冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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ハムハム公

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セイカが返信を始めた。俺は彼の肩を抱き、その画面を覗いた。

『ガチセイカ?』

『スマホ買ってもらった』
『よろしく』

『よろ~』

一番最初にメッセージを送ってきたのはハルだ。

『ほんもの?』

『スマホ買ってもらった』
『よろしく』

『よろしく』

二番目はカンナだな。まさかセイカは全員に同じメッセージを送るつもりか?

「セイカ、みんな本物かどうか分かってないみたいだからまずは個チャじゃなくてグルチャでスマホ買ってもらったって言ったらどうだ?」

「あー……うん。なんか、グループチャットって送信するの勇気いるよな……秋風の代筆の時は全然そんなことなかったんだけど」

分かる分かると頷きながら俺もメッセージアプリを開く。

『この前作った歌送るって言ってたけど、どうなったんだ? 催促するみたいになっちゃってごめんな、でもカンナの歌聞きたくってさ』

図書館での約束はまだ果たされていない。カンナが作ったという歌は俺に送られていないのだ、最初は音声データが重いのかと思っていたがもう丸一日が過ぎた。

『恥ずかしい』
『ごめんね』

『聞かせてくれないのか? 楽しみにしてたんだけどな。どうしても嫌なら我慢するけど』

『歌の勉強ちゃんとする前の』
『なんとなくで作った歌なの』
『だから恥ずかしい』

『上手く出来るまで人に見せない聞かせない、じゃ上達しないよ。頼むよカンナ、聞きたいんだ』

返信が止まった。強く言い過ぎたかなと後悔していると、音声データが送信されてきた。

『感想いらない』
『何も言わないで』

 会話が終わらされた。今聞こうか、いや、先にセイカへの用事を済ませてしまおう。

「セイカ」

「ん……」

「ちょっと顔上げてくれ」

「何?」

スマホから離したセイカの視線は俺の手にあるハムスターの羊毛フェルトぬいぐるみへと向く。

「公助! えっ? え……?」

「昨日作ったんだ。どう? 似てるかな?」

「鳴雷お前……ドラゴンレーダー持ってたのか」

「いや神龍に頼んだわけじゃなくてな」

「ヨミヨミ食ってたのか公助」

「うんまぁ水に漬けるのはやめて欲しいけども」

「穢土転生……」

「だとしたら嫌じゃないか? 前二つならともかく……いやすごいなセイカ! 結構漫画読んでるんだな!?」

「有名どころと鳴雷のオススメからちょっとずつ……」

「すごく嬉しい! ネタを分かってくれるだけでなく振ってくれる人間欲しかった! 大好き! 愛してる! これ羊毛フェルトのハムぐるみな!」

セイカが今言ったのは全て有名な少年漫画に登場する蘇りを果たす方法などだ。一部蘇りとは言えないものもあったけれど。

「ぬいぐるみ……すごい、そっくり」

「そうなのか? 個ハム差よく分からなくってさ」

「そっくり……公助」

そっくりに作れていてよかった。しかし反応が薄いな、もっと喜んでくれると思っていたのに……ん? セイカ泣いてないか?

「セ、セイカっ? どうしたんだ?」

「めちゃくちゃ似てるぅ……公助、死んじゃって……俺が飼ってなかったら、もっと長生きできたかもってぇ……」

「いやいやセイカ、ハムスターの寿命って二、三年だからな? 公助くん何年生きた?」

「もっと……」

「だろ? セイカの飼い方はよかったんだよ」

「…………無理に長生きさせて苦しませたのかもぉ……ごめんなさい公助、もっと太く短く生きたかったのかもっ、体に悪いものの方が美味しいしっ」

「あぁああ……コ、コンちゃん! サキヒコくん居る!? 公助くんセイカに憑いてたりしないかなぁ!?」

母の会社には着いてきてくれなかった二人に向けて呼びかける。彼らはいつの間にか俺の背後に戻っていたらしく、返事があった。

「憑いていたらもっと前に言っている」

「成仏しとるんじゃろ」

「ぬぁあ……あっそうだ…………セイカ! 成仏してるってさ、恨みないってことだよ! 幸せだったんだよ公助くんは」

「3グラムの脳みそじゃ人間恨めなかったんだぁ……」

「じゃあ幸せだったんだねでよくない!? それだけ思ってあげられてるなら、存命中も大切にしてたんだろ? 伝わってるよ、ちゃんと」

「…………そう、かなぁ」

セイカの手のひらの上にハムスターのぬいぐるみを乗せる。セイカはじっとそれを見つめ、僅かだが笑った。

「公助そっくり……でも、公助じゃなぁ…………公次、公次にしよう。公次……」

「コージ? もう名前付けたのか、気に入ってくれたみたいで嬉しいよ。クマには……ないのか?」

「クマには前に付けただろ?」

クマにクマは名付けたとは言えないような……まぁ、いいか。

「じゃあ、俺部屋に居るから」

「うん。鳴雷……ありがとう、公助……公次、作ってくれて。すごく嬉しい……」

「……泣くほど喜んでくれてよかったよ。目、擦らず、優しく拭くんだぞ」

パーマがかけられた髪を優しく撫で、自室へと戻ってイヤホンを探した。カンナの歌を聞くためだ。

「イヤホン、イヤホンやーい……あったあった」

まず一周目二周目は歌だけに集中しよう、三週目くらいからは自由研究を進めながらの作業BGMとさせてもらおうかな。

「再生~」

カンナの歌声が聞けるのかな、音声合成ソフトの扱いの本も借りていたからそれを使っていたりするのだろうか。

「………………は?」

聞こえてきたのはカンナの歌声。ギターの早弾き。高音でアップテンポの、俺には歌えないと即座に分かる歌。語呂だけで選ばれた意味がないながらに耳心地の良さ過ぎる歌詞。

「やっ……ば……」

全身の毛穴が開く。背筋に寒気が走る。自然と息が止まり、歌が終わって数秒後に肺の空気を全て吐き出した。

「才能の塊がよぉ……」

ギターと声だけで、勉強もせずここまでの物が作れるのなら、二曲目はどこまでのものになるのか想像も出来ない。楽しみを通り越してもはや怖い。

「………………っ、クソ……」

分かってしまった。カンナとカミアを入れ替えたかつての大人達の思考が、二人の扱いに差を付けてしまった気持ちが、理解出来た自分を心底嫌悪した。
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