634 / 2,316
夏休みの始まり
しおりを挟む
担任からの諸注意が終わり、再びチャイムが鳴り響く。一学期が終わった。思い返せば入学式の日から長かったような、短かったような、どちらにせよ幸せだった。
「はふぅ…………バイバイ、みっつん……月曜日にでもカミアのこと教え……やだ、やっぱ何も言わな……いややっぱ聞きた…………うぅぅぅ」
「ご、ごめんな? 一学期終わるって頃になんか悩ませちゃって」
本来ならどんなに通知表の内容が悪くとも夏休みの始まりにはしゃぐべき日だ。頭を悩ませているハルが可哀想に思えてきた。
「…………バイバイ」
ハルは哀れにも肩を落としたまま俺達とは別の校門へと向かっていった。
「水月くん、帰りに会えるなんて何だか珍しいね」
「ネザメさん! 今日は生徒会のお仕事ないんですか?」
「前日までに終わらせておいたんだよ。ふふ……とうとう夏休みだねぇ、たくさん遊ぼうね」
この夏休み中にネザメも抱いてしまいたい。歌見は予定が立ったから外すとして、後は彼とハルとカミアだけなのだ、処女なのは。もしサンを口説けたら彼も足されるな。
「そうだ、早速明日家に来ないかい? 最近ミフユが昔の服を引っ張り出しては鏡とにらめっこをして唸っているんだよ、僕が呼んでも気付かないことがあるから早めに何とかして欲しいな」
「そっ、そんなっ、ネザメ様のお声に気付けないなんて……! 大変申し訳ないことでございますネザメ様ぁっ……」
小学生コスプレ用の服を探してくれているのかな? あんなにもネザメ第一のミフユがネザメの呼びかけに答えないなんて、そんなに悩んでくれているなんて、優越感で頬が緩んでしまう。
「はい、じゃあぜひ明日……」
「君達はどうする?」
「……私は無理です。家の用事がありますから……そうそう水月にも言っておきますね、夏休み中私を誘ってくださる時は三日前くらいに連絡をお願いします。前日に言われても予定が立てられません」
「分かった、忙しいのか?」
「…………家の用事です」
シュカは以前から家の用事があると言って誘いを断ることがある、詮索されたくないから用事としか言わないのだろうと察しているので何も聞かないけれど、気にはなる。
「俺も明日は習い事あるんだよね~」
「俺行きますー、しぐは?」
「ぼ、く……ぷぅ太の、てーき……検診……ある、から」
「じゃあ来るのは水月くんと天正くんだけだね。迎えの車はどこに行かせればいいかな?」
電車と徒歩で向かうと主張してもネザメは納得してくれず、仕方なく俺の家の最寄り駅を伝えた。ミフユは赤い顔のままそれをメモに残した。
「……鳴雷一年生、明日は……その、幼稚園児と小学生、どっちだ?」
「もう小学生っぽい衣装は準備出来たんですか?」
「あぁ、かなり悩んだが……二パターンに絞った。貴様はサスペンダーありとなしどちらが好みだ?」
「あり」
「即答だな……分かった」
「じゃあ小学生の方にしましょう、幼稚園児はまたの機会に」
「……うむ」
真面目なミフユにコスプレをさせるなんて、その話をするだけで顔を真っ赤にしているなんて、もう興奮し過ぎて血が沸騰してしまいそうだ。
「天正くんはマゾヒストなんだよね?」
「ぁ、はい……水月限定になりつつありますけど」
「緊縛に興味はあるかい? もしあるのなら水月くん、縛り方を教える際の教材は彼にしよう」
「緊縛って縛るヤツやんなぁ? わぁ……楽しみやわ。水月ぃ、頑張ってな」
明日テーマパークにでも行くと決めたような笑顔だ。こんなにも無邪気に笑う彼がドの付くマゾで、今笑っているのも虐められる未来を想像してのことで……あぁ、もう、勃った。
「それじゃあまた明日」
「はい、さようなら」
ネザメ達には迎えの車が来ているようだ、手を振って彼らと別れ、いつも通りに電車に乗る。
「毎日の暑苦しい電車とももうお別れやなぁ」
「出かけるなら結構乗ることになりそうだけどな」
なんて話をしながら下校、帰宅。自室に荷物を置いて部屋着に着替えてアキの部屋へ。アキは部屋には居らず、セイカが床でうつ伏せに倒れている。
「セイカっ!?」
慌てて駆け寄り抱き起こそうと手を伸ばし、もし頭を打ったなら動かさない方がいいのではと考え、所在を失くした手をわたわたと振っているとセイカが左腕を床について腕立てをするように踏ん張った。
「………………起こして」
しかしセイカは自身の体を全く持ち上げられず、小さな声で助けを求めた。抱き起こすとセイカは疲れた顔で俺を見上げた。
「おかえり、鳴雷」
「ただいま……大丈夫か? 転んだのか?」
「…………腕立て伏せしようとしてた。壁でするの慣れてきたから……出来るかなと思って」
「片手腕立ては俺でも無理だよ」
倒れていた訳じゃなかったのか。安堵のため息をつくとセイカは俺の胸元に顔を押し付け、大きく息を吸い、不満そうに眉を顰めた。
「……着替えやがったな」
「そりゃ着替えるよ、汗かいてベタベタして気持ち悪かったんだから」
セイカはすんすんと鼻を鳴らしながら俺の首筋に顔を押し付ける。数秒それを続けると満足気に深く息をついて落ち着いた。
「……く、臭い?」
「いい匂い……」
「ちょっと休憩したらサウナ入ってプール入ってシャワー浴びようと思ってたんだけど」
「うん……」
「…………もう少し居るよ」
「……うん」
セイカが眠るまではサウナやプールはお預けだ。俺のシャツをきゅっと握った左手も、先端まであれば俺のシャツを掴んでいただろう位置をさまよう右腕も、時折頬擦りをしてくるのも、何もかも可愛くてたまらない。もうしばらくはこの幸せな時間に浸ろう。
「はふぅ…………バイバイ、みっつん……月曜日にでもカミアのこと教え……やだ、やっぱ何も言わな……いややっぱ聞きた…………うぅぅぅ」
「ご、ごめんな? 一学期終わるって頃になんか悩ませちゃって」
本来ならどんなに通知表の内容が悪くとも夏休みの始まりにはしゃぐべき日だ。頭を悩ませているハルが可哀想に思えてきた。
「…………バイバイ」
ハルは哀れにも肩を落としたまま俺達とは別の校門へと向かっていった。
「水月くん、帰りに会えるなんて何だか珍しいね」
「ネザメさん! 今日は生徒会のお仕事ないんですか?」
「前日までに終わらせておいたんだよ。ふふ……とうとう夏休みだねぇ、たくさん遊ぼうね」
この夏休み中にネザメも抱いてしまいたい。歌見は予定が立ったから外すとして、後は彼とハルとカミアだけなのだ、処女なのは。もしサンを口説けたら彼も足されるな。
「そうだ、早速明日家に来ないかい? 最近ミフユが昔の服を引っ張り出しては鏡とにらめっこをして唸っているんだよ、僕が呼んでも気付かないことがあるから早めに何とかして欲しいな」
「そっ、そんなっ、ネザメ様のお声に気付けないなんて……! 大変申し訳ないことでございますネザメ様ぁっ……」
小学生コスプレ用の服を探してくれているのかな? あんなにもネザメ第一のミフユがネザメの呼びかけに答えないなんて、そんなに悩んでくれているなんて、優越感で頬が緩んでしまう。
「はい、じゃあぜひ明日……」
「君達はどうする?」
「……私は無理です。家の用事がありますから……そうそう水月にも言っておきますね、夏休み中私を誘ってくださる時は三日前くらいに連絡をお願いします。前日に言われても予定が立てられません」
「分かった、忙しいのか?」
「…………家の用事です」
シュカは以前から家の用事があると言って誘いを断ることがある、詮索されたくないから用事としか言わないのだろうと察しているので何も聞かないけれど、気にはなる。
「俺も明日は習い事あるんだよね~」
「俺行きますー、しぐは?」
「ぼ、く……ぷぅ太の、てーき……検診……ある、から」
「じゃあ来るのは水月くんと天正くんだけだね。迎えの車はどこに行かせればいいかな?」
電車と徒歩で向かうと主張してもネザメは納得してくれず、仕方なく俺の家の最寄り駅を伝えた。ミフユは赤い顔のままそれをメモに残した。
「……鳴雷一年生、明日は……その、幼稚園児と小学生、どっちだ?」
「もう小学生っぽい衣装は準備出来たんですか?」
「あぁ、かなり悩んだが……二パターンに絞った。貴様はサスペンダーありとなしどちらが好みだ?」
「あり」
「即答だな……分かった」
「じゃあ小学生の方にしましょう、幼稚園児はまたの機会に」
「……うむ」
真面目なミフユにコスプレをさせるなんて、その話をするだけで顔を真っ赤にしているなんて、もう興奮し過ぎて血が沸騰してしまいそうだ。
「天正くんはマゾヒストなんだよね?」
「ぁ、はい……水月限定になりつつありますけど」
「緊縛に興味はあるかい? もしあるのなら水月くん、縛り方を教える際の教材は彼にしよう」
「緊縛って縛るヤツやんなぁ? わぁ……楽しみやわ。水月ぃ、頑張ってな」
明日テーマパークにでも行くと決めたような笑顔だ。こんなにも無邪気に笑う彼がドの付くマゾで、今笑っているのも虐められる未来を想像してのことで……あぁ、もう、勃った。
「それじゃあまた明日」
「はい、さようなら」
ネザメ達には迎えの車が来ているようだ、手を振って彼らと別れ、いつも通りに電車に乗る。
「毎日の暑苦しい電車とももうお別れやなぁ」
「出かけるなら結構乗ることになりそうだけどな」
なんて話をしながら下校、帰宅。自室に荷物を置いて部屋着に着替えてアキの部屋へ。アキは部屋には居らず、セイカが床でうつ伏せに倒れている。
「セイカっ!?」
慌てて駆け寄り抱き起こそうと手を伸ばし、もし頭を打ったなら動かさない方がいいのではと考え、所在を失くした手をわたわたと振っているとセイカが左腕を床について腕立てをするように踏ん張った。
「………………起こして」
しかしセイカは自身の体を全く持ち上げられず、小さな声で助けを求めた。抱き起こすとセイカは疲れた顔で俺を見上げた。
「おかえり、鳴雷」
「ただいま……大丈夫か? 転んだのか?」
「…………腕立て伏せしようとしてた。壁でするの慣れてきたから……出来るかなと思って」
「片手腕立ては俺でも無理だよ」
倒れていた訳じゃなかったのか。安堵のため息をつくとセイカは俺の胸元に顔を押し付け、大きく息を吸い、不満そうに眉を顰めた。
「……着替えやがったな」
「そりゃ着替えるよ、汗かいてベタベタして気持ち悪かったんだから」
セイカはすんすんと鼻を鳴らしながら俺の首筋に顔を押し付ける。数秒それを続けると満足気に深く息をついて落ち着いた。
「……く、臭い?」
「いい匂い……」
「ちょっと休憩したらサウナ入ってプール入ってシャワー浴びようと思ってたんだけど」
「うん……」
「…………もう少し居るよ」
「……うん」
セイカが眠るまではサウナやプールはお預けだ。俺のシャツをきゅっと握った左手も、先端まであれば俺のシャツを掴んでいただろう位置をさまよう右腕も、時折頬擦りをしてくるのも、何もかも可愛くてたまらない。もうしばらくはこの幸せな時間に浸ろう。
20
あなたにおすすめの小説
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした
天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです!
元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。
持ち主は、顔面国宝の一年生。
なんで俺の写真? なんでロック画?
問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。
頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ!
☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
毎日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。
続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』
かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、
転生した高校時代を経て、無事に大学生になった――
恋人である藤崎颯斗と共に。
だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。
「付き合ってるけど、誰にも言っていない」
その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。
モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、
そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。
甘えたくても甘えられない――
そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。
過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの
じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。
今度こそ、言葉にする。
「好きだよ」って、ちゃんと。
全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる