冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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友情大作戦

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カンナに親友を作らせよう大作戦、立案開始だ。まずは相手を決めなくては。最終的には全員と満遍なく仲良くなってもらうのだが、一人目は難易度の低い者がいいだろう。この場に居る彼氏十一人の中からカンナが話しやすそうな相手を選ぶのだ。

(ペアが居る相手は後回しですな)

カンナは引っ込み思案で無口な子だ、三人以上のグループに突っ込むと一歩引いて一人で居る以上の孤独を味あわせてしまうかもしれない。三人組で下校中、いつの間にか一人だけ二人の後ろを歩いているアレだ。

(アキきゅん&セイカ様、ネザメちゃま&ミフユたん……同じバイトをしていたことと年齢が近いこともあり、歌見パイセンはレイどのと一緒にいがち。前述の二組ほどではありませんが、これもペアですな)

やはり最初は同級生達の中から選んだ方がいいのか? 他とはろくに話せてもいないから出来れば今積極的に話させたいが、まず仲を深めるのは元々そこそこ話せる同級生達の中から選んだ方がカンナも気が楽だろう。

(ハルどの、リュウどの、シュカたま、の三人から選ぶのじゃ)

さて誰にしよう。やはりリュウか? いや、リュウとは既に普通に話せる仲だ。元ヤンだからとシュカは少し怖がられているし、カミアの熱狂的ファンだからとハルは一歩引かれている。しかし俺の彼氏だけあって彼らはとてもいい子なので、話せば仲良くなれるはずだ。

(シュカたまにもハルどのにもペアって感じの子はいませんし、ちょうど良さげでそ)

シュカは今飯盒の様子を見ていて忙しそうだから、先にハルと話させてみよう。

「ハールっ」

「みっつん、大丈夫? なんか~……ヤバそうだったけど」

「大丈夫大丈夫、ハルが顔洗いに行った後ちょっとセイカと話してなぁ……やっぱり可愛くって!」

「……あっそう」

露骨に不機嫌だな。セイカと仲良く出来なくてもいいから、嫌悪感をモロに態度に出すのはやめて欲しい……まぁ、感情丸出しなのがハルの可愛いところでもあるのだが。

(さて、ここからどうしますかな。カンナたんはわたくしの背後に隠れちゃってますから、これをどうにかハルどのの前に出さねば)

カンナが話したいって、とか。カンナが仲良くしたいって、とか。そういうふうに言うのは絶対にダメだ。反例として考えただけなのに、園児の頃ハブられていた俺を無理に他の園児と仲良くさせようとしていた保母さんを思い出して胃がキリキリしてきた。

「…………ちょっとテンション上がり過ぎておかしくなってたからさ、カンナがジュース持ってきてくれて助かったよ。クールダウン出来た」

カンナの腰に腕を回し、自然に押し出す。俺にしては上手く出来たと思う。

「あ、そういえば~、俺があっちで座り込んでた時、しぐしぐ野菜持ってきてくれたよね~。あの時なんも言えなかったんだよね~、ごめんね? 改めて~、ありがと! しぐしぐ」

よしよし、いい調子だ。

「……カンナ、もっと話さないと」

頷いただけのカンナの腰をトンと叩き、小声で注意してみる。

「…………はる、くん」

「ん~?」

「だい、じょ……ぶ?」

「……うん! メープルちゃんとみっつんが慰めてくれたし~、しぐしぐにもらった野菜も美味しかった! 俺もう最高に元気だよ~」

よしよし、いい調子……かな?

「水月ー! 暇か? そろそろ代わってくれ、暑い!」

歌見に呼ばれてしまった、もう少しカンナ達を見守っていたかったが仕方ない。彼ばかり火の前に立たせるのは申し訳ない。

「あ、はい! カンナ、ハル、悪い、抜けるぞ」

「ぁ……」

「ちぇ~、ま、いいや。しぐしぐこれもう食べた? 超美味しいよ~?」

歌見からトングを受け取り、彼の代わりにコンロの前に立つ。歌見は自分にしがみついていたセイカを抱え、彼を椅子へと運んだ。

「悪かったな、義足なしでずっと立たせて」

「ぁ、いや……大丈夫」

「そうか? 何かあったら呼べよ」

セイカの頭をぽんぽんと撫でた歌見はレイの元へ向かった。カンナがハルと仲を深めたら次はシュカと、その次は歌見辺りが適任かな……と考えていると、頭にゴッと小さく硬いものが当たった。

「……! ごめんなさいです、にーに」

日傘の骨の先端だ。

「ゃ、大丈夫だよ。アキ、どうする……した?」

「おにく欲しいです」

「お肉な。えっと……これ焼けてるかな」

「ありがとー、です! にーに」

アキはカンナと仲良くなれるだろうか? スキンシップが激しい子だからお触り禁止部位が多いカンナとは相性が悪いかもしれない。

「ナナくん、ボク鶏肉が……ん? あれ、水月じゃないか。交代したの?」

トンと肩を叩いた手がそのまま背後から顔を撫で回す。もしカンナがこれをされたら泣き喚いて嫌がるんだろうな。

「うん、鶏肉欲しいの? サン」

「もも肉がいいな」

「これそうだったと思うけど……違ってたらごめん」

「ありがと」

「……ねぇ、サン。サンは俺以外の……俺の彼氏達の顔も触ってるの?」

「何人かは顔見せてもらったよ。ハルちゃんは顔小さくて、フユちゃんは色々小さくて、ネザちゃんは高そうな顔してた」

上品そうな顔立ち、辺りに言い換えて欲しい。

「他は?」

「まだ。前に焼肉屋来た子は多分全部触ったけど……あ、そっか。今見て回ればいいのか」

「待って待って待って、注意してもらいたいことがあって……」

「ん?」

白い瞳が俺の額をじっと見下ろす。

「……カンナって子は髪や顔に触られるのすごく嫌なんだ。触るならほっぺただけにしてあげてくれないかな」

「え~、ボク触らないと顔見えないんだけど……」

「俺達も見えてないよ、カンナは髪で顔隠してるから」

「そなの? じゃあいいか……アンタみたいに描きたくなるとは思えないし、判別付けばいいから身長と声分かればいいよ」

「ありがとう」

「注意しなきゃなのはその子だけ?」

「うん」

「分かった。友達作ってくるね~」

カンナは最古参なのに、このままでは新参者のサンに友達の数で負けてしまう。

(目指すは全員が全員の友達って状況でそ)

ゲームのトロフィーをコンプリートするような気分で友情の斡旋をやってしまっているが、鬱陶しがられてないといいなぁ……
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