冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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弟による新入りジャッジ? (水月・カサネ・アキ・セイカ)

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セイカの隣に腰を下ろし、セイカとお揃いのステーキを食べながら、どうしてアキはセイカの隣を離れカサネの隣に座ったのだろうと考える。

「セイカも和風ソースにしたのか?」

「秋風が勝手に選んできた。まぁ……これで、いいけど」

「……知ってた? あの肉焼いてる人……ミフユさんのお義父様なんだって」

「えっマジ? へぇー……似て……ないな、別に。あっでも身長は……似てる」

「年積の人はみんなちっちゃめだよ。寿司の人は……ミフユさんの何なんだろ、確か運転とか案内とかしてくれてた人が叔父さんだったと思うんだけど……叔父は一人とは限らないよね」

父親が傍に居るとなれば、この場でミフユとイチャつく訳にはいかない。だが、だからと言って他の彼氏とイチャついていたらそれはそれで「何ウチの息子ほったらかして他の男にうつつ抜かしてんだ」って話になるだろうし、どうすればいいんだ?

(大人しく飯食うしかないでしょうよ!)

食事を終えたらきっと部屋を変えるだろう、それまでは耐えるんだ、俺。可愛い彼氏達に囲まれていてもスキンシップは控えよう、新手の地獄だ。

《アンタ髪の毛半分白いな! お揃いお揃い。どっちが地毛? 肌も生っ白いしワンチャン俺と同じじゃねぇの?》

「な、鳴雷くん……助けて」

「アキは新しい人には一旦懐っこくなるんですよ。見極めタイムって感じですかね……その間にアキに気に入られないと、今後全然来なくなりますよ。アキ、興味ないとあるがハッキリしてますから」

「……っ、こ、ここっ、こ……こっ、こ」

ニワトリのモノマネか?

「ここ、こい……恋、人の…………ぉ、弟っ、に……懐かれてないとかっ、悲しい……! な、な……懐かせてっ、やる……!」

「……! そ、そんな、人見知り引きこもりド陰キャ不登校のカサネ先輩が……! 涙を禁じえません」

「泣くぞ!?」

初対面の相手に話しかけるのに、並の人間より勇気が必要なカサネが「懐かせてやる」と言うなんて……本当に泣きそうだ。かなり強引に口説いたけれど、結構愛されているんだなぁ、俺。

「へ、へへっ……鳴雷くんが言ってた通り、俺達には、さ、寒いとこ育ちっていう共通点がある……! 北方領土問題は俺達ガキには関係ないからなっ、雪あるあるで仲良くしようぜ!」

「……?」

「スケート出来るか? 子供の頃は俺引きこもりじゃなかったからよく滑ったんだ。スキーは? 俺スケートのが得意。あ、ツララ舐めたことある? 汚いからやめろってめっちゃ怒られたよなぁ……山入ってさ、ツララ折って食べるとたまにめっちゃ美味いのなかった? アレ何だったんだろ」

翻訳セイカナシで話すつもりか? それは無茶だろう。

「えっと……アキ、ちゃん? 聞いてる?」

「……! アキー、ぼく、です。なまえー、何です?」

「えっ、俺の? さっき言ったのに……」

「すいません先輩、早口だと聞き取れないんですよ。アキにはゆっくり話してあげてください」

セイカ越しにカサネにそっと伝える。

「あ、あぁ……日本語微妙なんだっけ、アキちゃん……えっとな、俺、カサネ。カーサーネ。OK?」

「かーさーね?」

「あっ……カサネ、カサネ」

「かしゃね。きゃさ、ね。かしゃ……かさ、ね! かさねー」

「そうそう……えっ何この子可愛いぃ~、なまら可愛い。鳴雷くんから全ての毒気を抜いたような子じゃん…………ぇ、これに手ぇ出してんの、お前……人間のクズじゃん」

俺の毒気って何だよ。

「ふっ……」

「何笑ってんだよセイカ、お前も同意見か?」

「いや? 分かってねぇなって……」

「……カサネ先輩がか? 何を?」

「毒気、お前よりよっぽど秋風のが強いのにって」

そうは思えない。アキは優しいいい子だ、他者を傷付ける悪意なんて持ち合わせてはいない。

「かさねー、かさね、頭二つです」

「髪気になる? 染めてるんだぁ。ふふ……わやめんこい。早苗ちゃん、アキちゃんに毒気なんか全くないよ!」

「かさね、お肉食べるするしないです? 魚好きです? さかなー、あっちです!」

「飯食う気ないの俺。ほらぁ、ご飯食べないのって心配もしてくれてる! 天使だよ天使、見た目そのまま! どこかの残念イケメンとは違うべ~」

カサネ、俺と付き合いたてだよな? なんで俺のことそんなに腐すの? ツンデレ? ツンデレなの?

「アキちゃん、可愛い!」

「……ぼく? かわいー、です? ありがとー、です!」

「ほらぁ~……ふふふ、ホント可愛いなぁ。癒される……さ、触っていい? 鳴雷くんっ、ささ、触っても、か、噛まない?」

「俺の弟を犬か何かと一緒にしないでください」

大した言葉を話せず、ニコニコとしているアキに夢中になるのは、犬猫にデレデレになるようなものだ。妬むほどのことじゃない、そう自分に言い聞かせたって嫉妬は止まらない。

「……アキ可愛がる人ってみんななんか、ペット扱いだよな」

「簡単な意思疎通しか出来ねぇんだからしょうがねぇだろ。犬猫幼児と一緒」

「なんか寂しいんだよなぁ、それ……」

「……気持ちは分かる」

カサネは恐る恐るアキの髪を撫で、生え際まで真っ白だと感動している。セイカは何故か舌打ちをし、ため息をついてから口を開いた。

《あーきーかーぜぇ~、ステーキ食い終わったぁー。次》

《待ってくれよ、俺まだ二切れ残ってる》

《そんなに新入りにお熱かよ。新しいのが好きか? 秋風。キズモンの中古品はいらねぇってか》

《……なんだよスェカーチカ拗ねてんのか? 仕方ねぇなぁマイプリンセス。すぐ食う……んむ、行こ……じゃーなカサネ、またいつか》

慌ててステーキを口に突っ込んだアキは、口をもぐもぐと動かしながら立ち上がり、セイカの手を引いて彼も立たせた。

「え、ちょ……」

「…………ふっ」

アキに支えられて料理を物色に行く前に、セイカはカサネに勝ち誇った笑顔を見せつけた。

「……早苗ちゃん、アキちゃんとデキてる?」

「違うんです両方俺のです!」

残された俺は同じく残されたカサネに必死に弁明した。
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