冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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そんなにテレビ観たいの?

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フタに告白された。彼から俺への好意は全く感じなかったが、見た目が好みな上に可愛い仕草を見せられてついOKしてしまった。

(ヒト兄ぃ何とかしてって言いました? フタさん……ま、まさか、レイどのの元カレの一件でわたくしが彼氏のためなら結構体張るタイプだと分かり、目をつけて……? いや、そんなに頭使えるタイプじゃないですよな、彼)

黒髪の短髪、前髪には二筋の白いメッシュ。口はよく半開きになっていて、目は大抵眠たそうだけれど怒ったりするとカッと見開いて目つきの悪さを見せてくれる。ネックレス、指輪などのアクセサリーは身につけていないが、以前会った時はピアスをつけていた。背中に虎と桜の彫り物がある。物忘れが激しくて、句点が二つ以上付きそうなくらい長々と話すと?マークを頭上に浮かべる、頭脳明晰とは言い辛い方。

(とまぁこんな具合ですかな、フタさんについて今分かっていることは……う~ん、ド好み。本当に彼氏になってくださるなら大歓迎なのですが)

最初は「未成年に手ぇ出す大人とかないわ……」と歳上には興味がないように振る舞っていた俺だったが、レイで歳下ぶる歳上の痛さと可愛さを知り、歌見やサンで歳上の頼りがいという魅力を知ってしまい、今やサンを越して彼氏内最年長になるだろうフタも歓迎出来る懐の広さを手に入れている。
あの危なっかしい人が無邪気に俺に好意を向けて、時折歳上らしい振る舞いというギャップで魅せてくれるのなら、サンと一緒に兄弟丼だとかを楽しめるのなら、それはもう素晴らしいことなのだが……

(彼氏に暴力を振るうのは許さない! 身代わりになってでも防ぐ! なーんて言った直後に告白じゃ、殴られんの代わってくれるならそうしてもらおうって感じ見え見えで……流石に、ちょっと)

利用されると分かっていても、騙されると分かっていても、美人の口車には乗ってしまうのが男という生き物だ。そう言いたいけれど、無理だ。嫌だ。どうせ騙すのならもっと上手くやって欲しい。

(……やっぱり断りましょう)

深いため息をつき、眠るレイの頭を撫でて寝室を出た。フタは一人リビングでバラエティ番組を観て笑っていた。芸人が痛い罰ゲームを受けてギャーギャー喚くタイプの番組だ。

「…………フタさん」

「ん? おぉ、みつき……えーっと、俺のダーリン!」

「ふぐぅっ……! それを言ってもらえるなら毎日ヤクザにボコられたって俺は……! じゃ、なくて、落ち着け俺、俺には他にもたくさん可愛い彼氏が居るんだ……あの子達に心配をかける訳にはいきませんぞ」

俺の恋人がフタだけなら代わりに殴られてやっても構わなかっただろう、しかし俺には十二人の恋人が居る。俺が傷付けば彼らも俺を心配して傷付くのだ、俺は偽物の愛のためにたくさんの本物の愛を蔑ろにはしたくない。

「何ブツブツ言ってんの~? みつきもテレビみる? 隣座れよ、恋人だもんな!」

「あ……その話なんだけど、やっぱり付き合うのナシにしません?」

「……なんで?」

「いや、だって……フタさん、俺のこと好きじゃないでしょ」

「割りと好きだけど……サンちゃんのこと大事にしてるっぽいし」

「人として好感が持てるってレベルじゃ普通付き合わないんですよ」

「……そなの?」

俺を利用しようと頭で考えて俺に言い寄った訳ではなさそうだ。

「あと……フタさん、ヒトさんに殴られるの嫌だからって俺と付き合おうとしたでしょ」

「おー、それもある」

「……俺を身代わりにして平気な人と付き合うの、嫌ですよ」

「みがわりって何?」

「え……? だから、フタさんの代わりに俺がヒトさんに殴られる……」

「えっなんで!?」

「は……!? い、いや、そう言ったから俺と付き合いたいとか言い出したんでしょ!? 彼氏が殴られるの許せないって、でも俺じゃヒトさんどうにも出来ないし代わりに俺を殴るよう交渉してみるって、たとえ話でそう言ったから俺に付き合ってって言ったんじゃ……ないん、です、ね……そうですか……」

フタのキョトンとした顔を見ればそんな狡猾な考えはなかったと一目で分かる。

「えっと……なんかよく分かんないんだけど、俺がボコられる時に、俺じゃなくてみつきがヒト兄ぃにボコられるってこと?」

「は、はい……それが狙いじゃ……?」

「うっそマジで!? やめてやめてそんなんしちゃダメ絶対ダメ!」

「えぇ……? じゃあ俺の話聞いてなかったってことですか……」

身代わり作戦はかなり頑張って考え出したことなのに、それを聞き流されていたとなると、それはそれでショックだ。

「……じゃあ何で俺と付き合ったらヒトさんに殴られるの何とかなるって思ったんですか?」

「さっき何か言ってたじゃん、みつきが、なんか……許せないとか、なんか頑張るとか。どうにかしてくれるかなーって」

ぼんやりとは聞いていたんだな。

「……でもそのやり方ならいいや、頑張んないでみつき。ごめんね」

眉尻を下げて微かな笑みを浮かべ、すまなさそうにするフタには大柄な刺青男とは思えないほど切なげな雰囲気をまとっていた。

「フタさんは……俺が殴られるの、嫌ですか?」

「サンちゃん悲しむだろうしさぁ、弟よりちっちゃい子代わりにするとか無理っしょ」

「……そう、ですか。すいません……早とちりして、フタさんのことちょっと嫌な人だと思っちゃってました」

「ふーん……」

また聞き流していそうな返事だな。テレビ方をチラチラ見ているし、俺に集中していないのは明らかだ。

「ごめんなさいテレビ見てるのに邪魔しちゃって」

「ゃ、いいけど……何の話しに来たんだっけ?」

「フタさんと別れたいって」

「おーそれそれ、いや覚えてたけど……えっ別れたいの? 付き合ったばっかなのに……みつき俺嫌い?」

「……好きです。やっぱりナシはやっぱりナシです、別れません。付き合いましょう」

ソファに座っているフタの前に膝をつき、彼の手を握る。

「みつき? 座るんならここ座れよ」

フタはもう片方の手で自身の隣をぽふぽふ叩いている。

「……俺のこと好きにさせてみせますねっ」

「好きだけど……?」

「もっとです!」

「もっとかぁ」

「はい。頑張ります!」

「おぉー……」

フタの視線は俺ではなくテレビに向いている。そんなに観たいのなら邪魔はよくない、俺は寝室に戻ろう。まずはテレビよりも俺が気になるようにしてやらなければな、そうと決まればフタ陥落計画を練らなければ。
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