冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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弟に兄とデートした話を

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サンの髪を丁寧に洗い、しっかりと水を切ってからタオルで包んで水滴が落ちないようにし、先に上がってフタの世話をしてもらうことにして、俺はその間に頭と身体を素早く洗った。

「お待たせ! サン、フタさんの調子は……」

慌てて向かうとフタはリビングのソファでシャーベットアイスを食べていた。

「……フタさん、大丈夫ですか?」

「何が?」

「お風呂でのぼせたじゃないですか、フタさん」

「そだっけ……」

元々忘れっぽいからのぼせた後遺症があるのかないのか分からない。困るな。

「体の調子はどうですか?」

「別にぃ……普通」

「暑くないですか?」

「涼しいよ」

「よかった……もうしばらく休憩したらお風呂入りましょうね。流石に遊園地であれだけ遊んでお風呂入らないのはアレですし」

「んー」

ちょっと長く話してしまったからフタの意識がアイスに移ってしまった。

「ふふ……フタさん可愛い」

「水月ぃ、髪ぃ~」

「うん。ドライヤー取ってきたよ、コンセントは……」

「そこ」

サンが指差した先にコンセントはあった。本当に家の全てを覚えてるんだなと尊敬を深めつつ、プラグを挿した。

「そこ座って」

「ん。よろしく水月」

サンの手には櫛とヘアオイルがある。フタの介抱をしながらちゃっかり持ってきていたのか。やっぱりサンも可愛いなぁ。



まず水気をタオルでしっかりと取り、次にヘアオイルを塗り、それから温風を遠くから当てて乾かしていく。仕上げに冷風をかけると髪がサラサラになる、気がする。

「OK、サラサラツヤツヤ。はぁあ理想の死に方その一、この髪に絞め殺されたい」

「多分ボク水月のこと殺す時は殴るか刺すかだと思うけど、思い出せたらそうするよ」

「……殺す想定あるの?」

「うーん……まぁ、水月次第かなぁ。ボク……感情的になる時はなるからなぁ。じゃ、ヘアオイル片付けてくるね」

「あ、うん……」

浮気は容認されているし、サンを放置し過ぎることもないし、まぁ殺されるほど怒らせることはないだろうからあまり怖がらなくてもいいかな。

「サンちゃん怒らせるとヒト兄ぃより怖ぇからね」

「そうなんですか?」

「うん。ねーサンちゃん、サンちゃん怒ると怖ぇよな」

櫛とヘアオイルを片付け終えたサンが戻ってきた。しかしフタよ、そんなこと本人に言うか?

「そんなことないよ」

「怖ぇってぇ」

「具体的なエピソード出してみなよ」

「………………みつきぃ~! サンちゃんがいじわる言う~!」

告げ口をする子供のように騒ぎながらフタは俺の腕に両手両足で抱きつく。どう対応すればいいのかまだよく分かっていない、慰めればいいのだろうか。

「よ、よしよし……?」

「……なぁに水月、水月もボクが怖いってのに賛成?」

「え……いや…………怖いのは、怖いじゃん。ハサミとか包丁とか突きつけられたし……」

「そう……」

「でも怖いからって別に嫌ったりしないし、そういうとこも可愛いと思うよ」

サンは僅かに目を見開き、それから微笑んだ。

「水月のそういう何でも好きって言ってくれるとこ、ボク大好きだな」

「そうなの? 嬉しい。サンの全部が好きだよ俺。あ、フタさん、アイス食べ終わったんならそろそろお風呂入ってきてください」

「えぇー……面倒臭ぇ」

「ベッド貸さないよ」

「ぅえぇー……いじわる~……」

フタは面倒臭がりながらもぽてぽてと浴室に戻っていった。やっぱり素直だ、可愛い。

「……サキヒコくん、のぼせないか見ててあげてくれない?」

「水月? 何か言った?」

「あっ、いや、ごめん、独り言」

俺とサンはソファに並んで座り、身を寄せ合った。

「水月、兄貴とのデートの話教えてよ」

「あ、うん。まずね、車がしょっちゅうピーッて鳴って、何かと思ったら──」

フタが風呂に入っている間、俺はサンにフタとのデートの思い出話をした。恋人が他の恋人とのデートを語ったら、ハーレムを容認していても腹が立つものだと思うけれど、兄弟だからかサンは楽しそうに話を聞いてくれた。

「──で、帰ってきた。って感じ」

「なるほどねぇ。楽しめたみたいでよかったよ。それとね水月、ちょくちょく兄貴が返事してくれなかったり生返事だったりでやきもきしてたみたいだけど」

「うん……」

「生返事の時はちゃんと聞いてたけどあんまりよく理解出来なかった、で……返事してない時は別のとこに意識が行ってるかシンプルにボーッとしてるかで聞いてない、だよ」

「うん……途中から何となく分かってた。話してる最中に急にスマホ弄り出すのは何なの? アレが一番傷付くって言うかムカつくって言うか……話に興味ないって言われてるみたいで、なんかさぁ……」

「スマホって操作の度に音鳴ったりしないし、ボク何にも見えてないから兄貴がどういうタイミングでスマホ弄ってるのか分かんないんだよね」

「あっ、そっかぁ……」

「でも兄貴、話の内容メモしてることあるからそれじゃない? 話に興味ないんじゃなくて、その逆。忘れたくなかったんだよ」

サンの言葉に目から鱗が落ちる。

「兄貴、メモ見せてって言ったら普通に見せてくれるから、風呂から出たら確認してみたら?」

「うん……そっ、か。メモかぁ……その可能性なんで思い付かなかったんだろ。よくメモしてるのは知ってたのに」

「水月が落ち込むことないって。メモする時はメモするって断り入れるのが普通だしね。話してる最中に別のこと始められたらそりゃムカつくって」

サンには励まされたけれど、メモを取ってまで俺の話をちゃんと聞いてくれていたフタを誤解し、話を適当に切り上げたりもしてしまった不甲斐なさでいっぱいだ。
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