冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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要望の押し通し方

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アキはレイからの誕生日プレゼントであるディルド制作キットを、俺はローションとゴムとバスタオルを、レイは様々な玩具を、ネザメは縄を始めとした拘束具を持ってきた。

「……うわぁ」

タブレットから視線を上げたセイカはアダルトグッズを抱えた俺達を見てドン引きした。

《さぁ兄貴! 兄貴のチンポを複製しようぜ!》

「う、うん……?」

何て言ったのだろう。アキはセイカの方を振り返ったが、彼はタブレットを使った試験勉強に集中している。

《……スェカーチカぁ~、なんでそんなとこ居んだよ、参加しろよぉ通訳してくれよぉ》

《俺は参加しない。日本語頑張れ。知ってるんだからな、お前が最近俺に甘えて日本語の勉強全然してないこと》

《ぅ……こういうのは実践が一番なんだよ、日常生活の中で覚えてくものなんだ》

《お前話しかけられても聞き取ろうともせず俺のこと見たりするだろ》

《ぅう……》

おそらく通訳を頼みに言ったのだろうアキはセイカと何やら口論になり、押し負けている様子だ。

《努力してるヤツには手助けしてやろうって気になるけど、サボられると最低限の面倒も見たくなくなるのが人間なんだよ》

《…………これだから日本人はよぉ!》

《日本人関係ねぇだろ!》

《いーやあるね! 日本人は無意味な努力を美徳とする!》

《どこで生まれようが頑張ってる人間には好感持つだろ!》

《ロシア人は無駄なことしてやんのと嘲笑う!》

《親父とその友達くらいの酒クズ共しか知らねぇ引きこもりがロシア人を語るな! 日本人も酔っ払いのカスはそんなもんだよ! つーかお前ハーフだろうがよ! 国籍も日本になんだろ多分このまま行けば! 日本要素の方が濃いんだよお前!》

《確かに俺は引きこもりの上にテレビも見てねぇから国ごとの人間の特徴はおろか、国の形も位置も知らねぇし国歌も聞いたことねぇ……ババアの飯が不味かったから郷土料理もよく分かんねぇ、美味かったのは親父に連れられて行った酒場で出された酒のツマミくらいのもんだ! だけど俺は……いや、俺は、ロシア人じゃ……ない?》

《アイデンティティ持てよ》

《……人間にとって大事なのは出身地やルーツじゃねぇと思うんだ、誰を愛し誰に愛されるかがその人をその人たらしめる。違うか?》

《キメ顔で良さげなこと言えば誤魔化せると思ってんなお前》

語気が強くなり始め、止めた方がいいかとネザメと顔を見合わせたが、すぐに落ち着いた声色に戻ったため胸を撫で下ろした直後、アキが強引にセイカの唇を奪った。

「わ……相変わらず強引っすねアキくん。一緒に住んでた時も俺に結構……えへへっ」

「羨ましいねぇ、僕も狭雲くんくらい好かれたいよ」

セイカはしばらくアキの肩や腕を押していたが、次第に脱力し、目を閉じてアキの首に腕を絡めた。

《……愛してるぜスェカーチカ、お前を愛してるのが俺だ、どこの国で生まれたかなんざ関係ねぇ。そうだろ?》

《うん………………いやお前が先に日本人がどうこう言い出したんだろ!? 危ねぇ誤魔化されるところだっ、んむっ!? んっ、んんん……!》

《…………ごめん! さっき言ったことは全部なかったことにしてくれ! 正論ぶつけられて苦し紛れに適当言っただけだからさ。あと、通訳してくれ。それと、スェカーチカも参加してくれ》

《キスすりゃ何でも言うこと聞くと思うなよ……二回目はちょっと雑だったから、さっきほど頭ボーッとはしてねぇぞ》

《頼むよ、さっきのことは忘れてくれ、通訳してくれよ、参加もしてくれ。スェカーチカしか頼れないんだよ、俺……だめ? スェカーチカ……》

タブレットを置いたセイカはホクホク顔のアキに抱えられてベッドに移された。

「鳴雷、まずは型取らせろってさ」

「あ、あぁ……うん。セイカも参加するのか? 勉強は?」

「勉強したいけど……秋風が俺しか頼れないって言うから、仕方なく。日本語少しは出来るくせにサボりやがって……俺に甘えてるんだ、ふふっ、しょうがないヤツ」

型取りキットの箱を開けているアキを眺めながらセイカは左手を頬に添え、どこか母性を感じさせるも色気のある笑みを浮かべる。

「俺が居ないと……ダメなんだ、秋風は」

小さく呟き、小指の爪を噛む。

(……嬉しそうですな。わたくしの時も同じだったのでしょう、自分が構ってやらなければ虐められる、親にも愛されていない、自分しか居ない可哀想な子だと……悦に入っていたのでしょう。でもその可哀想な子はセイカ様自身で……いえ、自分の境遇しか知らないから、わたくしもそうだと思ったんでしょうな)

自分が居なければダメな子を愛するのはとても気持ちいいことだ、俺も好きだ、でも悪趣味だし不健康だ。俺はセイカの頭を撫でた。

「ん……? なぁに、鳴雷。ふふ……鳴雷に撫でられるの、好きー……」

「……アキにはお前だけじゃないよ」

僅かに目を見開いたセイカを抱き締める。

「でも、セイカが居なきゃダメなのは間違いない。俺もそうだ。セイカも……そうだよな?」

「……うん。鳴雷が居なきゃダメだけど……少し前まで鳴雷だけだったけど……今は、違う……秋風も居て欲しい、居なきゃダメ……でも、だけじゃ……やだ」

「…………分かってるならいいんだ、ごめんな急に変なこと言って」

頬を擦り寄せ、閉じた瞼に唇を触れさせながら、安堵に胸を撫で下ろしながら──俺はセイカが俺だけに依存しなくなったことに対して酷く苛立っていた。

「そのまんまじゃあ型取り終わって外す時にせんぱいのせんぱいが傷んじゃうんで、先に油を塗るんすよ」

「ぬるすー」

レイにキットの説明を受けているアキに視線を移すと、脳の真ん中でポンと「泥棒」の二文字が浮かんだ。

(…………は? 何考えてんですか、わたくし……依存先はバラけさせた方がセイカ様の健康にいいし、アキきゅんも色んな人と関わった方がいいとママ上も言ってらしたじゃありゃーせんか)

「なぁ、鳴雷」

「……ぁ、何? セイカ」

「今日は秋風の誕生日で……秋風を喜ばせてやらなきゃってのは分かってるんだ。だけど……ちょっと、その、甘えたくなっちゃって……膝、座ってもいい? 秋風戻ってきたらすぐどかしてくれていいから」

「……もちろん! お座りくだされぐへへ」

遠慮がちながら素直に甘えたいと言ってくれたセイカへのトキメキで、俺の負の感情はあっさりと脳の奥底に沈殿した。
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