冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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七夕と言えば

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シュカに手伝ってもらい、小さくなったウッドデッキの近くに笹を立てた。

「手伝ってくれてありがとうな、シュカ」

「別にいいですけど、これわざわざ買ったんですか?」

「いや、母さんが……母さんの彼女だっけ、誰か分かんないけど、ちっちゃい頃に買ってくれたんだ」

この笹は本物ではない、組み立てたと言うべきだっただろうか。

「ふぅん……」

聞いておいて興味なさげな態度のシュカと共にダイニングに戻る。

「鳴雷さん、作業終了しました」

折り紙を半分に切り、上部に穴を開けて紐を通す。そうやって短冊を作ってもらっていた。ちなみに折り紙を切る役がアキ、穴あけパンチを押す役がセイカ、紐を通す役がホムラだったようだ。

「ありがとう、三人とも。先にお願い書いちゃうか?」

今日は七月七日、七夕の日。そして歌見の誕生日。テストの打ち上げも兼ねて、七夕色強めのパーティを企画している。ホムラの参加は予想外だったので、今彼氏達に連絡して買ってきてもらう食材を増やすよう頼んでいる。

「水月は何を書くんです?」

「俺は……って、こういうのって人に教えちゃ叶わないんじゃなかったっけ」

「あんな目立つように吊り下げといてそれはないでしょう」

「……それもそうだな」

デパートなどに飾られている笹に吊るされた変わった願い事がSNSでバズっているのをよく見かける。

「俺はやっぱり「美少年達と幸せに過ごしていきたい」かな」

現状維持が一番だ、優先度も難易度も。

「人に聞いたからには教えてくれるんだろうな? シュカ。何書くんだよ」

「そうですね……食うに困らない人生を送りたい、とか」

「七夕は毎年あるのに一生のお願いをするのか?」

「あなただってそうでしょう。次の七夕までだと決まっているのなら「今年一年食いっぱぐれのないように生きたいです」にします」

なら俺も「今年一年美少年達と幸せに過ごしたい」にしようかな。

「セイカは何書く~?」

「……右手が生えますように」

「医療の発展を願うのですね、流石兄様」

「いや、最新医療は高いから……朝起きたら生えてて欲しい。足は、うん……来年にする」

一等星二つには荷が重い願いだ。それとなく俺が叶えてやる予定だったのに、シュカは長期的でふんわりとしていて難しいしセイカに至っては不可能だ。もっとなんか、簡単な……なんか食べたいとか、どっか行きたいとか、そういう願い事にして欲しかった。

「……ちなみにほむらくんは?」

「兄様の左足が生えますように、にします。これなら来年まで待たずとも揃いますよ兄様」

「自分のに使えよ」

「では来年は兄様が僕の為に使ってください」

「あー……じゃあ、うん……よろしく」

どこまで本気で話しているのだろう、この兄弟は。ボケにしては重いし長い、本気だとしたらそれはそれで可愛いけど扱いに困る。

「仲良しなのは喜ばしいことですが、実現可能な願い事にしたらどうです?」

「……ちょっとふざけただけだ。バカほむらが本気にするから」

「えっ……!?」

「えって何だよバカほむら! 書いただけで生えるわけないだろ! クソっ、ふざけやがって」

よかった、別のことを書いてくれそうだ。俺が叶えられることだといいな。

「はぁ……ぁあ、クソっ、左手じゃ上手く書けない……」

「兄様、僕が代筆を致しましょう」

「うるさい話しかけんな!」

利き手でなければ綺麗な字が書けないのはもちろん、ペンを持っていない方の手で紙を押さえなければ紙が滑って更に上手く書けなくなる。だからなのか、セイカは気が立っている。

「あー……セイカ? 通訳頼めるか? アキに七夕の説明して、お願い事聞いて欲しいんだけど……いいかな?」

「…………膝に乗せてくれたら」

「あぁ、いいよ、もちろん。ふふっ、嬉しいな、俺もセイカを乗せたかったんだよ」

椅子に座っているセイカを抱き上げ、自分の席に戻ってセイカを膝に乗せて座る。

《秋風、今日は七夕っていうお祭りの日だ。紙に願い事を書いて笹に吊るす、すると願いが叶うって……まぁ、ホントに叶うわけじゃないけど》

《へー? 願い事ねぇ》

《……秋風は願い事、何かあるのか? 俺は右手が欲しいんだけどさ》

《じゃあ俺は色素が欲しい、なんて言うと思うか? この俺が。ジョークにしても質が低い》

《質が低くて悪かったな。こういうこと言って鳴雷の反応伺うのちょっと楽しいんだよ》

話が盛り上がっている……のかな? それとも七夕の説明に苦戦しているとか? 英語ならまだしもロシア語は全く分からない、一抹の不安を持ったまま会話を見守っていると、不意にセイカが振り向いた。

「プランクのギネス記録を更新したい、だってさ」

「プランクってあの、体幹トレーニングの?」

腹を下にし、前腕と肘、爪先だけを床につけて体を真っ直ぐに伸ばす。そのまま各々に合った秒数とセット数で身体を鍛えるトレーニング方法、それが俺の知っているプランクだ。

「ドイツの物理学者の……」

「ギネス世界記録の設立はそのプランクの没後だバカほむら」

「お前らウィキにでも接続されてんの……? いやもう、すごいな本当。クイズ番組とか出たら賞金だけで年収五億行くだろ」

アキはまだ日本語の読み書きは難しいようなので、兄である俺が代筆した。セイカのも書いてやろうかと尋ねると、縮れ毛を紙の上に落としたような線が何本か引かれた短冊を渡してくれた。

「セイカはお願い事何にするんだ?」

「…………鳴雷に、嫌われませんように」

「それじゃお願い事の無駄遣いだぞ~? んふふっ、もっとほら具体的に……何か食べたいとか、何かしたいとか、どこか行きたいとか」

「思い付かない…………あ」

「思い付いたか?」

「……こうやって、鳴雷の腕の中で死にたい。すぐにって訳じゃなくて、死ぬ時はってことな」

生涯の伴侶になってくれるということだろうか? 殺し文句じゃないか。ただ──

「──お願いは一年以内のにしようって言ったじゃん! 嫌だぞ俺セイカがすぐ死んじゃうなんて」

「はぁ? ふふっ……んだよ、細けぇヤツ。じゃあー……んー…………鳴雷がー……」

何回考え直しても俺関連なのは変わらないんだな。そんなところが可愛すぎるとセイカを背後から抱き締めて髪や頬にキスをする、しばらくの間は喜んで受け入れてくれていたが、セイカがホムラの視線に気付くと顔を押し返されてしまった。
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