冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

文字の大きさ
1,557 / 2,313

ケーキの食べ方 (水月+歌見・カンナ・カミア・ネザメ・ミフユ・カサネ)

しおりを挟む
電灯が点けられた。アキに合わせた薄暗さとはいえ暗闇からのギャップは大きく、しばらく目を細めた。

「では、切り分けますので少々お待ちください」

ミフユはもうロウソクを全て抜き切ったようだ。少し熔けたロウソクを回収し、蒸しタオルに包んでいた包丁を取り出した。

「……ナッツ、使ってませんよね?」

「はい、もちろん。事前にアレルギーの有無は調査済みですので」

「あぁ……そういえばメッセージで聞いてきましたね、あなた。ふふ、流石気配りの出来る方です。サン、あなたも見習いなさい。おやつだとか言って私にミックスナッツを渡さずに!」

嫌がらせにもほどがある。

《……眩しい》

《明るさはさっきと同じはずだぞ、暗めだ》

《んー……》

俺はもう目が慣れたが、アキはまだなのか目を細めている。

「ぁ、あの……俺、いらない」

「む……? 何か言ったか、繰言二年生」

「……っ、ぉ、俺……ケーキ、いいっ」

「嫌いなのか?」

「い、いや……そういうんじゃ、ない、けど」

「アレルギーでも嫌いでもないなら食べてもらいたい、ネザメ様への祝福の証だ。黄泉竈食、同じ釜の飯云々……同じ物を分けて食べるというのには深い意味がある。満腹なら後ででも構わん、食え」

「ひぃん同調圧力ぅ……食べるよ、食ゃいいんだろぉ……」

元デブの俺としては、嫌いでもないのに何故ケーキを食べたがらないのか分からない。気持ちを分かってやれないというのは、付き合う上で大変なハンデだ。

「先輩……満腹でも嫌いでもアレルギーでもないのにケーキ食べたくないってどういう心境でしょう? あ、ダイエットってのもナシで」

カサネはガリガリだからな。

「……全く分からん」

「そうですかぁ……」

他の彼氏から答えを教えてもらうことも出来ないのか。難しいな。

「回してくれ」

皿に乗った切り分けられたケーキが渡された。歌見に渡すと歌見は更に彼の隣のレイへ渡す。レイはサンへ、サンはハルへ、そうしてミフユから一番遠いところに座っていたシュカで止まる。そうやって彼氏全員にケーキが行き渡った。

「届いていない者は居ないな? では、シャンパンを開ける。これも回してくれ」

薄らと色付いた、透明度の高い炭酸飲料。シャンパングラスに注がれたシャンパンを、ケーキと同じように回していく。行き渡ったらグラスを持ち上げ、誰ともぶつけ合わずに「かんぱーい」と緩く声を上げる。

「いったっだきま~す」

上機嫌なハルの声に釣られて皆バラバラに「いただきます」と言い、各々フォークをケーキに刺した。切り分けられたケーキの尖ったところから食べていく者、上に乗ったイチゴを最初に食べる者、様々だ。

「んん……! 美味しい」

ちなみに俺はイチゴから食べる派。甘いホイップクリームを口にしてからではイチゴの甘さを楽しみにくいから。スポンジとスポンジの隙間にあるスライスフルーツの酸味はアクセントにイイけれど、上に乗っているイチゴは丸々あるので先に食べてしまう。

「あ、先輩はイチゴ後で食べる派ですか?」

歌見はケーキの上に乗っていたイチゴを皿に下ろし、ケーキ本体を食べ進めていた。

「ん……? あっ、いや、違う。そうか……八昼は居ないんだったな」

「妹さん……?」

「あぁ、あの愚妹……ショートケーキ食べるとなったら俺のイチゴを寄越せ寄越せと喚きやがったからな。あんまりうるさいから根負けしていつもあげてたから、食べない癖がついてたみたいだ。悲しい癖だよな、ハハ……」

「いえ全然! 優しいお兄ちゃんって感じで……なんて言うんでしょう、えー、微笑ましい? です! ほっこりしました」

「……キンキン声で喚くからワガママ聞いてただけだぞ?」

「優しいですよ。普通喧嘩になりますって」

「喧嘩したところで怒られるの俺だけだからなぁ。兄貴はどこもそんなもんだよ、下の子に美味いとこ取られる損な生き物だ。お前は兄弟歴浅いからそうでもないのかもな」

普段の食事でハムやウィンナーをアキにねだられた覚えならある。けれど、俺はアキが喜ぶのなら喜んで主菜を分けてやれる。それは多分……

「……アキは特別可愛いからです!」

「ん? あぁ、まぁ、お前の弟だからな」

兄弟が居る彼氏達はどうイチゴを食べているのだろう。歌見のような癖がついている者は居るだろうか?

(末っ子なハルどのは一番にイチゴ食べたみたいですな。カミアたんは……お、イチゴにフォーク刺してまそ、最初に食べる派ですかな?)

カミアは大きなイチゴをフォークに突き刺すと、カンナの口元にそれを差し出した。

「お兄ちゃんっ、あーん」

早速歌見の兄弟理論が破綻した、弟が兄にイチゴを与えている。いや、双子ってあんまりどっちが兄でどっちが弟でって感覚無さそうだけど。

「あーん……ん、ありがと」

「お兄ちゃん……! お兄ちゃん可愛いっ! お兄ちゃんが僕の手から何か食べてくれる時が人生で一番充実した時間だよぉ」

「カミア、あーん」

今度はカンナが自らのケーキに乗ったイチゴをカミアに差し出した。

「……!? お兄ちゃんっ、お兄ちゃん……ありがとう、このイチゴは家宝にするねっ」

「食べて」

イチゴを指で取ろうとしたカミアの手をひょいっと避け、蠱惑的な唇に押し付ける。カミアは仕方なく口を開け、カンナにイチゴを食べさせられ、幸せそうに頬を緩めた。

「可愛いよぉ……」

「ど、どうした水月、急に泣き出して」

「水月くん……? どうしたんだい?」

双子が可愛過ぎて泣いてしまった。歌見とネザメに心配され、しゃくり上げながら事情を説明すると、歌見には呆れられネザメには「僕は君達兄弟を見ているとたまにそうなるから分かるよ」と頷いてもらえた。
しおりを挟む
感想 532

あなたにおすすめの小説

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

水泳部合宿

RIKUTO
BL
とある田舎の高校にかよう目立たない男子高校生は、快活な水泳部員に半ば強引に合宿に参加する。

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

寝てる間に××されてる!?

しづ未
BL
どこでも寝てしまう男子高校生が寝てる間に色々な被害に遭う話です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

お兄ちゃんができた!!

くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。 お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。 「悠くんはえらい子だね。」 「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」 「ふふ、かわいいね。」 律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡ 「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」 ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

処理中です...