冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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不貞を白状

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言い訳を必死に考える俺の目の前でハルは俺の彼氏を指折り数えていく。

「サンちゃんまでで十二人だよね~、海行った時はカミア居なかったけど~……まぁしゃーない。で、そこから三人も増えたっけ?」

「こ、こないだ遊園地デートに行ったフタさん……」

「サンちゃんのお兄さんだっけ。俺会ったことないな~、今度会わせてね」

「それと、もう一人は……その、秘密にして欲しいって言われてて」

「…………はぁ~? そんなんあり? スキャンダルが天敵のカミアですら言ってくれたのに? なんでさ!」

「り、倫理的に……?」

「……やっぱりみっつん小学生に手ぇ出してんの?」

俺は激しく首を横に振った。

「違う違う違う違う! そっちじゃなくて、その……ふ、ふりん……方面、です」

「………………うわぁ」

「聞いてくれ理由を聞いてくれ!」

「秘密なんでしょ~?」

「名前さえ出さなきゃセーフだと思いたい!」

俺としては不倫ということすら秘密にしたかったけれど、その代償が小児性愛疑惑じゃ真実を晒すより他ない。

「まずな、その……なんかこう、ほら……親戚の集まり的な感じのアレで、大勢で寝るアレがあったんだ」

「みっつん家、親戚付き合いしてないんじゃないの?」

「だから、的な感じのアレだ」

「……まぁいいけど~、それで?」

頬杖をついて呆れた目つきで俺を睨むハルの姿は、浮気性な夫を問い質す妻のそれによく似ていた。俺はドラマもあんまり見ないからイメージでしかないけれど。

「寝てたら……その、夜這いされて……彼氏だと思って、軽くイチャついちゃって……それで、その……事後の写真的なの撮られて、不倫することになりました……的な」

「…………ヤバくない? 何そのカス男」

「いや待ってくれ、確かにカス要素が多いけど結構可愛い人なんだ。寂しかったみたいで」

「浮気するカス女がよく言うアレじゃん」

「奥さんも浮気してるらしいからいいかなって! それに最悪ほら、俺まだ高校生だから……! 不倫バレたとしても悪いの向こうになるから……! そもそも男子高校生との浮気なんかバレる訳なくない?」

「うわぁ……」

「だって美人だし性格も好きなタイプの男が自分から来てくれたんだぞ!? 逃す手はないじゃないか……そんな顔しないでくれよぉ」

ドン引きという言葉を辞書で引いたら今のハルの顔が挿絵として載るんじゃないか、そんな見事なまでのドン引きフェイスに俺は机の上に三つ指をついて頭を下げた。

「…………ということは誰にも言わないでくれ頼む」

「しょーがないな~……はぁ、ダメンズになった気分~。で? 十五人目は?」

「あ、あぁごめん……それは俺の数え間違い。自分入れちゃった」

「…………」

「本当に数え間違いだって!」

「彼氏数える時に自分入れることある~? 何人家族って聞かれた時に自分抜かして答えちゃうのならまだ分かるんだけどさ~……」

「……俺ん家今五人住んでるんだけど、五人家族って言っていいと思うか?」

「微妙な問題~……水月のお母さんの扶養って意味ならいいのかも~?」

よし、ややこしい話をすることにより数え間違い問題からハルの目を逸らすことに成功したぞ。

「話戻すけどぉ」

頼むから戻さないでくれ!

「その不倫くんはまぁ来ないだろうけど~……フタって人とは会いたいな~、サンちゃんのお兄さんってことはさ~…………何だろ、彫刻家とか?」

「穂張家は別に芸術家一家じゃないよ……ヤクザだよヤクザ。今は建築業やってる。フタさんもなんか、力仕事らしいよ。詳しくは聞いてないけど」

「フロント企業ってヤツ~?」

「ヤクザにはあんまり詳しくないんだよな~」

「みっつんアングラ系とか読まない感じ~?」

「漫画か? あんまり読まないな。俺はこう、少年漫画! って感じのばっかり……」

それと商業BL。

「ふ~ん……ま、いいや。不倫にヤクザね~……いよいよだねみっつん」

「……やっぱりヤバいと思うか? でも今までで最大のピンチはレイの元カレだからなぁ……ヤクザって言ってもそんな、麻薬売ったり人脅したりしてる訳じゃないとこだから」

「フィクションによくある資金源が謎のタイプのヤクザね~」

「穂張組の資金源は……建築業と、あと……レイの元カレのお兄さんからだろうな。従弟が安全に暮らせるように、街の治安維持のためにヤクザ飼ってんだってさ、イカれてるよホント……でもめっちゃエロいんだよな~、あれぞ色気の擬人化」

「詳し……怖……ぁーなんか寒くなってきた。ジュース飲み終わったしそろそろ出よっか」

「あぁ、次どこ行く?」

「切り替え早……」

ハンバーガーショップを出て暑い街中へと繰り出す。雑貨屋に寄ったりアクセサリーを見たり、至って普通のデートを楽しんでいく。

「俺も和服一個くらいは欲しいな、ハルのとこって呉服屋だったよな。一着いくらくらい? 五千円?」

「万」

「五万?」

「五千万」

「……そっ、そんなピンキリのキリの方じゃなくてさぁ~……ピンの方から頼むピンの方から」

「逆逆。ピンキリはピンが上でキリが下だよみっつん……あのね、俺ん家は看板も値札も出してないような店なの。小物だけならともかく、着るやつってなったら三桁万以上のしかないよ」

「お坊ちゃんなんだなぁ……ハルも。じゃあその服も高かったり?」

「これは俺用にって作ってくれたヤツだから値段とか付いてないよ。まぁでも二百万くらいじゃない?」

「……老舗の経営者ってもっとこう、頭硬くて……なんか、女装とか認めてなさそうな感じしてたんだけど」

「ばぁちゃん男嫌いだから」

それで済むような話かな……? まぁ、ハルが実家で心ないことを言われて傷付いている、なんてことにはなっていなくてよかった。

「そっか、窮屈な思いしてたりはしないんだな。よかったよ」

「カッコは許してもらえてるってだけでみっつん泊めさせてくんないし~、結構窮屈だよ~? 帯キツいから物理的にもね」

「和服ってなんかゆったりしてるイメージあるけど、帯キツキツらしいもんな」

「ずってくっからね~。みっつんも和服欲しいなら~、作務衣とか甚平とかにしとけば~?」

今のハルの隣を歩くのなら和装をしたいと思ったんだ、二百万の着物を身にまとったハルの隣を数千円の作務衣で歩いていたらそれはもう、お嬢様と庭師か何かだろう。禁断の恋の定番では? いいかもしんない。

「イイかも……また明日にでも見繕ってくれよ。もう日暮れてきたし、今日のデートはここまでかな」

「残念~……じゃあまた明日ね。明日こそ姉ちゃん達振り切ってくるから…………ん? みっつん方向あっちだよね? いいの?」

「家まで送るよ、こんな可愛い恋人を一人で歩かせるなんて俺には出来ない。もっと一緒に居たいし」

「……も~」

ハルは俺の腕に抱きついて肩に頭を寄せ、幸せそうに微笑んだ。
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