冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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二日目も海へ

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レイの髪をわしゃわしゃと撫でたり、服の裾をつまんで揺らしたりして塩を床に落とし、チリトリで塩を回収した。

「ったく、メープルちゃんが舐めたらどうすんだ」

水拭きしておくべきかなと考えつつチリトリを持ち上げてゴミ箱に向かう。何の気なしにチリトリを見下げると、そこには一掴みの黒っぽい粒があった。

「…………?」

キッチンに置いてある塩の器を見る。当然、塩は白い。じゃあ、この黒いの、何? 集めている時は何の疑問も抱かなかった、あの時は白かったのか? あの時から黒かったのか? 塩って変色したっけ? ホコリと混じって汚れているだけ?

「…………」

俺はチリトリの中身をゴミ箱に捨て、レイと歌見を叩き起こして寝室に帰らせた。俺も寝室に飛び込んですぐにベッドに潜り込んだ。その瞬間、頭を鷲掴みにされた。

「……痛っ!? お、俺っ、俺だ! 水月だよっ、シュカ!」

「水月ぃ……? 驚かせんな……目ぇ覚めたじゃ、ねぇ……か……」

悪態をつきながらシュカは再び眠りに落ちた。俺は痛むこめかみをさすりつつ安堵のため息をつき、シュカを抱き締めて眠った。



夜更かしをしたので当然睡眠時間は短い。眠り足りないのに起こされて朝食作りを手伝わされた。

「ふわぁ……」

「だらしないぞ鳴雷一年生、貴様昨日一体何時に眠ったんだ?」

「何時……何時だっけ、ちょっと外明るくなってきてたような」

「馬鹿者! 全く夜更かしをするなとは言わんが加減をしろ加減を!」

もっともなお叱りを受けてしまった。歌見もレイもリュウも朝食を待ちながら机で居眠りをしているが、先に眠ったサンとセイカはいつも通りに見える。

「よし、完成だ。持っていけ」

完成した朝食をテーブルに並べる。パンケーキ特有の甘ったるい匂いは目を覚ますのにはあまり役立たない、立ったままうとうとしていると口に冷たい何かが触れた。

「……? 酸っっっぱ!?」

カットレモンだ、ミフユが押し付けてきたらしい。唇がまだ酸っぱい。

「や~ん美味しそ~! いただきま~す!」

生クリームとフルーツで盛り付けられたパンケーキの写真を何枚も撮ってほとんど食べずに捨てそうな見た目してるのになぁ、とスマホに触れることなくパンケーキを一目散に食べ始めたハルを眺める。

「鳴雷一年生、昨日キッチンを使ったか?」

「あ、はい。おつまみを作るのに……えっと、ジャガイモ二個、ベーコン二枚、しいたけ残ってた分全部、チーズ……何枚だっけ…………使いました、一部うろ覚えですいません。使っちゃダメでしたか?」

「構わん。ただの確認だ。そうか、酒にはツマミが必要か……レイ殿を初めとした成人の皆様用に酒は用意したが、ツマミは考え至らなかったぞ」

「スナック菓子とかないんですか?」

「そんな健康に悪い物ネザメ様が食べるかもしれないのに置いておける訳ないだろう」

ネザメに食べさせてはいけないだけで、俺達は勝手にしろという考え方ならば、ネザメに言っておけばいいだけでは? ネザメってやっぱりその辺の信用犬以下なの?

「なんか……服の中、ジャリジャリするんすけど、砂落とし切れてなかったんすかね」

俺が塩を落とし切れていなかったんだな、多分。着替えて寝ろと一応声はかけたが、酔っ払っていたからか着替えずに寝たようだ、俺の言うことを聞けていれば少なくとも睡眠中や今朝は塩に悩まされずに済んだのにな。

「お風呂入ったのにそれはなくな~い?」

「っすよねぇ、不思議っす。あ、そうそう不思議と言えば昨日の写真なんすけど」

レイはスマホをポケットから引っ張り出して操作したが、あの海の写真は昨晩何故かリュウが消してしまったから見つかるはずはない。

「海のヤツ? やめてよ見せないでよ怖い」

「それが怖いヤツじゃないんすよ、何も映ってない普通の海……? あれ、ないっすね。写真消えてるっす」

「え、何それ怖」

「昨日えらい酔っとったし消してもうたんちゃう?」

自分が消したくせに、よくもまぁいけしゃあしゃあと嘘がつけるものだという思いは口には出さないでおく。

「そうっすかねぇ、でも削除した項目にもないんすよ」

「そっからも消したんやろ」

「うーん……? ま、いいか……それよりハルせんぱい、このせんぱいの写真見て欲しいんすけど」

「みっつん? わ、かっこい~! いい写真撮れたじゃ~ん、でかした!」

いつの写真だろう。レイは知らない間に俺を撮っているからなぁ……声をかけてくれることも増えたが、意識外から撮った方がいい画になることもあるとか言って……おかげで気を抜けない。



今日も俺達は海に向かう。俺は着替えが早く済んだので荷物を持って玄関でみんなが来るのを待った。

「ん……?」

玄関扉の手前、左右の隅に何かある。折筋が付いた正方形の紙に三角形に盛られた、黒と白の小さな粒。

「盛り塩……?」

今日でここに来て三日目になるのにこんなのがあるなんて今まで気付かなかった。しかし盛り塩にしても変だ、頂点から三ミリほど黒くなっている。

「鳴雷一年生、何をしている?」

昼食を保冷バッグに詰め終えたミフユがやってきた。俺は「これを見ていただけ」と盛り塩を指差した。

「……? 何だこれは」

「え? ミフユさんがやったんじゃないんですか? 盛り塩……」

「知らんぞ」

「え……?」

「みっつんおまたせ~! 見て見て~!」

シャボン玉が割れるように張り詰めていた空気が一気に弛んだ。階段を駆け下りてきたハルは両手を広げてくりんっと回り、俺に水着姿を見せてくれた。

「みっつん昨日のとどっちが好き~?」

昨日は袖なしのワンピースのようなシルエットのパレオだったが、今日は膝丈の男物の水着だ。パーカーを羽織ってはいるものの前は閉めていないので、丸出しの胸に緊張してしまう。

「どっちがって言われると困るなぁ、昨日のは文句なしに可愛かったしヒラヒラして女の子っぽかったけど……今日のは男物か。露出が多いからか今日の方がドキドキはするな、キュート系とセクシー系って感じ?」

「ふ~ん? みっつん顔赤いね~」

「そりゃこんな可愛い彼氏目の前にしたらこうなるよ」

「えへへっ、可愛い? よかったぁー」

ハルは無邪気に笑って俺の腕に抱きついた。布に隔たれていない、ハルの胸の素肌が俺の腕に触れる。肌の感触も体温も何もかもが明白に伝わってきて、純粋に俺に褒められるのを喜んでいるハルとは対極に、俺は劣情を膨らませた。
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