冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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座敷童子の居る別荘

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今日は長いようで短かった旅行最後の日だ。色んな思い出が出来た、スマホのフォルダも随分重くなった。朝食の最中、集合写真を撮ろうとレイが言い、全員が賛成した。

「昨日浜辺で撮ったじゃないですか」

「アレ水着っしたし、アキくん顔ほとんど見えなかったっすもん」

「秋風さんですか、確かに……昨日の写真じゃ誰か分かりませんね」

「写真かぁ……誰かボクの身嗜み見てくれない?」

ミフユがカメラ片手にアングルを探す中、皿を洗い終えた俺は一人だけ席に座ったままのハルに声をかけた。

「ハル、どうしたんだ? 写真だってさ、並び順とか決めよう」

「あっ……う、うん…………しぐ~、一緒に並ぼ~?」

朝食中も静かだった彼は俺と視線を合わせることなくそそくさと逃げていった。昨晩ようやく身体を重ねたばかりなのに、いや、だからか? 照れているのか?

(昨日おせっせ終わった後からよそよそしかったんですよな……何かご不満があるのなら仰って欲しいでそ、ただ照れているだけならかわゆくて大変結構なのですが)

この分では帰りの車もハルは俺とは別の車に乗るだろう、ゆっくり話す機会が欲しいのにな。

「はる、くん……だい、じょーぶ? きょ、ずっと……うわの、空」

「え、そ、そんなことないよぉ~……」

「……おし、り……痛い?」

「えっ……! ち、違うからぁ! なんでそうなんのぉ!」

カンナが心配して事情を聞いているが、本当のことは話されなさそうだ。

「時雨一年生、せっかくだからあのウサギも連れてくるといい。一緒に写そう」

「ぷー、太? でも……」

不安げなカンナはミフユの傍にぴったり寄り添っている犬の方を向いている。

「メープルが心配か? ウサギを食うような真似はしないとは思うが、嗅いだり舐めたりだけでもウサギの方は食われるかもと恐怖を感じストレスになるかもしれんな。今の貴様のように。分かった、メープルにはリードをつけよう。歌見殿に持っていてもらう、それでどうだ?」

「りー、ど……」

「呼んだか? 俺が何だ?」

「歌見殿、メープルにリードをつけるので持っていてくださらないか」

「ん? あぁ、別にいいけど」

軽く請け負った歌見の手をカンナが両手できゅっと握る。

「は、なさ……なっ、でね。おねが……いね?」

「あ、あぁ……気を付ける」

「おねがい……」

念押しをしてカンナはウサギの居る寝室へと駆けて行った。何故ああまで強く頼まれたのか分かっていない様子の歌見にミフユが説明を始める。

「……なぁ、年積」

説明中のミフユにセイカが恐る恐る話しかけた。ミフユはセイカを見つめて頷いた後、まず歌見に視線を戻した。

「少しお待ちを、歌見殿。なんだ? 狭雲」

「ウサギがいいなら俺もクマ連れてきていい?」

「クマ……?」

「ぬいぐるみ」

「あぁ、アレか。構わないぞ」

「ありがと……秋風~」

テディベアはペットと同じ扱いなのか……と、アキに付き添いを頼むセイカを見送りながら何とも言えない気持ちになった。

「……ペットっていいっすよね、せんぱいに会えない日も寂しくないっすし……俺も欲しいな~」

「イラストレーターならあまり外出しないだろうし向いてるとは思うが、軽い気持ちでは飼うなよ? 生き物なんだからな」

「このお喋りファーピーちゃんとかどうっすかね、言葉覚えるんすよ。今このアプリだとタイムセール中で……買っちゃおうかな~、悩むっすねー」

「電子ペットの話か……んなもん好きにしろ」

「子供の頃買ってもらえなかった物って執着しちゃうっすよねぇ」

背の高い者は後ろに、低い者は前に、ようやく位置が決まったカメラの前に昨日とほとんど同じ並び方で並んでいく。俺は真ん中だ、ハーレム主なのだから当然だな。

「た、だいま……」

「おかえりしぐしぐ~、ぷぅ太ちゃ~ん! 可愛い~、ふわふわ~!」

《戻ったぜ、俺どこ並べばいいんだ?》

カンナ達が戻ってきた。犬がウサギに反応する。食べようだなんて思っていないだろう、きっと気になっているだけだ。旅行初日に初対面の彼氏達の匂いを嗅いで回っていた時のように、ウサギの匂いを嗅いでみたいだけだろう。しかしその行動はカンナにとって大きな不安となる。

「っと、ダメだぞメープルちゃん」

カンナの足元まで行って、前足を上げて立ち上がろうとした犬を歌見が制する。犬は不満げに鳴いて歌見の足元に戻った。

「全員並んだな? メープル、カメラを見ろ。時雨、ウサギ……ぷぅ太と言ったか、ぷぅ太の顔が映ってないぞ。腕を右に……あぁ、よし、それなら映る。狭雲、クマで顔が隠れているぞ。もっと下げろ、よし」

三脚の後ろに立ちカメラを覗き込んだミフユの支持を受け、微調整をする。タイマーをセットし、ミフユが走ってくる。ネザメの隣に並んだ彼がキリッと顔を作った直後、カメラが光った。

「…………動いていい~?」

「確認する、暫し待て」

ミフユがカメラを持ち、他の彼氏達は談笑する。ハルやリュウはウサギに触れ、サンやシュカは犬を撫でている。

「……クマ撫でていいぞ」

そんな様子を見たセイカはアキ目当てで隣に居たネザメにテディベアを差し出した。やっぱりペット扱いなんだアレ。

「ありがとう。あぁ、いい手触りだね。柔らかい毛だ、いい物だよこれは」

「鳴雷がくれた」

「よかったねぇ。そんなふうに大切にしていたら、鳴雷くんもあげ甲斐があったというもの……ちなみに僕が送った猫のぬいぐるみ、秋風くんは大切にしてくれているかな?」

「部屋に飾ってあるぞ。たまに撫でてるの見る」

「そうかい! それはよかった」

アキ、ぬいぐるみ撫でたりするのか。いや、ネザメを気遣ったセイカの嘘かな?

「……む? み、皆の者! これを見てくれ!」

慌てた様子でミフユが叫び、カメラを持ってきた。カメラの小さな画面を十二人で覗き込む。

「ノリで来ちゃったけどボク見えないや」

訂正しよう、サンが引いたので十一人だ。写真を見つめて数秒、レイやハルが短い悲鳴を上げる。全員が居ないはずの十三人目の姿を確認し、騒ぎ始める。

「何何? 何かあったの?」

「あ、あのねサンちゃんっ、知らない子が映ってたんだ。みっつんの隣に……おかっぱ頭で着物を着た子が、くっきり」

「ゆ、ゆ、幽霊っすかね……?」

「こんなハッキリ映る幽霊が居てたまるか」

「足、ある……」

「……じゃあ何なんですか、これ。レンズには何も付いてませんし」

「座敷童子じゃないかな?」

ネザメの発言に怯えや疑問を口にしていた彼氏達が硬直する。一拍置いて「は?」と眉を歪める。

「だっておかっぱ頭で着物姿の可愛らしい子供で、写真にだけ写る姿の見えない何かとなったら、それは座敷童子じゃないか」

「……あっはっはっはっ! せやなぁ座敷童子や! 違いないわ! 座敷童子居ったら安泰やなぁ紅葉家は!」

「水月くんにこんなに寄り添って……ふふ、君は座敷童子にまで好かれるんだね。僕の家から彼を持って行かないでおくれよ?」

「…………ははっ」

みんなポカンとしているし、納得がいっている者なんて一人も居ないけれど、謎の十三人目への恐怖や疑問よりも、バカ笑いし続けて呼吸困難になりかけているリュウや謎を解き明かした気になって満足そうに笑顔を浮かべているネザメへの呆れが勝ったようで、揃ってため息をついた。
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