冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

文字の大きさ
868 / 2,351

今更の手当て

しおりを挟む
道の駅の店舗の入口前に居たハルと腕を組み、店内に入る。

「ハルは店に入りもせずに何してたんだ?」

「みっつん待ってたの~。にしてもさぁみっつん、ほっぺた酷いね~……カミアの配信で見た時はマスクつけてたからさ~、分かんなくてさ~……ってか目元にアザなんかなかったよねあの時」

「文明の利器ファンデ」

「あ~……もぉ~…………はぁっ、せっかくのイケメンがぁ~……」

「こういうとこのソフトクリームって美味しかったりするよな、後で買おうか」

「傷気にしてない感じ~? も~……ま、ソフトクリームはぁ~、いいね! 俺今ダイエットしてないから付き合っちゃ~う」

お土産などが並ぶ店内を歩いていく。涼しげなシャツに短パン、ニーハイソックスを身に付けているハルは少女に見えているだろうし、美男美女カップルとでも思われているのか視線を感じる。俺の顔が酷い有様なのも目を引く一因、いや、理由の一位?

「あっ、サンちゃ~ん! ザメさんとフユさんも居るじゃ~ん。みっつん見つけたよ~」

ケーキ屋のショーウィンドウを見ていた彼らは俺達の方を振り向いて手を振った。ネザメは小走りで、ミフユはそんなネザメを注意しながらサンに肩を掴ませて彼を誘導しながらやってきた。

「水月くん! あぁ……あぁ! 話には聞いていたけれど、本当にこんなっ……酷いアザと腫れだ。君を傷付けるなんて世界遺産を爆破するが如き所業だよ、なんて悪辣で愚かな…………病院には行ったかい?」

「いえ、大したことないですし」

「あるよ! もぉっ……ミフユ! 着いてきている者の中で専門的な手当てが出来るのは?」

「自分の従叔父です。すぐに連絡致します」

すぐにネザメ達が乗っていた車の運転手がやってきて俺をベンチへと連れ出し、救急箱を用いて俺の傷の手当てをしてくれた。何日も経っているのにと思いつつ、湿布の心地良さにホッと息をついた。

「跡は残らないね?」

「はい、ネザメ様。その心配はないかと」

道具を救急箱の中に収めていた背の低い男性はわざわざ手を止めてネザメ方を向き、返事をした。

「よかったぁ……早く治してね、水月くん。僕はそんな痛々しい君を見ていると心が辛いよ……心臓を締め上げられているような気分だ。痛かったろう? 可哀想に……すまないね、僕が連絡に気付けたなら年積の者を行かせて君を助けることも出来たろうに」

救急箱の整理を終えた男性は目を見開き、小さく首を横に振った。彼ら年積の者はあくまで使用人、荒事は苦手だと言いたいのだろう。ネザメには立場的に言えないのだろう。

「そうだ、秋風くんはどこだい? 彼も争いに参加してしまったと聞いたけれど、彼も怪我をしたのかい?」

「顔は無事ですよ」

「僕は顔だけを心配している訳ではないんだよ。顔は、ということは……胴や手足が無事ではないんだね? あぁ、秋風くん……あ、車に戻らずに秋風くんの手当ても頼むよ」

「承知しました」

「さ、水月くん。秋風くんを探そう」

ミフユはケーキ屋の前に戻ったサンにつきっきり、ハルもそちらに残った。ミフユの親戚の男性が居るから二人きりとは言えないが、ミフユを伴っていないネザメはレアだ。

「アキがどこかは俺にも……あっ居た」

アキはベビーカステラの屋台の前に居た。セイカの口にも押し込みつつ、自分も頬張っている。

「アキ!」

「にーに、にーに、食べるするです」

「むぐっ……ん、ぁ、ありがとう……」

駆け寄ると口にベビーカステラを押し付けられた。甘くて美味しい。

「……秋風くん、僕にも食べさせてくれないかい?」

「もみじー、食べるするです?」

「するです、だよ。秋風くん」

「お待ちくださいネザメ様、念の為私が先に」

毒味役って本当に居るんだ。

「お一ついただいてもよろしいでしょうか? 秋風様」

「……誰、です? 車、使うする人、似てるする、けど、違うするです」

《紅葉達が乗ってきた車の運転手だろ。毒味か何かじゃねぇか? やらせてやれ》

《理解。ほらよ》

アキはベビーカステラを一つつまんで男性に食べさせ、OKが出た後でネザメにも食べさせてやっていた。

「んん……秋風くんに食べさせてもらうと何よりも甘美に感じるね。おっと、そうだ、手当てに来たんだった。秋風くん、怪我をしているそうだね。手当てをするから見せてごらん?」

「もみじ、話すする……難しいです、いつもです」

《怪我しただろ、手当てするから見せな。だってさ》

《……嫌。絶対に嫌。触んな》

「狭雲くん……?」

「絶対嫌、だってさ。怪我したとこ触られたくないみたいだ、野生動物みたいだな」

「秋風くんの野生動物のような強かさや美しさは好きだけれど、野生動物だって場合によっては保護して治療をするんだよ」

揃いも揃って俺の弟を野生動物扱いしやがって。

「……じゃあ後はネザメさんに説得していただくとしまして。俺はミフユさん達のとこに戻りますね、まだまともに話せてないですし」

ケーキ屋の前に戻り、彼らに声をかける。

「サン、ずっとここで何やってるの?」

「甘いいい香りがするから食べたいなぁと思ってね」

「自分がケーキの説明をしているところだ。サン殿、次はブルーベリータルトです。フルーツはブルーベリーのみ。クリーム、生地は先程説明したイチゴタルトと同じです」

「ブルーベリーかぁ、目良くなるらしいね。食べておかないとだ」

それはギャグか?

「……サン、髪可愛いね。ハルにやってもらったんだって?」

「え? あぁ、そうそう。編み込みだっけ、器用だよねハルちゃん」

側頭部に一つずつ、編み込みからの三つ編みの束が作られている。結んでも先端のくりんとしたくせっ毛が直っていないのが特に可愛い。

「こーんな長い髪触らせてもらえるなんて最高だったよ~! シャッフルするんだよね、次もサンちゃんと隣がいいなぁ~」

「くじ引きをする訳ではないので希望すればその通りになるぞ……?」

「サンちゃんまた俺隣でいい?」

「まだ会ったことない子居るならその子がいいな」

「フラれたぁ!」

サンとハルの相性はいいようだ。問題はカンナだな、サンが顔を覚えたいと触れようとすれば確実に嫌がるだろうし……無口なのもあまり合わない気がする。橋渡し役は俺だ、気張らなければ。

「生チョコクリームケーキもらえる? カードで……あ、みんなもケーキ食べたい? 今ならついでに買ったげるよ」

ミフユがショーケースの三段目まで全て説明を終えた後、サンは一段目のケーキを選んだ。
しおりを挟む
感想 549

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

幼馴染がいじめるのは俺だ!

むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに... 「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」 「はっ...ぁ??」 好きな奴って俺じゃないの___!? ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子 ーーーーーー 主人公 いじめられっ子 小鳥遊洸人 タカナシ ヒロト 小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。 姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。 高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、 脳破壊。 千透星への恋心を自覚する。 幼馴染 いじめっ子 神宮寺 千透星 ジングウジ チトセ 小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。 美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている) 転校生の須藤千尋が初恋である

執着

紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

脱落モブ男が人気アイドルに愛されるわけがない

綿毛ぽぽ
BL
 アイドルを夢見るも、デビューできずオーディション番組に出演しても脱落ばかりの地味男、亀谷日翔はついに夢を諦めた。そしてひょんなことから事務所にあるカフェで働き始めると、かつて出演していた番組のデビューメンバーと再会する。テレビでも引っ張りだこで相変わらずビジュアルが強い二人は何故か俺に対して距離が近い。 ━━━━━━━━━━━ 現役人気アイドル×脱落モブ男 表紙はくま様からお借りしました https://www.pixiv.net/artworks/84182395

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

処理中です...