冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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数時間ぶりの再会なのに

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まさかセイカが俺に気付いていないとは思っていなかったので、セイカの驚きの悲鳴に俺も驚いてしまった。

「痛っ……!」

その上、驚いてバランスを崩してセイカが転んでしまった。俺が転ばせた、俺まで驚いたせいでセイカの手を掴んだり受け止めたりも出来なかった。何やってんだ俺……

《スェカーチカ!? スェカーチカっ!》

ボールを拾っていたアキが慌てて駆け寄ってくる。犬もだ。

《大丈夫かスェカーチカっ、怪我は!?》

「ひょわあって何だよ、ひょわあって……ぅうぅ恥ずかしいぃ……」

《どっか擦り剥いてねぇか? 分かんねぇ、明るいとこで見なきゃだな》

転んだ痛みよりも変な悲鳴への羞恥心が勝っているようなので、怪我はなさそうだ。俺はそう判断して安心したがアキは違ったようで、焦った顔のままセイカを抱き上げた。

《ったくハブるわ泣かすわ転ばすわ、ひっでぇ男だぜ》

俺に何か文句を言って室内へ戻っていった。

「……わん」

ワンと吠えた犬に返事をしてみるも、犬は俺の鳴き真似など聞かずアキを追って室内へ戻った。

「え……何、寂し……」

言いようのない寂しさに襲われ、俺もとぼとぼと室内へ戻った。リビングには戻らず、寝室として用意されている部屋の中の一つに入った。

「ぅおっ……水月か、どうした」

既に部屋着に着替えた歌見がスマホを弄っていたので、彼に抱きついて胸に顔を擦り付けようとしたのだが、しっかりと頭をホールドされ身動きが取れなくなった。

「話なら聞くぞ」

なら、を強調して言った。俺が落ち込んでいるからといって胸を揉ませる気はないということか。

「……アキとセイカがいい仲になってる気がするのでそ~」

「あぁ、仲良いなあの子ら。よかったじゃないか」

「二人ともわたくしのものですのに……なんか二人で完結しつつある気がするのでそ」

「んなことないんなことない大丈夫大丈夫」

「返事が雑ぅ~!」

面倒臭がっていると一瞬で分かる返事だ、鬱陶しい振る舞いだと自分で分かってはいるので傷付きはしないが。

「アキきゅんはわたくしよりセイカ様の方がコミュニケーション取れますし、セイカ様もわたくしよりパワフルで安定感のあるアキきゅんの方がいいんでそ! NTRやんけ~!」

「寝てから言え。っていうか秋風くんの評価が車みたいじゃないか」

「寝てますよ!」

「アイツらが寝てからだ。ったく、彼氏同士でイチャつけって言ったり寝盗られただのと喚いたり……どっちなんだお前」

「本番まで行くのはダメ……」

「じゃあいいじゃないか。寝てはないんだから」

「…………まぁそうなんですけど」

数時間ぶりに俺を見たのだから二人とももっと俺に抱きつくとかして欲しかった。二人揃って俺を置いていくなんて、流石に不満が出る。

「構って欲しいんなら本人のとこに行け」

「……わざわざ行って嫌がられたらもうわたくし立ち直れませんぞ」

「大丈夫大丈夫さっさと行けほら早く、俺も一緒に行ってやるから」

「先輩お部屋で何してたんです?」

「着替えついでにログボ回収。お前まだ服着ないのか?」

俺は風呂上がりに渡されたバスローブのまま過ごしている。髪の手入れをしてあげたサン、リビングで見かけたリュウとシュカもバスローブ姿のままだった。不自然ではないはずだ。

「バスローブ着る機会なんかそうそうありませんからな。堪能しておくのでそ」

「ふぅん……まぁ、夏場だし冷房キツくはないから湯冷めはしないと思うけど、風邪引かないように気ぃ付けろよ」

なんて話しながら再びリビングに戻ってきた。寝間着に着替えているネザメとレイが増えているな。アキとセイカも居る。

「メープル、秋風くんと狭雲くんに遊んでもらったそうだね。楽しかったかい? どんなことをしたんだい?」

犬はキッチンで作業中のミフユをじっと見つめていて、ネザメを無視している。

「飼い犬に舐められてるな、あの子」

「メープルちゃんはミフユさんを主人として見てますよねー……カンナはまだ風呂かな、ハルは……?」

「俺同じ部屋で着替えたんすけど、フェイスパックとか色々してたっすよ。お風呂後の保湿は大事らしいっす、もうしばらく来ないんじゃないっすかね」

「ふーん……レイももう着替えたんだな、バスローブにテンション上がらないのか?」

レイももう寝間着に着替えたようだ。色気のないスウェットに逆に色気を感じる。

「タオル地だからピアスちょっと引っかかっちゃうんすよね。でも資料としては欲しいんで、せんぱいスケッチさせて欲しいっす」

「別にいいけど」

「お前アキくん達に構ってもらいに行くんじゃなかったのか?」

「あんまり激しく動かないんなら他の子と話しててもいいっすよ」

「ありがとう。軽くならポーズ取ってやるから遠慮せず言えよ」

笑顔で頷いたレイは「ペンタブ取ってくるっす」と言ってリビングを出ていった。俺は歌見に促され、ソファに座っているアキとセイカの元へ向かった。

「アキー……セイカー……えっと」

何を話せばいいんだろう、セックスの感想? いや違う、もっと別の……あぁそうだ犬、犬のことを聞こう。

「犬、どうだった?」

何だこの質問ふざけてんのか? もっと何かあるだろ、もっと詳細に、なんか……ダメだ思い付かない。

《秋風、犬どうだった? って》

《はぁ……? どうって言われてもな。んー、いいジャンプ力と反射神経してたぜ》

「ジャンプ力と反射神経がよかったって」

「……まぁ、犬だもんな」

会話が終わってしまった。俺は歌見を見上げ、小さく首を横に振った。

「水月が居なくて寂しかったろ。寂しくさせて悪かったなって思って今来てるんだ、なっ水月。水月は変なとこ口下手だからなぁ。大事じゃないことは口が回るのにな」

「そ、そんなことは……あり、ますねー。えっとな、セイカ……うん、先輩が今言った通りだ。俺が居なくて寂しかっただろ、今なら思う存分甘えていいんだぞ~?」

二人が座るソファの前で両手を広げてみるも、セイカは自身の服をぎゅっと握って目を逸らした。

「別に……秋風居たから、寂しくなかったし」

「えっ……ア、アキっ? 寂しい、するしたよな? お兄ちゃんだぞ、ぎゅーってしよう?」

《見るだけでもムラムラすんのにハグは今無理だぜ。エロい格好しやがってふざけんなよ、腹治るまではヤれねぇってのに……クソ。スェカーチカ、適当に断っといてくれ。怪我のことは言わずにな》

「……やだってさ」

「なんでぇ!?」

アキは俺の方を見ようともしない、そっぽを向いている。俺は立ち上がる気力を失ってしまったためその場に膝をついたまま歌見を見上げた。

「あ、あれー……?」

歌見は目を泳がせ、顔色を悪くし、その一瞬後には彼まで俺から顔を背けた。
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