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やっぱりペアアクセ
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ハルに引っ張られてネックレスコーナーへと移動させられた。
「メンズはこっちかな~」
男向けのネックレスはシルバーばかりな上に、棒だの十字架だのリングだのばかりでバリエーションが少ない。色も形も多彩な女性向けのアクセサリーとは違い、見ていてもあまり楽しくない。
「ロケットペンダントあるよ~? どぉ?」
「十一個ぶら下げなきゃダメじゃん」
「あはっ、アレじゃん。倒した敵のん集めてるタイプの戦士~……あ、これ写真二枚入るっぽい。六個でいいじゃん」
「多い多い。彼氏の写真はスマホにたくさん入ってるからいいんだよ」
カミアのはないけど。
「男のアクセは華がないよなぁ」
「レディース見る~?」
「ハルには似合うけど、俺には似合わないと思うよ」
綺麗な物を見るのは好きだから、アクセサリーショップは楽しい。けれど自分を飾ってしまったら自分ではよく見えなくなるから、自分の分は欲しくない。ハルを飾るのならアクセサリーもハルも互いを引き立て合ってより美しくなるから、ハルの分は買ってあげたくなる。
「あ……ね、ねぇみっつん、これ……どぉ?」
ハルに見せられたのはシルバーの棒状の飾りがぶら下がったネックレスだ。何の変哲もない棒……これに四桁はちょっと出せない。
「これさぁ、こっちの面にハート模様彫ってあって……でもこれ一個じゃ完成しない、ペアアクセで……で、でも模様薄いし、目立たないから……その、ペアアクセだけどそんな恥ずくもないかな~って」
買う。
「もう片っぽのってこれか? ちょっと色違うな、ピンクシルバーってヤツか。ハルどっちがいい?」
「か、買うの? えへへ……やったぁ。じゃあピンクっぽい方」
ペアネックレスを一組カゴに入れ、他の彼氏達ともペアアクセを買ってみたいなと妄想し、その場合やはり俺はアクセサリージャラジャラ男になるのだと結論が出て落ち込んだ。
「ペアアクセなんてダサいと思ってたんだけどさ~、今すっごく気分いい」
「俺もだよ」
「姉ちゃんがペアアクセ持っててさ、別れた時にハンマーで砕いてたんだよね~。見ちゃった時は面白かったけどぉ~、俺もみっつんと…………別れ、たら、そういうことするのかなぁ……」
「別れる訳ないだろ? デート中にそんな想像しないでくれよ」
ハルが俺の彼氏として自信を持ってくれていないのは、軽度の男性恐怖症のせいで触れ合いが他の彼氏達より少ないから、だったかな。恋愛には必ずしも性的接触な訳ではないのだが、ヤりまくってる俺の姿を見ていたらそう思ってしまうよな……俺の責任だ。
「……そうだ、なぁハル、指輪のサイズ測ろう」
「指輪~? いいけど~」
「よかった、じゃあ左手の薬指な」
「…………それって」
「プチプラだけど許してくれよ? 結婚指輪はちゃんとしたの買うからさ」
「もぉ~……みっつん…………もぉ~! 何言っていいか分かんないじゃん~! ばか~! もぉ~!」
顔を真っ赤にして照れたハルは掴んでいる俺の腕をぶんぶん振り回す。ありえない想像で生まれた不安は拭えたようだ、グッジョブ俺。
「指輪コーナーここか。ハルはどんな指輪が欲しい?」
「え~、どうしよっかなぁ~」
「値段気にしなくていいぞ、俺が買うから」
サイズがどうのと話したが、この店に売っている指輪はどれもサイズなんて書いていない。せっかくカッコつけたのにな……
「じゃあ~、これっ!」
ハルが選んだのは三本の線が絡み合ったメビウスの輪の偽物みたいなデザインの指輪だった。シルバーのみと見せかけて、一本だけ太い線の上に小さな宝石が並んでいる。
(本物の宝石じゃあなさそうですな)
自分の指に入るかどうか試しているハルの表情は緩く、愛らしい。
「じゃあこれも買うとして……他は?」
「ん~、もういいかなぁ~。そろそろお腹空いたし」
「だな。じゃあ会計済ませてお昼行こうか」
俺が奢る分、ハルが自分で買う分を分け、店員に無駄な手間をかけた。店を出てアクセサリーに付いたタグを取ると、ハルは早速イヤリングを着けた。俺が選んだ三日月のイヤリングだ。
「どーぉっ?」
「よく似合ってるよ。淡い金色がハルの綺麗な黒髪によく目立ってる」
「えへへー……ね、みっつん。ネックレス着けよ」
互いの首に腕を回し、互いのネックレスを首にかける。胸元で揺れる棒状の飾りに刻まれた半分ずつのハート模様を合わせ、笑い合った。
「ハル、左手出せよ」
「……う、うん」
せっかくだからやっておくかと、俺はその場に片膝をついてハルの左手に左手を添えた。
「ちょっ、そ、そのポーズはやめてよぉ! めっちゃ目立ってるって! すっごい見られてるんだけどぉ!」
言いながらも俺から離れたり手を引いたりはしないハルの薬指に指輪を通し、手の甲に唇をちゅっと触れさせた。
「愛してるよ、ハル」
「…………っ、んもぉお~! 俺も! あっ、ぁ、愛してる! ばか! 早く立ってよもぉ!」
通行人達からぽつぽつと拍手が送られるとハルは顔を真っ赤にして俺の手を掴み、引っ張った。
「お、お昼ご飯行くよ!」
「ふふっ、うん。行きたい店あるのか?」
早足でアクセサリーショップの前を離れ、ハルが前から来てみたかったという落ち着いた雰囲気のカフェに入った。
「三種のケーキセットと~、カフェラテお願いしま~す」
「蟹のクリームパスタと……メロンソーダで」
注文を受けた店員が去った。メニュー表を机の端に立て、指輪が煌めくハルの左手を眺める。
「みっつんコーヒー飲まないの~?」
「苦いのが苦手なんだ」
「へぇ~。俺古参のつもりだったけど結構知らないことあんね~」
「俺のことでか? まぁ、コーヒー飲めないとか子供っぽくてカッコ悪いかと思って隠してたしなぁ」
「え~、俺は可愛いと思うけど~?」
見た目が完璧だからこそ、こういった欠点が可愛く見えるのだろう。頻繁には晒さず、けれどもギャップ萌えを誘うため完全には隠さず、チラチラと欠点を見せる……これが結構難しい。
「メンズはこっちかな~」
男向けのネックレスはシルバーばかりな上に、棒だの十字架だのリングだのばかりでバリエーションが少ない。色も形も多彩な女性向けのアクセサリーとは違い、見ていてもあまり楽しくない。
「ロケットペンダントあるよ~? どぉ?」
「十一個ぶら下げなきゃダメじゃん」
「あはっ、アレじゃん。倒した敵のん集めてるタイプの戦士~……あ、これ写真二枚入るっぽい。六個でいいじゃん」
「多い多い。彼氏の写真はスマホにたくさん入ってるからいいんだよ」
カミアのはないけど。
「男のアクセは華がないよなぁ」
「レディース見る~?」
「ハルには似合うけど、俺には似合わないと思うよ」
綺麗な物を見るのは好きだから、アクセサリーショップは楽しい。けれど自分を飾ってしまったら自分ではよく見えなくなるから、自分の分は欲しくない。ハルを飾るのならアクセサリーもハルも互いを引き立て合ってより美しくなるから、ハルの分は買ってあげたくなる。
「あ……ね、ねぇみっつん、これ……どぉ?」
ハルに見せられたのはシルバーの棒状の飾りがぶら下がったネックレスだ。何の変哲もない棒……これに四桁はちょっと出せない。
「これさぁ、こっちの面にハート模様彫ってあって……でもこれ一個じゃ完成しない、ペアアクセで……で、でも模様薄いし、目立たないから……その、ペアアクセだけどそんな恥ずくもないかな~って」
買う。
「もう片っぽのってこれか? ちょっと色違うな、ピンクシルバーってヤツか。ハルどっちがいい?」
「か、買うの? えへへ……やったぁ。じゃあピンクっぽい方」
ペアネックレスを一組カゴに入れ、他の彼氏達ともペアアクセを買ってみたいなと妄想し、その場合やはり俺はアクセサリージャラジャラ男になるのだと結論が出て落ち込んだ。
「ペアアクセなんてダサいと思ってたんだけどさ~、今すっごく気分いい」
「俺もだよ」
「姉ちゃんがペアアクセ持っててさ、別れた時にハンマーで砕いてたんだよね~。見ちゃった時は面白かったけどぉ~、俺もみっつんと…………別れ、たら、そういうことするのかなぁ……」
「別れる訳ないだろ? デート中にそんな想像しないでくれよ」
ハルが俺の彼氏として自信を持ってくれていないのは、軽度の男性恐怖症のせいで触れ合いが他の彼氏達より少ないから、だったかな。恋愛には必ずしも性的接触な訳ではないのだが、ヤりまくってる俺の姿を見ていたらそう思ってしまうよな……俺の責任だ。
「……そうだ、なぁハル、指輪のサイズ測ろう」
「指輪~? いいけど~」
「よかった、じゃあ左手の薬指な」
「…………それって」
「プチプラだけど許してくれよ? 結婚指輪はちゃんとしたの買うからさ」
「もぉ~……みっつん…………もぉ~! 何言っていいか分かんないじゃん~! ばか~! もぉ~!」
顔を真っ赤にして照れたハルは掴んでいる俺の腕をぶんぶん振り回す。ありえない想像で生まれた不安は拭えたようだ、グッジョブ俺。
「指輪コーナーここか。ハルはどんな指輪が欲しい?」
「え~、どうしよっかなぁ~」
「値段気にしなくていいぞ、俺が買うから」
サイズがどうのと話したが、この店に売っている指輪はどれもサイズなんて書いていない。せっかくカッコつけたのにな……
「じゃあ~、これっ!」
ハルが選んだのは三本の線が絡み合ったメビウスの輪の偽物みたいなデザインの指輪だった。シルバーのみと見せかけて、一本だけ太い線の上に小さな宝石が並んでいる。
(本物の宝石じゃあなさそうですな)
自分の指に入るかどうか試しているハルの表情は緩く、愛らしい。
「じゃあこれも買うとして……他は?」
「ん~、もういいかなぁ~。そろそろお腹空いたし」
「だな。じゃあ会計済ませてお昼行こうか」
俺が奢る分、ハルが自分で買う分を分け、店員に無駄な手間をかけた。店を出てアクセサリーに付いたタグを取ると、ハルは早速イヤリングを着けた。俺が選んだ三日月のイヤリングだ。
「どーぉっ?」
「よく似合ってるよ。淡い金色がハルの綺麗な黒髪によく目立ってる」
「えへへー……ね、みっつん。ネックレス着けよ」
互いの首に腕を回し、互いのネックレスを首にかける。胸元で揺れる棒状の飾りに刻まれた半分ずつのハート模様を合わせ、笑い合った。
「ハル、左手出せよ」
「……う、うん」
せっかくだからやっておくかと、俺はその場に片膝をついてハルの左手に左手を添えた。
「ちょっ、そ、そのポーズはやめてよぉ! めっちゃ目立ってるって! すっごい見られてるんだけどぉ!」
言いながらも俺から離れたり手を引いたりはしないハルの薬指に指輪を通し、手の甲に唇をちゅっと触れさせた。
「愛してるよ、ハル」
「…………っ、んもぉお~! 俺も! あっ、ぁ、愛してる! ばか! 早く立ってよもぉ!」
通行人達からぽつぽつと拍手が送られるとハルは顔を真っ赤にして俺の手を掴み、引っ張った。
「お、お昼ご飯行くよ!」
「ふふっ、うん。行きたい店あるのか?」
早足でアクセサリーショップの前を離れ、ハルが前から来てみたかったという落ち着いた雰囲気のカフェに入った。
「三種のケーキセットと~、カフェラテお願いしま~す」
「蟹のクリームパスタと……メロンソーダで」
注文を受けた店員が去った。メニュー表を机の端に立て、指輪が煌めくハルの左手を眺める。
「みっつんコーヒー飲まないの~?」
「苦いのが苦手なんだ」
「へぇ~。俺古参のつもりだったけど結構知らないことあんね~」
「俺のことでか? まぁ、コーヒー飲めないとか子供っぽくてカッコ悪いかと思って隠してたしなぁ」
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