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明日以降も残る跡
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物音に敏感なアキを起こしてしまわないように、静かにゆっくりと動く。
「脱がしますね、フタさん」
仰向けになった彼の上に跨り、耳元でそう囁いてから身体を起こして彼の服を探る。どうやら甚平を着ているようだ。
「……甚平ですか? 和服っていいですよね、興奮します」
明るいところで見たかったなと思いつつ、手探りで紐をほどいて前を開く。顕になった腹や胸に触れていく。
「お腹痛いですか?」
「……? 別に……」
「えっ、もう治ったんですか? アザありましたよね、ヒトさんに殴られたか蹴られたかした跡……あのアザ、そんな数日で引くようには見えなかったんですけど」
「…………分かんない」
「押してないから分からないだけですかね? 触らないようにしておきますね」
打ち身というのは表面を撫でただけでは何ともないものだ、恐る恐る触っていたから痛みを覚えなかったのだろう。そう判断した俺は以前と同じように胸に手を移した。
「前は車の中で……狭かったから、こうして広々出来るの嬉しいです」
「車の中……!?」
「あ、覚えてません? キスして、触り合って……ふふ、いい思い出です」
「………………そう」
おかしいな。また「覚えてなくてごめん」なんてしょんぼりと落ち込んでしまうと思っていたのだが、反応が鈍い。
「なんか大人しいですね……やっぱりまだちょっと不調です? お酒飲まないように気を付けないとですね、今度からはグラスを飲んでる人達と別のにするとかしたらどうです?」
「…………うん」
そんな話をしつつ、胸を揉む。前に車の中で揉んだ時は完全に脱力してくれていたから柔らかくて揉みやすかったが、今日は力が入っていて硬い。緊張しているのかな?
(力入れてる時の胸触るの初めてですな)
硬い筋肉を触るのも楽しいものだ。脇から胸筋へと至る筋をそっと辿る、そこをスリスリと撫で続けてみる。くすぐったいのか呼吸音が乱れてきた。
「ちょっと胸開発しようかなって思ってて」
胸筋の斜め下に指を添わせて手を震わせ、たくましい肉を揺らして刺激してみる。今は力が入っているから大して揺れていないけれど、脱力すれば胸の肉がぶるぶると揺れる様が見られる訳で……あぁ、明かりの下でやりたかったな。
「ほら、フタさんタンクトップとかばっか着てるでしょ? 今日は違いましたけど、刺青隠しか何かですかね」
「…………」
「タンクトップ、よくないですよ。谷間も見えてるし横乳も見えてる……えっち過ぎるんです、分かりますか? こんなえっちな雄っぱいを晒しちゃダメですよ」
敏感な性感帯にすれば「薄着をするな」という恋人としてのお願いを記憶してくれなくても、自主的に上着を羽織るはずだ。歌見がそうだったように。
「水月……あの服、好き?」
「いえ、好きで……え? はい、好きです」
よくないだとかダメだとか言ったから、人の話を聞く力が低い彼なら「嫌い?」と聞くと思っていた。俺は彼を舐め過ぎていたようだ。
「でも好きだからこそダメなんです……! 恋人のえっちな姿は誰にも見せたくないものでしょう?」
「……じゃあ、スーツとかは」
「スーツもえっちです……! 露出を減らせばいいってもんじゃないんですよ。キッチリした格好こそ乱したくなるのが男のサガ! スーツはエロ衣装なんですよ……尻の形結構しっかり浮き出ますしね」
おっと、長く話過ぎてしまった、これでは共感どころか理解も得られない。
「…………ヒトにぃとか」
「いつもスーツでエロいよね……髪の毛もビッチリ固めてるしさ、ああいう人が乱れるところって最高だと思うなぁ。残念ながら妻子持ちのノンケな訳だけど」
「……!? フ…………俺、は……代わり?」
「えっ? 違うよ。フタさんはフタさんでちゃんと好き。ごめんね」
「…………」
傷付けてしまったかな? まぁ、すぐ忘れるだろうし……
「本当にちゃんと大好きだから……ね?」
胸を揉みながら首筋にキスをし、そのまま唇と舌でくすぐっていく。ブレる呼吸と震える身体が愛らしい。
「……っ、ん…………噛ん、で」
「…………へ?」
「噛んで……強く。歯型、付けて……」
「ぇ……フタさんって、そういうタイプでしたっけ」
いや、まぁ……こういうことするの二回目だし、そりゃ知らない部分も出てくるか。忘れっぽい彼が残るものを欲しがるのも不自然ではない。
「痛かったら言ってくださいね」
普段着ているタンクトップの肩紐で隠れる位置にしないと……難しいな。
「……ここ」
肩紐に隠れる位置を探っていたが、彼は俺の頭を手で押して首筋に俺の口を移させた。
「ここじゃ隠れませんよ?」
「……うん」
「隠したくないんですか? 可愛い……じゃ、噛みますね」
彼の望み通り、歯型がくっきり残るように躊躇いを消し力強く噛み付く。柔い皮膚に歯が沈む感覚、皮膚越しに伝わる筋繊維の感触、クセになりそうだ。
「……っ、ん……」
彼の手がようやく俺の背に回る。いつもはすぐに抱きついてくれるのに、今日は遅かったな……まぁいいや、抱きついてきてくれたことが嬉しい。
「……っ!?」
ガリッ、と背中で嫌な音がした。皮膚が熱い、引っ掻かれてしまったか。朝になったら洗面所ででも確認しよう、痛いけれどこれもまた萌える傷跡だ。
「…………はぁ、付いたかな? 見えないけど……朝また確認しましょうか」
「……うん」
「とりあえず今は雄っぱい雄っぱい~、はぁ~たまんねぇボリューム。力は抜けません?」
「………………むり」
「緊張してるんですか? 可愛い……はぁ、もう可愛い~……大好きですよ、フタさんっ」
「…………………………そう」
やっぱり反応が鈍い。俺も好き~とか言ってくれると思ったのに……さっきから何だか違和感がある。
(う~ん? 酔い潰れた後だからなんでしょうか。ですよな、カミアたんがカンナたそのフリしてたのと違って、フタさんに化ける方なんていらっしゃいませんし……サンさんがフタさんのフリするために髪を切った、とか。サンさんも毛先くりんってなってますから切ればこんな外ハネぴょんぴょんになりそうですし…………わたくしを驚かせるためだけに? いやいやいや……うーん……割と、やりそう)
まぁ、やるにしても他人の家で髪を切ったりしないだろう。切り立てホヤホヤの髪なら毛先に触れれば分かるし……妙なことを考えるのはやめよう、体調が優れないのに勇気を出して夜這いに来てくれたんだから。
「脱がしますね、フタさん」
仰向けになった彼の上に跨り、耳元でそう囁いてから身体を起こして彼の服を探る。どうやら甚平を着ているようだ。
「……甚平ですか? 和服っていいですよね、興奮します」
明るいところで見たかったなと思いつつ、手探りで紐をほどいて前を開く。顕になった腹や胸に触れていく。
「お腹痛いですか?」
「……? 別に……」
「えっ、もう治ったんですか? アザありましたよね、ヒトさんに殴られたか蹴られたかした跡……あのアザ、そんな数日で引くようには見えなかったんですけど」
「…………分かんない」
「押してないから分からないだけですかね? 触らないようにしておきますね」
打ち身というのは表面を撫でただけでは何ともないものだ、恐る恐る触っていたから痛みを覚えなかったのだろう。そう判断した俺は以前と同じように胸に手を移した。
「前は車の中で……狭かったから、こうして広々出来るの嬉しいです」
「車の中……!?」
「あ、覚えてません? キスして、触り合って……ふふ、いい思い出です」
「………………そう」
おかしいな。また「覚えてなくてごめん」なんてしょんぼりと落ち込んでしまうと思っていたのだが、反応が鈍い。
「なんか大人しいですね……やっぱりまだちょっと不調です? お酒飲まないように気を付けないとですね、今度からはグラスを飲んでる人達と別のにするとかしたらどうです?」
「…………うん」
そんな話をしつつ、胸を揉む。前に車の中で揉んだ時は完全に脱力してくれていたから柔らかくて揉みやすかったが、今日は力が入っていて硬い。緊張しているのかな?
(力入れてる時の胸触るの初めてですな)
硬い筋肉を触るのも楽しいものだ。脇から胸筋へと至る筋をそっと辿る、そこをスリスリと撫で続けてみる。くすぐったいのか呼吸音が乱れてきた。
「ちょっと胸開発しようかなって思ってて」
胸筋の斜め下に指を添わせて手を震わせ、たくましい肉を揺らして刺激してみる。今は力が入っているから大して揺れていないけれど、脱力すれば胸の肉がぶるぶると揺れる様が見られる訳で……あぁ、明かりの下でやりたかったな。
「ほら、フタさんタンクトップとかばっか着てるでしょ? 今日は違いましたけど、刺青隠しか何かですかね」
「…………」
「タンクトップ、よくないですよ。谷間も見えてるし横乳も見えてる……えっち過ぎるんです、分かりますか? こんなえっちな雄っぱいを晒しちゃダメですよ」
敏感な性感帯にすれば「薄着をするな」という恋人としてのお願いを記憶してくれなくても、自主的に上着を羽織るはずだ。歌見がそうだったように。
「水月……あの服、好き?」
「いえ、好きで……え? はい、好きです」
よくないだとかダメだとか言ったから、人の話を聞く力が低い彼なら「嫌い?」と聞くと思っていた。俺は彼を舐め過ぎていたようだ。
「でも好きだからこそダメなんです……! 恋人のえっちな姿は誰にも見せたくないものでしょう?」
「……じゃあ、スーツとかは」
「スーツもえっちです……! 露出を減らせばいいってもんじゃないんですよ。キッチリした格好こそ乱したくなるのが男のサガ! スーツはエロ衣装なんですよ……尻の形結構しっかり浮き出ますしね」
おっと、長く話過ぎてしまった、これでは共感どころか理解も得られない。
「…………ヒトにぃとか」
「いつもスーツでエロいよね……髪の毛もビッチリ固めてるしさ、ああいう人が乱れるところって最高だと思うなぁ。残念ながら妻子持ちのノンケな訳だけど」
「……!? フ…………俺、は……代わり?」
「えっ? 違うよ。フタさんはフタさんでちゃんと好き。ごめんね」
「…………」
傷付けてしまったかな? まぁ、すぐ忘れるだろうし……
「本当にちゃんと大好きだから……ね?」
胸を揉みながら首筋にキスをし、そのまま唇と舌でくすぐっていく。ブレる呼吸と震える身体が愛らしい。
「……っ、ん…………噛ん、で」
「…………へ?」
「噛んで……強く。歯型、付けて……」
「ぇ……フタさんって、そういうタイプでしたっけ」
いや、まぁ……こういうことするの二回目だし、そりゃ知らない部分も出てくるか。忘れっぽい彼が残るものを欲しがるのも不自然ではない。
「痛かったら言ってくださいね」
普段着ているタンクトップの肩紐で隠れる位置にしないと……難しいな。
「……ここ」
肩紐に隠れる位置を探っていたが、彼は俺の頭を手で押して首筋に俺の口を移させた。
「ここじゃ隠れませんよ?」
「……うん」
「隠したくないんですか? 可愛い……じゃ、噛みますね」
彼の望み通り、歯型がくっきり残るように躊躇いを消し力強く噛み付く。柔い皮膚に歯が沈む感覚、皮膚越しに伝わる筋繊維の感触、クセになりそうだ。
「……っ、ん……」
彼の手がようやく俺の背に回る。いつもはすぐに抱きついてくれるのに、今日は遅かったな……まぁいいや、抱きついてきてくれたことが嬉しい。
「……っ!?」
ガリッ、と背中で嫌な音がした。皮膚が熱い、引っ掻かれてしまったか。朝になったら洗面所ででも確認しよう、痛いけれどこれもまた萌える傷跡だ。
「…………はぁ、付いたかな? 見えないけど……朝また確認しましょうか」
「……うん」
「とりあえず今は雄っぱい雄っぱい~、はぁ~たまんねぇボリューム。力は抜けません?」
「………………むり」
「緊張してるんですか? 可愛い……はぁ、もう可愛い~……大好きですよ、フタさんっ」
「…………………………そう」
やっぱり反応が鈍い。俺も好き~とか言ってくれると思ったのに……さっきから何だか違和感がある。
(う~ん? 酔い潰れた後だからなんでしょうか。ですよな、カミアたんがカンナたそのフリしてたのと違って、フタさんに化ける方なんていらっしゃいませんし……サンさんがフタさんのフリするために髪を切った、とか。サンさんも毛先くりんってなってますから切ればこんな外ハネぴょんぴょんになりそうですし…………わたくしを驚かせるためだけに? いやいやいや……うーん……割と、やりそう)
まぁ、やるにしても他人の家で髪を切ったりしないだろう。切り立てホヤホヤの髪なら毛先に触れれば分かるし……妙なことを考えるのはやめよう、体調が優れないのに勇気を出して夜這いに来てくれたんだから。
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