った水を飲んで一息ついたカンナは今度は俺に「せっかくの誕生日なのにこんな空気にしてしまってごめんなさい」と謝り始めた。

「いいよ、隠すことなくなってちょっとはスッキリしただろ? カンナが少しでもプラスの方向に行けたんなら、俺にとっては最高のプレゼントだよ」

「みぃくん……みー、くん…………だい、すき。だいすき……だい、すきぃ……」

この涙は罪悪感や悲しみが理由ではない。安堵した俺はほとんど無意識のまま彼氏達に目配せをした。

「せや、プレゼントと言えばや! まだしぐところしかプレゼント渡しとらんやんけ。思わぬサプライズゲストに順番抜かしされてもうたけど、水月に口説かれた順やったら次俺でええやんな?」

「あ、うん、いいよ。その次俺だよね、準備しとく」

「待ってくれ、まだカンナからのプレゼント開けてない。カンナ、開けるぞ、いいな?」

「ん……」

カンナを抱き締めるのをやめ、クッションを与えて肩だけを貸す。カンナはクッションを抱き締めて俺にもたれ、俺は自由になった手でカンナからのプレゼントを開封した。

「おっ、ハンカチか。へぇ、なかなかシック……」

カミアが来てからのゴタゴタで開けるタイミングを失っていたカンナからのプレゼントの中身は、黒に近い深い青色のタオル地ではないハンカチだった。広げてみると隅っこに三日月とそれを見上げるウサギが白一色で刺繍されていた。

「月とウサギか……俺達みたいでいいな。な、カンナ」

「ん……そ、おも、て……えら、んだ」

「そうなのか? カンナと発想が似てて嬉しいよ」

カンナの髪にキスをしてハンカチを畳み、リュウからのプレゼントを受け取った。

「ちっちゃくなーい?」

「ストラップやもん。自分のも小さいやんけ」

「アクセだもん」

開ける前にネタバラシするのは控えて欲しいなと思いつつ包装紙を丁寧に開けると、小さな金魚鉢の可愛らしいストラップが現れた。

「正確には根付。実家の神社で売っとるもんや、金運アップのご利益があるらしいで」

「へぇー、金運……可愛いし、いいな、ありがとう」

「友達の誕生日プレゼントやねん言うて特別にご祈祷もしてもろてんで。普通に売っとるもんよりありがたさは上がっとるはずや」

「祈祷? 本当にありがたいな……!? 効果ありそう、ちょっと、どっか……なんか高いとこに飾ろうかな」

金魚鉢の中に赤い金魚が浮かんだデザインだ、ガラス細工のようだからますますストラップとしては扱いにくい。透明の箱にでも入れて部屋に飾ろう。

「そーいやアンタ神社の息子なんだっけ」

「叔父さんが継いどるから神社の息子っちゅうと語弊あるな、神社の孫くらいやな」

ハルは無言でパンパンと手を叩き、軽く頭を下げた。

「……俺拝んでも金運は上がらんで」

「だろーね。みっつーん、はい、プレゼント」

ハンカチ、ぬいぐるみ、根付を一旦脇に置き、ハルからのプレゼントを受け取った。
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