冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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おまけ

番外編 高校一学期のセイカ

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※当初は本編に入れるつもりでしたが溢れてしまったセイカの過去編です。セイカが高校に入ってしばらくのお話になります。虐め・虐待・強姦その他様々な人を選ぶ表現が含まれますので、閲覧注意です。現行の本編と直接的な関わりはないため、いつ読んでも、読まなくても問題ありません。





袋から出された食パンが机に投げられる。投げた母は俺に背を向け、弟に飲ませる食後のコーヒーを作り始める。俺の前にはコップすらない。

「…………」

皿もなく出された食パンを口に運ぶ。口の中の水分が奪われたが、母の前では水道水すらも自由に使えないので頬の内側を噛んで唾液の分泌を促した。

「…………」

味付けをしていないとはいえ食パンには食パンの味があるはずなのに、俺にはそれが分からない。食パンの味なんてないのかもしれない。ただモソモソとした物を噛んで崩して喉を通すだけの行為を食事と呼べるのだろうか。


味覚がおかしくなっていることに気付いたのは中学を卒業する頃だったか。そういえば、卒業式にも鳴雷は来ていなかったな。非のない鳴雷が卒業式に出ず、全面的に悪い俺が舞台の上で卒業証書を受け取るとは、皮肉な話だ。

「ほむら~、コーヒー入れたよ~」

「ありがとうございます、母様」

昔聞いた覚えのある母の猫撫で声。機械的なホムラの対応。図書館で調べたところによれば、俺の味覚障害は亜鉛不足か、もしくはストレスが原因のようだ。素人判断だから他の病気とかかもしれないけれど。
ストレス……鳴雷ならともかく、俺がストレスでどうにかなるなんて馬鹿げている。俺にそんな権利はない。肌の調子もとても悪いし、亜鉛不足の方が原因として有力だろう。

なんて考えていると目の前に百円玉が置かれた。俺の昼食代だ。声を出しても無駄と学習してしまった俺の声帯は家の中では決して震えず、ただ頭を下げて百円玉を取り、家を出た。学校までの通学路にある公園の水場で喉を潤した。



学校に着くも、下駄箱に上履きはない。とりあえずスニーカーを持ってきているビニール袋に入れ、鞄に押し込んだ。下駄箱にスニーカーを入れていたら隠されるか盗まれるか壊されるかしてしまう、俺はもう靴を買ってもらえるような人間じゃないのだから、この靴は大切にしなければ。そのことに上履きを失う前に気付きたかった。


教室に向かい、彫刻刀で傷付けられボロボロになった机に鞄を置く。もう読めなくなっている教科書を机の中に押し込む──机に何か入っていて教科書が入らない。

「…………?」

教科書を一旦机に置き、机の中に手を突っ込む。毛? いや、少し違う。掴んでみると冷たくて硬い。何なのか半ば予想はついた、ため息をつきながらそれを引っ張り出した。

鳩の死体だ。

首がない、腹が裂けている。断面は黒っぽく、酷い匂いを放っている。教室内に居た女子の半数以上が悲鳴を上げ、唯一俺と会話をする数名の男女が近寄ってきた。

「うっわ何それ、カワイソー」
「なになに、狭雲くん鳥殺しちゃった?」
「豚虐めるだけじゃ足りなかったぁ?」

豚……鳴雷のことかな。

「違う違う、俺が拾ってきてやったの。近所のイカレたニートがボウガン打つの趣味でさぁ、道に落ちてたんだよねコレ」
「はぁ? キッショ、なんで?」
「狭雲くんドンドン痩せてってるじゃーん? 中学からの付き合いの俺としては、お肉食べて元気出して欲しいなーって」
「うっわ優しー! 本当良い奴だなぁお前」

コイツらに殺された訳ではなかったのか、鳩の死は俺のせいじゃないのか……と安堵していると、連中のうちの一人に首根っこを掴まれた。別の者に机から鞄と教科書が落とされ、持っていた鳩の死体を奪われた。

「ほら狭雲くん、いただきますは?」

鳩の死体が机に置かれた。一応踏ん張ったけれど相手は数人がかりだったから、鳩の死体の裂けた腹に顔を押し付けられてしまった。不快な腐臭を嗅がないよう息を止めているとチャイムが鳴り、連中は散り散りに掃けて教師がやってきた。

「うわっ…………狭雲、早く片付けなさい」

俺の机の上に乗った鳩の死体を見た教師は顔を顰め、そう言った。俺は鳩の死体を掴んで立ち上がりった。

「そんなの教室に捨てないでよー?」
「臭いんだけどー!」
「羽根もちゃんと全部片付けろよな!」

鳩の死体を片手で抱え、机の周りに落ちた羽根を全て拾い集め、教室を出た。途中すれ違った教師達は誰一人として俺に関わることはなく、裸足のまま校舎を出た俺は学校の裏庭に鳩の死体を埋めた。

「………………ごめんなさい」

ヤツらに荒らされないように墓の目印となる物は用意しなかった。水道で手を洗い、教室に戻った。授業中は消しゴムの欠片や紙飛行機をぶつけられる程度の幼稚なもので済んだが、休み時間となるとそうもいかない。

「さてさて今日の狭雲くんの所持金は~……まーた百円かよ、しけてんなぁ」
「昼飯代ちゃんともらってこいっつってんだろ?」
「これが昼飯代なんだよなぁ狭雲くんは」
「イジメやるようなカス、親も嫌だもんね~!」

コイツらの中には俺と一緒に鳴雷を虐めていたヤツが半分ほど混じっている。彼らは鳴雷の母親が訴えを起こした際に「自分も裁かれるのでは」という恐怖を味わったのか、親に見捨てられている俺をいい標的として扱った。

「しっかし百円じゃあなぁ~、何も買えねぇよ」
「駄菓子屋でもこの人数じゃキツいよな」
「何とかなんねぇか……あ」

リーダー格の男が何かを思い付いたようだ。

「おい狭雲、こっち向けよ」

顔を上げるとスマホで写真を撮られた。俺だけでなく他の連中も困惑している。

「また明日以降のお楽しみ~」

その日の昼休み、昼食を終えた彼らにいたぶられた。コイツらはいつもイジメという大罪を犯した俺を罰するのに必死だ、正義感が強いのだろう。痛みにも慣れた、吐くのにも慣れた、鳴雷のことを思い出させられるのには慣れなかった。
ヤツらは元々俺の友人ではなかったけれど、鳴雷は俺に惚れてくれていた。どうでもいい人間に蹴られるのがこんなにも痛いのなら、惚れた俺からの暴力はどれほどの苦痛だったろう。

「……………………ごめんなさい」

ここでこうしてヤツらの遊び道具になっていたって鳴雷への贖罪にならないのは分かっているけれど、身勝手な謝罪はやめられなかった。



三年前に、中学一年生の一学期に戻りたい。また鳴雷の笑顔が見たい、鳴雷に名前を呼ばれたい、鳴雷に俺の知らない漫画やアニメの話をして欲しい、鳴雷が楽しそうにしている様を傍で見させて欲しい。
俺が何も知らなければ、俺が何もしなければ、この願いはきっと気付くまでもなく叶っていた。



数日後、連中は放課後に俺を呼び止めた。

「俺さぁ、お金欲しいんだよね。ヘアワックス欲しくてさ~」
「俺はゲームソフト」
「私カバン~!」
「私ギガ代やばくて~」

「…………お金、持ってない」

「分かってる分かってる。ちょっとこっち来て」
「今から会う人に絶対逆らうなよ?」
「言うこと聞いてたらすぐ終わるし痛くないから」
「お金いっぱいくれるんだってさ」

学校から数百メートル離れた団地の辺りに連れられた、この辺りは人気が少ない。前を歩いていた男は道の脇に停まっていたワゴン車の窓を叩いた。

「……や、やぁ」

冴えない中年の男が車を降りてきた。

「この子……? 本当に五千円でいいの? 初モノなんだよね」

「そうそう。狭雲、車乗れ」
「嫌ならお前の弟にやってもらおうかな~」

思考を放棄していた俺はワゴン車の助手席に乗り込んだ。中年の男は連中に紙幣を渡し、運転席に乗った。

「や、やぁ……今日はよろしく」

「……よろしくお願いします」

「…………名前は?」

「……狭雲です」

「サクモくんか……可愛い名前だね」

妙に臭うのはこの男の体臭だろうか。鳴雷は太っていたからか汗を多くかいていて、少し汗臭かったけれど不快な匂いではなかった。なのにこの男は鳴雷ほど太っている訳でもないのにずっと臭くて不快だ。



更に人気のないところで車は停まり、俺はワゴン車の後ろの荷物を積む場所に行くよう言われた。何も考えずそこに移動すると、男もやってきて俺の肩を掴み、押し倒した。

「…………?」

服を脱がされている。何故だろうと疑問が浮かび、止まっていた頭が回り始めたその時、男の唇が口に押し付けられた。

「……っ!? 何っ……」

男の唇はすぐに離れ、男は俺の鼻をつまんだ。口で呼吸を始めると男の舌が口にねじ込まれ、口内でぬるぬると動いた。訳が分からないが、気持ち悪い。

「んっ、んん……! ぷはっ、はっ、何、何っ? 何なのっ、何して……俺に、何してるの?」

「あぁあ……ウブだね、可愛いよぉっ」

足を掴まれて開かされ、何か冷たくてヌルヌルしたものを尻にかけられた。男は俺の尻の穴に指を突っ込み、乱暴に掻き回した。

「痛っ!? 痛いっ……! ぅ、ぐぅぅっ……!」

痛みと不快感を覚え、嘔吐と排泄を催す。しかし俺は必死に耐え、声も殺した。両手で腰を掴まれたかと思えば、男の陰茎が尻の穴にねじ込まれた。

「……っ!? いっ、だ、ぁああっ!?」

身体が裂けそうな激痛に耐え切れずに叫んだ。その後は男が必死に腰を振って俺の身体を虐め続け、激痛に泣いているうちに行為が終わったらしく、俺は学校の近くで裸のまま車から下ろされた。辺りはすっかり暗くなっていた。

「痛い……何、今の……なんで、尻……」

尻がぬるぬるする。ぶちぶちと穴が裂けたような感覚があったから血だろう、傍に落ちていた服を拾う前に手で血らしき液体を拭い、服を着て立ち上がった。街灯の下で自分の手を見て血だと思っていたものに白濁液が混じっていたことを知り、自分があの男と性交したことをようやく理解した。



それから連中に何度も売春をさせられた。尻の穴を裂かれて、陰茎や乳首を抓られて、カスだらけの臭い陰茎を喉で掃除させられた。苦痛と恐怖は連中に殴られている時の比ではなかった。
俺は女に興味がない、男になんてもっとない。義務的な自慰は行うが性欲らしきものを感じたことはなかった。だから性欲のために、俺なんかに触れるために、金を払う男共の気が知れなかった。俺に勃つ意味が分からなかった。


ある日、犯される苦痛の中、俺は鳴雷のことを思い出していた。
鳴雷は俺に惚れていると言ってくれたことがある、痩せたら告白すると話していた、鳴雷は痩せたらきっと美人になるんだろう、そういう顔をしていた。鳴雷が俺に寄せていた好意は今俺に腰を振っている汚い中年と同じものだったのだろうか。

もちろん、虐めてしまったから恋なんて冷めただろう。虐める前は? 俺に性欲を向けていたのか? そんな気配はなかった、けれど鳴雷は男同士の性行為についてゲームや漫画などで知識を深めているようだった。それはつまり興味があったということで、男を犯したいという気持ちは当時好きだった俺に向いていたと考えるのが自然だ。


鳴雷も俺の尻を裂いて穴の中に精液を詰めたかったのだろうか。俺の喉で汚れた陰茎を掃除したかったのだろうか。

「あ~……やっぱ絞めると締まるなぁ」

「……っ、が…………は、ゔっ……!」

鳴雷も俺の首を絞めてケツの締まりとやらを調整したかったのだろうか。

「殴りながらするの好きなんだけど、OKしてくれる子全っ然居ないんだよね。だからサクモくんリピるね」

「ひっ……」

俺を殴りながら犯して楽しみたかったのだろうか。

「二輪挿ししていい? 二人OKしたんだからいいよね」

「…………? え、二本……? ゃ、やだ、無理っ、無理、死ぬっ、裂ける……嫌、嫌っ、いやぁあああぁああっ!?」

鳴雷も誰かと一緒に俺の穴を壊したかったのだろうか。

「フィストお願い、お金増やすからさ。一回やってみたかったんだよね~」

「フィスト……拳? どういう意味……待って、まさか、ゃ、せめてローションっ、ゔあっ、あぁああああっ!?」

鳴雷も俺を腕で貫いて痛めつけたかったのだろうか。




鳴雷も、鳴雷も──…………鳴雷なら、よかったな。全部鳴雷ならよかった。
鳴雷が喜ぶのなら、こんな身体どうなってもいい。贖罪になるのなら、犯されながら殺されてもいい。


どうして俺は鳴雷と無関係のヤツに苦痛を与えられているのだろう、鳴雷に与えられてこそ贖罪になるのに。


死にたい。鳴雷に会いたい。死ねば贖罪になることを教えて欲しい。
救世主でいたかった、鳴雷の幸福も俺の不幸も何も知らないまま鳴雷と過ごしていたかった。



ある日の放課後、連中の一人が車道に飛び出せと言ってきた。賠償金目当てか、ただの気まぐれか、そんなことはどうでもよかった。大人数の「死ね」コールの中、鳴雷に死んだら贖罪になるか聞けなかったことを悔やみつつも、ようやく死ねることに安堵しながらトラックの前に飛び出した──






「──そんな感じかな」

「ありがとう……ございました、辛い記憶を掘り起こさせて……すいません。本当に……」

テディベアごと俺を抱き締める太く長くたくましい腕、中年共と変わらない温度のはずなのに心地いい体温、そして何よりいい匂い。

「………………そんな顔するならなんで聞きたがったんだよ」

彼が俺数人分の肥満体型だった頃に思い描いた、彼が痩せた姿よりも三割増で美しい顔は悲しそうに悔しそうに歪んでいた。

「だって、だって……お医者様が、話せば楽になることもあるから、話聞けって」

犯されることに慣れていなかった頃の俺よりも涙の量が多い。他人のことでよくもそこまで泣けるものだと思いつつ、大粒の涙を左手と右腕の断面で拭ってやった。

「わたくしセイカ様に少しでも楽になって欲しくて、話して発散出来ればと……」

「出来たよ、楽になった」

「本当ですかっ?」

「うん……本当に、ちょっと楽になった。今と比較したのかな……幸せになったなぁ、俺」

昔は毎日痛かったのに、今や痛みを味わうことなんて滅多にない。昔は毎日お腹が空いていたのに、今や日に何度も吐く寸前まで食事をもらえる。何より、鳴雷が俺を好きだと言って笑いかけてくれる。

「まだまだ足りませんぞぉお! もっともっと幸せにしますぞ!」

「……じゃあ感想聞かせて?」

「ふえ……? 辛いでそ……」

「尻に硬いの当たってる。辛かったら勃たないだろ?」

「…………酷いことたくさんされてるのに、わたくしにならよかったとか当時から考えちゃってたとかもう本当っ! 萌え! なんでわたくしその場に居なかったんでしょう! あぁあぁお清めセックスお清めセックスぅ! 清めたかったでそぉお!」

「……今する?」

「すりゅうぅ~!」

鳴雷は俺の尻を裂かないし、俺に陰茎を咥えさせる時は事前に綺麗にしておいてくれる。鳴雷は俺の首を絞めたりしないし、俺を殴ることもない。俺を誰かと一緒に犯すことも、俺の穴に腕を入れることもない。

「ローション温めてきますぞっ」

「行ってらっしゃい」

鳴雷はとても優しい。鳴雷との性行為には必ず快感と多幸感が伴う。

「…………ごめんな、鳴雷」

こんなにも俺なんかを大切にしてくれる彼に、俺は処女すらあげられなかった。
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