冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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放送事故

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チーズがかかったハンバーグはとても美味しい。よく出来ている。付け合わせも美味しい。ファミレスだとかでこれが出てきても何の不満も疑念もなく完食するだろうという出来だ。

「ご、ごめんなさいママっ、ごめんなさい……!」

配信を正常に終えられず、俺が映り込んでしまった。いわゆる放送事故だ。すぐにカミアのスマホが鳴り、電話越しにマネージャーだという母親に謝っている。せっかくの美味しい料理が心から楽しめない。

「でも食べ物捨てるなんて僕出来なくてっ、だから友達に……ぁ……はい、ごめんなさい……ママの言うこと聞けなくて……ごめんなさい」

俺のスマホも鳴った。まだ食事中だが今回ばかりは仕方ない、出よう。

「もしもし……」

『もっ、み……カミっ、もしもしっ!? みっつんどういうことカミアっ、カミアぁ! カミアっ、みっつんカミアぁ!』

「いや本当申し訳ない……けど、知ってただろ? 俺が今日カミアと一緒なのは」

『みっつんも出るなんて聞いてない!』

俺だって出ようと思って出た訳じゃない。喚き散らすハルはまだ混乱しているようなので、落ち着いてからまた話そうと言って一方的に電話を切らせてもらった。するとまた電話がかかってくる。

「もしもし……」

『みぃくん、うつ、た……ね』

「見てたかぁ……俺ちゃんと顔映ってたんだなぁ、何人くらい見てた? アレ……」

『ご、ま……な、くら……』

五万人居ないくらい? かなりの数だ。しかも生配信を見ていた人数が五万なだけで、俺の顔とあだ名を知る者は今後も増えていくだろうし……俺もう明日から表出歩けない。

「どうしよう……やばいよな、これ。高校生の清純派アイドルが家に男連れ込んでたとか大炎上ものだろ」

『今の、とこ……えん、じょ……て、言う……り、バズ……てる、て……感じ。みぃくん……彼氏、バレて、な……よ』

「あっ、そうなのか? そっかぁ……不幸中の幸いだな」

キスとかしなくてよかった。そうか、ただちょっとイチャつくだけなら友達同士に見えるものなのか、俺達は。カミアにとっては幸運だろうに、何故か苛立つ、心がモヤモヤする。

『きほ……的、には……こーい、的』

「……そっか」

『でも、ほーそ、じこ……わざ……説、出て……』

「放送事故わざと説?」

『ぅん、みぃくん……かっこ、い……から、一般人、思われ……て、ない。新し、人……わだ、作り……だって』

なるほど、カミアの事務所の新人が話題作りのために放送事故を起こしてもらったという邪推か。まぁこれは俺が隠れ続ければ消える推論だ。

「…………まぁ、さ、ネットのお祭り騒ぎなんて一週間続くことも稀だし……一ヶ月くらい放置してたら勝手に収まるよな」

『ふ、しょーじ……とは、ちが…………みぃくん、かっこ、いいの。みぃくん……みんな、欲しがる。ぼく、の……なのに』

「カンナ……」

『…………みぃくん、カミア……だい、じょぶ? こーいう、時……あのこ、思い詰める……から、ちゃんと、見て……あげ、て』

「あぁ、分かった。ありがとうな、カンナ」

電話を切り、ハンバーグが盛り付けられていた皿を流し台に運ぶ。カミアも彼の母親との電話は終えていたが、メールのやり取りかエゴサーチかスマホを握り締めている。

(フォローの仕方考えときませんと)

カミアに何を言うべきか考えながら、皿を洗った。



濡れた手を拭いてカミアに近付く。彼はビクッと身体を跳ねさせ、潤んだ瞳で俺を見上げた。

「水月くん……ご、ごめん……ごめんなさいっ、水月くんっ、僕、僕がちゃんと放送切れなかったからっ、水月くん、水月くんがっ、どんどん……!」

「……大丈夫だよ、落ち着いて……カミア、泣かないで」

「みぃくんの画像SNSにいっぱい上がってるっ! こんなのもう消せない、どうしよぉ……僕、どうしようっ、こんなのどう償えば……!」

「名前はバレてないから大丈夫だよ、何日かすればまた別のニュースにみんなに興味移っちゃうよ」

泣きじゃくるカミアを抱き締めてソファへ運び、涙でベタついた頬を両手で包む。

「ごめんなさい……大変なの水月くんなのに、僕ばっか取り乱して……水月くんももっと焦りたいよね、僕責めたかったよね……ごめんね、ごめんねみぃくん……ごめんなさい」

「……俺こういうの詳しくないからどれくらいまずいかよく分かってないんだよ、だからあんまり焦れてないだけ。カミアのせいじゃないよ、カミアのせいなことなんて何もない。もう泣かないで」

もちもちふわふわのほっぺに舌を這わせる。ほんのりとしょっぱい涙の味がやけに美味しく感じて、頬の柔らかさに大福を連想して、気付けば歯を立てずに唇だけで噛み付いていた。

「お兄ちゃんならこんなミスしなかったのに……」

「……カンナだってミスくらいするよ。そんなふうに思ってたらお兄ちゃんプレッシャー抱えちゃうぞ。ほら、顔上げて……なぁ、もう今は忘れよう? 二人きりになれる時間は貴重なんだからさ、な?」

ちゅっちゅっと頬にキスをしながら脇腹と尻を撫で回す。

「………………うん」

俺の膝に乗せられてぐずっていたカミアは瞬きの間に目付きを変えた。アイドルらしい可愛く魅力的なものでも、甘えたい盛りの少年らしいものでもない、性に飢えた雄のものだ。

「僕、今日をずっと楽しみにしてたんだ。ごめんね水月くん……みぃくん、さっきの酷いミス、ちょっとの間だけ忘れてね。後でちゃんと相談しようね、今は……ねっ」

肩に手を添えられ、求めを察してソファに仰向けに寝転がる。俺の腹に跨ったカミアは瞳を染めた興奮の色を更に濃くしていき、自ら豪快にシャツを脱ぎ捨てた。

「首とかに跡付けるのは絶対ダメ、お臍出す衣装あるからお腹周りもダメ。今は胸はNGだけど今後大人になってって半裸になるような仕事がないとは思えないから、乳首おっきくなっちゃうようなこともしないで。喉痛めちゃダメだからフェラは先っぽ咥えるだけ」

性行為の条件を淡々と呟きながら、指先は焦ってベルトを外すのに手間取る。あぁ、男だ。たった今まで少女のような愛らしさと少年らしい危うさを抱え、数え切れないほどの人々を魅了する笑顔を作ってきたアイドルは、どこへ行ってしまったのか。今目の前に居るのは発情した雄だ。
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